「西洋文明」の源流は、次のようにたどることができる。a 流れをつかむ ←クリック
オリエント文明→ギリシア文明→ヘレニズム→ローマ文明→キリスト教文明→ヨーロッパ文明
・ギリシア文明はa エーゲ文明 と、暗黒時代を経て、ポリス社会成立後のb ギリシア文化 とに分ける。
(a)は、前3000年紀のc クレタ文明 と前16〜12世紀のd ミケーネ文明 に分けられる。
(b)は、前8〜6世紀のe アーカイック期 と、前5〜4世紀のf 古典期 に分けられる。
T エーゲ文明
1.a エーゲ文明 の形成 | |
前3000年紀 |
東地中海にオリエントの影響を受けてa エーゲ文明 栄える。 =b 青銅器文明 の段階。 |
c クレタ文明 |
クレタ島のd クノッソス 中心。伝説上の王名からミノス文明とも言う。 壮大な宮殿建築をもつ。宮殿は城壁をもたず、開放的。民族系統は不明。 強力な王による海上王国を形成か。 絵文字が用いられていたが、末解読。 |
・発見 |
e エヴァンス イギリスの考古学者 1900年代 f クノッソス遺跡 の発掘。 |
2.エーゲ文明の繁栄 | |
前2000年ごろ | 北方からa ギリシア人 (インド・ヨーロッパ語族)南下。クレタ文明を征服。 |
前16世紀 |
ギリシア本土のb ミケーネ ・c ティリンス ・ピュロスなど小王国を建設。 b ミケーネ 王国、小アジアのd トロイア を征服。(トロイア戦争) |
e ミケーネ文明 前15世紀 |
独自のf 線文字B(ミケーネ文字) を使用。巨石城塞を建造。 専制的な国王が農民から貢納させる貢納王制。 |
・発見 |
g シュリーマン ドイツ人の実業家。『古代への情熱』を著す。 1870年代 d トロイア 遺跡・b ミケーネ 遺跡などを発掘。 h ヴェントリス イギリスの建築家。 1952年 f 線文字B(ミケーネ文字) を解読。 |
3.エーゲ文明の消滅 | |
前1200年 |
このころミケーネ文明滅亡し、混乱期となる。理由は不明。 系統不明の民族a 「海の民」 などの外敵の侵入を受けたことも考えられる。 以後400年間はb 暗黒時代 といわれる。 → この間、ギリシアはc 鉄器文化 の段階に移行した。 |
ギリシア人の分化 |
ギリシア人が周辺に移住。→ 方言の違いから、いくつかに分化。 d イオニア人 :本土の東部から小アジア西岸に定住。アテネを建設。 e アイオリス人 :本土の中部から小アジア北部に定住。テーベを建設。 f ドーリア人 :最も遅く南下し、先住民を征服。スパルタを建設。 |
前8世紀ごろ |
その過程で、集住(シノイキスモス)が進行し、g ポリス が成立。 並行して地中海各地に植民活動を展開。貨幣経済の発展に伴い、市民が成長。 |
U ギリシア文化
1.文化の共通性 | |
・民族的自覚 | ・自らをa ヘレネス 、異民族をb バルバロイ として区別。 |
・宗教 |
・多神教 c オリンポス12神 ※の信仰。 ギリシアの神々は人間と同じ姿を持ち、喜怒哀楽をともにすると考えられた。 その宗教も現世肯定的であった。 |
※ゼウス(主神) ヘラ(ゼウスの妻) ポセイドン(海と大地の神) アレス(軍神) アポロン (太陽神) ヘファイストス(火の神) ヘルメス(商業の神) アテナ(知恵の女神) アルテミス(月の神) アフロディテ(美の女神) ヘスティア(かまどの女神) デメテル(農業の女神) |
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・行事 |
・d デルフォイの神託 :重要問題の解決をアポロン神殿の神託に求めた。 ・e オリンピアの祭典 :前776年から4年ごとにアポロン神に献げる競技を行う。 → 393年、ローマ皇帝の勅令で中止される。 |
2.文学・歴史 | |
・叙事詩 |
a ホメロス(ホーマー) 前9〜8世紀、口承叙事詩を伝承した盲目の吟唱詩人。 b 『イリアス』 ・ 『オデュッセイア』 トロイア戦争での英雄たちの物語。 c ヘシオドス 前8〜7世紀『神統記』。『労働と日々』労働の楽しさを唱う。 |
・叙情詩 |
d サッフォー 前6世紀 レスボス島出身の女流叙情詩人。 他に、アナクレオン、ピンダロスら。神話から脱し、個性の自覚が始まる。 |
・演劇 | e ギリシア演劇 ディオニュソス祭典において、円形劇場で競演された。 |
悲劇 |
f アイスキュロス 『アガメムノン』、『縛られたプロメテウス』など g ソフォクレス 『オイディプス王』、『アンティゴネー』 h エウリピデス 『メディア』、『バッカスの女たち』 |
喜劇 | i アリストファネス 『女の平和』『女の議会』などで世相を風刺。 |
・歴史 |
j ヘロドトス 物語風歴史書『歴史』でk ペルシア戦争 の歴史を記述。 → "歴史学の父”といわれる。 l トゥキディデス 『戦史』でm ペロポネソス戦争 の歴史を記述。 事実を重視した、実証的記述。 |
3.哲学のはじまり | |
a イオニア自然哲学 前6世紀はじめ 前6〜5世紀 前5〜4世紀 |
エーゲ海東岸、ミレトスを中心に、事物の根源を考察する人々が現れる。 b タレース (万物の根元は水である) c ピタゴラス (万物の根元は数である) d ヘラクレイトス (万物は流転する) e デモクリトス (原子の存在を主張) f ヒポクラテス (医学の父) |
g ソフィスト たち 前5世紀 |
アテネを中心に市民に弁論術を教える職業的教師たちが活動。「知恵ある者」 の意味。客観的・普遍的真理の存在を否定、相対主義的・主観的な考え。 ・代表的人物 h プロタゴラス “人間は万物の尺度である” → 次第に詭弁に陥る。 |
4.ギリシア哲学の展開 | |
a ソクラテス 前5世紀後半 |
ソフィストに対し、絶対的真理の存在と知徳一致を説く。 対話的方法による“b 無知の知 ”を説く。 若者を惑わすものとして裁判にかけられ、刑死。“悪法もまた法なり” |
c プラトン 前4世紀前半 |
aの弟子。『ソクラテスの弁明』など。経験的事物を越えたd イデア の存在を 説く。ポリスの民主政の再建をめざし『国家論』を著す。 アテネにe アカデメイア を建設。後に、シラクサで政治にあたる。 |
f アリストテレス 前4世紀後半 |
cの弟子。『形而上学』 『政治学』など多数。g アレクサンドロス を教育。 現実の中に真実があると主張し、実証的な諸科学を研究、体系化する。 “諸学の父”といわれる。→ イスラームを通じ、ヨーロッパに伝えられる。 |
5.美術 | |
・彫刻 |
・a フェイディアス :(前5C)ペリクレスに協力し、アテネのアクロポリス の神殿建築に従事、女神像など。 ・プラクシテレス(前4C):神像彫刻。ヘルメス像など。 |
・建築 |
前期 b ドーリア式 = 荘厳 例:アテネのc パルテノン神殿 中期 d イオニア式 = 優美 後期(〜ヘレニズム期) e コリント式 = 華麗 |
V ヘレニズム
1.a ヘレニズム の成立 | |
・成立 | 前4世紀 b アレクサンドロス大王 の大帝国の成立によって形成された。 |
・意味 | c ギリシア文化とオリエント文化の融合した文化 前1世紀ごろまで続く。 |
・特徴 |
d コスモポリタニズム(世界市民主義) の思想が生まれる。 ポリスの枠にとらわれない、普遍的な価値判断と、自立した個性の出現。 |
・中心地 |
プトレマイオス朝エジプトのe アレクサンドリア 「世界の結び目」と言われる。 f ムセイオン :プトレマイオス朝の王立研究所。世界各地の図書が集められた。 |
・共通語 | g コイネー :アッティカ方言と各地の方言が混合してできた古代ギリシア語。 |
2.ヘレニズムの内容 | |
・哲学 |
a ストア派 :アテネのb ゼノン (前4〜3世紀)、禁欲に徹して心の平安を 得られるとする禁欲主義を説き、人間を理性によって結びつく普遍的な存在とする。 c エピクロス派 :アテネのエピクロス(前4〜3世紀)が説く。精神的快楽を肯定 する快楽主義。 |
・自然科学 |
d エラトステネス 地球の外周を測定(ムセイオンの館長) e アリスタルコス 太陽中心説 地球の公転と自転 f アルキメデス アルキメデスの原理 g エウクレイデス(ユークリッド) 平面幾何学を完成 |
・医学 | 解剖学の基礎ができる。自然科学・医学 →h イスラーム の文化に継承される。 |
・美術 |
i ミロのヴィーナス ・ラオコーン・サモトラケのニケ・ペルガモン神殿など →j ガンダーラ地方 の仏像彫刻に影響を及ぼす。 |