12345678910 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

遍性」というものだし、「ルパン」が「普遍的になった」というこ

とが「人気がある」ということなのではないでしょうか。

…… と言うわけで、仮にぼくがもう少し若くて、いい演出がい

たとして、もう一度作ると言っても、局も会社も作らせないと思

います。「誰よりも安く作る!」と言えばゴー・サインが出るでし

ょうが……(笑)。


作品の質が観客の支持につながるとは限らない


― テレビシリーズは予算、スケジュールには大変な制限があると

思いますが、劇場用は少し違うのではありませんか?今回はモン

キーパンチさんが直接監督、というのですからこれまでの製作費よ

りは高かったのではないですか。


大塚ぼくは全然関係なかったので詳しくは知りませんが、かえ

って安かったのではないでしょうか。制作期間から判断するとそう

いうことになります。

労働集約産業の典型であるアニメの制作は金と時間、それに作

る人たちの情熱と才能の総和です。今回の「ルパンD E A DO R

A L I V E」はコンテが出来てから、ラッシュまで三ヶ月、次の夏の

「ルパン・スペシャル」に至っては二ヶ月で作るという恐ろしい予

算とスケジュールです。ぼくには信じられません。

仮にモンキーさんが百戦錬磨のアニメ作家で、ベテラン・アニ

メーターが結集していたとしても、これではぼくの考えているよう

なものは無理です。コンテは出来た。それっ韓国でもどこでもいい

からバラ撒いて、演技や動きは何も吟味しないで、画面が埋まっ

ていればOKというような作品なら出来るでしょうが……。

昨年の「ノストラダムス」(注1 3)でさえ、テレコム(注 1 4)のスタッフ

全員が徹夜、残業で八ヶ月かけています。あの仕事の速い宮崎さ

んがジブリの精鋭をフルに動員してでさえ、一年以上かかるでし

ょう。「もののけ姫」(注 1 5 )は丸二年です。スケジュールから見て、

モンキーさんだから製作費が高かったとはとても思えません。

局の低予算の原因はね、「釣った魚に餌はやらない」という諺

があるでしょう。あれですよ。

「機動戦士何とか」という作品で、ある時思い切って制作予算

を半分にしたら、その後しばらくの間、返って商品の売れ行きは

上がるわ、視聴率も上るわで、プロデューサーが「いったい何なん

だ、これは」と言って悩んでいたそうですが、この話は視聴率は作

品の中身、品質ではなく別の要素が作動するということを表して

IMAGE imgs/oh_interv09.jpg

「ルパン三世
くたばれ!ノストラダムス」より