第11章 欧米における近代社会の成長
1 産業革命
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1.
海外市場の獲得 絶対王政のもとでa
重商主義 政策を展開。
17世紀にはオランダと、18世紀にはフランスとの抗争に勝利。
→ 北アメリカ大陸・インドなど、広大な植民地を獲得。
3.
労働力の蓄積 15世紀末〜17世紀のa
第1次囲い込み に続き、
18世紀には大地主によるb
第2次囲い込み ※が進行。
※第1次との違い
c
都市人口の増加に対応した穀物の増産を目的とし、議会の承認のもと進展した。
→ 大地主が土地を農業資本家に貸し出し経営させる営利目的での大規模農場経営が始まる。
→ 中小農民は土地を失い、e
賃金労働者 として農場か、都市に流入。
4.
農業革命 産業革命の背景となた18世紀のイギリスの農業技術と農業経営形態の革新。
▲農業技術の革新 = 従来の三圃制にかわりa
ノーフォーク農法 (四輪作法)の普及。
農業経営の革新 = b
第2次囲い込み の進行に伴う資本主義的農業経営の普及。
→ 穀物増産を可能にし、産業革命期の人口増加を支えた。
5.その他の条件
・a
石炭 と
鉄鉱石 などの資源が豊富であること。
・17世紀以降のb
科学革命 による自然科学と技術の進歩。
・c
イギリス革命 によるブルジョワジーの政治的権力の成立。
→ 市民(ブルジョワジー)が経済的自由とともに、議会を通して政治権力を獲得した。
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・17世紀末、東インド会社を通じb
インド産綿布 の輸入が増加。→ 毛織物の需要が減る。
→ 毛織物業者の反発(
キャラコ論争) →需要さらに高まり、イギリス国内の木綿工業起こる。
・イングランド中西部のc
マンチェスター 中心にa
綿工業 の技術革新始まる。
→ 原料の
綿花はd
三角貿易 で新大陸から輸入 → 綿織物技術改良が必要となる。
▼
・織布での改良
1733年 a
ジョン=ケイ :b
飛び杼 → 綿織物の生産量増える。
→ 綿糸不足になり、綿糸の生産(紡績)技術の改良が求められる。
・紡績での改良
1764年 c
ハーグリーブス :d
多軸(ジェニー)紡績機 多量の糸を同時に紡ぐ。
1769年 e
アークライト :f
水力紡績機 動力に水力を利用。
1779年 g
クロンプトン :h
ミュール紡績機 糸の強さと均一さ増す。
→ 綿糸の大量生産が可能になり、今度は織機の改良を促す。
・織機の改良
1785年 i
カートライト :j
力織機 蒸気力の利用による綿織物の増産を可能にする。
・綿花の収穫技術の改良
1796年 アメリカのk
ホイットニー :l
綿繰り機 綿の種子除去を容易にする。
→ アメリカ南部の綿花生産の急増 → イギリスへの綿花の輸出増加。
▼
・機械の改良と共に、新たな動力の獲得が課題となる。
18世紀初め a
ニューコメン が鉱山の排水用ポンプを発明。
1769年 b
ワット が改良
→ 水力に代わり紡績機の動力に利用される。
・蒸気機関の普及に伴い、c
エネルギー革命 (第1次)が起こる。
=d
燃料としてそれまでの木炭に代わり、石炭が使用されるようになった。
→ 19世紀には、交通機関に利用される。
▼
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・資本家が多数の労働者を雇用し、a
機械制工場 を建設、大量生産を行う。
=b
資本主義 の生産形態が一般化。
・木綿工業の発展に伴い、c
機械工業 ・d
鉄工業 ・e
石炭業 なども飛躍的に発展。
18世紀前半:▲f
ダービー父子 によるコークスを利用した溶鉱炉処理。
▼
・18世紀後半 国内輸送路としてa
運河 の建設が進む。
→ 鉄道普及までは、主要な輸送手段とされる。
・19世紀 陸上輸送機関はb
鉄道 、海上河川輸送はc
蒸気船 が出現。
・鉄道の発展
1804年 ▲d
トレヴィシック が蒸気機関車を発明(実用化されず)。
1814年 e
スティーブンソン 実用的蒸気機関車を試作。
1825年 f
ストックトン・ダーリントン 間で実用化(石炭輸送のため)。
1830年 g
リヴァプール・マンチェスター鉄道 最初の旅客輸送営業開始。
・蒸気船の発達
1807年 h
フルトン が考案。
→ 1819年 サバンナ号 大西洋横断成功。
・19世紀の鉄道と蒸気船の出現をi
交通革命 という。
→ イギリスなど欧米諸国の植民地拡大と共に世界に広がっていく。
▼
19世紀中頃までに世界的な規模での資本主義社会が形成された。
→ イギリス「第二帝国」の繁栄(”j
パクス=ブリタニカ ”と言われる。)
・参考 イギリス人の食生活の変化
18世紀 商業革命 新大陸からの新しい食品が入ってくる(とうもろこしなど)。
19世紀中ごろ 輸送機関の発達、食品保存法の発達 → 肉、魚の消費量増える。

A.18世紀中頃〜19世紀初頭
・イギリスの産業革命
→ イギリスは圧倒的な工業力を誇り、a
「世界の工場」 と言われるようになる。
→ ナポレオン戦争後、イギリスは機械技術の輸出を解禁 → ヨーロッパ諸国に波及。
▼
B.19世紀前半(ナポレオン戦争後のウィーン体制時代)
・a
ベルギー 1830年独立 鉄・石炭資源が豊富。
・b
フランス はじめ高関税政策とり、イギリスに対抗する。
→ フランス革命により小農民が増え、工業労働力が不足、資本の蓄積も進まず、
工業化=資本主義発達の速度は遅かった。
▼
C.19世紀後半(ウィーン体制崩壊後、自由主義・国民主義の時代)
・a
ドイツ 国家的保護のもと重工業・化学工業が発展。
・b
アメリカ 南北戦争を乗り切り、北部主導で工業化が進む。
→ 20世紀初頭、イギリスを追い越す。→ 両国は帝国主義戦争の主役となる。
▼
D.19世紀末(先行する資本主義国では帝国主義に移行し始める。)
・a
ロシア ツァーリの支配のもと、農奴制が残存。
・b
日本 明治政府の国家的な保護のもと、日清戦争を機に工業化を推進。
→ 両国とも農村の後進性が残り、矛盾が強まる。
→ 1904年の日露戦争で衝突。ロシアは革命の勃発へ、日本は国家主義へ傾斜。
▼
・19世紀前半、産業革命を達成したイギリスはa
自由貿易主義 に転換。
(1846年 穀物法廃止、 49年 航海法廃止 → 後出)
→ イギリスの主導により、世界市場の形成がすすむ。
→ インドに対しては直接統治、他の植民地は自治を認める方向に転じる。
・ヨーロッパ資本主義列強による市場拡大競争の展開。
→ アジア・アフリカ・ラテンアメリカは次第に従属的地位におかれていく。
→ 19〜20世紀、これらの地域で反植民地運動、民族運動が始まる。
▲20世紀の帝国主義段階の植民地分割とは区別する必要がある。
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2.a
人口の都市集中 :
b
マンチェスター = イングランド中西部 ランカシャー地方の最大の綿工業都市。
c
バーミンガム = イングランド中部の鉄・石炭の産地、最大の製鉄・機械工業都市。
d
リヴァプール = 奴隷貿易で栄え、産業革命期にはマンチェスター製の綿製品の輸出港となる。
3.a
労働者階級 の形成:
・工場への賃金労働者の集中 → 労働者の団結、自覚が高まる。
b
資本家 = 利潤追求のため低賃金、長時間労働を強制
─┐
├→ 階級的対立
c
労働者 = 高い賃金と労働時間の短縮を要求
─┘
→ 労働者の階級意識がうまれる → 労働者の団結による労働運動が始まる
→ d
労働組合 の結成。(12章1節参照)
・イギリス政府の対応 労働運動の取り締まりを強める。
1799年、1800年に▲e
団結禁止法 を制定 → 資本家と労働者の対立激化。
→ 1824年 廃止。さらに1871年の労働組合法で合法化される。(12章2節参照)
4.a
労働問題・社会問題 の発生:
・分業の発達 →b
女性・子供の労働 が鉱山などで広がる。
→ 不衛生な環境での長時間労働・低賃金労働が一般化 → 労働者の貧困の進行。
・一方で、機械の普及によって従来の手工業者が職を失い、生活苦に陥る。
1810年代 c
機械打ちこわし(ラダイト)運動 起こる。(後出)
・労働者の運動始まる。
1819年 ▲d
ピータールー事件 起こる。
マンチェスターで穀物法(後出)反対集会を開いた労働者を官憲が襲撃した事件。
→ 資本主義社会の矛盾と、労働問題の解決を目ざすe
社会主義思想 が生まれる。
→ 労働者保護のための立法は、1802年のf
工場法 から始まる。(後出)
