閑話休題





 私が通っていた高校の生徒会長は”おバカな”チューリップ・ファンだった。ある晴天の日に体育館で行われた全校集会のとき
 「え〜、今日は青空が大変キレイで...」
と挨拶を始め、「体育館でなぜ青空の話をするかというと、それは先日チューリップの新曲”ブルー・スカイ”が発売されたからです!」などと言うのであった。
 いまこの時代にこんなことを言おうものならスポーツ新聞に「また17歳キレる!」とか「高校生にも蔓延する”チューリップ”!」、「チューリップやめますか?人間止めますか?」、「その1曲が破滅への道」位に騒がれそうなものだが、本人が先生たちによほど信用があったのか、もしくは田舎の悠長な高校であったためかなんのおとがめもなくすんだようであった(本当は田舎の悠長な高校では全然なく、牛乳瓶の底をかけた生活指導教師が毎朝校門に立っているような学校だった)。
 このときに限らず彼は度々自分がチューリップ・ファンであることを公言していた。しかし時代はまったくチューリップの時代ではなかった(というよりチューリップの時代など無かったと思う)。あの頃はアリスの時代だったろうか。既にかぐや姫は伝説と化し、イルカもチューリップよりはずっと人気があった。オフ・コースが「愛を止めないで」と「さよなら」で大ブレイクするのはもう少し後のことだが、それでもチューリップよりファンは多かった。
 彼自身も集会のときのバンド演奏ではアリスの曲をやっていた。チューリップなど誰もやりたがらなかったし、やっても受けなかっただろう。

 「ブルー・スカイ」の発売されたときというと1977年のこと。たしか前年頃にエアロスミスのコンサートが地元であって結構話題になったいた。こんな田舎によく来たものだと思っていたら、どうやら”疲れをとる薬”をやりすぎてかえって調子が悪くなってしまったために東京公演前のリハーサルだったようだ(笑)。
 芸能界でも”おおあさ”が大ブーム(笑)。Zさんは大丈夫だろうかとほんのちょっと心配だったりしたものだ。イルカや南こうせつも当時はチューリップをはるかに超える大物だった。まだまだ時代はエレキよりアコースティック・ギターの時代だった。
 ちなみに当時私の高校には”電卓クラブ”というものがあった。今でいうパソコンのことを私の高校ではこういっていたのでした。

 その後この生徒会長がいつまでチューリップ・ファンを続けていたのかは定かでない。どこかで再結成コンサートを見ていただろうか。