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れたあごになっている……などですが、しかしよく見るとアンサ

ンブルとして個性が与えられる程度に違っている。連載の初期

と少し安定した時期とでも違っている。そこから選んで行きま

した。

ですから今回モンキーさんの原作に戻ったと言っても、原作

の別の要素を抜き出したという違いと思って下さい。解釈の違

いと言い換えてもいいですが ……。

準備段階では、ぼくたちにとっても、モンキーさんにとって

も、手ざわりのいい映画になるか、面白い映画になるか……原

作の顔のうちのどれを前に押し出すか、などが、まずぼくたちが

取り組むべきテーマだったのです。

参考までに一寸別のケースを見てみましょう。同じ頃「ど根

性ガエル」(注8)という作品がありましてね。フィルムでは原作の

吉沢やすみさんとは随分違ったキャラクターでしたが、芝山さん

の手によってアニメーション・キャラクターとして巧みに整理し

てあって、成功していました。アニメでは原作のキャラクターが

立体的に整理し直さないと動かしにくいこともある、という好

例だったと思います。

今回は劇場用ですし、今度は原作者自身が監督で作った作

品ですから、キャラクター表のルパンがどんな演技、表情、動

きをするか、それが魅力的かどうか……ぼくなりに観たいと思

っていますが、こうしたことを練り上げて作る時間的余裕はな

かったはずですから、モンキーさんには申し訳ないけど、見に行

くのをためらっているんです。

人物像については大隅解釈、宮崎、高畑解釈、今度は杉井

解釈(注9)と色々あるなかの「本物」という感じで並んでしまい

ましたね。キャラクターにしてもそうです。また別の人が監督す

れば、また違うでしょうから、これからも誰々解釈、誰々解釈

と並ぶという感じがします。「ルパン」はそういう企画になって

しまいました。


ルパン一行は昔出会った面白い人たち

だった ……


― では「ルパン」はまだ当分続くということでしょうか?


大塚さあ、それは分かりません。なぜ「ルパン」が長寿企画

かというのは、要するに人気があるからでしょう。知名度はすで

に抜群になっていますから、宣伝費を使わなくてすむ。どんどん

人を替えても、低予算でも、そこそこの映画さえ作れば人が入

る、視聴率も取れる、ということで続くのであって、観客が今

IMAGE imgs/oh_interv08.jpg

アニメ版「ど根性ガエル」より