暮れて明ける

1998/9/15


 去年のりんどう湖旅行の前後から、車椅子の上で一日のほとんどを過ごすようになっている。転ばなくなったかわりに、自分の足で立てなくなった。食欲があるから、まだ先は長そうだが、ぼつぼつと更新してきたホームページを振り返ると、初めてのショックウェーブで、最後の「自分で歩くばあちゃん」を残したことになる。

 そんなばあちゃんの漫画を楽しんでくださった人の感想には、必ず「お元気ですね」という言葉が添えられていて、ばたばたとそこいらじゅうを歩き回っていた、家にいたときの、まきば園にお世話になり始めたころのばあちゃんが、懐かしく、哀しく思い出される。

 とは言え、いまもなお、「ばあちゃんは生きとるよ」

 子どもの頃のことも、死んでしまった自分の子どものことはもちろん、月に1、2回顔を出す孫のこともほとんど忘れて、食べて、出して、眠って、なんでこんなところにいるのかなぁとぼんやり思っているんだろう。

去年の11月16日・・・

 ここまでどれくらいかかるとね。3時間かい。遠かねぇ。はまって帰らんと帰られんねぇ。大分、遠かろうねぇ、うちは・・・。たいがいどころで帰らにゃねぇ、うちに・・・。夜? 眠れるとよぉ。年中遊んでばかりおるけん。ここはどこかいねぇ。

 一昨年のりんどう湖旅行で、同室になった方が、亡くなった。その方の49日のころ、そして、年末のクリスマス会で、ばあちゃんに会い、年は暮れた。


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