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こちらも駄目……。あれはタイトルの飾りです。

かと言って、何もしないで未練がましくアニメーションにぶ

ら下がるほど、リッチな業界ではありませんから、昨年から引

退させてもらいました。テレコムも新人の養成も立ち上がり時

期だけつき合っています。それも本番の動画の訓練は現役の

動画の諸君の方がぼくより上手です。


― 勝手ですが、ファンとしては大塚さんの引退はやはり残念

ですね……。


まじめで普通の若者が二十一世紀日本

のアニメを支える


― 後進の個性を大切にされるというお話についてなのですが、

教室にすごくうまい人と、下手で話にならない人がいるとする

と、やっぱりうまいというか、素質のありそうな人の方に目が

行ってしまうということはあるのではないですか。


大塚学校の教室では、それはタブーのひとつだと思っていま

す。現場では全然違いますよ。こいつは出来ると思えば新人

でもどんどん差をつけて重い仕事を課して行きますが、学生は

まだ競争社会に出ているわけではありませんから、「おっ!」

と思うほど上手な人がいても、特にその人に集中したりするこ

とはありませんね。学校の方では志望者だけで編成する「特

別講座」を設けて機会を提供していますが、その人が来るか

どうかは自由です。

それに、うまい人がいても、一年生ではまだはっきりしない

ことの方が多いようです。二年生になったら担任の先生方も

かなりはっきり、あの人はうまい、と言えるようになりますね。

卒業して、どこかのプロダクションに入っても、きっと長続

きするだろうな ……早いうちに頭角を現すだろうな……と予

感させてくれる生徒はどの学校にもいます。でもそれは五〇%

以上、性格的なもの、粘りとか、明るさ、器用さみたいなも

ので、もう一つはその人が描いたスケッチブックの量と質が判

断材科になっているように思います。担任の先生たちの、その

判断力はなかなか見事なものです。でも、本人が拓いて行く

人生です。ぼくたちは予断はしません。

二〜三年前だったか、宮崎さんが「何度も採用したけど、

いませんね。ジブリでは今後は兵隊さんとして採用するつもり

です。」と言っていました。ぼくはそれを聞いて「あれえ〜っ」

と思いましたね。じゃあ宮埼さんは今まで何を新人に期待して

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代々木アニメーション学院

96年 入学案内用資料より


大塚康生先生の講義風景