遍性」というものだし、「ルパン」が「普遍的になった」というこ
とが「人気がある」ということなのではないでしょうか。
…… と言うわけで、仮にぼくがもう少し若くて、いい演出がい
たとして、もう一度作ると言っても、局も会社も作らせないと思
います。「誰よりも安く作る!」と言えばゴー・サインが出るでし
ょうが……(笑)。
作品の質が観客の支持につながるとは限らない
― テレビシリーズは予算、スケジュールには大変な制限があると
思いますが、劇場用は少し違うのではありませんか?今回はモン
キーパンチさんが直接監督、というのですからこれまでの製作費よ
りは高かったのではないですか。
大塚ぼくは全然関係なかったので詳しくは知りませんが、かえ
って安かったのではないでしょうか。制作期間から判断するとそう
いうことになります。
労働集約産業の典型であるアニメの制作は金と時間、それに作
る人たちの情熱と才能の総和です。今回の「ルパンD E A DO R
A L I V E」はコンテが出来てから、ラッシュまで三ヶ月、次の夏の
「ルパン・スペシャル」に至っては二ヶ月で作るという恐ろしい予
算とスケジュールです。ぼくには信じられません。
仮にモンキーさんが百戦錬磨のアニメ作家で、ベテラン・アニ
メーターが結集していたとしても、これではぼくの考えているよう
なものは無理です。コンテは出来た。それっ韓国でもどこでもいい
からバラ撒いて、演技や動きは何も吟味しないで、画面が埋まっ
ていればOKというような作品なら出来るでしょうが……。
昨年の「ノストラダムス」(注1 3)でさえ、テレコム(注 1 4)のスタッフ
全員が徹夜、残業で八ヶ月かけています。あの仕事の速い宮崎さ
んがジブリの精鋭をフルに動員してでさえ、一年以上かかるでし
ょう。「もののけ姫」(注 1 5 )は丸二年です。スケジュールから見て、
モンキーさんだから製作費が高かったとはとても思えません。
局の低予算の原因はね、「釣った魚に餌はやらない」という諺
があるでしょう。あれですよ。
「機動戦士何とか」という作品で、ある時思い切って制作予算
を半分にしたら、その後しばらくの間、返って商品の売れ行きは
上がるわ、視聴率も上るわで、プロデューサーが「いったい何なん
だ、これは」と言って悩んでいたそうですが、この話は視聴率は作
品の中身、品質ではなく別の要素が作動するということを表して
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