Free As A Bird X-FILES


Free As A Bird 誕生秘話

ビートルズのメンバーたちは、解散後感情的な面では70年代末には和解していたが、 ビジネス的な面でのゴタゴタは80年代末にようやく決着した。 時を同じくして、かつてビートルズ自身が設立した会社 Apple Corps が ビートルズのドキュメンタリー作品の製作に着手、メンバーたちはなにかサントラで 一緒に 2、3 曲やってもいいかな……という雰囲気になった。

1994年、ジョンがソロ・アーティストとしてロックの殿堂入り (Rock'n'Roll Hall of Fame)を果たすことになった。(ビートルズとしては1988年に すでに殿堂入りしている。) 殿堂入りを祝う会場にはジョン・レノン夫人であったヨーコ・オノさんと 二人の間に生まれた息子ショーンが出席していたが、そこにポールが祝福に駆け付け、 ヨーコと抱擁を交わした。この出来事を各マスコミは「歴史的和解」と報じた。

時を同じくして、ジョンが生前吹き込んで、 ヨーコさんが保管していたデモテープ(カセットテープで、1977年というデータあり) をヨーコさんがポールに託した。
そこで今回のアンソロジーのため、これをサウンドトラックとして使用するために 仕上げようと考え、ポール、ジョージ、リンゴが一堂に会してこのテープに 演奏とコーラスをオーバーダビングすることにした。

レコーディングはポールのスタジオで極秘に行なわれ、 プロデュースは元ELOのジェフ・リンが担当、エンジニアはジェフ・エメリックが 務めた。

ポールは「ジョンが作りかけで休暇をとった、と考えることにしたんだ。 おかげで、みんなで自由に曲を発展させることができたんだ」と語っている。


Free As A Bird チャート成績&受賞履歴

Free As A Bird は初めにアルバム ANTHOLOGY 1 で リリースされ、このアルバム自体がアメリカで 3 週連続 1 位を獲得するなど、 好調に売れたため、遅れてリリースされたシングルが逆にチャート上で延びなかった。 本国イギリスでは最高位 2 位を記録。発売直後の集計では売り上げは 1 位だったが、 1 週間トータルでは Michael Jackson の Earth Song が 1 位で、 Free As A Bird は 1 位を獲得できなかった。
一方、アメリカでは最高位 6 位を記録している。同時にアルバム ANTHOLOGY 1 は 3 位を記録していた。

また、97年に入ってから、ビートルズが Free As A Bird で 1997 年度グラミー賞で Best Pop Duo or Group with Vocal を受賞したほか、下で解説している素晴らしい プロモーションビデオによってグラミー賞 Best Music Video, Short Form 部門でも 受賞している。


スコア

スコア譜がシンコーミュージック、および grp 出版から発売されている。

プロモフィルムの仕掛け

プロモフィルムでは、ビートルズの曲などにちなんだシークエンスが多数 盛り込まれていて、さまざまな映像からひっぱってきたビートルズ自身の映像も 多数織り込まれている。

ビデオの監督は Joe Pytka が担当した。 彼は映画監督をしており、Richard Dreyfuss 主演の "Let It Ride" などを 監督している。 97年ゴールデンウィーク日本公開予定の、NBA バスケットのスーパースター、 Michael Jordan とワーナー映画の人気キャラクター Bugs Bunny が競演した 映画の監督もつとめるなど、特殊効果にも強いようだ。

ここでは、rec.music.beatles などの記事、また電子メールでお寄せ頂いた情報 等をまとめて紹介する。
映像元ネタは大文字、曲元ネタは小文字で示す。

  1. 部屋の中
    マントルピースの上にメンバーの子供のころの写真 (左から John, ギターを持った George, 手前は Paul?, Ringo, 弟と一緒に写っている Paul, Paul, ちょっと見えにくいのは Ringo?, そしてGeorge)
    写真の手前には甲虫(Beetle)の形の置き物
    部屋から出ていく鳥→Norwegian Wood(This Bird Has Flown)
  2. リバプール港
    Liverpool の Liver Building
    労働者の人の群の中に混じって4人→PENNY LANEプロモ
  3. Cavern
    中で演奏している4人→SOME OTHER GUY(Granada TV)
  4. Strawberry Fields
    Strawberry Fields を男の子が歩いている(Johnをイメージ?)
  5. 街中(前半はPenny Laneの設定、後半はLondonの町中) Egg Co.というバン→I Am The Walrus(eggman, waiting for the van to come)
    道路を渡るPaul,George,Ringo→映画AHDN
    消防車と消防士→Penny Lane(fireman, fire engine)
    手前を横切る4人→RAINのプロモ? or 映画AHDN
    画面を横切る2人の老人紳士は Mr. Wilson and Mr. Heath →Taxman(ただしこれは Wilson と Heath ではないそうだ)
    床屋から出てくるRingo→映画AHDN
    トレイにのったポピーを売る看護婦→Penny Lane(The pretty nurse is selling poppies from a tray)
    この看護婦さん、顔が(看護婦だった)Paulの母親そっくりらしい
    床屋さん→Penny Lane(there is a barbar showing photographs) 床屋さんの名前は実際に Penny Lane にある床屋さんと同じ Bioletti で ショーウィンドウには4人の写真のほか、HELP の文字→Help
    タバコの自動販売機→I'm So Tired(I7ll have another sigarette)
    内緒話をする子どもたち→Do You Want To Know A Secret
    なにかの店から出てくる Ringo → 映画AHDN
    Coca-Cola の自動販売機→Come Together(He shoot Coca-Cola)
    fish and finger pies を売る女性?→Lucy In The Sky With Diamonds
    白のリムジンの中でキスしてる男女はJohnとYoko→映画 LET IT BE
    しかも、路駐の車の中でいいことしている→Why Don't We Do It In The Road?
    外壁に大きなAnthologyのジャケットの絵
    Anthologyポスター前にたたずむ4人→PENNY LANEプロモ
    パン屋のBirthday のケーキ→Birthday
    そのケーキにの上部に64とかいてある→When I'm Sixty-Four
    パン屋のウィンドウの中にチョコレートの箱→Savoy Truffel
    道路の逆側を写すと、車から降りてビルに入るGeorge→LET IT BE
    George の入っていったビルの表札はDr.Robert!→Dr.Robert
    道路を走る Ringo→映画AHDN
    車の事故→A Day In The Life("Blew his mind out in a car")
    交通事故をとりまく野次馬→A Day In The Life ("the others in the crowd 'turn(ing) away'")
    その野次馬の中にJohnの姿→PENNY LANEプロモ
    居並ぶ警官→I Am The Walrus("Policemen in a row")
  6. 塔と凧
    凧→Being For The Benefit Of Mr.Kite
    塔を取り巻く巨大な滑べり台→Helter Skelter(イギリスのある遊園地にある 有名なのりものだそうだ)
  7. 狭い路地裏
    はしごを登って部屋に入る→She Came In Through The Bathroom Window
    ひまわり→Lucy In The Sky WIth Diamonds ("the flowers That grow so incredibly high")
    走っていく子供たち→Lady Madonna("see how they run")
    その子供たちは豚のカブリモノ →Piggies("have you seen the lottle piggies?)
    その後ろを素通りする4人→Penny Lane プロモ
  8. 部屋の中
    タイプライターに向かっている作家→Paperback Writer
    横のテーブルの上の新聞の記事は "4000 holes Found In Blackburn Lancashire"の記事だそうです → A Day In The Life
    部屋の中の時計が 10:10→One After 909をイメージか?
    奥の棚にタマネギ型のガラスの置き物→Glass Onion
    肘掛け椅子でくつろぐJohn
    Johnの隣のテレビに4人映っている→Ed Sullivan Show('64/2/9)
    テーブルの上には青リンゴ(つまりApple)
    壁にはエリザベス女王の写真→Her Majesty
    毛沢東の写真が窓に貼ってある→Revolution
  9. 窓から部屋の外へ
    屋根の穴を修理する人→Fixing A Hole
    屋根の穴からブルーミーニーが顔を出す→映画YELLOW SUBMARINE
  10. 街中の道路
    道の穴→Fixing A Hole
    穴からブルーミーニーが顔を出す→映画YELLOW SUBMARINE、Mean Mr. Mustard
    道路で踊るJohn&Yoko→映画LET IT BE(I Me Mine のシーン)
    新聞紙でできているかのような車→Lucy In The Sky With Diamonds ("the 'newspaper taxi'")
    そのタクシーにのってる娘→Drive My Car、She's Leaving Home 後ろで毛沢東のパネルを運ぶ人→Revolution
    その後ろをMagical Mystery Tourバスが右から左へ→映画MMT
  11. 豪華な屋敷/カクテルパーティ
    インドの一行、銃を持った男、母親連れ、象 →Bungalow Bill, Mommy and His elephant
    一行が出ていく右隣のテーブルでカメラをいじるRingo→映画AHDN?または '64 年初訪米時のドキュメンタリーフィルム
    それをカメラに収めようとするRingo→映画AHDN
    中でシタールを弾いている人は Ravi Shankar
    SGT.撮影のシークエンス(EinsteinとMonroeが談笑、となりでマフラーを まくBrian Epstain、エドガー・アラン・ポー、壇上には Stu の写真パネル、 SGT.Pepper's、Sexy Sedie マハリシ も)
    エプスタインがマフラーを巻いて帰り支度→I Don't Want To Spoil The Party、 映像は '64 年初訪米時のドキュメンタリーフィルムから
  12. 墓地
    マリア像(パンに合わせてちょっと首が動く)→Let It Be(Mother Mary)
    エリナーリグビーの墓→Elenor Rigby
    墓から歩いていくのは Father MacKenzie→Elenor Rigby
    かけてくる犬はPaulの愛犬Marthaか(犬種は同じEnglish Sheepdog) →Martha My Dear
  13. 崖の上
    スキップするポール→映画MMT、Fool On The Hill のシーン
    横の道路を歩く娘→She's Leaving Home(又はDay Tripperという説もあり
    その道路は曲がりくねった長い道→The Long And Winding Road
  14. アビーロード
    道路を歩くMeter Maid →Lovely Rita(Baby's In Black、Polythene Pamという説もあり)
    ちゃんとフォルクスワーゲンが止まっている→ABBEY ROADジャケット
  15. 劇場の中
    出番を終えて出ていく4人(映画AHDN)
    舞台でウクレレを弾く人→詳しくは逆回転の項参照

曲の仕掛け

ブリッジ部のボーカル

元の John の demo version では、ブリッジ部の歌詞がはじめの2小節分しか 決まっておらず、あとはジョンがゴニョゴニョ歌ったり、 ハミングしたりしていた。
そのため、歌詞を新たに補って、初めのブリッジでは Paul が、ギターソロ前の ブリッジでは George がそれぞれヴォーカルをとっている。

最後の逆回転メッセージ

John の声が最後に入っている。これはそのままだと、"made by John Lennon..." もしくは "made for John Lennon..." と言っているように聞こえるが、 逆回転にすると、"turned out nice again."(うまくいくさ)と言っている。

これは、第二次大戦期にイギリスで人気のあったウクレレ弾き George Formby の のキャッチフレーズ、"Turned out nice again" で、これは彼がミュージカルコメディ に出演したときに言った台詞だそうです。Formby はその後、これを出しものの 最後の決め文句として使用するようになりました。
George Harrisonは Formby のファンだそうで、実際に90年代前半に彼がある コンベンションでウクレレを弾いて歌った Formby のナンバーがTVで放映されたことが あります。
プロモビデオでは、最後のこの部分は Music Hall でウクレレを演奏するシーンに なっています。そう、George Formby はまさしく Music Hall の人気者だったのです。


プロモアイテム

以下のものが出ているらしい。
Newsgroups: rec.music.beatles
Message-ID: <492vvd$sro@newsbf02.news.aol.com>
Message-ID: <489i0e$37d@ixnews6.ix.netcom.com>

Get in touch with us to check availability:

    *Posters
    *Badges (14 different)
    *"Free As A Bird" promo cd-single
    *5-song album cd-sampler (due next week)
       1. One After 909
       2. Leave My Kitten Alone
       3. And I Love Her
       4. Three Cool Cats
       5. I Wanna Be Your Man
    *3 ft. promo cardboard stand-up display
    *Video (it's out there, but we don't have a line on these yet)

関連リンク

Free As A Bird Original Demo Version
Johnのオリジナルデモバージョンのサウンドファイルがあります。
Free As A Bird forwards & backwards
最後の逆回転の部分のサウンドファイル(正/逆方向)があります。
Free As A Bird Promotion Film Quest
プロモフィルムの謎解きページです。

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Update - March 07 1997