『ゲノム編集技術』公開勉強会 2018/11/10 その5
公開勉強会は、13時30分に始まり、予定より30分長引いて、18時ちょうどに終わった。
ビナードさんの問いかけに始まり、入念に用意された言葉に翻弄されてはいけない、ということを改めて思った。そもそも、語源を聞きそびれ、まだ調べていないが、カルタヘナってなんだろう?スペインの土地の名前のようだから、そこで提案されたってこと?なぜ分かりにくく発音しにくい名前を採用したのか。
骨髄移植、脳死、脳死移植問題、そんなに急いでどうする、と、あの頃も言われてたが、いまや、「遺伝子組み換えではない」ということが、どういうことかも分からぬまま、そう表示されているからそっちを買うと、経済の物語に乗せられているうちに、二重の意味で取り返しのつかない、遺伝子の書き換え研究が着々と進んでいるらしい。まだヒトの段階ではない、というのは、人間の中にヒト胚を培養するのも時間の問題です、ということであるかのように聞こえた。
この十月にポーランド旅行をして、アウシュヴィッツに行き、色々な手記を読んで予習復習をした。
- 早乙女勝元
- 「アンネ・フランク」、「アウシュヴィッツと私」、「母と子でみる アウシュヴィッツ」
- 「強制収容所のバイオリニスト」
- オシフェンチウム(ドイツ名アウシュビッツ)村で生まれ育ち、自分が生まれる以前に何があったかを問い続け、苦しんできた、学校の先生が、収容所のオーケストラで過酷な日々を生き延びた女性と出会い、世代を超えた友情を育み、書き上げたもの。
- 今年の六月にバイオリニストだったヘレナ・ドゥニチ・ニヴィンスカさんは、百三歳で逝去。
- オーケストラのリーダーとして、ナチの手先と疑われながらも、きついスケジュールを与え、厳しい指導をすることで、楽員の命を守ったと考えられる、収容所内で亡くなった、アルマ・ロゼは、マーラーの姪。
- 「4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した」
- 「エヴァの震える朝」
- エヴァは、アウシュヴィッツを生き延びたあと、同じ体験をくぐり抜けた、母とオットー・フランクとが再婚したことで、アンネの義姉となった。
- 「アウシュヴィッツの図書館係」
- ある女性をモデルにした、スペイン人作家による小説。体験者の視点以外のこともかなり書き込まれ、文学というものについても深く言及。
- 加藤有子訳「メダリオン」
- 「人間が人間にこの運命を用意した」という言葉が印象的な、証言を元にした、ホロコースト文学。詩のように鋭い短編集。カフカの2人の妹は、収容所で殺された。
- 「ゲッペルスと私」
- ゲッペルスの秘書ではあったが、何も知らなかったと主張するブルンヒルデ・ポムゼルをカメラの前に座らせて、思い出すままに語らせて記録した映画が、数年前に公開されたが、それを時系列に並べ直し、字句などを修正して、書籍化したもの。
- ポムゼル的なものは、我々の誰の中にもいるのではないかと問いかけ、2016年現在のヨーロッパやアメリカで起こっている事件を報告し、1930年代に酷似していはしまいか、もう見ないふりはできないと警鐘を鳴らす。
講演を聴きながら、メンゲレというナチの医者の名前がすぐ浮かび、731部隊も思い浮かべ、最近イスラエルで生まれた視覚障害者向けAIツールの裏側にあるものを思い、オッペンハイマーの苦悩や大量のプルトニウムにも連想が及んだ。
45年前、友人が白血病で亡くなった。何年か後に、夏目雅子の映像とともに骨髄バンクの広報がテレビで流れた。何年か前、居酒屋で、スタップ細胞のニュースを見ていたら、隣に座っていた生物学の先生が、少しも生命の神秘に近づいていないと嘆いていた。
取り返し、つくのだろうか。