第9章 近代ヨーロッパの成立
1 ヨーロッパ世界の拡大
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A
大航海時代 15世紀末から16世紀 ヨーロッパ人の海外進出が展開される。
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B
ポルトガルの進出 15世紀 君主権を確立。商人によるアフリカ西岸の探検開始。
・「航海王子」といわれた皇太子a
エンリケ がアフリカ西岸探検事業を推進。
▲1415年 ジブラルタル海峡アフリカ側の港b
セウタ を攻略。アフリカ西岸進出の拠点とする。
▲1432年ごろ 大西洋上のc
アゾレス諸島 を領土にする。
▲1445年 アフリカ西端のd
ヴェルデ岬 に到達。
15世紀後半 国王アフリカ西岸での奴隷貿易始める。
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1497年 ▲a
カボット (イタリア人)イギリス王の援助で北米探検。
1499年 b
アメリゴ=ヴェスプッチ (イタリア人) 南アメリカを探検、新大陸であることを確認。
→ 1507年 ドイツの地理学者が彼の名にちなみ新大陸をc
アメリカ大陸 と命名。
1500年 d
カブラル (ポルトガル人) ブラジル漂着 ポルトガルのブラジル支配始まる。
1513年 ▲e
バルボア (スペイン) パナマ地峡横断 太平洋岸へ初めて到達した。
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・1519年 a
マガリャンイス (ポルトガル人)がb
スペイン 王(カルロス1世)の命令で
モルッカ諸島をめざし西回りで出発。c
マゼラン海峡 を抜け、d
太平洋 に到達。
→ 1521年 e
フィリピン のセブ島に到達、現地の首長
ラプラプと戦い、殺される。
→ 1522年9月 部下がスペイン帰着、世界周航を達成し地球球体説が証明される。
1529年 ▲f
サラゴサ条約 :スペインはg
モルッカ諸島 をポルトガルに割譲。
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・スペイン王室はa
征服者(コンキスタドール) のひきいる軍隊を新大陸に派遣。
1521年 b
コルテス がメキシコに侵入し、c
アステカ王国 を滅ぼす。
→ 反アステカ勢力を利用してアステカ帝国を征服した。
▲ユカタン半島では、マヤ文明の系統の国々が17世紀まで存続した。
1533年 d
ピサロ がペルーに侵入しe
インカ帝国 を滅ぼす。
→ f
火砲と騎兵 の威力により征服。クスコを略奪し、新しい首都リマを建設。
▲
インカの反乱が続くが、1572年までに鎮圧される。
・スペイン人植民者は、g
インディオ を労働力として酷使 → 人口激減する
→ 聖職者h
ラス=カサス 、インディオの悲惨な状況を告発。
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・補足 ▲15世紀末〜18世紀のスペインによる新大陸
植民地経営の変遷。
時期によっていくつかの形態の違いあることに注意する。
1.直営地割当方式 :1499年 イザベラ女王は西インドを王室直営地とし、貿易は
セビリヤの貿易商に独占させる。現地経営は割当経営(レパルティミエント)を
認められた者がインディオを強制労働と貢納で使役し経営。(コロンブスもその一人)。
2.エンコミエンダ制:1508年頃から始まった、インディオへのキリスト教の布教を条件に、
農園経営をスペイン人入植者に委託する方式。インディオには一定の保護が加えられたが、
実態は強制労働に変わらなかった。 → インディオの減少。
3.黒人奴隷の導入:1501年、インディオの惨状を見た宣教師ラス=カサスは、
アフリカからの黒人奴隷の輸入を主張。
1517年 カルロス1世、アシエント(黒人奴隷貿易の特権)を認める。
→ この特権はジェノヴァ商人が手にする。西インドの鉱山・農場にひろがる。
4.アシエンダ制:16世紀後半以降、入植者が農地を購入し、現地人の債務者を労働力
(債務奴隷)とし、現地消費用の穀物を生産する大農園。17〜18世紀のメキシコで発展。
5.プランテーション:現地人または黒人奴隷を労働力とし、単一の商品作物を輸出用に
生産する大農場経営。16世紀のポルトガル領ブラジルでの砂糖の生産に始まり、
オランダ、イギリス、フランスなどが西インド諸島で砂糖・たばこ・コーヒー、
北米南部での綿花、インドやスリランカでの茶、東南アジアでのゴムなどがある。

15世紀末〜16世紀の大航海時代の影響 =a
世界の一体化 が始まる。
1.
商業革命 :ヨーロッパ商業の世界的広がり →商品の種類・取引額の拡大 →
遠隔地貿易の中心地がa
地中海 の沿岸からb
大西洋岸 に移動。
その結果、イタリア都市は衰退し、かわってリスボンや
アントワープなどの繁栄。
→ ラテンアメリカのb
銀 が大量にヨーロッパに流入。
→ さらに、c
メキシコ銀 で鋳造されたd
スペイン銀貨 は
明にももたらされ、アジア経済に大きな影響を与えた。(前出)
・ヨーロッパの物価が急上昇、2.
価格革命 と言われる。
その影響
e
物価が騰貴したため、固定地代の収入に依存している封建領主が没落した。
16世紀、次の三つの地域からなる世界分業体制が成立
┌ 中核:西欧地域では賃金労働による商工業と自営農民(ヨーマン)による農業経営
│
│ ┌ 東欧では再版農奴制による輸出用穀物栽培
├ 辺境:┤
│ └ 新大陸ではエンコミエンダ制(先住民に対する強制労働)による商品作物栽培
│
└ 半辺境:南ヨーロッパ地中海地域では分益小作制による農業
このような「中核」「辺境」「半辺境」からなる「ヨーロッパ世界経済」の成立を「近代世界システム」
ととらえたのは現代の歴史学者・社会学者ウォーラーステインである。
