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度は何が出てくるか……と期待して、辛抱強く支持してくれている間は、作品

の出来の善し悪しに関係なく劇場に人は呼べるし、一定の視聴率が取れるので

す。そうして続いて来たのではないでしょうか。


― 大塚さんとしてはもう一度やってみたい企画ですか?


大塚とんでもない。第一アニメの作画というのは、おんとし六〇を越えた人間

に出来る作業ではありません.「ルパン」はぼくにとっては懐かしい昔話です。好

きですけど、ぼくたちが解釈した「ルパン」が好きということであって、「ルパン」

ならどれでも好きというわけではないのです。色々ありますからね(笑)。

ぼくにとってはルパン一行は、昔出会った面白い人たちだった ……。画面の中

で遊ばせて頂きました。モンキーさん、誠にありがとうございました!という仕事

でした。

― 本当に色々ありますからね。テレビの「新ルパン」(注1 0 )から見はじめて、後で

「旧」を見て、違和感を感じたという人もいたりして……。でも、もしあえてやる

のなら、ということでどうでしょうか?


大塚もしまた作るのなら、ああもしたい、こうもやってみたい、というのもない

ではありませんが、ある程度、前のものを否定しないとエネルギーが出て来ないで

しょうし、思いつくのはすべて金も時間もかかるアイデアばかりです。今度はモン

キーさんと突っ込んだ議論をする必要もあるでしょう。演出家を探すのも一苦労

でしょうね。いないかもしれません。本(シナリオ)はもっと難しいでしょう。そ

れに新しい解釈をつけ加えたりすると視聴者から叱られかねません。

人気が安定しているシリーズ作品というのは空気みたいなもので、テレビならタ

飯を食いながら時々チラッと目をやる程度の関心で、観客に愛されているのです。

それ以上に集中力を要求するシリーズはある意味で疲れますからね。「ルパン」は

軽いからいいのです。仮に今ぼくたちが作ったら重くなってだめだと思います。

現代はテレビアニメ番組でも視聴者からの手紙が殺到するとか、ファンの大群

が出現するという状況になりません。「サザエさん」(注11)とか「ドラえもん」(注12)

子供達にとって空気なのです。あれはそういうルーティンが生命みたいなもので、

視聴者の年齢層から言って比較出来ませんが、「ルパン」でも質をもっと上げて、

内容を高めればもっと人気が上がる、というのは考えられません。

考えてみて下さい。「ルパン」再放映を要求してファンの手紙が殺到した。その

「ルパン」というのは「ルパン」であれば何でも良かったのであって、「新ルパン」

の人物像(性格)が違っていようと、背広の色が違っていようと抗議は全くあり

ませんでしたね(声優が変わると大騒ぎでしたが ……)。

何だかひねくれた言い方に聞こえるでしょうが、決してファンを馬鹿にしている

のではありませんよ。叶さんのように研究的な態度で見てくれる人も沢山いるわけ

で、ご期待に応えたいとは思っていますが、メディアのメカニズムというのは、そ

ういう人たちを相手にするようには出来ていないと思います。言いかえると、「ル

パン」なら少々違っていても、誰が作っても「ルパン」なのであって、それが「普