[サイトトップへ] [2020問26~問50へ]

     平成22年マンション管理士試験問題解説(1)

 

問1

区分所有法(総括)

問2

区分所有法(共用部分)

問8

区分所有法(集会)

問14

民法(請負)

問20

建築基準法(単体)

問3

区分所有建物(総括)

問9

区分所有法(建替え) 

問15

民法(請負)

問21

都市計画法

問4

区分所有建物(規約) 

問10

区分所有法(義務違反者)

問16

民法(請負)

問22

水道法(貯水槽水道)

問5

区分所有法(敷地利用権)

問11

区分所有法(団地)

問17

民法(不法行為)

問23

消防法

問6

区分所有法(管理者)

問12

民法(賃貸借契約)

問18

不動産登記法

問24

大規模修繕(防犯)

問7

民法(消滅時効)

問13

民法(契約不適合) 

問19

建替え円滑化法

問25

標準管理規約(管理)

 

問 1 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)の専有部分等に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)によれば、正しいものはどれか

 

1 区分所有者が全員で共有する専有部分については、規約で定めなくても共用部分とすることができる。

2 規約で定めれば、区分所有者の共用部分の共有持分とその有する専有部分は、分離して処分することができる。

3 専有部分以外のマンションの建物の部分は、すべて共用部分であり、それ以外の部分はない。

                 

4 区分所有者は、区分所有権の目的である専有部分を自由に使用、収益及び処分することができ、規約によっても、制限されない。

≪解説≫
 

・選択肢1 : マンション管理適正化法第4条第2項に「区分所有権の目的たる部分(専有部分)及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができないと規定されており、専有部分については規約で定めないと共用部分とすることができないので当設問は正しくない

・選択肢2 : マンション管理適正化法第15条第2項に「共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。」と規定されており、規約で定めても分離して処分することができないので当設問は正しくない。なお、「この法律(区分所有法)に別段の定めがある場合」とは ①規約によって他の区分所有者又は管理者を共用部分の所有者とする場  ②規約の設定・変更によって共有持分の変更をする場合ある。専有部分とその専有部分に係る敷地利用権は規約に別段の定めがあるときは分離処分をすることができるので勘違いしないこと

・選択肢3 : マンション管理適正化法第2条第4項に「共用部分とは、専有部分以外の建物の部分専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。」と規定されており当設問は正しい

・選択肢4 : マンション管理適正化法第30条第1項に建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と規定されており当設問は正しくない

 

≪答え≫  

 マンション管理適正化法の専有部分等に関する出題であり、基本的な事項を問うている。各選択肢を初めから1問ずつ吟味していくと時間がかかるので全選択肢ざっと一読して正しいものを見極めるのも一方である

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】 


 

問 2  一部共用部分についての規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか


1 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについては、区分所有者全員の規約に定めることはできない。


2 一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属し、規約で特別に定めても管理者が所有するものとすることはできない。


3 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものであっても、これを共用すべき区分所有者のみで行う旨を規約で定めることは妨げない。

4 一部共用部分であるか否かは、その構造上決定されるものであって、規約で別段の定めをすることはできない。

 

≪解説≫  

・選択肢1:区分所有法第30条第2項に「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる」と規定されており「区分所有者全員の規約に定めがある場合」を認めており当設問は正しくない

 

・選択肢2:区分所有法第11条第1項及び第2項に「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。この規定は、規約で別段の定めをすることを妨げな」と規定されており、また、同法第27条第1項に「管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる」と規定されており、併せて一部共用部分は管理者が所有するものとすることができるので当設問は正しくない

 

・選択肢3:区分所有法第16条に「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は区分所有者全員の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う」と規定されており、区分所有者全員の利害に関係するものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う旨を規約で定めることはできないので当設問は正しくない。これは当然のことである

・選択肢4:区分所有法第3条に「一部共用部分とは一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分」と規定されており、一部共用部分であるか否かはその構造上決定されるものであり規約で定めるものではないので当設問は正しい

 

≪答え≫ 

  区分所有法の一部共用部分に関する出題である。規約との関連について問われている

 

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】 

 


 

問 3 〕 マンションの設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときに関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 マンションの設置又は保存の瑕疵が、専有部分にあるときにその専有部分の所有者が負う責任も、共用部分にあるときに区分所有者全員が負う責任も、ともに当該部分の所有者に過失がなくても成立する。

 

2 他人に生じた損害が専有部分の瑕疵によるものか、共用部分の瑕疵によるものか、不明であっても、マンションの設置又は保存の瑕疵によるものであることは、他人である被害者が立証しなくてはならない。

 

3 マンションの設置又は保存の瑕疵が特定の専有部分にあることが証明されない限り、区分所有者全員が共同して他人に対して責任を負う。

 

4 マンションの共用部分の設置又は保存の瑕疵により当該マンションの区分所有者が損害を被った場合、その区分所有者は、他人には該当せず、損害賠償請求をすることができない。

 

≪解説≫ 

 

・選択肢1 : 民法第717条第1項に「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」と規定されており、所有者は無過失責任を負うので当設問は正しい。なお、マンションの共用部分の瑕疵に関しては工作物責任として区分所有者全員が過失責任を負い、民法改正で買主の救済は瑕疵担保責任という法的責任ではなく契約不適合責任による事となった

 

・選択肢2 : 区分所有法第9条に「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵(契約不適合責任)は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」と規定されており、また、一般的に不法行為による損害賠償請求については、その立証責任は請求をする被害者の方にあるが、工作物の場合は民法第717条第1項により所有者は無過失責任を負い加害者は被害者に立証責任はないが、「マンションの設置又は保存の瑕疵」によることは被害者が立証しなければならないので当設問は正しい

 

・選択肢3 : 区分所有法第9条に「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」と規定されており、区分所有者が特定の専有部分に瑕疵があることを立証しなければ区分所有者全員が共同して責任を負うとになり当設問は正しい

・選択肢4 : 区分所有法第9条に「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」と規定されているが、被害を被った区分所有者は他人に該当し損害賠償請求をすることができる解釈されるので当設問は誤っている

 

≪答え≫ 

  区分所有法及び民法の区分所有建物の設置・保存の瑕疵に関する出題である選択肢1の瑕疵担保責任は民法改正により変更されているので吟味しておくこと

   【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 



問 4 〕 規約で、その割合を定めることができないものは、区分所有法及び民法の規定によれば、次のうちどれか。


 1 共用部分の持分割合
 2 敷地の持分割合
 3 共用部分の負担割合
 4 各区分所有者の議決権割合

≪解説≫

・選択肢1:区分所有法第14条第1項に「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による」と規定されているが、同条第4項に「共有者の持分割合は規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定されており規約でその割合を定めることができる

 

・選択肢2:敷地の持分割合は区分所有法に規定されていないので民法第250条により敷地割合は相等しいかマンションの分譲時に〇〇分の〇〇のように決められるので規約でその割合を定めることができない。 なお、「敷地利用権は専有部分の床面積の割合に応じて共有するが規約で別段の定めをすることができる」がこれと勘違いしないように注意の事


・選択肢3:区分所有法第19条に「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」と規定されているので規約でその割合を定めることができる

 

・選択肢4:区分所有法第38条に「各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める割合(共用部分の負担割合)によ」と規定されており規約でその割合を定めることができる

 

≪答え≫ 

 「共用部分は専有部分の床面積の割合で定まり規約で別段の定めはできる」であり「共用部分でない部分は民法で平等と推定され規約で別段の定めはできないが特約ではできる」と覚える

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 



問 5 〕 専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することに該当しないものは、区分所有法及び民法の規定によれば、次のうちどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとし、敷地利用権は所有権の共有持分であるものとする。


 1 区分所有者が専有部分又は敷地利用権のどちらか一方にのみ質権を設定すること。

 2 敷地の共有者全員で、地下鉄敷設のため敷地の地下に区分地上権を設定すること。

 3 区分所有者が専有部分を妻に、敷地利用権を子に贈与すること。 

 4 第三者が専有部分又は敷地利用権のどちらか一方のみを差し押さえること。

 

≪解説≫

 

・選択肢1 : 区分所有法第22条第1項に敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないと規定されており、質権の設定は分離して処分することに該当する。ここで「処分」とは売買、贈与、抵当権の設定、質権の設定等、権利の変動を生じさせる法律行為をいい質権の設定は処分に相当する

・選択肢2 : 地下鉄敷設のため敷地の地下に区分地上権を設定することは区分所有法で定める「専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することを禁止する」行為とは異なるので、敷地の共有者全員で地下鉄敷設のため敷地の地下に区分地上権を設定することは分離して処分することに該当しない

 区分地上権とは、土地の地下や土地上の空間の上下一定の範囲を目的として設定される地上権であり、地下鉄や地下駐車場など地下に設定されるものを地下権、電線や橋梁など空間に設定されるものを空中権といい民法(第262条の2)で定められている


 

・選択肢3 : 選択肢1で説明した通り「贈与」なので分離して処分することに該当する

・選択肢4 : 差押え、仮差押え、強制執行等も分離して権利の変動を生じさせる法律行為分離して処分することに該当する

 

≪答え≫ 

 

選択肢2で区分地上権という区分所有法では定められていない権利が問われている。この機会に学習しておくこと 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 6 〕 次のア~エについて、管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の管理者にのみ該当し、管理組合法人の理事には該当しないものの組合せとして正しいものは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。


 ア その職務に関し、区分所有者を代理する。

 イ 任期に関し、規約の定め又は集会の決議により自由に定めることができる。

 ウ 数人の者を選任することができる。

 エ 集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、議長となる。


 1 アとイ
 2 イとウ
 3 ウとエ
 4 エとア

 

≪解説≫

 区分所有法により管理者にのみ該当し管理組合法人の理事には該当しないものはア、イである

選択肢

区分所有者

管理組合法人理事

ア 区分所有者の代理できるか

○(第26条第2項)

×(第47条第6項)

イ 任期を自由に決められるか

○(規定なし)

×(第49条第6項)

ウ 数人を選任する事できるか

○(規定なし)

○(規定なし)

エ 議長となれるか

○(第41条)

○(第47条第2項)

 

・区分所有法第49条第6項に「理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする」と規定されている 

 

≪答え≫ 1 

 題意を取り違えない事

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】 


 

問 7〕 滞納管理費の消滅時効に係る次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか

 

1 長期にわたり管理費を滞納している区分所有者に対して、管理組合が月々累積する滞納額全額について、毎月、内容証明郵便をもって支払の請求をしている場合には、滞納管理費に係る債権が時効により消滅することはない。

 

2 管理規約の規定に基づいて区分所有者に対して発生し、その具体的な額は総会の決議によって確定し、月ごとに支払われるものである管理費に係る債権は、定期金債権として、最後の弁済期から10年間行使しないときは、時効により消滅する。

 

3 管理組合が管理費を滞納している区分所有者に対して滞納管理費を請求する訴訟を提起して勝訴した場合には、滞納管理費に係る債権は、確定判決の時より新たに従前と同様5年の消滅時効期間が進行する。

 

4 管理費を滞納している区分所有者が「滞納管理費支払合意書」により、滞納管理費全額を分割して毎月定額で支払うことを管理組合と合意した場合、そのことによる時効の中断の効力は、区分所有権を譲り受けた特定承継人に及ぶ。

 

≪解説≫

選択肢1 : 毎月、民法上、内容証明郵便をもって支払の請求をしている場合は、債務者に対し「催告」として扱われる。民法第150条に「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。」と規定されている。従って、毎月、滞納者に通知していただけでも弁済の時から5年が過ぎると消滅時効にかかり時効は消滅しないので当設問は正しくない

 

・選択肢2 :民法第166条第1項 「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき 時効によって消滅する 」と規定されており当設問は正しくない設問には10年間行使しないときは、時効により消滅する」とある

 

・選択肢3 : 管理費債権の消滅時効期間は5年であるが確定判決により確定すれば10年となるので当設問は正しくない。民法第169条第1項に「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする 」と規定されている。消滅時効期間は判決確定後、5年ではなく10年になる

 

・選択肢4 : 民法第152条第1項に「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と、また、民法第153条に効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する」と規定されており併せて当設問は正しい

 

≪答え≫ 

 民法等の消滅時効に関する出題である。時効の消滅、中断に関して正確な知識が求められる。令和2年4月の民法改正で時効について下記のような改正があった

★旧民法では職業別の短期消滅時効(医師の債権は3年、弁護士・司法書士の債権は2年等)は新民法では削除され、10年という時効期間は維持しつつ、権利を行使することができることを知った時から5年という時効期間を追加した。いずれか早い方の経過によって時効は完成する

★旧民法では債権の消滅時効は基本的に10年で消滅するとしていたが、新民法では債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しない場合、または権利を行使することができる時から10年間 (人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権は20年間)行使しない場合、時効により消滅する

★新民法では時効の「中断」を「更新」に、時効の停止を「完成猶予」と用語の変更をし更新事由や完成猶予事由を下記のように規定

①裁判上の請求・支払督促(債権者のアクション)

  裁判上の請求(訴えの提起等)や支払督促(裁判所書記官が行う書類審査のみの簡単な手続き)等がある場合、その事由が終了するまでの間は時効の完成が猶予され、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したとき、時効が更新される

②承認(債務者のアクション)

  承認があると時効が更新される。たとえば、債務者が借金の一部を債権者に弁済する(権利の承認)と時効が更新される

③催告(裁判外の請求)

  催告した時から6か月を経過するまでの間は時効の完成は猶予される。裁判によらず内容証明郵便等で債権者が債務者にと請求した場合、6か月間の猶予が与えられるためその期間内時効は完成しない 

④協議を行う旨の合意による完成の猶予

  当事者間で権利についての協議を行う旨の合意が書面又は電磁的記録によってされた場合には、時効の完成が猶予されることとし新たな完成猶予事由とする

 

   【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】 


 

問 8〕 管理組合の集会に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか


1 集会の議事録には、集会における発言者全員の発言の要旨を記録又は記載する必要はない。


2 管理者がないときは、区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上を有するものは、連名で、集会の招集をすることができる。


3 区分所有者全員が打合せのために集まり、その全員の同意があっても、招集の手続を経ていないのでその場で集会を開くことはできない。


4 専有部分を3人が共同で相続した場合において、議決権を行使する者が定められていないときは、3人のうちの1人に対して集会の招集通知をすれば足りる。
 

 

≪解説≫

 

・選択肢1 : 区分所有法第42条第2項に「議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない」と規定されており当選択肢設問のような規定はなく当設問は正しい

・選択肢2 : 区分所有法第34条第5項に「管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる」と規定されており、連名で集会の招集をすることができるので当設問は正しい



・選択肢3 : 区分所有法第36条に「集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。」と規定されており当設問は誤っている



・選択肢4 : 区分所有法第40条に「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない」と規定されており、また、同法第35条第2項に「専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。」と規定されており、併せて当設問は正しい

 

≪答え≫ 

 区分所有法の集会に関する出題である。条文通りの問であり容易に正答を得られる

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


 

問 9〕 建物の一部が滅失した場合の復旧及び建替えに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したときの、滅失した共用部分の復旧については、各区分所有者が行うことができないこととするとともに、滅失した共用部分を復旧する旨の集会の決議によらなければならない旨を規約に定めることはできない。

2 建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したときの、滅失した共用部分の復旧決議の内容が形状の著しい変更を伴う場合には、当該共用部分の復旧は、規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数の集会の決議によらなければならない。

                

3 建物の価格の1/2を超える部分に相当する滅失があり、滅失した共用部分を復旧する旨の集会の決議があった場合において、決議賛成者は、同決議後に買取指定者を指定することができるが、その指定については、決議賛成者の全員の合意を要する。

4 建替え決議成立後の売渡請求権の行使に関し、建替え決議に賛成した各区分所有者又は建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)は、買受指定者を指定することができるが、その指定については、これらの者の全員の合意を要する。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第61条第1項及び第4項に「建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができるが、規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定されており、各区分所有者が行うことができないこととするとともに、滅失した共用部分を復旧する旨の集会の決議によらなければならない旨を規約に定めることができるので当設問は正しくない

 

・選択肢2:区分所有法第17条第1項に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する」と規定されており、たとえ、建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失したときでも形状の著しい変更を伴う場合には区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議が必要であり当設問は正しいなお、問題文には「規約に別段の定めがない限り」とあるが、共用部分の重大変更は、区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができるので留意のこと



・選択肢3:区分所有法第61条第8項に「建物価格の1/2を超える部分に滅失があり復旧決議があった場合買取指定者を指定するには決議賛成者全員の合意を要する」と規定されており当設問は正しい

・選択肢4:区分所有法第63条第4項に「建替え決議成立後の売渡請求権の行使に関して、立替え決議に賛成した各区分所有者又は建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)の全員の合意により買取指定者を指定することができる。」と規定されており当設問は正しい

 

≪答え≫  

 区分所有建物の復旧・建替えに関する出題である。小規模滅失及び大規模滅失の復旧要件をきちんと押さえる事

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 10〕 組合員Aの甥Bが酒を飲み過ぎて錯乱し、金属バットで共用部分である玄関ドアを破損させた場合における次の記述のうち、区分所有法、民法及びマンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

 

1  管理組合は、BがAと同居しているか否かを問わず、Bに対し、損害賠償を請求することができる。

2 BがAと同居している場合、以前から、管理組合が酒癖の悪いBの生活の秩序を乱す行為を是正するようAに警告していたときは、Aに対し、損害賠償を請求することができる。

3 BがAからマンションを借りて居住している場合には、Bは、管理組合に対してドアの原状回復義務を負う。

4 Bが専有部分の共有者である場合には、Aは、共有者として、管理組合に対してBと連帯して損害賠償責任を負う。

 

≪解説≫


・選択肢1:民法第709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されている。管理組合はBがAと同居しているか否かを問わずBに対し損害賠償を請求することができるので当設問は正しい


・選択肢2:標準管理規約第67条第1項に「区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。」と規定されており、管理組合はAに対し損害賠償を請求することができるので当設問は正しい

・選択肢3:標準管理規約第66条に「区分所有者又は占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。」と規定されており、Bは管理組合に対してドアの原状回復義務を負うので当設問は正しい

・選択肢4:AとBは民法第719条規定する共同不法行為者には当たらないので、共有者であるAはBと連帯して損害賠償責任を負う必要がないので当設問は誤っている

 

≪答え≫ 

 民法等の義務違反者に対する措置に関する出題である。常識的判断で正答を得られる。 

 

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 

 


 

問 11 〕 一団地内にA、B及びCの三棟のマンションがある場合の区分所有法第65条の団地建物所有者の団体(この問いにおいて「団地管理組合」という。)における区分所有法第69条の建替え承認決議に関する次の記述のうち区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 Aマンションの建替え承認決議が成立するためには、団地管理組合の集会において、議決権の3/4以上の多数の賛成を得なければならない。

2 建替え承認決議に係るAマンションの建替えが、Bマンションの建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、Aマンションの建替えは、団地管理組合の建替え承認決議に係る集会において、Bマンションの区分所有者全員の議決権の3/4以上の議決権を有する区分所有者の賛成を得なければ行うことができない。

3 Aマンションの集会において建替え決議に反対した区分所有者は、団地管理組合の集会における建替え承認決議においても、反対の議決権を行使することができる。

4 Aマンション及びCマンションの団地建物所有者は、それぞれのマンションの建替えを目的とする集会において、区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数で、両マンションの建替えについて一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第69条第1項に「当該団地内建物の団地建物所有者で構成される団地管理組合又は団地管理組合法人の集会において議決権の四分の三以上の多数による承認の決議(以下「建替え承認決議」という。)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地に新たに建物を建築することができる。」と規定されており、建替え承認決議は団地管理組合の集会において議決権の3/4以上の多数の賛成を得なければならないので当設問は正しい

・選択肢2:区分所有法第69条第5項に「建替え承認決議に係る建替えが、建替え対象マンション(Aマンション)以外の建物(Bマンション)建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、次の①②に定める者が建替え承認決議に賛成している場合に限り特定建物の建替えができるので当設問は正しい
① 他の建物が区分所有建物⇒建替え承認決議の集会で他の建物の区分所有者全員の議決権の3/4以上の議決権を有する区分所有者
②  他の建物が戸建ての建物⇒他の建物の所有者

・選択肢3:区分所有法第69条第3項に「当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす。」と規定されている。従って、Aマンションの集会において建替え決議に反対した区分所有者は団地管理組合の集会における建替え承認決議においては反対の議決権を行使することがないので当設問は誤っている

・選択肢4:区分所有法第69条第7項にて「団地内で2以上のマンションの建替えをする場合、それぞれの特定建物の建替えを会議の目的とする集会において、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多で、当該2以上の特定建物の建替えについて一括して建替え承認決議に付する旨の決議をすることができる。」と規定されているので当設問は正しい

 

≪答え≫ 

 区分所有法の団地の建替え承認決議に関する出題である。区分所有法第69条は複雑であるので下記解説をよく読んで理解を深める事。なお、選択肢3は一般常識と異なるので注意を要する。団地は毎年出題される

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


  問12~問16は民法からの出題である。各問をよく読んで常識も働かせて取り組む事。登場人物が複数登場し事例を示し回答を求める問題が多いので余白に図示して頭の中も整理するとよい。


 

問 12〕 甲管理組合は、規約共用部分である101号室をAに事務所として賃貸していたが、賃貸借期間が満了したので、Aは原状回復のうえ明け渡し、甲は敷金を返還することとなった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、原状回復の範囲及び費用負担については、契約に当たって十分な説明が行われていたものとする。

 

1 敷金については、明渡しの時点ではじめて返還請求権の有無や返還額が確定するので、甲の敷金の返還とAの101号室の明渡しは、同時履行の関係には立たない。

2 明渡し時点で、Aの原状回復に不完全な部分があることが判明した場合、原状回復に要する費用は、損害として、Aに返還すべき敷金から控除される。

3 賃貸借契約終了時にAに賃料不払の債務がある場合において、当該賃料不払債務を敷金から控除するときは、賃料請求債権を自働債権とし、敷金返還請求権を受働債権として、対当額にて相殺する旨の意思表示をしなければならない。

4 賃貸借契約終了後、Aが101号室を明け渡さず引き続き使用している場合、その間の賃料相当額は、明渡し義務不履行に基づく損害賠償又は不当利得として、敷金から控除される。 

 

≪解説≫

 

・選択肢1:判例により敷金の返還と目的物の明渡しは、明渡しが先に履行されるので同時履行の関係ではないので設問は正しい

 

・選択肢2:判例により当選択肢設問記載事項は適切であり設問は正しい原状回復に要する費用は損害としてAに返還すべき敷金から控除される

 

・選択肢3:判例によりAの賃料不払い債務は相殺の意思表示をしなくても敷金から控除されるので設問は誤っている。なお、設問にある自働債権は相殺をしようとする者の債権で受働債権は相殺される者の債権である

 

・選択肢4:選択肢2で説明した通り判例により賃貸借終了後目的物明渡しまでの一切の債権が敷金から控除されるので設問は正しい

 

≪答え≫ 

 判例の賃貸借契約に関する出題である。判例は承知している訳ではないので常識の範囲で正答を求める必要がある。4つの選択肢から誤っているものを特定するのはそう難しいことではない

【改正】 旧民法では賃貸借の終了時における敷金の返還等について規定がなかったので敷金の返還時期(賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたとき等)や返還の範囲(賃料等の未払債務を控除した残額)等に関するルールを民法に規定した。当設問の正誤には関係がない

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


 

問 13〕 マンション業者Aが建設業者Bに請け負わせて、完成させたマンションの10階の1室(1001号室)をCに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか

 

1 AがCに売却する際、ベランダから山が見え、眺望がよいと説明していたにもかかわらず、3年後に別のマンション業者Dが近くに高層マンションを建設し、1001号室からは、山が見えなくなった。AのCへの売却時にはDの建築計画が存在しなかった場合でも、説明と異なり眺望が守れなかったことを理由に、Aは、Cに対して債務不履行責任を負う。

2 Aは、売却前に、台所の自動式防火扉が設置され安全性が優れていると説明していたにもかかわらず、その扉のスイッチを切ったままにそのことを告げずに1001号室をCに引き渡した。また、スイッチもわかりにくい場所にあったので、Cはスイッチが切られていることを知らなかった。その後、Cの過失により台所から失火し、自動式防火扉が作動しなかったため、逃げ遅れたCは、大やけどを負った。この場合、Aは、Cに対して、スイッチの入れ方等を説明しなかったことを理由に、債務不履行責任を負う。

3 Aは、Bに対し、天井及び床に防音性の高い施工を指示したが、Bは、その指示に反し、防音性の低い工事を行った。Aから、購入前に防音性が優れていると説明を受けていたCは、防音性が説明通りに確保されていないことを理由に、Bに対して補修工事を求めることはできるが、Aに対して損害賠償の請求はできない。

4 Aは、売却に当たって、Cに耐震強度は十分確保されていると説明していたが、後日、Bが設計を依頼した一級建築士Eの法令義務に違反する設計により、耐震強度が著しく不足することが分かった。この場合、Cは、売主たるAに対しては損害賠償を請求することができるが、Eに対しては不法行為に基づく損害賠償の請求はできない。 

 

≪解説≫

・選択肢1:民法第415条に「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」と規定されている。AのCへの売却時にはDの建築計画が存在しなかったのでAには過失がないと判断できるので眺望が守れなかったことを理由にAはCに対して債務不履行責任を負わせることはできないので設問は正しくない


・選択肢2:全選択肢と同様に第415条によりAはCに対してスイッチの入れ方等を説明しなかったことを理由に債務不履行責任を負うと判断できるので設問は正しい


・選択肢3:民法第415条に「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」と規定されており、AはBに対し天井及び床に防音性の高い施工を指示しているのでAには帰責事由はないと認められるので契約不適合責任も債務不履行があったとして契約不適合責任に基づく損害賠償を請求することはできず(今回の民法改正点)設問は正しい BC間には直接、契約関係はないく、かつ、不法行為は民法722条1項により金銭賠償が原則でなのでCはBに対して補修工事を求めることはできない。なおAはBに対して請負契約に基づく担保責任を追及でき追完請求として修補工事を求めることができる
 


・選択肢4:民法第709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと規定されており、Eに対しても法令義務に違反する設計をしているので不法行為に基づく損害賠償を請求できるので設問は正しくない。なお、CはAに対して瑕疵担保責任があるとして損害賠償を請求できる

 

≪答え≫ 

 民法の不法行為に関する出題である。各選択肢設問は長文なので落ち着いて読むこと。債務不履行責任と損害賠償請求とは別なのでしっかり理解する事

【改正】 旧民法では売主に対する瑕疵担保責任の追及は瑕疵が隠れたもので、買主が契約締結時に善意無過失であるとの要件で法的責任を追及するとしていたが、改正民法では売買の目的物に不具合があり契約内容に適合しない場合は契約不適合として、買主は①追完請求(例:目的物の修補請求、不足分の引渡し)、②代金減額請求、 ③損害賠償請求、 ④解除をする ことができるようになった。なお、①~④は、買主が悪意であってもすることができる。また、旧民法では瑕疵担保責任の追及は買主が瑕疵を知ってから1年以内の権利行使が必要だが、新民法では買主は契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨の通知が必要とされる

 

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


 

問 14 〕 甲管理組合は、工務店Aに対して、マンションの敷地にある別棟の集会所の建替え工事を発注し、工事完了後、Aから当該集会所の引渡しを受けた。この場合における工事の瑕疵に関わる修補の請求又は損害賠償の請求に係る次の記述について、民法の規定によれば、正しいものはどれか


1 法改正
により削除

2 甲がAに対して相当の期間を定めて契約不適合の修補の請求を行うとともに、損害の賠償を請求したが、Aが契約不適合の修補義務も損害の賠償義務も履行しない場合、契約不適合がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微ではないとしても、甲は、契約を解除することはできない

3 法改正により削除

4 甲がAに対して相当の期間を定めて修補を請求した場合において、Aが期間内に修補をしないときは、甲は、瑕疵の修補に代わる損害賠償の請求をすることができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢2:民法の第564条に「仕事の目的物に契約不適合があれば、債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、注文者は、契約の解除をすることができる。これは、建物その他の土地の工作物についても同様である」と規定されており設問は正しくない

・選択肢4:民法の第564条に「仕事の目的物に契約不適合があるときは、注文者は、請負人に対し、目的物の修補による履行の追完を請求することができる。しかし、これは損害賠償の請求を妨げないので、修補に代わる損害賠償の請求をすることもできる」と規定されており設問は正しい

≪答え≫ 

 民法の瑕疵に関わる修補の請求又は損害賠償の請求に関する出題である。ここは民法の該当条文をしっかり確認しておく事

【改正】 改正民法では「隠れた瑕疵」があるという要件を目的物の種類、品質等 に関して「契約の内容に適合しない」ものに改めた。 また、売買の目的物に不具合があり契約内容に適合しない場合は契約不適合として、買主は①追完請求(例:目的物の修補請求、不足分の引渡し)、②代金減額請求、 ③損害賠償請求、 ④解除をする ことができるようになった。なお、選択肢3は新民法では瑕疵の重要性にかかわらず瑕疵の修補を請求することはできる」ようになった。設問の正誤は変更ない

 

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


 

問 15 〕 甲マンション管理組合(管理者A)が、敷地内の樹木の伐採及び剪定について、造園業者Bと請負契約をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び、判例によれば、正しいものはどれか


1 AB間において、報酬支払を「業務着手の日の7日前までに3割の前払金、業務完了後7日以内に残りの金額」と約した場合、業務着手の7日前までにAがBに3割の前払金を支払わなかったときは、Bは直ちにAとの契約を解除することができる。


2 Bが当該業務に着手し、剪定作業等が終了した時点で、甲の内部で伐採木の選定をめぐり紛糾したため、やむを得ず伐採を中止することとした場合、AはBの損害を賠償して、契約を解除することができる。


3 業務のおおよそ半分を終えた時点で、Bの責めに帰すべき事由により請負契約が終了した場合において、Bが債務不履行責任を負うときは、Aは、Bに対して残った業務を実施するために要する費用の全額について、損害償を請求することができる


4 業務完了後、業務内容に瑕疵があり、AがBに対して損害賠償の請求をする場合において、Aの損害賠償請求権とBの報酬残金請求権とは、相殺することができない。

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第541条に「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」と規定されておりBは相当の期間を定めて催告をした上で契約を解除することができるので設問は正しくない。「直ちに」ではない

・選択肢2:民法第641条に「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」と規定されており設問は正しい


・選択肢3:民法第416条に「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とすると規定されており、債務不履行による損害賠償はB以外の造園業者との間で残った業務を再契約するのに要する費用相当分であり、残った業務を実施するために要する費用の全額について請求はできないので設問は正しくないまた、請負契約においては報酬は後払いであるから管理組合は業務が完了していない場合は、報酬はまだ支払っておらず管理組合は「Bの残りの業務を実施するために要する費用の全額が損害賠償の範囲だとは限らない

 

 

・選択肢4:Aの損害賠償請求権とBの報酬残金請求権とは、相殺することはできるので設問は正しくない

≪答え≫ 

 民法の請負に関する出題である。常識的な判断で容易に正答を得られる

改正】 次のいずれかの場合において、中途の結果のうち可分な部分によって注文者が利益を受けるときは、請負人は、その利益の割合に応じて報酬の請求をすることが可能である。 ①仕事を完成することができなくなった場合 ②請負が仕事の完成前に解除された場合 (注) 仕事を完成することができなかったことについて注文者に帰責事由がある場合には、報酬の全額を請求することが可能である。当設問の正誤には関係がない

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 16 〕 甲管理組合が看板製作業者Aに対して、マンションの屋上に設置されている甲所有の看板を撤去し新しい看板に取り替える請負工事を発注したところ、工事中にAの従業員の過失により落下事故が発生した。この件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、甲において、注文又は指図について過失はなかったものとする。


1 落下した看板によって、通行人を負傷させ、Aが使用者責任に基づき被害者への損害を賠償した場合、Aは、注文者である甲に対して求償することはできない。

 


2 落下した看板によって、隣家に損傷を与えた場合、甲は看板の所有者として隣家の所有者に対して責任を負う。

 

 

 3 マンションの居住者が、カラーコーン等で仕切られた工事区域に無断で立ち入り、落下した看板により負傷した場合、当該マンションの居住者は、Aに対して不法行為に基づく損害賠償を請求することはできない。

 


4 落下した看板によってマンションの屋上に損傷を与えた場合、甲は、屋上に損傷を受けた時から起算して、1年以内でなければ、損害賠償の請求はできない。

 

 

≪解説≫

・選択肢1:民法第716条第1項に「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない」と規定されているおり注文者である甲に対して求償はできないので設問は正しい

・選択肢2:民法第717条第1項に「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と規定されているが、選択肢設問の看板の落下事故は土地の工作物の設置又は保存に瑕疵を原因とするものではないので甲は責任を負わなくてもよいので設問は正しくない

 

・選択肢3:民法第722条第2項「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができると規定されており、A及びAの従業員は不法行為に基づく損害賠償責任を負うので設問は正しくないなお、被害者は「カラーコーン等で仕切られた工事区域に無断で立ち入った。」との過失があるが、これは過失相殺として損害賠償額で調整すべき事項でありA及びAの従業員の損害賠償責任は免れない

 

・選択肢4:民法第724条に「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき、または、不法行為の時から二十年間行使しないときは時効によって消滅する」と規定されており、当選択肢設問にある「甲は屋上に損傷を受けた時から起算して1年以内でなければ、損害賠償の請求はできない」は正しくない

 

≪答え≫ 


 民法の不法行為に関する出題である。選択肢4の期間を除いて他は常識的判断で正誤を判断できる

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 17 〕 マンション(管理組合甲)のA所有の301号室をBが賃借し居住している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 Bが、ベランダから誤って物干し竿を落下させ、荷物を配送中の宅配業者の従業員に怪我をさせた場合、B及び甲は、怪我をした宅配業者の従業員に対して損害賠償責任を負う。

2 301号室のベランダの外壁タイルが経年劣化によりはがれ落ちて、通行人が怪我をした場合、マンションの区分所有者全員が怪我をした通行人に対して損害賠償責任を負い、Bが責任を負うことはない。

3 Bが、Bの洗濯機の排水ホースの締付けが不十分で外れたことに気がつかず洗濯し、床に水をあふれさせ、階下の201号室の区分所有者に損害を与えた場合、Aのみが、201号室の区分所有者に対して損害賠償責任を負う。

4 401号室の居住者が洗面所の水をあふれさせ、階下の301号室の天井の仕上げ部分及びBの家財に損害を与えた場合、401号室の居住者は、甲及びBに対して損害賠償責任を負うが、Aに対しては負わない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されており、配業者の従業員に怪我をさせたのはBの過失によるものであり管理組合は損害賠償責任を負うことがないので設問は正しくない

・選択肢2:区分所有法第9条に「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する」と規定されており、共用部分の設置・保存に瑕疵がある場合は区分所有者全員が損害賠償責任を負うものであり設問は正しいベランダの外壁タイルが経年劣化による損害は占有者Bに責任を負わせるべきではない。ただし、Bが外壁のタイルが今にも落ちそうであることを知っていてそのまま放置した場合にはBは責任を負うが当選択肢設問ではそこまでは記述されていない

・選択肢3:民法第709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されており、設問にある階下の201号室の区分所有者に損害を与えた場合」は専らBの過失によるものなのでAは損害賠償責任を負うことはなく設問は正しくない

・選択肢4:401号室の居住者の過失による不法行為についてマンションの躯体部分にも損害が出ているのならば、甲管理組合に損害があるし、301号室の天井仕上げ部分について損害が出ているので、Aに損害があり、またBの家財にも損害があるので、Bも損害を受けている。したがって、401号室の居住者は、Aに対しても損害賠償責任を負う ので設問は正しくない

≪答え≫ 

 民法の不法行為に関する出題である。共用部分の設置・保存の瑕疵と個人の不法行為についてしっかり理解する必要がある

 

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


 

問 18 〕 マンションの登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

 

1 マンション分譲業者を表題部所有者とする表題登記がされた後、敷地権付き区分建物の一つを購入した者が、直接自己名義で所有権の保存の登記を申請した場合、登記記録には登記原因及びその日付も登記される。

2 敷地権付き区分建物について売買を原因とする所有権の移転の登記をする場合、同時に、敷地権の移転の登記をしなければならない。

3 共用部分である旨の登記を申請する場合において、当該共用部分である建物に所有権以外の権利に関する登記があるときは、当該権利の登記名義人の承諾を得なければならない。

4 マンションの近傍にある駐車場を規約により敷地とした場合、規約により敷地となった日から1月以内に建物の表題部の変更登記を申請しなければならない。

≪解説≫

・選択肢1:民法第76条第1項に「所有権の保存の登記においては、原則にして登記原因及びその日付を登記することを要しない。ただし、敷地権付き区分建物について所有権の保存の登記をする場合は、登記原因及びその日付が登記される」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢2:不動産登記法第73条第1項に「敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ)に係る権利に関する登記は、原則として敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する」と規定されており、敷地権移転登記を改めてする必要はないので設問は正しくない

 

・選択肢3:不動産登記法第58条第3項に「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分又は団地共用部分である建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人の承諾があるときでなければ、申請することができない」と規定されており設問は正しい

・選択肢4:不動産登記法第51条第1項に「一定の登記事項(敷地権等)に変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない」と規定されており設問は正しい

 

 

≪答え≫ 

 不動産登記法及び区分所有法に関する出題である。マンションに関する不動産登記の基本をマスターしていれば容易に正答を得られる 

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 19〕 マンション建替組合(この問いにおいて「建替組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 建替組合は、区分所有法第63条第4項に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求しようとするときは、あらかじめ都道府県知事の承諾を得なければならない。

2 建替組合が権利変換計画の認可を申請するため、施行マンションについて権利を有する者の同意を得るに当たり、借家権を有する者については、当該住宅の区分所有者から同意を得ていれば借家権を有する者の同意まで得る必要はない。

3 建替組合は、権利変換計画の認可を受けたときは、遅滞なく、登記所に、施行マンションの区分所有権及び敷地利用権について、権利変換手続開始の登記を申請しなければならない。

                

4 施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者は、建替組合に対し、権利の変換を希望せず、自己の有する区分所有権又は敷地利用権に代えて金銭の給付を希望する旨を申し出ることができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:建替え等円滑化法第15条第1項に「組合は、設立認可の公告の日から二月以内に、に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる」と規定されているがあらかじめ都道府県知事の承諾を得なければならない」とは規定されておらず設問は正しくない

・選択肢2:建替え等円滑化法第57条第2項に「施行者(組合)は、認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合にあっては総会の議決を経るとともに施行マンション又はそ敷地について権利を有する者(組合員を除く)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得なければならない」と規定されており、権利を有する者」には借家権を有する者も含まれるので設問は正しくない

・選択肢3:建替え等円滑化法第55条第1項1号に「施行者(組合)は、建替組合設立認可の公告があったときは、遅滞なく、登記所に、施行マンションの区分所有権及び敷地利用権(既登記のものに限る。)並びに隣接施行敷地の所有権及び借地権(既登記のものに限る。)について、権利変換手続開始の登記を申請しなければならない」と規定されており、設問にある「権利変換計画の認可を受けたとき」ではなく建替組合設立認可の公告があったとき」なので設問は正しくない。細かい

・選択肢4:建替え等円滑化法第56条第1項に「建替組合設立認可の公告があったときは、施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者は、そ公告があった日から起算して三十日以内に、建替組合に対し、権利の変換を希望せず、自己の有する区分所有権又は敷地利用権に代えて金銭の給付を希望する旨を申し出ることができる」と規定されており設問は正しい

≪答え≫ 

 マンションの建替えの円滑化等に関する法律(「建替え等円滑化法」と略す)に関する出題である。選択肢3では細かいことを問われているので条文を正確に記憶しておく必要がある。期限のも注意

 

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 20 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

 

1 高さ20mを超える建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効な避雷設備を設けなければならない。

 

2 高さ70cmを超える階段の部分には手すりを設けなければならず、手すりが設けられていない側には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない。

 

3 共同住宅の地上階における居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して1/7以上としなければならない。

 

4 各階の床面積がそれぞれ250㎡の5階建ての共同住宅の1階部分の用途をカフェーに変更しようとするときは、建築主事又は指定確認検査機関による確認を受けなければならない。

 

≪解説≫

・選択肢1:建築基準法第33条に「高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りでない」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢2:建築基準法施行令第25条各項に「高さ一メートル超の階段の部分には手すり設けなければならず、階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く。)には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない」と規定されており設問は誤っている。細かいところがあるが高さ70cm超ではなく1mである

 

・選択肢3:建築基準法第28条第1項に「住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあっては七分の一以、その他の建築物にあっては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない」と規定されており設問は正しい。なお、同条第2項には「居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない」と規定されており、七分の一や二十分の一はよく問われるところである

 

・選択肢4:建築基準法第87条第1項により「建築物の用途を変更して200㎡を超える床面積の特殊建築物のいずれかとする場合には、建築主事又は指定確認検査機関による確認が必要となる」と規定されている。本肢では、250㎡の1階部分の用途をカフェー(特殊建築物)に変更しようとしているので、建築確認が必要となるので設問は正しい

 

≪答え≫ 

 建築基準法及び建築基準法施行令に関する出題である。各選択肢とも細かい数値を問われているので主な数値を記憶しておく必要がある

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 21 〕 市街化区域及び市街化調整区域に関する次の記述のうち、都市計画法の規定によれば、誤っているものはどれか


1 都市計画区域については、必ず市街化区域と市街化調整区域との区分を定めるものとされている。


2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされている。


3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とされている。


4 市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとされ、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている。

 

≪解説≫

・選択肢1:都市計画法第7条第1項に「都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域市街化調整区域との区分(以下「区域区分」という。)を定めることができる」と規定されており、「定めるもの」とは規定されていないので設問は誤っている

・選択肢2:都市計画法第7条第2項に「市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする」と規定されており設問は正しい

・選択肢3:都市計画法第7条第3項に「市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする」と規定されており設問は正しい

・選択肢4:都市計画法第13条第1項7号に「市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする」と規定されており設問は正しい

≪答え≫ 

 都市計画法に関する出題である。基本的な問題なので容易に正答を得られる

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


問 22〕 貯水槽水道に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 水道事業用の水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業者から供給される水のみを水源とするもので、水槽の有効容量の合計が10立方m以下の水槽が設置されている水道は貯水槽水道ではない。

2 水槽の有効容量の合計が10立方mを超える貯水槽水道の設置者は、水槽の掃除を1年以内ごとに1回、定期に、行わなければならない。

3 水槽の有効容量の合計が10立方mを超える貯水槽水道の設置者は、1年以内ごとに1回、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。

4 水道事業者は、必要に応じて、貯水槽水道の管理責任及び管理の基準並びに貯水槽水道の管理の状況に関する検査について、供給規程に定めなければならない。

≪解説≫

・選択肢1:水道法第14条第2項5号に「貯水槽水道は水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。」と規定されており、規模により①簡易水道(10立方m超)、②簡易専用小水道(5立方m超10立方m以下)、③受水槽水道(5立方m以下)と分類される。従って、10立方m以下の水槽が設置されている水道は貯水槽水道であり設問は誤っている

・選択肢2:水道法第34条の2第1項及び同施行規則第55条により「簡易専用水道の設置者は、水槽の掃除を1年以内ごとに1回定期的に行わなければならない。」と規定されており設問は正しい

・選択肢3:水道法第34条の2 第2項に「簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、1年以内ごとに、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。」と規定されており設問は正しい

・選択肢4:水道法施行令第12条の4第2号に「水道事業者は必要に応じ、貯水槽水道の管理責任、管理の基準及び検査について供給規程を定めなければならない。」と規定されており設問は正しい

≪答え≫ 

 水道法の貯水槽水道に関する出題である。これも基本的な問題なので容易に正答を得られる

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


 

問 23〕 マンション(居住者50人)の管理について権原を有する者(この問いにおいて「管理権原者」という。)及び防火管理者に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 管理権原者は、防火管理者を解任したときは、遅滞なく、その旨を消防長(消防本部を置かない市町村にあっては市町村長。)又は消防署長に届け出なければならない。

2 管理権原者は、甲種防火管理講習の課程を修了した者等の政令で定める資格を有する者の中から防火管理者を選任しなければならない。

3 管理権原者は、防火管理者を選任する場合、管理組合の役員又は組合員から選任するものとされ、管理業務を委託している管理会社等からは選任することができない。

4 管理権原者は、マンションの位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況に応じ、防火管理者に消防計画を作成させ、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練を行わせなければならない。

≪解説≫

    

・選択肢1:消防法第8条第2項に「管理権原者を有する者は、防火管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長(消防本部を置かない市町村にあっては市町村長。)又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。」と規定されており設問は正しい

・選択肢2:消防法施行令第1条の2により「管理権原者は、甲種防火管理講習の課程を修了した者等の政令で定める資格を有する者の中から防火管理者を選任しなければならない」と規定されており設問は正しい。なお、甲種防火管理講習修了者は500㎡以上甲種防火対象物を対象とし500㎡未満は乙種防火管理講習修了者でよい

・選択肢3:消防法施行令第3条第1項により「管理権原者は、防火管理者を選任する場合、管理組合の役員又は組合員から選任するものとされ、管理業務を委託している管理会社等からは選任することができる。」とされており設問は誤っている

・選択肢4:消防法第8条第1項に「マンションの位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況に応じ、防火管理者に消防計画を作成させ、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練を行わせなければならない。」とされており設問は正しい

≪答え≫ 

  消防法及び同法施行令の防火責任者に関する出題である。これも基本的な問題なので容易に正答を得られる。なお、消防法は27年9月の改正で第8条の2第1項に統括防火管理者(高さ30mを超える建築物やその他政令で定める防火対象物でその管理について権原が分かれているもの又は地下街でその管理について権原が分かれているもののうち消防署長が指定するものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちからこれらの防火対象物の全体について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者)を設置することが規定されているので注意の事

 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 

問 24〕 マンションの照明設備に係る防犯上確保すべき床面における平均水平面照度に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか

 

1 共用廊下・共用階段の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね20ルクス以上を確保する。

2 共用玄関の存する階のエレベーターホールの照明設備は、床面において概ね50ルクス以上を確保する。

3 共用玄関以外の共用出入口の照明設備は、床面に布いて概ね10ルクス以上を確保する。 

4 駐車場の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、床面において概ね3ルクス以上を確保する。

≪解説≫

 

・選択肢1:指針第3-2(6)イにより当選択肢設問記載の通りであり設問は正しい

・選択肢2:指針第3-2(4)イにより当選択肢設問記載の通りであり設問は正しい

・選択肢3:指針第3-2(1)エに「共用玄関以外の共用出入口の照明設備は、床面において概ね20ルクス以上を確保する。」と規定されており設問は正しくない

・選択肢4:指針第3-2(8)イにより選択肢設問記載の通りであり設問は正しい

≪答え≫ 

 「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針」(「指針」と略す)に関する出題である。ルックスの数値は暗記しておく必要がある。数字を覚えていれば容易に正答を得られる
 

  【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】


 問25~問33の9問は標準管理規約に関する出題である。いずれも当該規約に規定されているかどうかを問うているのでよく当該規約の条文及びコメントを熟読しておく事。なお、当該規約は平成28年3月に大幅に改正されているので全文を熟読しておく事。関連する部分は下記解説に特記してある。


 

問 25〕 標準管理規約を採用している管理組合の業務について、当該規約を改正しなければ行うことのできないものは、次のうちどれか。

 

1 空きがでてきた駐車場を専有部分の賃借人に賃貸することができるようにすること。
                             

2 第三者が屋上に広告塔を設置することを認めること。

3 管理組合が共用部分である給水管の本管と専有部分である枝管とを一体として取替える工事を行うこと。

4 共用部分である開口部につき、防犯等の住宅の性能の向上に資するための工事を、管理組合が計画修繕として速やかに実施できないときに区分所有者がその責任と負担において実施できるようにすること。

≪解説≫

・選択肢1:標準管理規約第16条第2項に「管理組合は、総会の決議を経て、敷地及び共用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く。)の一部について、第三者に使用させることができる」と規定されており第三者に駐車場を賃貸するためには規約に駐車場を含めるよう規約を改正する必要があるので当設問は規約を改正しなければ行うことのできない

・選択肢2:標準管理規約第16条第2項に「管理組合は、総会の決議を経て、敷地及び共用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く。)の一部について、第三者に使用させることができる」と規定されており、また、同条コメント②に「2項の対象となるのは、広告塔、看板等である」とコメントされており当設問は規約改正は不要である

・選択肢3:標準管理規約第21条第2項に「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」と規定されており、また、同条コメント⑦に「第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある」とコメントされて当設問は規約の改正は不要である。なお、同規約第21条及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されているので目を通しておく事

・選択肢4:標準管理規約第22条第2項に「区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することについ細則を定めるものとするができる」と規定されており当設問は規約の改正は不要である。なお、同規約第22条及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で若干追加されているので目を通しておく事

≪答え≫ 

 標準管理規約の管理等に関する出題である。「当該規約を改正しなければ行うことのできない」とは「規約に別段の定めをすることができる」と解釈して回答に当たること

 【トップへ戻る】 【年度別目次】 【テーマ別索引1】 【テーマ別索引2】

 


【問26~問50へ】