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新作「ルパン三世DEAD OR ALIVE」の評

価について


― モンキー・パンチさんが監督された「ルパン三世DEAD
ORALIVE」
(注1)が出来ましたね。まず、そのことについて伺

いたいのですが、大塚さんはもうご覧になりましたか?


大塚まだ見てないんですよ……。宣材(宣伝材料)で見

るとキャラクターはモンキーさんの原作に近くなっているよう

にも見えるし、影をつけ過ぎてすっかり美形になってしまった

ようにも見えます。ストーリーはモンキーさんが相当大幅に変

更されたと聞いていますが、モンキーさんがやりたかったこと

が実現出来たのでしょうかねぇ……。「ルパン」はこれまでに

いろいろな人によって散々いじくり回されていますから、せっ

かく原作者本人が作ったものが出てきても、観る側が「やっ

ぱり本物はいい」といって喜んでくれるかどうか……。一寸

遅過ぎた感じがしないではありません。

キャラクター表を見ると、ルパンが内股に描いてあります。

あれね、原作がそうなのです。モンキーさんの絵はひとつのポ

ーズで見ると、ものすごく個性的でいいのですが、動きの中

において考えてみて、そのポーズの前の絵、後の絵を想定す

るとつながらなくなる、きわどい面白さなのです。ぼくたちは

「この連中は格好いいキャラクターである」というモンキーさ

んの意図の方を優先させました。

あの内股のような格好は、乗馬ずれした歩き方で、ジョ
ン・ウェイン(注2)やクリント・イーストウッド(注3)が西部劇

を演じる時、ややガニ股で歩く工夫をしていましたが、あれ

は今でもアメリカの漫画で格好いいと思われている「男っぽ

い」スタイルの一つで、日本にはそれまでなかったものです。
ぼくらは、あれは面白いなあと思って、一応パイロット(注
4)
で試みました。芝山(注5)さんが動かし方を研究して、腰の

上下を大きくした、ヒョコヒョコ「歩き」の原型を作ったの

ですが、結局全編には使えませんでした。出来ないことはな

いのですが、関連プロを含めた全作画陣に徹底するのは無

理、ということになってね……。それにルパンは馬に乗って

いるわけではないので、あれが似合うかどうか大隅さんと討議

した記憶があります。

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ジョン・ウェイン
(ハワード・ホークス監督作品「リ
オ・ロボ(1970年)」より)
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クリント・イーストウッド
(クリント・イーストウッド監督作品
「マディソン郡の橋(1995年)」より)

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「ルパン三世」パイロット・フィル
ムより。
ルパンが内股で歩きながら様々に変 装していくシーン