「話は決まった?それじゃあ、合流地点及びそこに至る経路をこれからそれぞれに伝えるから、よく聞いて」
「リツコ!」
思わぬ乱入者の声にミサトがつい驚きの声をあげる。これは第二発令所を介した秘匿回線であるはずなのに。
「さあ、時間がないわ。急いで!アスカはまず湖底のゲートからジオフロントへと降りて非常用バッテリーパックを装着して。ミサトは別の車を調達して、そのままその通路を真っ直ぐに走り続けて」
「わかったわ」
知らず二人の声が重なる。
そして、二人は走り出した。そのときのリツコの声が妙にくぐもっていることに気付くこともなく。まるで、何かを通して聞こえるようなそれは声だった。微かな愉悦と狂気の残響。無数の発光ダイオードの輝きが瞬く入り組んだ薄暗く狭い空間の中でリツコがにいと笑った。