平成22年マンション管理士試験問題解説(2)
問26 | 標準管理規約(修繕) | ||||||
問27 | 標準管理規約(管理組合) | 問33 | 標準管理規約(複合用途型) | 問39 | 大規模修繕(維持管理) | 問45 | 設備総合 |
問28 | 標準管理規約(管理) | 問34 | 会計(仕訳) | 問40 | 供給方式 | 問46 | 適正化法(マンション管理士) |
問29 | 標準管理規約(管理組合) | 問35 | 収支報告書・貸借対照表 | 問41 | 建築構造(マンション) | 問47 | 適正化化法(管理業者) |
問30 | 標準管理規約(管理) | 問36 | 大規模修繕(劣化対策) | 問42 | 大規模修繕(建築材料) | 問48 | 適正化法(業務主任者) |
問31 | 標準管理規約(管理組合) | 問37 | 大規模修繕(劣化対策) | 問43 | 給水設備 | 問49 | 適正化法(管理業者) |
問32 | 標準管理規約(管理) | 問38 | 長期修繕計画ガイドライン | 問44 | 排水設備 | 問50 | 適正化法(管理業者) |
〔問26〕大規模修繕工事を行う予定の管理組合から相談を受けたマンション管理士が、3年後の大規模修繕工事の実施に向けて説明した次の内容のうち、標準管理規約の 規定によれば、適切なものはどれか。
1 大規模修繕工事の実施に当たっては、修繕委員会を設置し、専門家の参加を求めて特定の課題を調査検討させ、その結果を総会に具申させるという方法をとることができます。
2 大規模修繕工事に要する費用については、修繕積立金では不足することから、必要な範囲の借入金で賄うことになりますが、その場合は、組合員総数及び議権総数のそれぞれ3/4以上の総会の決議が必要となります。
3 大規模修繕工事において、共用部分の配管と構造上一体となった専有部分の配管の取替えが必要となった場合の専有部分に係る費用については、各区分所有者が実費に応じて負担することとなります。
4 大規模修繕工事に際し、専有部分への必要な範囲内での立入りが避けられない場合がありますが立入りをした箇所の原状復旧については、各区分所有者に行っていただきます。
・選択肢1:標準管理規約第35条第2項に「専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する」と規定されており、その結果を直接総会に具申させることはないので設問は適切でない。
・選択肢2:標準管理規約第48条第6号に「特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しは総会の決議(普通決議)を経なければならない」と規定されており特別決議は必要でないので設問は適切でない。3/4以上又は4/5以上の総会の決議が必要な議事は何かを整理しておく事。
・選択肢3:標準管理規約第21条コメント⑧に「配管の清掃等に要する費用については、管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである」とコメントされており当設問は適切である。なお、同規約第21条本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
・選択肢4: 標準管理規約第23条第1項に「敷地・共用部分の管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる」と規定されており、また、同規則第23条第5項に「立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない」と規定されており、併せて設問は適切でない。
緊急の場合でも同様。同規約第23条本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で若干追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。≪答え≫ 3
〔問27〕 管理組合の運営等に係る各種書類の作成、保管等に関する次の記述のうち、標準管理規約の規定によれば、適切なものはどれか。
1 組合員から組合員総数及び議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して招集された臨時総会の議事録は、その総会で、役員以外の組合員から選任された議長が、議事録を作成し、保管することになる。
2 理事会議事録には、議事の経過の要領及び結果を記載し、議長である理事長と、理事会に出席した理事で議長が指名した者1人及び監事1人がそれぞれ署名押印しなければならない。
3 会計帳簿や什器備品台帳は、会計担当理事がいる場合であっても、理事長が作成し、保管しなければならない。
4 規約が規約原本の内容から総会決議により変更されたときは、当該規約の変更に係る総会の議事録を変更前の規約原本に添付することにより、新たな規約原本とすることができる。
・選択肢1:標準管理規約第44条第3項に「臨時総会においては、議長は、総会に出席した組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する」と規定されており、また、同条第1項及び第3項に「総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない」と規定されており、選択肢設問にある「役員以外の組合員から選任された議長が、議事録を作成し、保管することになる。」は適切でなく設問は適切でない。
・選択肢2:標準管理規約第49条第2項に「議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない」と規定されており、選択肢設問にある「議長である理事長と、理事会に出席した理事で議長が指名した者1人及び監事1人がそれぞれ署名押印しなければならない」とは規定されておらず設問は適切でない。
・選択肢3:標準管理規約第64条第1項に「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない」と規定されており設問は適切である。同規約第64条本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
・選択肢4: 標準管理規約第72条第3項に「規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面又は電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載又は記録し、署名押印又は電子署名した上で、この書面又は電磁的記録を保管する」と規定されており、選択肢設問に記載されているような規定はないので設問は適切でない。同規約第72条本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で若干追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
≪答え≫ 3
〔問28〕 組合員ではないA~Dが、事前の連絡もなく総会会場へ来て、総会への出席を求めてきた場合において、出席を認めなければならないものは、標準管理規約の規定によれば、次のうちどれか。ただし、A~Dは、理事会において総会に出席する必要があると認められた者ではないものとし、総会の招集手続きに瑕疵はないものとする。
1 組合員甲の代理人として、隣室の組合員の同居人Dが、甲からの委任状を理事長に提出して出席を求めてきた場合
2 管理費の増額を議案とする総会において、当該増額により賃借料の値上げを余儀なくされるとする専有部分の賃借人Bが、意見を述べたいとして出席を求めてきた場合
3 組合員から、総会での発言と議決権の行使を依頼された近隣に居住する弁護士Cが、委任状を理事長に示して、代理人として出席を求めてきた場合
4 区分所有者ではなくなったにもかかわらずその旨の届け出を出していないAが届出を出していない以上出席資格があるとして出席を求めてきた場合
・選択肢1:標準管理規約第46条第4項及び第6項に「組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。また、組合員又は代理人は、代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない」と規定されており、たとえ、当日、委任状を持参しても出席を認めなければならない。同規約第46条本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。なお、平成28年3月改正の標準管理規約の第46条第5項でその組合員の住戸に同居する親族しか議決権を行使できないので当選択肢は出席を認める必要はない
・選択肢2:標準管理規約第45条第2項に「区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる」と規定されているが、管理費の増額を議案とする総会において、専有部分の賃借人Bが、意見を述べたいとし出席を求めてきても出席を認める必要はない。
・選択肢3:標準管理規約第46条第5項に「組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、①その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族、②その組合員の住戸に同居する親族、③他の組合員」と規定されており出席を認める必要はない。なお、この規定は平成28年3月改正の標準管理規約で追加されたものであり、それまでは代理人に関する制限はなかったので近隣に居住する弁護士が委任状を持参すれば出席は認められた。同規約第46条の本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。
・選択肢4:標準管理規約第30条に「組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する」と規定されており、たとえ、届出がなくても区分所有者でなくなったときに組合員の資格を失うので出席を認める必要はない。
≪答え≫ 該当なし
標準管理規約の総会に関する出題である。同規約「第4節 総会」を一通り目を通しておけば容易に正答を得られる。
〔問29〕 管理組合の役員の選任に関する次の記述のうち、標準管理規約の規定によれば、適切なものはどれか。
1 30階建てマンションの役員の選任について、役員選任細則で「1階から10階、11階から20階、21階から30階の三層ごとの組合員から、それぞれ推薦により選出された役員候補を総会で選任する。」と定めることができる。
2 役員が任期中に欠けた場合には、理事会が決定した補欠役員候補者について賛否を問う回覧板を回し、反対者がいても組合員数の過半数の賛成があれば補欠の役員とすることができる。
3 総会では、その合計人数に相当する役員を、役員の職務を決めずに選任し、その役員の互選により理事長、会計担当理事、理事及び監事を決定することができる。
4 総会で、定員より多い役員候補者を被選挙人として、各組合員一票の選挙を行い、得票数の多い者から順に定員に達するまで、比較多数を得た者を役員として選任することができる。
・選択肢1:標準管理規約第35条第2項に「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と規定されており、この原則が守られていれば管理組合の状況に応じてどのような方法で選出するかは自由なので設問は適切である。
・選択肢2:標準管理規約第50条第3項に「規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員の全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす」と規定されており、選択肢設問にある賛否を問う回覧板を回し反対者がいれば補欠の役員とすることができないので設問は適切でない。
・選択肢3:標準管理規約第35条第2項に「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と規定されており、選択肢設問にある「役員の職務を決めずに選任し、その役員の互選により理事長、会計担当理事、理事及び監事を決定することができる」は監事が含まれているので設問は適切でない。
・選択肢4: 標準管理規約第35条第2項に「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と規定されており、また、同規約第47条第2項に「総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する」と規定されており設問は適切でない。常識で判断できる。なお、同規約第35条本文及びコメント及び第47条本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
≪答え≫ 1
標準管理規約の役員の選出に関する出題である。選択肢2の書面決議についてはよく理解しておく事。他は容易に正答を得られる
〔問30〕 分譲後20年以上経過した甲マンションでは、高齢化等により利用者が少なくなったこともあり、老朽化した機械式立体駐車場を撤去しそこに平面駐車場を設ける計画がある。この場合の問題点に関するマンション管理士の理事会における次の発言のうち標準管理規約の規定によれば、適切でないものはどれか。ただし、機械式立体駐車場は敷地上にあり、組合員の共有に属するものとする。
1 駐車場としては同じですが、機械式立体駐車場から平面駐車場への変更については、大規模で著しい加工を伴いますので、総会で組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議が必要です。
2 機械式立体駐車場使用料は駐車場会計として独立した会計処理が行われていましたが、平面駐車場使用料については、その管理に要する費用に充てて残額は、修繕積立金として積み立てることにします。
3 機械式立体駐車場利用細則を廃止するとともに、平面駐車場の管理方法、使用料等に関する平面駐車場利用細則を制定する場合には、それぞれ総会の決議によることとなります。
4 機械式立体駐車場から平面駐車場への変更については、専門家を加えた専門委員会を設置し検討することとし、同委員会の運営細則を理事会で制定すべきです。
・選択肢1:標準管理規約第47条コメント⑤カ)に「集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により実施可能と考えられる」と規定されており設問は適切である。
特別多数決議とは組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議をいう。なお、同規約第47条及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で若干追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
・選択肢2:標準管理規約第29条コメントに「機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる」と規定されており、機械式駐車場使用料を管理費、修繕積立金と区分して経理することは妥当であるが、平面駐車場に変更により管理費、修繕積立金の経理に組み込むことは可能である。従って、当設問の「平面駐車場使用料についてその管理に要する費用に充てて残額は、修繕積立金として積み立てることとする」ことは適切であり設問は適切である。
・選択肢3:標準管理規約第48条第4号に「使用細則等の制定、変更又は廃止は総会の決議事項」と規定されており設問は適切である。
・選択肢4: 標準管理規約第55条コメント①に「専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる」と規定されており、運用細則は理事会では制定できず総会の決議が必要なので設問は適切でない。
≪答え≫ 4
標準管理規約の駐車場に関する出題である。選択肢3,4の細則の制定、廃止に関する決議方法につい
〔
問31〕理事長がその職務を行うに当たって、理事会の決議を経て行わなければならないものは、標準管理規約の規定によれば、次のうちどれか。
1 組合員が理事長に対し、組合員総数及び議決権総数の1/5以上に当たる組合員の同意を得て、監事の解任を目的とする総会の招集を請求した場合において、総会招集通知を発すること。
2 第三者である運転者の過失による自動車事故により、マンションの外壁に損害が生じた場合において、原状回復のための必要な措置の請求に関し、当該運転者に対して訴訟その他法的措置をとること。
3 落雷により共用部分である電気設備について生じた損害について、管理組合が締結していた損害保険契約に基づき保険金額を請求し、受領すること。
4 専有部分の賃借人から、理由を付した書面により組合員名簿の閲覧請求があった場合において、請求された書面を閲覧に供すること。
・選択肢1:標準管理規約第44条第1項に「組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない」と規定されており理事会の決議は不要である。
・選択肢2:標準管理規約第67条第3項1号に「区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、行為の差止め、排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる」と規定されており理事会の決議は必要である。
・選択肢3:標準管理規約第24条第2項に「理事長は、火災保険、地震保険その他の損害保険の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する」と規定されており理事会の決議は不要である。
・選択肢4:標準管理規約第64条第1項に「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない」と規定されており理事会の決議は不要である。 同規約第64条の本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており通読しておくこと。
≪答え≫ 2
標準管理規約の理事長の職務に関する出題である。理事長の職務について理事会の決議が必要か否かについて確認しておく事
〔問32〕 施設担当の理事が、大規模修繕工事を行うため建物の事前調査を実施していたところある専有部分に面するバルコニーにおいて、避難ハッチを塞ぐようなかたちで大型物置が設置されているのを見つけた。それに対する管理組合の対応を協議するための理事会におけるマンション管理士の次の発言のうち、標準管理規約の規定によれば、適切でないものはどれか。
1 使用細則には「バルコ二一に大型の物件等を設置してはならない。」という明文の規定がありませんが、大型物置の撤去を請求することができます。
2 賃貸人である区分所有者に無断で、専有部分の賃借人が大型物置を設置した場合は、賃貸人である区分所有者に対しては責任を問うことはできません。
3 大型物置の撤去に関するマンション管理士への相談料については、管理費から支出することができます。
4 大型物置の設置の撤去を求める法的措置を行う場合、それに要する弁護士費用については、違約金として相手方に請求することができます。
・選択肢1:標準管理規約第66条に「区分所有者又は占有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、必要な措置をとることができる」と規定されており、大型物置の撤去は請求できるので当設問は適切である。
・選択肢2:標準管理規約第67条第2項に「区分所有者は、その同居人又はその所有する専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が前項の行為を行った場合には、その是正等のため必要な措置を講じなければならない」と規定されており、賃貸人である区分所有者に対して責任を問うことができるので当設問は適切でない。
・選択肢3:標準管理規約第27条9号に「専門的知識を有する者の活用に要する費用は管理費から支出できる」と規定されており当設問は適切である。同規約第27条は平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
・選択肢4:標準管理規約第60条第2項に「組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる」と規定されており当設問は適切である。 同規約第60条の本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
≪答え≫ 2
標準管理規約の使用義務違反に関する出題である。使用義務違反に関する基本的な設問なので容易に正答を得られる。
〔問33〕 住居・店舗併用の単棟型マンショシ(この問いにおいて「複合用途型」という。)及び住居専用のマンションが数棟所在する団地型マンション(この問いにおいて「団地型」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法、マンション標準管理規約(複合用途型)及びマンション標準管理規約(団地型)の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、一部共用部分は、ないものとする。
1 団地型において、区分所有法第57条に基づき共同利益背反行為の停止請求の訴訟を提起するとともに訴えを提起すべき区分所有者を選任する場合、停止請求の対象となる者の居住する棟の総会の決議による。
2 複合用途型において、店舗部分の区分所有者で組織される店舗部会も、住宅部分の区分所有者で組織される住宅部会も、いずれも区分所有法に定める集会である。
3 団地型において、棟の建物の価格の1/2を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分を復旧する決議は、当該棟の総会において、組合員総数及び議決権総数の各3/4以上で決する。
4 複合用途型において、店舗部分の利用に関する規約を制定する場合、総会において、組合員総数及び議決権総数の各3/4以上の決議を得なければならない。
・選択肢1:標準管理規約(団地型)第72条に「棟総会の決議を経なければならない」と規定されており設問は適切である。同条に下記事項については棟総会の議決を経なければならないと規定されているのでマークの事。よく出題される。
① 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
② 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
③ 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
④ 建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し
⑤ 区分所有法第62条第1項の場合の建替え
⑥ 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと
・選択肢2:標準管理規約(複合用途型)第60条コメント①に「住宅部会及び店舗部会は管理組合としての意思を決定する機関ではないが、それぞれ住宅部分、店舗部分の一部共用部分の管理等について協議する組織として位置づけるものである」と規定されており設問は適切でない。
・選択肢3:標準管理規約(団地型)第73条第1項に「棟の建物の価格の1/2を超える部分が滅失した場合棟総会の議事は、その棟の区分所有者総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する」と規定されており設問は適切である。
・選択肢4: 標準管理規約(複合用途型)第51条第3項1号に「規約の制定、変更又は廃止に関する事項に関する総会の議事は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する」と規定されており設問は適切である。なお、同規約第51条の本文及びコメントは平成28年3月改正の標準管理規約で大幅に追加されており一読しておくこと。当選択肢設問には直接関係がない。
≪答え≫ 2
標準管理規約(複合用途型)及び標準管理規約(団地型)の総会等に関する出題である。よく出題されるところなので標準管理規約(単棟型)と比較してマスターしておく事
〔問34〕 甲マンション管理組合の平成21年度(平成21年4月1日~平成22年3月31日)の決算を迎えるに当たって、会計担当理事が未払金の内訳を検証したところ、既に工事が終了し、代金も支払済みであるはずのA工事業者に対する修繕工事費、10,000円が未払金残高として残っていることが判明した。会計担当理事が調査したところ、工事完了時に未払金が計上され、平成22年3月にA工事業者に対して現金で支払が行われていたが、支払時の仕訳において相手科目を修繕費としてしまったことが判明した。その場合の平成21年度決算に当たっての修正仕訳として適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとする。
① 平成22年3月にA工事業者に対して現金で未払金の支払いが行われたので、支払い時に本来すべきあれば振替の仕訳は以下の通りである。
(借方) |
(貸方) |
未払金 10,000 |
現金 10,000 |
② この際、現金の支払いに対する相手方科目を修繕費とする下記のような誤った仕訳をした。
(借方) |
(貸方) |
修繕費 10,000 |
現金 10,000 |
③ ②の仕訳の逆仕訳を行う。
(借方) |
(貸方) |
現金 10,000 |
修繕費 10,000 |
④ 正しい仕訳を行う。①と同じである。
(借方) |
(貸方) |
未払金 10,000 |
現金 10,000 |
⑤ ③の逆仕訳と④の正しい仕訳を合算して平成21年度決算に当たっての修正仕訳を得る。
(借方) |
(貸方) |
未払金 10,000 |
修繕費 10,000 |
≪答え≫ 4
〔問35〕 甲マンション管理組合の理事会において、会計担当理事が平成21年度(平成21年4月1日~平成22年3月31日)決算の管理費会計の比較貸借対照表について行った次の説明のうち、収支報告書又は貸借対照表に関する説明として適切でないものは、次のうちどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。
1 平成21年度収支報告書の次期繰越収支差額は700,000円であり、当期収支差額は100,000円のプラスでした。
2 平成21年度収支報告書の管理費収入は予算を下回っていますが、管理費の未収金の増加が前受金の増加より大きかったことが原因です。
3 未収金がいくら増加したかどうかは、収支報告書ではわかりません。
4 平成20年度に比較して平成21年度では現金預金が減少していますが、未払金が減少したことは、減少要因の一つです。
・選択肢1:下記手順で考察し平成21年度の当期収支差額は10万円のプラスなので設問は適切である
①資金範囲外の取引はないので収支報告書の次期繰越収支差額は貸借対照表の正味財産と一致する。従って、21年度の次期繰越収支差額は70万円となる。
②また、次期繰越収支差額=当期収支差額+前期繰越収支差額となる。従って、21年度の前期繰越収支差額は20年度の次期繰越収支差額なので貸借対照表から60万円である。
③よって、次期繰越収支差額(70万円)=当期収支差額+前期繰越収支差額(60万円)から当期収支差額は10万円のプラスとなるので当設問は適切である。
・選択肢2:収支報告書の管理費収入は発生主義で計上されるので管理費の発生と未収金及び前受金の増減とは連動しないので設問は適切でない。発生主義が分かっていれば問を見ただけで分かる。
・選択肢3:未収金は貸借対照表の勘定科目であり収支報告書には計上されないので未収金がいくら増加したかは収支報告書ではわからないので設問は適切である。
・選択肢4:現金預金を未払金の支払に充当すれば資産としての現金預金は減少し負債としての未払金も減少するので、平成21年度の現金預金の減少は未払金の減少が一つの要因なので設問は適切である。
≪答え≫ 2
貸借対照表を示して収支報告書との関連を問う出題である。平成23年問35に同種の問がる出題されており、この問いの各選択肢が解けないと平成23年問35の理解が不十分なので本問も含め十分復習する事。
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〔問36〕 マンションの建物に関わる法令に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」においては、既存住宅の性能評価項目の一つとして、建物の劣化の状況を評価した現況検査が含まれる。
2 「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」においては、住宅瑕疵担保責任保険法人の行う業務の一つとして、既存マンションの大規模修繕工事に係る瑕疵に関する保険契約の引受けを定めている。
3 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」においては、長期優良住宅建築等計画の認定基準として、建築後の住宅の維持保全の期間を25年以上と定めている。
4 「建築基準法」においては、昇降機で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)は、当該昇降機について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一定の資格を有する者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならないと定めている。
・選択肢1:「品確法」第5条関連で平成18年国土交通省告示第1192号「日本住宅性能表示基準」に選択肢設問に記載されている規定されており設問は正しい
・選択肢3:「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」第6条第1項4号ロに「長期優良住宅建築等計画の認定基準として、建築後の住宅の維持保全の期間を30年以上と定めている」ので設問は誤っている。25年以上でなく30年以上である
≪答え≫ 3
マンションの建設に係る法令に関する出題である。諸法令に規定されているかを問うものであるが法令の詳細を問われており難しい。選択肢3の数値について気が付けばベターだが
〔問37〕 マンションの建物(鉄筋コンクリート造)に生じた劣化や不具合の現象とその原因について、適切でないものはどれか。
1 さび汚れは、コンクリートの中性化が原因の一つと考えられる。
2 ひび割れは、建物の不同沈下が原因の一つと考えられる。
3 床のたわみは、コンクリート強度の不足が原因の一つと考えられる。
4 ホップアウトは、コンクリートの乾燥収縮が原因の一つと考えられる。
・選択肢1:さび汚れは鉄筋のさびが流れ出し、仕上げ材又はコンクリートの表面に付着した状態でコンクリートの中性化が原因の一つと考えられるので設問は適切である
・選択肢2:ひび割れは、建物の不同沈下が原因の一つと考えられる設問は適切である。不同沈下とは建物が不揃いに沈下を起こすことを言い、家全体が均等に沈下するのではなく一方向に斜めに傾くような状態のことでこのような状態になるとコンクリートにひび割れが生じる
・選択肢4:ホップアウトはコンクリート内部の鉄筋の腐食による膨張圧によりコンクリートの表面が剥がれ落ちる状態であり、乾燥収縮が原因でないので設問は適切でない
≪答え≫ 4
マンションの劣化の原因に関する出題である。専門的な知識がないと回答に迷うところだが、このような場合は明らかに適切、不適切な選択肢を見出すのがコツである。
〔問38〕 マンションの建物の調査・診断に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 タイルの浮きの調査を行うに当たって、打診調査と赤外線調査を併用し、同一箇所において両者の調査結果を照合した。
2 シーリング材の劣化状況の調査に当たって、目視による劣化度の調査のほか必要に応じてシーリング材の一部を切断して試験体を作り、引張り試験を行った。
3 コンクリートの中性化深さの調査に当たって、コア抜きしたコンクリートにフェノールフタレイン溶液を噴霧し、赤色に変化した部分を中性化部分として測定した。
4 外壁塗装の白亜化(チョーキング)の調査に当たって、指先や手のひらで塗装部分に触って付着する塗料の粉の状態で、劣化の程度を判断した。
・選択肢1:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢2:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢3:フェノールフタレイン溶液はアルカリ側で赤色に変化し酸性側では無色である。設問は適切でない。選択肢設問の「赤色に変化した部分を中性化部分として測定した。」は適切でないので設問は適切でない
・選択肢4: 選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
≪答え≫ 3
マンションの建物の調査・診断に関する出題である。診断に関する基本的な事項をマスターしていれば容易に正答を得られる
〔問39〕 マンションの維持管理に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用できる条件として、修繕積立金が1年以上定期的に積み立てられており、管理費や組合費と区分して経理されていること、修繕積立金の滞納割合が10%以下であること等が挙げられている。
2 マンション管理適正化法第103条に規定する宅地建物取引業者が交付しなければならないマンションの設計に係る図書には、工事が完了した時点の構造計算書及び構造詳細図が含まれる。
3 「長期修繕計画作成ガイドライン」(平成20年6月国土交通省公表)では長期修繕計画の作成(見直しを含む。)の前提条件として、推定修繕工事は、建物及び設備の機能を新築時と同等水準に維持回復させる修繕工事を対象とし、性能を向上させる改修工事は対象としないこととしている。
4 「長期修繕計画作成ガイドライン」(平成20年6月国土交通省公表)では、長期修繕計画の計画期間について、新築マンションの場合は30年以上、既存マンションの場合には25年以上とされており、これは大規模修繕工事が2回行われることが想定されている。
・選択肢1:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である。平成23年度問23に類似問題が出題されており「マンション共用部分リフォーム融資」と「マンションすまい・る債」の利用条件を確認しておく事
・選択肢2:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である。「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」の第102条に規定されているので確認しておく事
・選択肢3:長期修繕計画作成ガイドラインの第2章第1節2の二に「推定修繕工事は、建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、回復させる修繕工事を基本とするが、区分所有者の要望など必要に応じて、建物及び設備の性能を向上させる改修工事を設定する」と規定されており設問は適切でない
・選択肢4: 長期修繕計画作成ガイドラインの第3章第1節5に「
長期修繕計画期間は、新築マンションの場合は、30年以上とし、既存マンションの合は、25年以上とします」と設定されており設問は適切である
≪答え≫ 3
マンションの維持管理に関する出題である。ここも選択肢1を除いて基本的な事項である。
〔問40〕 マンションの供給方式に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 センチュリー・ハウジング・システムは、長期間にわたり快適に住み続けられる住宅を提供するための設計・生産・維持管理にわたるトータルシステムの考え方である。
2 スケルトン・インフィル住宅は、建物を躯体と内装・設備に分離して計画する方式で、維持・補修、交換・更新等の容易性が確保されるように配慮されている。
3 環境共生住宅は、地域の特性に応じ、エネルギー、資源、廃棄物等の面で適切な配慮がなされるとともに、暖冷房設備を設置しなくても快適に生活できるように工夫された住宅をいう。
4 建物のコンバージョンは、既存のオフィスビルを改修してマンションとする等既存建物の利用目的を、別の用途に変えることをいう。
・選択肢1:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢2:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢3:選択肢設問に記載されている「暖冷房設備を設置しなくても」は適切でなく「暖冷房設備を設置して」が適切であり設問は適切でない。「暖冷房設備を設置しなくても快適に生活できる」ような住宅があればこれに越したことはないが
・選択肢4:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
≪答え≫ 3
マンションの供給方式に関する出題である。マンション管理の知識第4編第1章第1節 6に説明があるので目を通しておく事。これを読んでいなくても何となく不自然な記載のある選択肢があるので正答を得られる。
〔問41〕 平成7年6月に建設省(現国土交通省)が公表した「長寿社会対応住宅設計指針」及び「長寿社会対応住宅設計指針の補足基準」における傾斜路の基準に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 傾斜路は、できる限り1/8以下の勾配とする。
2 傾斜路は、高低差75cmごとに1.5m以上の踊り場を設ける。
3 傾斜路の手すりの設置高さは、床面から75cmを標準とする。
4 傾斜路の手すりの端部は、できる限り20cm以上水平に延ばす。
・選択肢1:選択肢設問に記載されている1/8は適切でなく1/12が適切なので設問は適切でない
・選択肢2:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢3:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢4: 選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
≪答え≫ 1
これは昔の建設省課長通達で通達された細かい数値の適・不適を問うものであり一般人は正答を得ることは難しい。時間があれば本問にある「「長寿社会対応住宅設計指針の補足基準」の「Ⅱ 指針第3(集合住宅の屋外空間及び共用部分の設計指針)について」に細かい数値が定められているので参照されたい。なお、この補足基準は(平成7年6月23日付け建設省住備発第68号 住宅局住宅整備課長通達)で通達されているものである。
〔問42〕 マンションの建物の耐震診断及び耐震改修に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 昭和56年6月より前の耐震基準(この問いにおいて「旧耐震基準」という。)により建設された鉄筋コンクリート造マンションのうち、昭和46年5月より前に建設されたものは、耐震診断及び耐震改修を行う必要性が一層高い。
2 1階部分に広い駐車場やピロティがある旧耐震基準により建設された鉄筋コンクリート造マンションは、構造耐力の向上を図るための耐震壁の増設・補強、柱のじん性(ねばり強さ)の向上を図るための柱の鋼板巻立て等の耐震改修を行う必要性が高い。
3 旧耐震基準により建設されたマンションについて、一定の方法による耐震診断がある場合は宅地建物取引業者は、宅地建物取引主任者にその内容を重要事項として購入者等に対して説明させることが必要である。
4 耐震改修を行う場合は、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき耐震改修計画の認定手続きを経た後、建築基準法に基づき建築確認の申請の手続きが必要である。
・選択肢1:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢2:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢3:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である。これは宅建業法施行規則第16条の4の3の五に規定されている。当然の事でしょう
・選択肢4: 耐震改正法第17条第10項に「耐震改修を行う場合は、 耐震改正法に基づき耐震改修計画の認定手続を経た後は、建築基準法に基づき確認済証の交付があったものとみなす。(条文の要約)」と規定されており、別途、建築基準法に基づき建築確認の申請の手続きが必要でないので設問は適切でない
≪答え≫ 4
マンションの建物の耐震診断・改修に関する出題である。ざっとみるとすべて適切であるとも受け取れるが、確実に適切であるものを消し込んでいき残されて選択肢が不適とする方法も考えられる。耐震診断・改修に関してはよく出題されるので法律面も含め十分復習しておく事。耐震改正法は平成25年11月に改正されており目を通しておく事。本問には直接、関係がない
〔問43〕 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 受水槽から給水管への逆流を防ぐには、流入口の端部からオーバーフロー管の下端(あふれ縁)までの吐水口空間を設ける必要がある。
2 水道用硬質塩化ビニル管は、耐衝撃性が高く、住戸内に使用されるさや管ヘッダー方式の給水配管として用いられる。
3 ポンプ直送方式の運転制御方法には、ポンプの運転台数を制御する方法と回転数を制御する方法がある。
4 給水器具の最低必要圧力は、一般の給水栓に比べ、ガス給湯器(22~30号)の方が高い。
・選択肢1:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢2:さや管ヘッダー方式の給水配管としては、水道用硬質塩化ビニル管ではなく架橋ポリエチレン管が適切なので設問は適切でない。水道用硬質塩化ビニル管は衝撃に弱く、高温にも弱く曲げにくいので、さや管ヘッダー方式の給水配管としては用いられていない
・選択肢3:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢4:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である。ちなみに一般の給水栓は30kPa、ガス給湯器(22~30号)は80kPa程度である
≪答え≫ 2
給水設備に関する出題である。パイプの材質についても知っておく必要がある。ここはマンション管理の知識第4編第2章第1節の「1 給水設備」に詳しく解説されているので参照する事
〔問44〕 マンションの設備計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 自然冷媒ヒートポンプ式給湯機は、エネルギー消費効率が高く貯湯タンクも必要としないので、省スペースが図れる。
2 浴室等で使用する第三種換気方式は、必要換気量を確保するため、換気扇の運転時に十分に給気を確保できるように給気口を設置する必要がある。
3 特殊継手排水システムは、複数の排水横枝管からの排水を一つの継手に合流させて排水させる機能があり、排水立て管の数を減らすことができる。
4 高置水槽方式の給水方式では、一般的に、高置水槽の有効容量は、1日の使用水量の1/10程度を目安に計画する。
・選択肢1:選択肢設問に記載されている事項は適切でなく
設問は適切でない。自然冷媒ヒートポンプ給湯機とは、エコキュートとも呼ばれる高効率の電気式給湯器のことでヒートポンプ技術を使い、空気中の熱を圧縮して利用することにより、従来の電気給湯器(電気温水器)と比較して高効率にお湯を作ることができる貯湯式の給湯システムである・選択肢2:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢3:選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
・選択肢4: 選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
≪答え≫ 1
〔
問45〕 マンションの消防用設備に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 連結送水管は、火災時に消防隊が到着するまでの間、居住者(自衛消防隊等)が消火活動を行うために使用される。
2 自動火災報知設備には、熱感知方式(定温式、差動式等)、煙感知方式(イオン化式、光電式等)等がある。
3 屋内消火栓設備において、易操作性1号消火栓及び2号消火栓は、火災時に1名でも操作ができる。
4 泡消火設備は、泡による窒息作用と冷却作用により消火する設備で、屋内駐車場等に設置される。
・選択肢1:
連結送水管は消防隊が消火活動で使用する設備であり設問は適切でない・選択肢2: 選択肢設問に記載されている事項は適切であり
設問は適切である・選択肢3: 選択肢設問に記載されている事項は適切であり
設問は適切である
・選択肢4: 選択肢設問に記載されている事項は適切であり設問は適切である
≪答え≫ 1
マンションの消防用設備に関する出題である。基本的な知識を尋ねる問であり消防施設を一通り勉強していれば容易に正答を得られる
問46~問50はマンション管理適正化法からの出題である。同法を正確に暗記していないと正答を得ることは難しいので何回も読み返すこと。満点を狙う事
〔問46〕
マンション管理士に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 国土交通大臣は、マンション管理士が、その信用を傷つけるような行為をしたときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。
2 国土交通大臣は、マンション管理士が、5年ごとに、国土交通大臣の登録を受けた者が国土交通省令で定めるところにより行う講習を受けなかったときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。
3 マンション管理士の試験に合格した者であっても、偽りその他不正の手段により管理業務主任者の登録を受け、その登録を取り消された者は、当該取消しの日から2年を経過しなければ、マンション管理士の登録を受けることができない。
4 国土交通大臣から期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、マンション管理士の名称を使用した者は、10万円以
下の過料に処せられる。
・選択肢1:マンション管理適正化法第33条第2項及び同法第40条に
選択肢設問のとおり規定されており設問は正しい
・選択肢2:マンション管理適正化法第33条第2項及び同法第41条に選
択肢設問のとおり規定されており設問は正しい
・選択肢3:マンション管理適正化法第30条第1項5号及び同法第65条第1項2号に選択肢設問のとおり規定されており設問は正しい
・選択肢4:マンション管理適正化法第109条に「マンション管理士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、マンション管理士の名称を使用した者は30万円以下の罰金に処する」と規定されており、罰金は「10万円以下」でないので設問は誤っている
≪答え≫
4
マンション管理適正化法の罰則等に関する出題である。数値が問われているので正確に暗記する事
〔問47〕
マンション管理業に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 マンションの区分所有者である管理者が、自ら当該マンションの管理事務を業として行う場合は、マンション管理業に該当しない。
2 2以上の区分所有者が存する居住の用に供する建物であるが、そのすべてが賃貸されている建物の管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うものは、マンション管理業に該当しない。
3 2以上の区分所有者が存する建物であるが、人の居住の用に供されていない建物の管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うものはマンション管理業に該当しない。
4 マンションの管理に関する事務であって、マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整が含まれないものは、管理組合から委託を受けて管理に関する事務を業として行うものであっても、マンション管理業に該当しない。
・選択肢1:
マンション管理適正化法第2条7号に「マンション管理業は管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう」規定されており設問は正しい・選択肢2:
マンション管理適正化法第2条1号イにより「二以上の区分所有者が存する建物でればすべてが賃貸されていても、管理組合から委託を受けて管理業務を業として行うものはマンション管理業に該当する」ので設問は誤っている
・選択肢3:
マンション管理適正化法第2条1号イにより「人の居住に供されていない建物はマンションに該当せず、その管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為を業として行うものはマンション管理業に該当しない」ので設問は正しい・選択肢4:マ
ンション管理適正化法第2条6号に「管理事務とはマンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう)を含むものをいう」と規定されている。従って、マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整が含まれない場合はマンション管理業に該当しないので設問は正しい
≪答え≫
2
マンション管理適正化法のマンション管理業者に関する出題である。マンションの定義についてもきちんと確認しておくこと
〔
問48〕 管理業務主任者に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 マンション管理業者は、既存の事務所がマンション管理適正化法第56条第1項の
管理業務主任者の設置に関する規定に抵触するに至ったときは、1月以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。2 管理業務主任者は、マンション管理適正化法第72条第1項に定める
重要事項の説明をするときは、説明の相手方に対し、必ず管理業務主任者証を提示しなければならない。3 管理業務主任者は、その登録が消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない。
4
40の管理組合(いずれも人の居住の用に供する独立部分が6以上のマンションとする。)から管理事務の委託を受けている事務所について、マンション管理業者が、当該事務所に置かなければならない成年者である専任の管理業務主任者の数は2名以上である。
・選択肢1:
マンション管理適正化法第56条第3項に「マンション管理業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない」と規定されており、選択肢設問の「1月以内に」でなく「2週間以内」なので設問は誤っている
・選択肢2:
マンション管理適正化法第72条第4項に「管理業務主任者は、重要事項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない」と規定されており設問は正しい
・選択肢3:管理業務主任者は、その登録が消除されたとき、又は管理業務主任者証がその効力を失ったときは、速やかに、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならないので設問は正しい
・選択肢4: マンション管理適正化法第56条第1項及び同法施行規則61条、62条に「管理業者は、その事務所ごとに30管理組合(人の居住の用に供する独立部位が6以上のマンション)に1人以上の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない」規定されており、管理組合の数が40なら2人の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならないので設問は正しい
≪答え≫ 1
マンション管理適正化法の管理業務主任者に関する出題である。数値を問われているので正確に記憶しておく事
〔問49
〕 マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものは、いくつあるか。
ア マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
イ マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類を、管理業務主任者をして作成させ、その事務所ごとに備え置かなければならない。
ウ マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、国土交通省令で定めるところにより、管理業務主任者をして帳簿を作成させ、これを保存しなければならない。
エ マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ区分所有者等全員に対し、説明会を開催して、管理業務主任者をして、重要事項について説明させなければならない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
・選択肢ア:
マンション管理適正化法第77条第1項に「マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない」と規定されており設問は正しい
・選択肢イ:
マンション管理適正化法第79条に「マンション管理業者は、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない」と規定されているが、管理業務主任者が作成するとの規定はないので設問は誤っている。管理業務主任者の役割を理解しておく事・選択肢ウ:
マンション管理適正化法第75条に「マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、帳簿を作成し、これを保存しなければならない」と規定されているが、管理業務主任者が作成するとの規定はないので設問は誤っている。管理業務主任者の役割を理解しておく事
・選択肢エ:
マンション管理適正化法第72条第2項に「マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない」規定されており、また、同法第72条第3項に「当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない」と規定されており、管理者等が置かれているときは、当該管理者等に対し、重要事項の書面を交付して説明をすればよいので設問は誤っている。従って、誤っている選択肢はイ、ウ、エの三つである。選択肢エはひっかけであるので注意の事
≪答え≫ 3
マンション管理適正化法の管理業者の業務に関する出題である。本問は「誤っているものは、いくつあるか。」を尋ねているので正誤を厳格に判断しなければならない。このような正誤の数を問う場合はひっかけ問題があるので注意の事
〔問50
〕 マンション管理業者Aが管理組合Bから委託を受けて、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第87条第2項第1号イに規定する「マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金等金銭を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金等金銭から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し換え、当該保管口座において預貯金として管理する方法」をとっている場合に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、BにはA以外の者が管理者として置かれているものとする。
1 Aは、いかなる場合であっても収納口座の名義人となることはできない。
2 Aは、マンションの区分所有者等から徴収される1月分の修繕積立金等金銭の額の合計額以上の額につき有効な保証契約(この問いにおいて「保証契約」という。)を締結していれば、保管口座の名義人となることができる。
3 Aは、保証契約を締結していれば、保管口座に係る印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理することができる。
4 Aは、Bを名義人とする収納口座に係る印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理する場合、保証契約を締結していなければならない。
・選択肢2:
管理業者は保証契約を締結していても保管口座の名義人になれないので設問は誤っている
・選択肢3:管理業者は修繕積立金等の金銭を管理する場合は、原則として
保管口座に係る印鑑、預貯金の引出用のカードその他これらに類するものを管理してはならないので設問は誤っている。収納口座であればOKである。ただし、管理組合に管理者等が置かれていない場合において、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する場合は管理できるが当選択肢設問では管理者が置かれているのでこの例外規定は適用されない
・選択肢4:選択肢設問記載事項はマンション管理適正化法施行規則の第87条第3項2号に規定されているので設問は正しい
≪答え≫ 4
マンション管理適正化法施行規則の第87条で規定する「財産の分別管理」に関する出題である。財産の分別管理はイ、ロ、ハの3通りがあるので具体的な方法を理解すると共に、保管口座と収納口座の名義人についても確認する事
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