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この日記のつけ方

この日記の附け方は、詳しく説明するまでもなく、各欄をごらんになると、どなたにもすぐお分りになる筈です。

主婦の用事は複雑なものですけれど、いつでも明日の家事の豫定がきちんと立つた生活をするならば、無益な思いわずらいなしに樂しんで家事の整理に當ることが出來ます。

毎晩十分か十五分、夕食のあととか、寢る前に時間をきめて、家計簿と共にこの主婦日記を記入すれば、翌日の献立も買物もその他の用事も、前日のうちに考えられますから、豫定もはつきり立ち、翌朝氣持ちよく仕事がはじめられます。

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まず『今年の豫定』の頁に、月々にしなければならない用事の豫定を立てゝおくことが大切です。月の終りには必ず來月一カ月の仕事くばりを考えましよう。

一カ月の中には、家人の誕生日もあり、墓參に行く日もあり、また子供の學校のPTAの會などという日もあります。以上のような定つたことをまず一カ月の豫定表に書き入れ、その外に買物に出る日とか、大洗濯日とかいうような定めがあれば、そういうものを書き入れますし、子供の月謝日、電話料、税金などを納める日も、分るに從つて書き込んでおきます。またその月にしなければならない縫物、訪ねたいお家などを記して、互いに忙しいことがあまり重ならないように、主婦はいつでも一カ月の生活を、具合よくまとめてゆくことを心がけたいと思います。このようにして、一カ月の豫定表を活用なさつて下さい。

また、毎月のはじめに、家事暦と、淺山英一氏指導の「花しごと十二カ月」をのせました。これを参照して、どこの家の庭にも四季折々の美しい花が咲くように、主婦の手による“土を愛する運動”をますますさかんにしたいと思います。

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日記欄は一週間づつむきあいになつていますから、日曜から土曜までの七日間を一とくぎりとして考えることが出來ます。

毎日、お天氣を記しておくことと同時に、日出、日入という欄を設けました。毎日の日出日入時刻(ラジオ又は新聞によつて)は、一分位の差で日照時間が長くなつていつたり短くなつてゆきますが、この自然の現象を、小さなことだと見逃さずに、毎日心にとめて暮らすことは、忙しさに追われて暮らし勝ちの主婦に、細かな注意、深い心を培うことでもあります。

献立欄には、その日その日の献立を前もつて記します。

今年は十二カ月の献立を澤崎梅子氏に立てていただきました。献立表は切りとつて見やすいところへ貼れるように、終りの方にまとめて入れてあります。これを參考にして、めいめいの家のその日その日の豫定に合せて、明日の献立を考えて書き入れます。

衣、食、住のなかでも、毎日の献立を立てることは主婦のたのしみでもある代りに、苦勞にもなるものですが、どうか毎晩、皆さんのお家のために榮養、經済、調理の勞力の上からもよく考えた献立をつくり、明日をおむかえになるよう、たのしい食事の工夫を励んで下さいませ。

献立がきちんと出來ていることは、買物の見通しもつき、用事もしぜんにきちんとなつて一日をきまりよく過す基になります。

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献立欄の隣りは、前日に考えて書き入れた豫定と考え合せ、明日しようと思う、忘れてはならない用事を書くところです。例えば、どこそこに行く、何を買う、障子の切張り等々。

一週間の終りには、記憶すべきことという小さな欄があります。例えば子供でも病氣になつて、數回醫師の來診をうけたというようなとき、後にそのお禮をしようと思つても、四度であつたろうか、それとも五度であつたかしらなどと思うことなど、どこの家にもよくあることでございます。醫師來診何回とでも記しておくと、後になつて迷うことがありません。家中のガラスみがきは何日かゝれば出來るとか、書きとめておくことも、大層參考になります。一俵の炭が何日間でなくなつたか、何日に屑屋に廃品を賣つたかとか、二合の小豆が何人分のお汁粉になつたとか、誰のスエーターは何オンスで出來上つたとかいうような家事上の經験や、畠に何の種子をいつ蒔いた、どれだけ収穫があつたというようなことまで記しておきましよう。

必要なことを間單に箇絛書にしておくのは、大へん便利なものです。

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主婦の時間表は、こゝにある24時間の時計に、めいめいの一日の時間の使い方を書きいれます。一定の時間に慣れるために、あまり度々變えない方がよいと思いますが、日の長い時、短い時、また學年の變り目とか夏休みとかには時間割の變更があると思いますので、こゝには春夏秋冬と四季に分けてみました。食のためにかゝる時間、衣のためにかゝる時間、子供のためにかゝる時間、睡眠時間などを色分けしてみるのも面白いでしよう。

一週間の豫定のところは、一週間の仕事割きまつた外出日などを、各自に随意に書き入れて下さい。

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一家の家計と家事は車の兩輪のようなものだと羽仁もと子著作集「家事家計篇」に書いてあります。絶えず滑らかに廻してゆく操從者は主婦自身であり、家族の協力は車の後押しの役でしよう。この主婦日記が家計簿と共に主婦の机上になくてならないものとなり、一年間の經済生活と家事の豫定生活が昨年より一段と進歩したものになるように、皆様の工夫を活かして使つて下さいませ。

コラム

  1. 衣料品を買うときの注意

  2. こたつの中の手仕事に

  3. 簡易クリーニングの仕方

  4. 白い木綿のしみぬき

  5. セーターをいつも美しく着るには

家事と花しごと