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貴重本のご紹介

加賀のお国染め

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花岡慎一 著 ・夜着と風呂敷・のれん・友禅と加賀紋

木工(道具の仕立て)

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金工鑑定秘訣 天

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日本の彫金

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江戸三作之研究

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短刀拵絵図

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日本刀の鑑定と研磨

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刀装具の美

刀装具の美 目貫(1)と(2)

肥後金工録

肥後金工録 全

続古鐔図録

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鐔図録集

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柳生連也仕込鍔

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国際刀装具会 2nd

百工比照

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趣味の鐔影

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道具曼荼羅・続・続々

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新道具曼荼羅

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木工具・使用法

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日本の手道具

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大工道具集

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鞘製作のすべて

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法隆寺西園堂奉納武器

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仕事場と道具

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鐔工鑑賞備考

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この本は、辻京二郎先生のお兄さん(辻東太郎氏)の本

 

白鞘についての記述

石谷富次郎先生 著書「やすめさや」より。

 大名家の蔵刀の白鞘によく「長光御休鞘」とか「正宗御刀休鞘」などと墨書したものを見受ける。この場合同じ白鞘でも多く目釘孔をあけず、自然目釘を打つていない。「休鞘」はやすみざやではなく、やすめざやである。
 即ち名刀や愛刀をやすめておく鞘の意である。太刀や刀はそれそれの格式により、また普段の折と儀式その他正式の指料があつて拵も、金具や塗や下緒までも、それそれの場台によつて異るものである。しかも常に刀身をそれ等の拵に入れておいては万一錆が出ては困るからであり、一度錆が出ると刀は研ぎ直せばもとに返るにしても、鞘は簡単に完全に錆をとることが出にない。即ち鞘を割つて更めて塗直すか、新調せねばならぬ。その費用はいとわぬと云つても容易ならざることであり、加えるにその都度研いでいつては如何なる名刀でも多少ずつは減ることは事実で、しかも一度錆びたところは何度もさび易くなるもので、こうなると本来の美しい姿が崩れてしまう心配もある。  そこで平常は「やすめ鞘」に納めて物の保護保存をはかるわけであり、刀にとつては、羽織袴をぬいでゆかたにくつろぐと云うか、お座敷から茶の間に移つてゆつくりすると云うわけである。従つて白鞘のまゝで振り廻すわけでもなく、今日のようにそのまゝで持歩くわけでもないので目釘は不用である。
 いわば本当にゆつくりとくつろぐことが出来るわけであり、若し錆が出るようなことがあつても、簡単に割鞘して、その部分を削りとつてしまうことも可能であり、何の手間ひまもいらない。すべてのものは必需があつて考え出されるわけであるが、やすめ鞘もこの意味に於て最も合理的であり、必要の所産であつたといえる。
 ところが近来の愛刀家は白鞘と云うことはよく知つていても、やすめ鞘と云う言葉すら知らない人がいるのは時代の差であろう。いつか或る人に「きゆうざや」と云うのばどう云う意味ですかなどと聞かれて面喰つたことがあるが、鞘を見れば「休鞘」とあつてこちらが却つて驚いたことがある。兎に角、こう云う大名鞘などにたまに接すると何とも言えぬなつかしさを感ずるのも、我々の年輩がそうさせるのであろうか。

本阿弥光博先生 刀剣と刀装の技術 より

 刀の鞘には大別して拵えの鞘と白鞘がある。…(略)
江戸時代にはいってから所用のとき以外は白木の鞘に納めて置く習慣が現れてきた。それを「休め鞘」とか「油鞘」とかいう。…(略)。
 …(略)外装の鞘にはいって内部があたるために生じた錆は、鞘を割って直すことができないのであるから、白鞘に入れていつでも鞘のむらのある部分 や錆の出たところを削り去れるように考え出したのが、現在の白鞘、すなわち「休め鞘」「油鞘」の方式であった。
 この方式を用いだしたのは江戸時代初期のころであったが、今日われわれの見る古いものに「柳沢鞘」と呼ばれているものがある。したがって時代は元 禄ごろのものになるが、白鞘の外側の肉置きは強く締まり、ことにこれを割って内部を見た場合に、理想的な?入れ具合に、まず白鞘の横綱格と目される ものであろう。その名のごとく旧大和郡山藩主柳沢家の伝来刀に見られるものである。…(略)

加島先生 下記のようにお書きになっております。

 …(略)白鞘は、別名、油鞘、休鞘とも呼ばれる。刀剣を白鞘におさめて保護し、保存することは古い頃から行われていたが、遺品の明らかなのは桃山 時代になってからである。(略)…

高山先生 下記のようにお書きになっております。

 …(略)白鞘のことを「やすめ鞘」という人もいますが、やすめ鞘というのは、下だけを作って、刀身を鐔を付けたままの状態で差しておくものをいい ます。昔の白鞘は保存のためのもので目釘を打たないものだったようですが、こんにちの白鞘は文字どおりの鞘であり、そのうえいくぶん体裁のよさも 考慮してあります。(略)…

広井先生 下記のようにお書きになっております。

…(略)問:昔は白鞘でも棟の方が稍太くし、つまり切断面が卵形になったのもありましたが…(略)。
「今日では棟方も刃の方も同じ丸さにします、お客様から色々のご注文も此頃はなくなりました。昔は随分喧しいお客様もありまして、それが却って勉 強になりましたが、今日では余りやかましい方はなくなりました」(略)…

 

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