- 「弔問客」
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日々弔問客が訪れるごとに気がついたことがある。それは次男(私)はご近所の人の顔をほとんど知らないということであった(笑)。
高校卒業後実家を出て都内の学校や会社に務めていた次男(私)。出身地へ戻ってきたのが10年程前。その後も実家からちょっと離れたところで暮らし、今でも仕事ほぼ都内方面が中心。実家には週に一度顔を出す程度。近所の様子は昔とそれほど変わっていないが、子供の頃は同級生との付き合いが中心でご近所付き合いなどというものは大人の世界の話であった。
同様に親戚筋も顔と名前が一致しない方が多々あり(笑)。田舎のことゆえ近所には割りと親戚が多いとはいえ、今ではイベント(それこそが”お葬式”)でもないと会うこともめったにない。
就職したときからずっとこちらで暮らして、実家の隣に住むようになり世帯主で町内会との付き合いがある長男とは比べようもないのだった。
家に線香をあげにきてくれた方に帰り際、親戚用かご近所さん用かどちらの返礼品を渡したらいいものかわからず、長男にどっち?と目で合図をして教えてもらうありさまだった。
ある人が帰った時に「今の人は誰」と聞くと、”長男の息子が中学生の頃の野球チームのチームメイトの親御さん”だという。そんな人まで知らないって(笑)。
次男(私)は来客はまず家に上がってもらってお茶を出すしかないのだった。