それはそうと、皆様には申し訳ないのですが、ぼくは今のと
ころ、余生をジープ、トラックという子供の頃からずっと温め
てきた趣味を発展させることで過ごしたいと思っています。
…… 実はこの趣味も五〇年(アニメ以上の)のキャリアが
ありまして、日本中に職業を越えた友達がいます。フィリピ
ン、アメリカ、イギリス、オランダ、チェコには二〇年来の同
好の士がいたり、最近ではオーストラリア、ニュージーラン
ド、カナダ、台湾、イタリア、と広がって来て、収拾がつか
なくなって来ているので、数年前からその人たちのための同人
誌(注 2 4 )を発行したりして遊んでいますが、全て一人でやって
いますので、次第にぺースが落ちています。でも、もう少し頑
張るつもりです。
もう一つのテーマはぼくなりに若い人にアニメーション、紙
の上でものを動かす面白さ、辛さを伝えて行きたい。この二
つの課題であと数年、精神的な意味での若さと好奇心を保ち
たいと思っています。学校の授業内容の向上にも頑張らなく
てはならないし、結構忙しいですね。ディレッタント(愛好
家)は …… あ、言い忘れましたが、今自費出版で「ぼくのお
もちゃ箱から(当時の仮題。後に『大塚康生のおもちゃ箱』
と改題。)」という本を作っているんですが、叶さんのルートで
少し売って下さいよ。
―(怯えて)ジ、ジープの本ですか?
大塚いや、ぼくの書斎のガラクタを集めた本です。三部か
らなっていましてね。子供のころ描いた蒸気機関車スケッチ
集、これは何人かのメカマニアに頼まれていたものです。二部
は東映の「太陽の王子」(注 2 5 )班でみんなで描いた落書き集、
若い頃の宮崎さんを含めたアニメーターが中傷絵画と称して
描いたお互いの似顔絵です。もう一つはぼくのフィアット五
〇〇(注 2 6 )に関する絵と写真のコレクションです。バカバカし
い本ですが、全部で一二〇ページくらい、A4版カラー印
刷、限定配布と言えば聞こえはいいですが、書店で扱うわけ
がないので、一部の模型店なんかに置いてもらう予定です。
コミケ(コミックマーケット=同人誌即売会)あたりへ少し
持っていってくれませんか。
― はい。分かりました。楽しみにしています。
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フィアット 5 0 0を立ったまま運転す
る大塚さん。九州一周旅行中、阿
蘇山付近の台地で。“ハコ乗り”で
はなく、シート位置が変わってい
て、立ったままブレーキ・アクセ
ルが踏めるのだそうだ。フロント
のたくさんのマーキングは「足跡
マーク」で、側面までずっと続い
ている。大塚さんは変わったマー
キン グで遊ぶ 趣味が あり、左 の
「クエスチョンマーク」の他にも大
きく「歩」と書いていたことや、
左ドア一面に煉瓦模様を描いてい
たこともあるとのこと。
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