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スタンド店員「空気圧OK

! 」

でした。どうやらこれはアメリカのアニメーターの水準とい
うより「レネゲード」というプロダクションに所属するアニ
メーターの技術水準の低さのようで、これでアメリカを判断
しては不公平でしょう。アメリカにも器用な人は沢山いるは
ずです。
仕上がったCMは猛烈に早いテンポと、その後の三木、山
崎両氏の奮闘によって複雑につけられた影とブロァー(流線
効果)によって素人目には充分鑑賞出来るものになっていま
した。
出来の善し悪しは視聴者による評価に任せることにして、
私なりに気がついた点を述べてみたいと思います。
その第一点はヴァン・シッター氏が言ったように最後のク
リーンアップの段階ではある程度キャラ表に忠実に仕上げる
ようになっているらしいことが確認出来た点です。
アニメーターが顔を似せることよりも動さや演技に集中す
るのは決して悪いことではありません。むしろこれが本来の
仕事のはずです。顔は厳密にいえばモデルシートを作った人
以外は誰が描いても微妙に違っていて当たり前です。
現状で見ると日本のアニメーターが顔を似せるために払う
努力に比べて演技に費やす努力が足りないことで、もともと
動きの少ない日本人が画面の中でますます固い演技、表情を
するようになっているのは否めません。幸いテレコムにはそ
うした伝統はありませんが、日本には「動きは描けないし、
伝票も読めないが顔だけはきれいに描ける」という不思議な
作画監督さえいるのです!
私も身に覚えがありますが、作監チェックの結果、時には
似てはいないが生き生きした表情となっているものを絵を整
えることで殺していることさえもあります。アメリカまでと
は言いませんが顔にこだわりすぎる弊害がないとは言えない
のではないでしょうか。作画監督の仕事も顔よりも演技に力
点を置いたアニメーターとしての本来の領域を目指すべきで
す。
ただし以上の意見はテレコムのアニメーターについては当
てはまりません。テレコムでは「キャラクター・アニメーシ
ョン」の方程式を充分知っている人が多いので、日本の作品
を手がける時どんな心構えで望むかがテーマとなります。こ
こではあくまで日本のアニメーション全体の傾向を指して発
言してみました。


●作監は顔の修正屋ではない


ついでに作監制度についていうと、このシステムも実に日
本的で、まだ工夫の余地があります。面白いことに作監とい
う職種はアメリカには勿論ありませんし、日本から大量の下
請けを取っているお隣の韓国にも定着しません。
振り返ってみると日本のアニメ制作現場で作監という職種
が緊急に必要になったのはテレビアニメが始まった「鉄腕ア
トム」と「風のフジ丸」からです。一挙に拡大した需要に応
えるため大量の経験不足のアニメーターを動員しないかぎり
毎週放映するための制作体制は不可能という事態になって、
経験のあるアニメーターが主原画をチェックするという制度
が出来たのが始まりでした。この人たちの超人的な作業によ
って辛うじて画質を保ったわけですが、その後テレビだけで

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五右衛門「出来る ! ESSO」

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