ラスト・アルバム”Well”





 多分アルバムの広告は何度か見ていたはずだ。ただそのときはこれが最後だとか解散するとか言うことは全く知らなかった。
 もうほとんど興味はなかった。ニュー・アルバムといっても全く期待などなく、なかなか買う気にもなれなかった。どうせ「そんなとき女を...」と大差ないだろうから。まあなんだかんだいっても結局いつかは買ってしまうだろうとは思っていたが...。
 それが(「11PM」を見て)とうとう解散することを知った。またあるとき、たまたま見た番組にチューリップが出ていて「ストロベリー・スマイル」を演奏した。すごくいいと思った。これこそがチューリップだと。第2〜3期のシングルとしては一番いいと今でも思っている。
 どうしていままでこういうのが出来なかったのだろうか。やれば出来るではないか。

 アルバムの内容も満足のいくものだった。財津和夫解釈による”超おしゃれで都会的なナウい”サウンドはなくなり、全体として別れというテーマを持ちながら温かみのあるアルバムに仕上がっていると思った。

 仲間がいなくなって必死に新しいチューリップの音を(意地になって)作ろうとしていたのは分からないでもないが結果的にうまくはいかなかった。
 それが”解散”ということになったら、もうそんなことはどうでもいいからとにかく最後に一枚アルバムを作ろうと、肩の力を抜いたらこんなすばらしいアルバムが出来た...というのが私の解釈。このアルバムはまさに「ABBEY ROAD」だった。

Well back