4石のダイアモンド。写真上は通常の蛍光灯の下で撮影。 写真下は長波紫外線を照らした状態。蛍光の強さは左から「無:inert」、「弱:weak」、「中:moderate」「強:strong」。

左のダイアモンドは、紫外線に対する透明度(タイプによって異なる)が低いため、紫外線を反射している。判断に慣れないと「弱いパープル」などと云いかねないので注意が必要。



>> ルミネセンス
>> 化学ルミネセンス
>> 摩擦ルミネセンス
>> 熱ルミネセンス

>> 燐光による合成と天然オパールの鑑別

>> CZとGGGの蛍光

蛍光
(fluorescence)

ルミネセンス(photoluminescence)のひとつ。

宝石学にとって重要なルミネセンスには蛍光と燐光(phosphorescence)がある。紫外線などにさらした際に発生する発光を蛍光と良い、光源を切った後も僅かに持続し、そして消滅する光を燐光という。

蛍光を観察するための最も一般的な光源は、ブラックライトとして広く市販されている長波紫外線であろう。その他、宝石鑑別機関などでは短波紫外線も用い、また大量のダイアモンドを扱う一部ディーラーなどは、CZ(キュービックジルコニア)の混入を防ぐ目的でX線を使用している。

光ルミネセンスの原因は、紫外線などの電磁波によって宝石を構成する原子に電磁波が吸収されることに起因する。原子はもちろん原子核と電子から構成されるが、紫外線などによって本来の軌道をはずれた電子は、エネルギーの高い状態となり得る(励起状態)。この状態は不安定なので、もとの状態(基底状態という)に戻るが、この過程で、吸収したエネルギーを可視光線として放出する現象が蛍光である。

宝石店などでも手軽に出来る天然合成ダイアモンドの検査法のひとつは、蛍光検査であろう。天然ダイアモンドは、実際の統計は知らず、体感的には5割強が蛍光を示す。蛍光色は青色系が中心で、短波紫外線に対してよりも、長波紫外線に対して強く光る。それに対してある種の合成ダイアモンドは、長波より、短波紫外線に対して強く発光し、かつその色が黄緑色である。このような反応は、天然ダイアモンドの場合、通常観察されない。つまり、蛍光が無かったり、あるいは通常の反応(青色系の蛍光で、長波に対しての方が強い)の場合には何の情報ともならないが、黄緑色の蛍光色で、それが短波紫外線に対してより顕著で有れば、合成ダイアモンドの可能性がある。


(C)Copyright 2000-2002 by Osamu FUKUMOTO. All Rights Reserved.


戻る  戻る