1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

IMAGE imgs/esso_cm14.jpg

口パクでいいのだ、と割り切っていいものか、一度考えて見
る必要がありそうです。
アメリカの「キャラクター・アニメーション」も何時もど
こかで見たような紋切り型の演技の方が多いようですから動
かせばいいというものでもありません。しかし動かす機会が
あったら、知恵を絞って日本人らしく、面白い演技を考え出
す努力をすべきでしょう。
その昔「ひみつのアッコちゃん」の中で、アッコちゃんが
せりふの時、肩をすくめて両手を開くしぐさを一話当たり五
〇カットもやっていたという記録がありますが、これなどア
ッコちゃんは外人ではないはずですから、アニメーターの演
技力の貧困さを絵に描いたようなものです。「もっと何かなか
ったのか?」プロのアニメーターだったらこうした演技内容
や、自分だったらどうするという視点を忘れないでほしいと
思います。
私は今、発注者のマッキャン・エリクソン社がルパンを主
題としたコマーシャルを企画した時、アメリカのアニメータ
ーの方が上手いと感じたのはこうした演技表現の温度差だっ
たのではないかと思っています。


●育ちの違い


「キャラクター・アニメーション」を語るにはアメリカの
アニメーターの育ち方を観察する必要があります。まずアニ
メーターの訓練と作業システムですが、ディズニーは新人ア
ニメーターの養成をカルアーツ(カリフォルニア・アート・
カレッジ)に委託しています。
アニメーター志望者は全米、南米、ヨーロッパ、アジアか
ら絶えすやって来るそうで、その中で素質のありそうな若い
人はカルアーツに推薦しているとのことでした。各プロダク
ションでも新入生の養成をやっていますが、ほとんど朝早く
来て先輩の鉛筆削りや用紙を揃えるなどの雑用から出発して、
シートつけや中割り、クリーンアップの練習をし、次第に本
番をやるようになりますが、ユニオンとの関係で、そのプロ
ダクションでは簡単にはアニメーターにはなれません。充分
実力がついたところで別のプロダクションに行って実力を認
めさせてアニメーターの第一歩を踏み出すことになります。
カルアーツではまずアニメーションの理論を徹底的に教育
し、学生ははじめから自分のアイデアでコンテ、原画、動画
を描いて一〜五分くらいのクリーンアップしない状態の動画
の短編を完成させ、これがディズニーや他の多くのアニメ会
社の採用の審査対象となるのです。最近ではコンピューター
で色をつけて来るのが流行っています。教育現場で操り返し
強調されるのはキャラクター・アニメーションであり個性の
主張です。もちろんデッサンや遠近法といった基礎的なこと
も過大なくらい時間をとって教えられます。ディズニー以外
の多くのプロダクションにもカルアーツの卒業生が沢山いま
すから、アメリカのアニメ界ではカルアーツの影響は非常に
大きいものがあるようです。
というわけでアメリカではアニメーターは初めから原画を
描く訓練に終始します。しかもそれが如何にスムーズに動く
か、アトラクティブ(面白い)かどうかだけを集中的に鍛え
るのです。

IMAGE imgs/esso_cm15.jpg

IMAGE imgs/esso_cm16.jpg

スタンド店員一同「いらっ

しゃいませ〜っ ! 」

IMAGE imgs/esso_cm17.jpg