アルバム『New Tune』
- [チューリップ版ホワイト・アルバム?]
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ツアー最終日に発売された1年ぶり、ファンハウス移籍後としては初めてのオリジナル・アルバム。
どこかのヘビメタ・バンドのようなチューリップらしからぬデザインのジャケットに「新譜」というタイトル。
ジャケットのデザインに反してそれまでこだわっていた”宇宙的”なものがなくなり、アルバムとしてのテーマ性がどうとか言うより、佳作の集まったアルバムだと思った。
第2期チューリップとしての表向きのラスト・アルバムは次作「I Like Party」だが、実際にグループとして機能していたのはこのアルバムが最後だったのではないだろうか。以前程の一体感も無かったと思われる。
今思えばグループがこういうテーマ性の無い”作品集”的なタイトルのアルバムを作るときには内部の関係がうまくいっていないことが多い。典型的なのがザ・ビートルズの「ザ・ビートルズ(通称ホワイト・アルバム)」であり、クイーンの「ザ・ワークス」とかEL&Pの「四部作」等々...。
その代わりこういうときこそ今まであまり目立たなかった人が才能をはっきするもので、ビートルズでいえばジョージ・ハリスン、チューリップで言えば宮城伸一郎だろう。
このあとチューリップ(財津)はどんどんパッとしない方向へ突き進むことになるのだが、宮城だけはマイ・ペースというか、だんだんますます良くなっていったように思えた。
この頃の財津にしては”何かふっきれたかのように”メロディアスな曲がそろっていると感じた。変に宇宙的なこととか、トータル・コンセプトを意識しなかったのが良かったのかと思ったのだが。
「もっと幸せに素直になれたら」はシングルとしては”最後のチューリップらしい”曲。伊藤薫によるヴォーカルの「ロボットの心」はALWAYSのツアーでも演奏された。
ちなみに財津が結婚したのもこの頃だった(と思う)。