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温故知新

― 珊瑚舎 「本をめぐる雑談」のページ ―





・もくじ・



山本弘・志水一夫・皆神龍太郎〔と学会〕 『トンデモ超常現象99の真相』
(洋泉社、1997年)

と学会 『と学会白書1』
(イーハトーヴ出版、1997年)

 いまや「へ学会」との激烈な闘争で知られる(そんなので知られてるか、ほんとに?)「と学会」の最近の業績2本をまとめてとりあげた。いやぁ、「と学」って思いのほか学問的なんですよ。さて噂の等身大ピカチュウ買いに行くかな...。評者:清瀬六朗。





秋山正美 『動物園の昭和史』
(データハウス、1995年)

 太平洋戦争中、上野動物園の象が死に追いやられたことは、いまでは広く知られている。だが、それは「戦争の悲惨さ」を伝える体験という意味しか持たないのか? 現在とは無縁のエピソードなのか? けっしてそんなことはないはずだ。評者:鈴谷 了。





帆立道久 『平安王朝』
(岩波新書、1996年)

 平安時代とはどんな時代なのか? 平安時代の歴史ではふしぎなほど王(天皇)の影が薄い。摂関家と院政と、武士の抬頭とにかき消された印象がある。しかし、そういう歴史像は歪んでいないか?! 「王の年代記」として平安時代史を書いてみればどうなるのだろうか。評者:清瀬六朗。





村岡正明 『航空事始 不忍池滑空記』
(東京書籍、1992年)

 1909年、フランス人の海軍士官・日本人の海軍士官・日本人の科学者の三人が取り組んだグライダーの飛行実験が不忍池で行われた。この三人を衝き動かした科学的好奇心とはいったいどんなものだっただろうか? 「と学会」の業績にも詳しい評者が批評する。評者:鈴谷 了。





脇圭平・芦津丈夫〔・丸山真男〕 『フルトヴェングラー』
(岩波新書、1984年)

 ワイマール共和国期・ナチス政権期・「戦後」を生き抜いたドイツの指揮者フルトヴェングラーについて、丸山真男氏を中心とする戦後知識人が語った本である。それはまさしくフルトヴェングラーに託した戦後知識人の信仰告白でもあった。評者:清瀬 六朗。





増子義久 『賢治の時代』
(岩波書店(同時代ライブラリー)、1997年)

 「生誕百年」は果たして的確な宮沢賢治像をかたちづくる契機になったか? 20世紀前半の東北に生きた宮沢賢治は、はたして「東北」に対してどういう位置にいて生きつづけたのか? 賢治を愛する地元のジャーナリストが安易な理想化を避けて賢治の「位置づけ」を試みる。評者:鈴谷 了。





渡部潤一 『ヘール・ボップ彗星がやってくる』
(誠文堂新光社、1997年)

 ご存じかと思うが、今世紀最大どころか、有史以来でも最大級に属するヘール・ボップ彗星が、地球・太陽に最接近した。この本は、この彗星を一人でも多くの人に見てほしい、それを通じて「星の見える夜空」を取り戻すことに関心を持ってほしい――と熱望する天文学者(天「文学」者でもあるらしい)による彗星観測ガイドである。評者:清瀬六朗。





ヘイエルダール 『コン・ティキ号探検記』
(ちくま文庫、1996年)

 ポリネシアの民族の祖先は古代に南米大陸から渡ってきた――その学説を証明するためにみずから筏でペルーからポリネシアへの航海を試みた人類学者の探検記である。それは知的怠惰に陥ったアカデミズムに対して真の「学問」を取り戻す試みでもあった、という視点で評を書いてみた。評者:清瀬六朗。





清水文七 『ウィルスがわかる』
(講談社ブルーバックス、1996年)

 ウィルスの構造から感染の病理、その応用までを解説した本。途中に出てくる専門用語類はちょっとわずらわしいかも知れない。しかし、ていねいに読めば、専門外の人にも理解できるように親切に書かれていることがわかる。「ブルーバックス」らしい一冊である。評者:清瀬六朗





五木寛之・廣松渉 『哲学に何ができるか』
(中公文庫、1996年)

 作家の五木氏と哲学者の廣松氏の「対談」によって「むずかしい」とされる「現代哲学」に斬りこもうという企画である。対談の行われた1970年代後半と現在とではマルクス主義やサルトルなどへの距離感のちがいがあり、かならずしも「現代哲学」のわかりやすい見取り図が示されているという感じはしない。しかし刺激的な「哲学」についての本であることはたしかだと思う。評者:清瀬六朗。





丸山真男 『日本の思想』
(岩波新書、1961年)

 1996年夏に亡くなった丸山真男氏の遺著の一冊である。戦前の「日本の思想」のあり方に重点をおき、その国際社会への不適応の源泉を「日本の思想」が持っている特質からさぐった表題作「日本の思想」ほか関連論文・講演記録全4編を収録している。たぶん政治思想史家としての丸山真男氏の真面目に迫るための入り口となる一冊なのであろう――他の本をあまりちゃんと読んでないのでわからないけど。評者:清瀬六朗。





と学会 『トンデモ本の世界』・『トンデモ本の逆襲』
(洋泉社、1995−96年)

 このシリーズが暴き出した問題を、物理学の発想と現代民主主義という視点から考えるという論文である。これ自体がトンデモか?!





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