破壊音が格納庫中に轟いた。壁が打ち壊され、壁の向こう側からゆっくりと弐号機の赤い機体がその姿を現す。大小の瓦礫が次々に落下し、床に激突して埃を撒き散らす。ミサトはケージの中で激しい銃撃戦を展開していた。もはや瓦礫と化した壁を背にオートマチックを油断なく構えているミサト。その傍らで虚空を見つめ、膝をかかえてうずくまったままのシンジ。床には使い捨てられたカートリッジがいくつも転がっている。
すぐに弐号機の頭部が動き、ミサトを見つけ出した。弐号機の外部スピーカーからアスカの声が響く。
「ほら、わざわざ来てやったわよ、バカシンジ。さっさと乗りなさいよ!ホントにもうグズなんだから」
わざとらしさを僅かに含んだ声に、毅然とした表情で弐号機を見上げるミサト。絶え間ない弾着音はいつのまにか止んでいた。力の抜けたシンジの右腕を銃を持たぬ左手で引っ張り上げる。
「さあ、シンジ君」
下を向いたままのシンジ。前髪が邪魔で表情はよく見えない。
「…シンジ?」