第1章 オリエントと地中海世界

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 古代オリエント世界

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ア.オリエント世界の風土と人びと
・a オリエント の意味:ヨーロッパから見てb 「日ののぼるところ」 の意味。
  →今日ではc 「中東」 とよばれる。  
解説

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・西アジアの風土:高温の乾燥地帯 → 砂漠、草原、岩山が広がる。
   → 周辺の山岳の降雨地域を源流とする河川とオアシスの周辺は土地が豊か。
  ・砂漠でのラクダ、草原での羊などを飼育する遊牧生活。
  ・河川流域やオアシスにおけるムギ、豆類、オリーブ、ナツメヤシなどの農業。
 農耕・牧畜   の開始   前7000年紀
 メソポタミアからレヴァント地方にかけての▲「a 肥沃な三日月地帯 」で、
   ▲主な遺跡 b イェリコ 遺跡、c ジャルモ 遺跡など。(序章参照)
 潅漑農業  の開始  前6000年紀の中頃 大河の流域で始まる。
 a メソポタミア のb ティグリス川 ・c ユーフラテス川 流域
   =d  「川のあいだの地方」 の意味
 e エジプト のf ナイル川 流域 → いずれも定期的な増水が起きる。
  → 治水、灌漑などの技術が生まれる → 大規模な定住が進む。
・まとめ 大河の流域に文明が形成された理由
 文明の形成   前3000年ごろ、メソポタミアとエジプトの大河流域に都市文明が成立。
・活動した民族
  メソポタミア :周辺からa セム系 やb インド=ヨーロッパ語系 の民族が移住し興亡した。
  エジプト :砂漠と海に囲まれ外部からの移住少なく、c ハム系 民族が長期に文明を維持した。
  シリア・パレスチナ :d セム系 民族が交易活動に従事し、文明を拡散させた。
・オリエント社会の特色 治水・灌漑の必要から、宗教的な権威による統治が行われた。
  =e 神権政治   :王が神として統治し、社会・文化も信仰生活中心に営まれた。
地図 オリエントの都市と遺跡 →オリエントの都市と遺跡  オリエントの主要地域の位置関係をしっかりつかむ。
イ.シュメール人の都市国家

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 メソポタミア文明   両川下流域で潅漑農業が発達。
・前3500年頃から人口増加  → 神殿を中心に大村落が成立。
  → a 文字 とb 金属器 (銅とc 青銅器 )の普及。
・前3000年頃 神官・戦士・職人・商人などの階層の形成。
  → d 都市 が成立。 = 文明の形成。
 シユメール人 の都市文明  民族系統は不明。
・前2700年頃までにa ウル 、b ウルク ラガシュなどにc 都市国家 を建設。
  社会:<王→神官・戦士→自由民→奴隷>からなるd 階級社会 が成立。
  政治:神の名において行われる政治や戦争=e 神権政治  →都市国家の抗争
  文化:壮大な神殿・宮殿・王墓の建造。f ジッグラト (聖塔)の建設。
     g 楔形文字 の発明。粘土板に記された。
   =h シュメール文化 の繁栄。 ウルの軍旗など。
ウ.メソポタミアの統一と小アジア
 アッカド  の征服 前2350年ごろメソポタミア中部に起こったa セム系  民族。
・▲b サルゴン王  「四界の王」を称し、メソポタミアを征服。
  → 都市国家を統一して広大なc 領域国家 を作った。
 ▲前2150年ごろ滅亡し、シュメール人が独立を回復 = ウル第3王朝
  シュメール人、シュメール法典を制定(現在、世界最古の法典とされている)。
解説
 アムル人  の支配 前1900年ごろ西北から侵入したa セム系 民族。
・b バビロン第1王朝(古バビロニア王国)   を建設。都c バビロン 
 前18世紀ごろ d ハンムラビ王  :メソポタミア全土を支配し、全盛期となる。
  → 運河・道路網の建設、治水・灌漑工事を進め、法典※を整備。

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 ※e ハンムラビ法典  の制定
  特徴:・王は神の代理者として統治する。
     ・f 「目には目を、歯には歯を」  というg 復讐法 の規定がある。
     ・身分別の刑罰の適用など。
  → オリエント世界の他の民族にも広がり、旧約聖書にも影響を及ぼす。
解説
 民族移動    前2000年〜前1500年頃に起こった牧畜民、遊牧民の大移動。
・a インド=ヨーロッパ語族 が南ロシア方面から西アジアに進出、各地に国家建設。
 b ヒッタイト :前17世紀 c 鉄器  を使用し小アジア(アナトリア)に王国建設。
   → 首都(ハットゥシャ)の遺跡はボアズキョイで発見された。
   メソポタミアに進出して、前1595年、d バビロン第1王朝   を滅ぼす。
   → シリアに進出し、ミタンニ王国 エジプト新王国(ラメセス2世→後出)とも争う。
   → 前1200年頃、e 海の民 の攻撃を受けて滅亡。
 f カッシート :南メソポタミアに進出、ヒッタイトに代わりバビロニアを支配。
   → バビロン第三王朝という。 → 前12世紀にエラム人に滅ぼされる。
 g ミタンニ :北メソポタミアからシリアにかけて王国を建設。
   → 前15世紀にアッシリア人を服属させる。住民の多くはフルリ人
 ▲エラム人:g イラン高原 の南西部で活動。民族系統は不明。
解説
前15〜14世紀 エジプト新王国も含めて、オリエント世界の混乱続く。
地図 前14世紀のオリエント → 前14世紀のオリエント  各国の勢力範囲を確認する。
★メソポタミアの文化の特徴
1.a 多神教 の宗教:民族ごとに最高神をまつる。例:バビロンの主神 マルドゥク神
  ・b ジッグラト (聖塔)の建設。都市国家の主神をまつる。
2.c 楔形文字 :シュメール人が創造。ペルシア帝国で象形文字から表音文字に変化。
  オリエントの各民族は言語が異なっても公用文字として前1世紀まで使用した。
  ・文学の起源 ▲d ギルガメシュ叙事詩 
 解説
  ・法典の制定 e シュメール法典 をもとにf  ハンムラビ法典  に発展。(前述)

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3.実用の学問:占星術が基本となり天文・暦法・数学などに発達。後世に大きな影響を残す。
  ・シュメール人がg 六十進法 を発明。時間、角度の記数法となる。
  ・暦法ではh 太陰暦 が使用され、▲1週7日制が行われる。
  → バビロニアでは実際には閏年が設けられ、▲太陰太陽暦が実施された。
エ.エジブトの統一国家
 エジプト文明  の形成  エジプト人=a ハム系 民族。 
・エジプトはb ナイル川 の定期的増水によって肥沃な土地を形成。
  →”c ナイルのたまもの "(ギリシアの歴史家d ヘロドトス の言葉)と言われる。
 e  ノモスの形成   ナイル流域の潅漑農業の開始に件い形成された村落。
  ▲ナイル川下流のf 下エジプト 、上流のg 上エジプト のノモスがそれぞれ統合される。
 古王国 
・前3000年頃、王(a ファラオ )による統一国家成立。(メソポタミアより早かった)
  → その後一時的な周辺民族の侵入、外国の支配を受けながら、約30の王朝が交替。
・前27〜22世紀 第3〜第6王朝 都b メンフィス (下エジプト) 
  ファラオのc 神権政治 :潅漑水路を統制し農民に貢納と無償労働を強制、専制政治を行う。
  → クフ王ら、巨大なd ピラミッド  ギザに建造。(守護神がスフィンクス)
 中王国  
 前22〜18世紀 第11〜12王朝 都a テーベ (上エジプト) 
・前18世紀末、シリアから遊牧民b ヒクソス の侵入。その支配をうける。
  → 第15、16王朝を立て、エジプト全土を支配。最初の異民族王朝。
 新王国 
・前16世紀半ば、ヒクソスを撃退、都a テーベ  アモン神崇拝が行われる。
  第18王朝 ▲b トトメス3世  シリアに進出し、ミタンニ王国と争う。
・前14世紀半ば c  アメンホテプ4世  の改革 =d アマルナ革命 という。
  e テル=エル=アマルナ に遷都。
   = f イクナートン と改名し、唯一神g アトン 神への信仰の強制した。
  → 写実的なh アマルナ美術 (王妃ネフュルティティの肖像など)が生まれる。
  → 次の▲i ツタンカーメン 王はアモン=ラー崇拝を復活させる。
・アマルナ革命の意味
E 新王国の復興
・前13世紀 ▲a ラメセス2世  新王国を復興させ、再びシリアに進出。
  前1286年ごろ、ヒッタイト王国と▲b カデシュの戦い を戦い、講和条約を結ぶ。
  → ▲テーベにアモン神をまつるカルナック神殿などを造る。
解説
前12世紀 c 海の民 の侵入を受ける。 → オリエントの大変動の開始
★補足(新王国後のエジプト)
 前12世紀以降 エジプト末期王朝という。
 前8世紀 ナイル上流の黒人王国、a クシュ王国 の侵入により一時滅ぶ。(教科書p.111)
 前663年 アッシリアの侵入。a クシュ王国 、南に逃れ、メロエ王国となる。
  → アッシリア滅亡後、エジプト王国復活(4ヶ国時代) →後出
 前525年 アケメネス朝ペルシア(カンビュセス2世)に征服される。
  → 断続的にエジプト第31王朝まで続く。
 前332年 アレクサンドロス大王の征服を受け、エジプト王国消滅。
 前305年 プトレマイオス朝成立。 → ヘレニズム国家だが王はファラオとして統治。
 前30年 プトレマイオス朝の女王クレオパトラ自殺、ローマに滅ぼされる。
★エジプト文明の特徴
1.a 太陽神ラー を最高神とする多神教

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 → 新王国時代には首都テーべの神アメン神の信仰と結びつきアメン=ラー信仰となる
   前14世紀半ば、イクナートンの時に、アトン神を奉じる一神教が興る。
2.霊魂不滅と死後の世界(b オシリス神 が支配する)を信じc ミイラ を造り、
  d 「死者の書」 を墓に副葬する。1922年発掘のツタンカーメン王の王墓が有名。
3.文字の使用:絵文字から象形文字に発展、さらに簡素化される。
 e 神聖文字(ヒエログリフ) =碑文、墓室・石棺に刻まれた象形文字。
 ▲f 神官文字(ヒエラティック) =神聖文字を簡略化した宗教文書に使用した文字。
 g 民用文字(デモティック) =神官文字をさらに簡略化し、民衆が用い、
    紙(h パピルス )に記録された文字。 Papyrus → Paper
4.実用的学問の発達 :灌漑農業に必要な測地術から天文学・i 幾何学  などが発達
 j 太陽暦 が用いられる = ローマのユリウス暦のもとになる。
★エジプト象形文字の解読
 1822年、フランスのa シャンポリオン が、b ロゼッタ=ストーン を利用して解読。
  ナポレオンがエジプト遠征(1799年)した時にエジプトから持ち帰たもの。
  上段に神聖文字、中段に民用文字、下段にギリシア文字で書かれていた。
オ・東地中海世界
・地中海東岸のa シリア 、b パレスティナ 地方 = エジプトとメソポタミア間の交易路、
 および地中海への出入口として、海陸交通の要地として発展。
A 東地中海世界の新しい動き
・前1500年頃 セム語系のa カナーン人 の活動。パレスチナにる。
  → はじめてb 表音文字 を使用。
・前13世紀 c 海の民  =エーゲ海方面から西アジアに侵入した海洋民族(系統不明)。
  → d ヒッタイト は滅亡し、エジプト新王国の勢力は後退する。
  →▲その一派のd ペリシテ人 、パレスチナに鉄器文化を伝える。
・つづいて、セム系の3民族=アラム人、フェニキア人、ヘブライ人の活動開始。
 アラム人  前1200年頃 シリアのa ダマスクス を中心に内陸中継貿易に従事。

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・アラム語は西アジアの国際商用語となる。b アラム文字 ※は東方に伝播。
 ※へブライ・アラビア・シリア・ソグド・突厥・ウイグル・モンゴル・満洲などの文字の起源となる。
 フェニキア人  前15世紀に地中海東岸のウガリットが栄える。→海の民によって滅ぼされる。
 前1200年頃 地中海東岸(現レバノン)にa シドン 、b ティルス など都市国家成立。
  c 地中海貿易 に活躍。さらに植民市を地中海沿岸に建設。
・北アフリカ(現チュニジア)にd カルタゴ (前810年ごろ)を建設。
   他に、イベリア半島にガデスバルセロナカルタヘナなどを建設。 
   参照 地図 地中海の重要地名 → 地中海の重用地名とギリシア人・フェニキア人の植民活動 
・表音文字からe 線状文字 を工夫。→ 商業活動とともに西方に伝播
   → ギリシア人に伝えられf アルファベット の起源となる。
 ヘブライ人  はじめ遊牧生活、前1500年頃、パレスチナに定住。
・民族宗教であるa ユダヤ教 という一神教信仰を発展させる。
 自らはb イスラエル人と称し、後にc ユダヤ人 と言われるようになる。
★ユダヤ教の形成過程
 パレスチナ  に定住
・始祖アブラハムの指導の下、民族神a ヤハウェ の啓示を受け移住。
  12の部族が形成される。一部はエジプトに移住し新王国の支配を受ける。
 出エジブト  前13世紀 a モーゼ を指導者としてエジプトを脱出
 その途中、シナイ山で神から▲b 「十戒」 を授けられる。
  →ユダヤ教の律法の起源となる。
 へブライ王国   前11世紀末 パレスチナのa  イェルサレム ※を都にし王国を建国。
・前1000年頃 b タヴィデ王  ペリシテ人を破り、王国を拡大。
 その子c ソロモン王 のとき最盛期となる。栄華を誇るも人民は重税に苦しむ。
解説 
D.前922年頃 ソロモン王の死後、北のa イスラエル王国 と南のb ユダ王国 に分裂。
・a イスラエル王国  (イスラエルは南に属する)
  → c 預言者  があらわれ、ヤハウェ信仰の形骸化を批判するようになる。
・前722年 北方のd アッシリア の侵攻を受け、滅ぼされる。
E.前586年 a ユダ王国 、b  新バビロニア (ネブカドネザル王)に滅ぼされる。
・c バビロン捕囚  多数のヘブライ人がバビロンに強制移住させられる。
  → このころから、d ユダヤ人 と言われるようになる。
  → このような民族的苦難の中から、民族宗教をさらに強固にする。
 ユダヤ教 の成立 
 前538年 アケメネス朝ペルシアがバビロン占領。a  新バビロニア 滅亡。
   → アケメネス朝のキュロス2世、ユダヤ人の帰国を許す。
  その支配下で信仰の自由を認められ、b  イェルサレム に神殿再建。
★ユダヤ教の特徴
1.唯一絶対の神、創造主であるヤハウェのみを神とする a 一神教   
2.ヤハウェと契約を結んだユダヤ人だけが救われると言う b 選民思想   
3.メシア(救世主)による民族的苦難の救済を待望する c メシア思想   
4.神に示された律法を厳格に守ることを義務づける ▲d  律法主義  
 = ゾロアスター教(イラン人の民族信仰)の影響。
★ユダヤ教の変質
パリサイ人による律法の重視 → 信仰の形式化 → ローマ帝国の支配を受ける中で
 イエス  が登場、ユダヤ教の形式化を批判 →キリスト教の成立(後述)。
 旧約聖書 :神への讃歌・預言者のことばなどをまとめたユダヤ教の正典。
   ヘブライ語の原典が、ローマ時代にラテン語に翻訳され、キリスト教の正典とも成る。
 新約聖書 :イエスの教えをその弟子たちの手紙やことばで教えるキリスト教の教典。
   ギリシア語の口語であるコイネーによって書かれ、後にラテン語訳が作られる。
★まとめ セム系3民族の活動が、西アジアにもたらしたことの意味を考えよう。
d 

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カ.古代オリエントの統一
 アッシリア の登場 前2千年紀初め北メソポタミアに起こったセム系民族、
  小アジア・イラン高原(錫を独占)との交易に従事、前15世紀 ミタンニに服属。
 前8世紀 a 鉄製の武器と戦車  を用い有力となる。
 前8世紀末 ▲サルゴン2世がイスラエル王国を滅ぼし、さらにアナトリア、バビロニアを平定。
 アッシリア帝国  の成立 前7世紀前半 エジプトを征服 オリエント全土を統一。
 前7世紀後半 a  アッシュール=バニパル王  専制君主として支配。全盛期となる。
  帝国をいくつかの属州に分け、総督を派遣、駅伝制を設ける。
  首都b ニネヴェ に、王立の▲c 図書館 建設。捕虜・被征服民を帝国内に強制移住させる。
   意義:最初のd 世界帝国 としてオリエント全土を支配し、多数の民族を支配。
   衰退:急激な中央集権化、苛酷な収奪、強大な専制権力に対し支配下の諸民族が反発。
 前612年 新バビロニア・メディア連合軍に滅ぼされる
  文化:アッシュール神(国家神)の信仰。巨大な宮殿建築と動物意匠のレリーフなど。
 4国分立時代   
 メソポタミア=a 新バビロニア王国(カルディア)  都バビロン カルデア人が建国。
  前6世紀前半 ▲b ネブカドネザル王 の時、全盛期となる。バベルの塔を建設。
  前586年 ユダ王国を滅ぼし、ヘブライ人多数をバビロンに連行(前述)。
 イラン高原=c メディア王国  都はエクバタナ(現在のイランのハマダーン)
   → その宗主権下でペルシア人が次第に有力になる。
 小アジア=d リディア王国   小アジア西部 都はサルデス
  商工業の発展 前7世紀に世界最初の▲e 金属貨幣 を鋳造したと言われている。
 エジブト=エジプト王国  ナイル上流のクシュ王国(黒人王国)・メロエ王国と交易。
前6世紀中頃 f アケメネス朝ペルシア帝国  がオリエント全土を統一
地図 前7世紀のオリエント → 前7世紀のオリエント   アッシリア帝国と4国分立時代の支配領域を確認する。
キ.ペルシア帝国の成立
 アケメネス朝    ペルシア地方のイラン人=a インドーヨーロッバ語族 
 前6世紀中頃 メディア王国の支配を受けていたがアケメネス家の指導のもとで自立。
  ▲b キュロス2世 、メディア・リディア・新バビロニアを次々と征服。
   → 前538年、バビロンではヘブライ人(ユダヤ人)を解放(前出)。
 前525年 ▲カンビュセス2世 エジプトを征服し、オリエント全体を統一。
 ダレイオス1世   第3代 アケメネス朝の全盛期となる。 
 前6世紀末から前5世紀はじめ 西はエーゲ海北岸から東はインダス川流域に及ぶ大帝国となる。
  首都:a  ペルセポリス  実際上の行政の中心地:b スサ  中央集権的支配体制を整備。
 ・c サトラップ の任命 全国を20の州に分け、王の代理として任命。
    行政・治安・裁判をつかさどる。
 ・d 「王の目」「王の耳」 を中央から派遣。サトラップを監視する監督官。
 ・財政:帝国通貨として金貨・銀貨を鋳造。州ごとに納税額を定め、辺境諸民族に貢納義務を課す。
 ・商業:e フェニキア人  の貿易活動を保護する。
 ・交通網の整備:スサからサルデスにいたるf 「王の道」 を建設。駅伝制を整備。
 ・民族の自治:征服した民族に対し、その宗教・伝統を認める。
 → その後、200年間にわたり、オリエントを支配。

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 ペルシア戦争   前5世紀初め ギリシア征服に失敗。(後出)
 前4世紀 各地の知事の反乱が続き、次第に衰退。
前330年 マケドニアのアレクサンドロス大王に征服され、滅亡する。

地図 ペルシア帝国 → ペルシア帝国   その支配領域を確認する。

★ペルシアの文化
 1. 楔形文字  の使用:表音化してペルシア文字を作る。
   → 公用語は、ペルシア語・エラム語・アッシリア語の三つが用いられた。
  ・解読 グローテフェント:ドイツ人 ペルセポリス出士の碑文の研究
      a ローリンソン  :イギリス人、b べヒストゥーン碑文 を解読。
        (ダレイオス1世の業績を記した磨崖碑)
 2. ソロアスター教   の信仰 :ゾロアスターが創始(前7〜6世紀ごろ)。
  光の神(善神)a アフラ=マズダ と闇の神(悪神)b アーリマン の闘争ととらえる。
   → c 最後の審判 を説く。 → ユダヤ教・キリスト教にも影響。 
  → 中国にも伝わりd 拝火教  といわれる
  ・ミトラ神信仰:インド・イラン起源の神秘教団 → ローマ世界に広がる。
         光明神ミトラを信仰する密儀宗教。=e ミトラ教  となる。
 3.▲カナートの建設 地下水道による砂漠の灌漑施設。
・まとめ
 図表 オリエントの民族興亡 → オリエントの民族興亡  シュメール都市国家からササン朝まで
ク.パルティアとササン朝
 ヘレニズム諸国     アレクサンドロスの帝国の解体後のギリシア系諸国家(次章で説明)
・イラン高原を支配したヘレニズム国家
 a セレウコス朝   (シリア) → 前63年、ローマに滅ぼされる。
 b バクトリア    前3世紀なかば、アム川上流(現アフガニスタン)に建国。
  → ガンダーラ地方からガンジス川流域まで進出、ヘレニズム文化を東方に伝えた。
 ・参考 ヘレニズムについては、第2節を学んでからもう一度こちらに戻ると良い。
  → アレクサンドロスの帝国とヘレニズム三国 

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 パルティア   前3世紀なかば、a 遊牧イラン人  の族長b アルサケス が建国。
  → セレウコス朝、バクトリア、クシャーナ朝(月氏)と対抗。都、初めはヘカトンピュロス
・前2世紀半ば メソポタミアを併合する。都c クテシフォン に移す。
  → d 東西貿易路  をおさえて、領内を通る物資に関税をかけて財源を確保し、繁栄。
 前1世紀なかば、東方に進出したローマのe クラッスス  と争う。
  → 東方の中国の漢王朝とも交渉(中国の文献にf 「安息国」 として現れる)。
 2世紀 ローマ帝国(最大の領土となったg トラヤヌス帝 の時)の軍に首都を占領される。
  → パルティアとローマ帝国   パルティアとローマの抗争を地図上で確認する。
 ササン朝ペルシア   226〜651 a 農耕イラン人 がイラン高原南部に建国。
・初代アルデシール1世、都b クテシフォン に定める。
   c ゾロアスター教 を国教とする。
 シャープール1世  「イランと非イランの諸王の王」と称し世界帝国の建設を図る。
・260年 エデッサの戦い a ローマ帝国 の皇帝b ヴァレリアヌス を捕虜とする。
  東方ではインダス西岸に進出。→ インドのc クシャーナ朝 を圧迫。
 5世紀後半、中央アジアの遊牧民d エフタル の侵入を受ける。
 ホスロー1世  
・6世紀 突厥(トルコ系遊牧民)と結びa エフタル を滅ぼす。
  →b ビザンツ帝国  のスティニアヌス大帝と戦い、優勢のまま和平する。
    しかし、長期にわたる抗争の結果、次第に国力が衰える。
 アラブ人   の侵入
・7世紀なかば、アラブ人=a イスラーム教 勢力(正統カリフ時代)の侵入を受ける。
・642年  b ニハーヴァンドの戦い  に敗れ、事実上滅亡。
   → ササン朝とビザンツ帝国   ササン朝とビザンツ帝国の抗争を地図上で確認する。
651年 ササン朝滅亡。 → イラン、c イスラーム 化する。(第5章1節)
ケ.イラン文明の特徴
 パルティア  の文化 a ヘレニズム  の影響が強い。
   → 王は「ギリシア人を愛するもの」という称号をおびる。
・1世紀頃から、b イランの伝統文化  が復興する。
   → ギリシアの神々とイランの神々がともにまつられるようになる。
 ササン朝  の文化
・a ゾロアスター教  :アケメネス朝ペルシアにおこったイランの民族的宗教。
   → ササン朝ペルシアで国教とさ、経典「b アヴェスター 」が編纂される。
    → 中国に伝わり、c 拝火教 と言われる。

Text p.31

・d マニ教 :3世紀ごろマニがゾロアスター教にキリスト教、仏教を融和させる。
    偶像を否定。ササン朝では異端として禁止される。北アフリカ、中央アジアに伝わる。
   → カルタゴにいた教父e アウグスティヌス も一時、その影響を受ける。
     キリスト教異端派(アルビジョワ派など)にも影響する。
・f ネストリウス派キリスト教  :ササン朝を経て唐に伝わり、g 景教  と言われる。
・美術工芸:銀器・ガラス器・毛繊物・彩釉陶器など、工芸技術が発達。
 イラン文化の伝播   中東では、次のa イスラーム文化 に受け継がれる。
 → 西方:ビザンツ帝国 → 地中海世界へ伝播。
 → 東方:b 「絹の道」 を通り、南北朝・隋唐時代の中国を経て、日本にも影響を与える。
  飛鳥・奈良時代の文化:c 法隆寺 獅子狩文錦、d 正倉院 の収蔵物(漆胡瓶白瑠璃碗など)


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