恒例のハワイアンまつり。
前の日に、38度か9度の高熱を出したらしい。事務所の受けつけではそんな話も聞かなかったが、部屋に入ってしばらくすると、通りがかったスタッフが教えてくれた。まつりの準備に忙しすぎて、一人一人のちょっとした異常を報告する暇もなかったのだろう。
ぎりぎりまで部屋にいた。
妹とわたしを見て、あんたら、誰? という顔をしている。何に対しても無関心だ。まつりに合わせて、赤いムームーを着ている。
時間になったので、体調もよくないことだから、少しだけ、ということで、外に出て、決められた席に座る。5時半開始。涼しいとは言えないが、この連日の猛暑を思うと、暑くてたまらないというほどでもない。
スタッフが開始の合図にロケット花火を揚げる。かなりの爆音だが、ばあちゃんはびくともしない。
おまつりにつきもののカレーライスをばあちゃんもよく食べた。このカレーというやつは、日本人の大好きな味なんだなぁ。焼き鳥は固いし、焼きそばも、ばあちゃんの歯ではもう受けつけない。汁ものとメシ、これが一番。
かき氷とリンゴジュース。お腹冷やさないだろうか。
今までとは違って、我々のビールに何の反応も示さない。
スタッフが何度ももう部屋に戻るかと聞きにきたが、食べたそうな様子がやまないので、伸ばし伸ばしにして、結局、まつりの最後までいた。舞台の喧騒には、まったく無関心だが、カレーを食べたり、ジュースを飲んだりと忙しい。ずっとばあちゃんばかり見ていたので、私たちも舞台はほとんど見ていない。
部屋に戻って、さっそくオムツ交換。交換してくれたのは、出入りの多いなかではかなり古めのスタッフだが、いままであまり話をしたことがない。元気ながっちりタイプのお姉さんで、おあいそというのを言わないし、また、話すとなると、常識的なことしか言わないが、正直に、ありのままのことしか言えない、というか、言わないというか、受けねらいなんてしないというところがあるのだろう。
このとき聞いた話はおもしろかった。部屋の前を通りかかると、ばあちゃんが、寄って行きんしゃい、と言うのだそうだ。その様子は堂に入ってるという。商売人の女房だったんだよ、と言うと、そうかぁ、だからだぁ、おっ、と思って、引き寄せられちゃうんだよねぇ。
熱がまだおさまっていなかったにもかかわらず、あんなに遊んでしまってその後が心配されたが、そのスタッフも、大丈夫でしょ、と言ってくれ、実際にとりたてて大事はなかったようだ。