予告終わりまぎわの沙絵の「あ゛」という濁点声がよい。
ところで、いまどきのお子さまが「ベーゴマ」なんて知ってるか?
ここには一ページほぼまるごと佐藤監督のおことばが掲載されている。
こういうものに何を書くかというのは、その演出家の気質や、その作品に対する姿勢、さらにはおかれている立場(たとえば初監督作品だと緊張しているのがありあり伝わってくる内容だったりする)がよくわかっておもしろい。作品によっては表に出さないのが花だったはずの演出意図をライナーに書いてしまう監督もいる。
そんななかで、この佐藤監督のコメントは、私にはいちばんよく「シンクロ」するものであった。
このコメントに書かれていることによると、最初の企画では、この作品は『エビデイ魔法使いTai!』というタイトルだったらしい。「エビデイ」というのは意味のないことばで、けっきょく「ジャマだし」という理由で……というよりたぶん商売上の理由からなんだろうが、削られたということである。どうせ「エビでTaiを釣る」とかそういう語呂合わせだったんだろう。
ここにはもうすこしまじめな話もあって、この作品の「気分」についてもコメントが出ている。それについてはここまでの文でもいちおう触れたし、これ以上は書かない。
ともかく、OVAというメディアの特徴は、購入した人すべてがこの解説を読むことができるということである。レンタル版はどうなっているのか(だいいちこの作品のレンタルって出てるの?)わからないが、ともかくこれはテレビとも映画ともちがったあり方である。テレビでは、テレビ雑誌や(アニメ作品ならば)アニメ雑誌などを別に買わないと、スタッフがその作品についてコメントしている内容など知ることはできない。放送局がとくに力を入れている番組ならば放送局自身が特集を組んでそれを放送してくれることもあるが、それは例外だ。また、映画でも、何百円か出してパンフレットを買わないことにはそのあたりのことはわからない。しかし、オリジナルビデオ作品は、スタッフのコメントを記したライナーを、鑑賞者の多くが無償で手にすることができる点にある。つまり、『魔法使いTai!』の視聴者は、これが「ドキドキ純情アニメ」として見られたいと思っている、「バレンタインデーにチョコレートを2個以上もらったり、誕生日に名前の入ったマフラーやセーターをもらったりするよーな」ことのない(ホントだろーな?!)監督が作った作品だということを知って、『魔法使いTai!』を見ることになるのだ。
OVAのスタッフというのは、ライナーにも神経を使って戦略的に対応しなければならないという一面を抱えているのではないだろうか。
ところで、このライナーに、伊藤郁子さんが「行くぞ新横浜!わかる人にはわかる」と書いてある。――ってこれじゃなんのことかわからないぞ。
一部のアニメ雑誌には出ているらしいが、新横浜には「なると」グッズを大量に売っている博物館があるのだ。そこへ行くと「ナルトスタンプカード」というのをくれる。スタンプを15個ためると「6か月入場フリーパス」というのがもらえるそうだ。『魔法使いTai!』のファンは挑戦してみてはどうだろうか。
ちなみにライナーのスタッフ・キャスト表が「なると」になっているのも注目ね(ま、どっちでもいいようなもんだが)。