宝石鑑別のヒント
- インターネットの普及により、居住地を問わず手軽に鉱物や宝石の情報を入手し、あるいは販売者を見つけ易くなったという事が出来ると思います。氾濫しているとさえ云える情報から正しいものを選別する能力が求められましょうが、いずれにせよ一人の愛好家としては、鉱物や宝石が身近になり、ひいては同好の士が増えることは嬉しいものです。
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- ネット通販によって気軽に買えるようになった影響でしょうか、最近お手持ちの宝石が何か、あるいは購入なさった宝石が、本当に売られていた通りのものであるかとご質問を頂く事が多くなっています。まずいくつかの事を記します。
- 写真から宝石を鑑別することはできません。
- 研磨石を、何の器具も使わないで鑑別する簡単な方法はありません。
- 熱処理や照射処理など、処理の有無を知る簡単な方法はありません。
- 「ありません」、「できません」ばかりでは能がありませんので、ウェブサイト上で既に紹介しているコンテンツの中から、何の道具もいらない、あるいはルーペだけを用いる処理の検知や鑑別に関して役立つURLの一部を記します。
- ●処理編
- ◎ガラス充填処理
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- この処理は、研磨石にある穴にガラスを充填して、穴を塞いでしまい、見かけを良くする処理です。 掲載している写真はサファイアですが、この石はガラス充填であることが告知されずに販売されていました。恐らく販売者もガラス充填の処理を知らずに販売していたのではないかと想像しますが、処理石を、処理の事実を告知しないで販売する事は販売者の責任を果たしていないことを意味します。知らなかったからといって許されるものではないでしょう。
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- 必要な器具:なし(裸眼で観察)。ルーペがあるとより良い。
- 検知方法:
蛍光灯の下で石の表面を観察します。石に光を当てる角度によって、石の表面でピカッと光が反射しますので、その状態で観察します。 宝石とガラスでは光に対する光沢が異なりますから、充填箇所は光沢の違いとなって現れます。光沢の違いの実際の見え方は、写真をご参照下さい。
- 前提条件:
裸石であること。充填箇所が石座で隠れていると検知は困難。
- 取り扱い上の注意:
充填材はあくまでガラスですから、バーナーによって溶けます。
- その他留意事項:
充填されたガラスから気泡が観察されることも多い。あまり無い事でしょうが、インクルージョンの少ない天然石を合成石と勘違いしないように。
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- ◎熱処理
- 必要な器具:ルーペ。顕微鏡があると、より良い。
- 検知方法:
拡大して、熱処理の結果生じる特徴を探す。例えば、以下の様な特徴が観察されたならば、検査石は熱処理を経ている。ウェブページに一例として
- ◎染色処理
- 緑色をした透明で、大きく鮮やかな研磨石が染色ではないかと思った場合の確認手段
- 必要な器具 → なし(裸眼)
- 検知方法:
光に石を透かしてみます。緑の糸くずのような筋が石全体に見えれば染色である可能性がとても高いと言うことが出来ます。透明な結晶には染料が染み込みませんから、石の熱した後、冷たい染料の中に入れるなどして急激に冷却することで石全体にヒビを入れて染色しています。ヒビの中に染料が入り込むことで、石が染料の色に見えるのです。緑の糸くずのような筋はこのヒビの中に入り込んだ染料で、このように見えます。
- ●宝石鑑別編
- ◎ガラス? ファセット研磨石の場合。
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- ファセット研磨石がガラスでは無いかと思った場合の確認手段。
- ファセット研磨石とは普通のダイアモンドの様に、ドーム状ではなく、多数の小さな平面(ファセット)を研磨することで加工した石のことです。
- 必要な器具 → なし(裸眼)
- 検知方法:
表面を裸眼で観察し、[凹状ファセット]の有無を確認する。
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- ◎ガラス? キャッツアイ ストーンの場合。
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- キャッツアイを示す石がガラスでは無いかと思った場合の確認手段。
- 必要な器具 → なし(裸眼)
- 検知方法:
裸眼で側面から観察し、[蜂の巣構造]の有無を確認する。
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- ◎ダイヤモンド と 合成モアサナイト
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- ダブリングを確認する。慣れれば1分と掛けずに鑑別できる。
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- ◎ヘマタイトと模造ヘマタイト
- 必要な器具 → なし(裸眼)
- 検知方法:
裸眼で側面から観察し、[彫刻刀の跡]の有無を確認する。
- ◎フラクチャー(割れ口)から得る鑑別上のヒント
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- → 宝石鑑別
- → 処理
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