- 「葬儀が始まる」
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時間となり一同会場に着席。
会場に設置されたスクリーンに父親のその時々の写真が映し出され、同時にナレーションが流れる。何のことは無い、要するに主役の「御入場」がない以外は結婚式と同じ演出(笑)。さらに葬儀の模様はビデオとカメラで撮影されDVDと写真集まで作られることになっている点も結婚式と同じ。DVDや写真集を作ったところで少なくとも長男、次男(私)とも全然見たいと思わない(笑)。しかし「竹」コースを選んだ時点ですべてセットになってしまっているのだった。こういうのに限って割引価格ではなくコース料金混みという、実に不便な料金システムだった。
お坊さんのお経が始まる。過去の葬儀の経験から、戒名の文字数が故人のすごさを表しているように思った。それはたぶんお坊さんに対するお礼の値段からくるのだと思われる。92歳位で亡くなった祖母のときは戒名が13文字あってみんながすごいすごいと言っていた。父親の場合は○文字で、まあまあなのだろう。
弔電も読まれた。次男(私)の仕事先の社長が弔電をくれたのには恐縮至極だったが、自分の会社からは”あれ以上”のことは何も無かったのも予想通りだった(笑)。
追悼の詩吟や焼香も終わり一通りの段取りが終わり、親族は葬儀社の指示に従い参列者のお見送りとなった。出口に立って参列者にあいさつをしたり、声をかけられたり。やっぱりネクタイの色が違うだけなのだった(笑)
広すぎるかとも思っていた「竹」の会場だったが参列者もかなりの人数にのぼり、まあ妥当な大きさだったのではないかというのが終わってからの身内の感想。葬儀費用の半分程度がお香典で賄われることになる。
親族は出棺の用意ができるまでしばし雑談。子供のころよく遊んだ従兄弟たちとも久々に再開。今となっては喪服以外で会うこともめったにない。
飾られていた生花は花を摘み取り親族の手でお棺の中へ納められる。わずか1時間の飾りものであった。
母親は終始落ち着いた様子。お棺いっぱいに花が収められ、最後に長男が父親の好きだった焼酎を注いでから蓋が閉められた。
お棺は参列者の手で例の霊柩車に運び込まれた。長男は骨壷、次男(私)が遺影、甥が位牌を持って霊柩車で、残りの参列者たちは葬儀社のマイクロバスで火葬場へ向かった。
長男は義父の葬式で乗車経験があるようだが、次男(私)は初めて乗る霊柩車だった。左ハンドルの、車種はわからないが幅広のいかにもアメ車な感じの車である。しかし霊柩車がアメ車なのは昔は国産の大きな車がなかったことと、外車=高級車と言う昔の発想のためではなかろうか。現在となってはあまり合理性を感じられない。いまならドイツのあの高級車とか国産のLあたりがいいのではないかと思うのだけど(イタりアのあの車の霊柩車があったらすごいな...(笑))。