川崎フロンターレ−アルビレックス新潟 観戦記

メインスタンドに陣取り、途中のセブンイレブンで調達した夕食を広げていると、後方に人の気配──
思わず振り返ると、そこにはフットサルチームで一緒にプレーする、ごうださんの姿が。
聞けば、このあたりで友人と待ち合わせをしているとのこと。
「それにしても、よくわかりましたね……って、後ろから見れば一発か(苦笑)」
#どう一発でわかるのかって? それはね…………ヒ・ミ・ツ(人差し指を左右に揺らしながら)。

アルビレックスサポーター そのいち
いつも歌っているメロディに乗せて、「J2にいよ〜〜う♪」とフロンターレに歌のプレゼント。
ホームでここまで小馬鹿にされて、反撃すらできないフロンターレサポーターって何だろうね(嘲笑)

川崎フロンターレの布陣
GKは相澤。最終ラインは中央に飯島、右に小島徹、左に伊藤宏樹。サイドハーフは右に林晃平、左に塩川。
中盤はボランチがエジミウソンと鬼木、中央にアイルトン。前線は伊藤彰と我那覇。

アルビレックス新潟の布陣
GKは野澤。最終ラインは右から井上公平、高橋直樹、新井、神田。
中盤はボランチが秋葉とマルキーニョ、右に寺川、左に慎吾。前線は黒崎と氏原。

9分
右サイドの林晃平が前方にパスを通し、伊藤彰がペナルティエリアに入り込んで右足でシュート。
野澤が右足一本で防ぎ、ボールはゴールラインを割る。

19分
エジミウソンがボールを横に流して、アイルトンがゴール正面から左足でミドルシュートを放つ。
野澤が飛びつくも弾ききれず、ボールはゴール右隅に突き刺さる。
井上公平(おそらく)の距離の取り方が非常に中途半端。しっかりついているつもりかもしれないが……
GKにしたら、ブラインドになってシュートは見にくいわ反応は遅れるわで、はっきりいって邪魔

22分
アルビレックス中盤のクリアミスから、アイルトンを経由してボールはペナルティエリアの中へ。
走り込んだ我那覇が中央やや右からシュートするが、あさっての方向へと消えていく。
相変わらず、我那覇のシュートは枠に飛ばない。観客が安心して見ていられるFWってのはどうよ。

27分
寺川の左CK。遠いサイドで待つ慎吾がヘッドで合わせて、あっさり同点に追いつく。
──というか、慎吾と競っていたはずの選手って誰? 飛んでいたようには見えなかったけど(笑)

29分
野澤のスローを受けて、寺川が右サイドをドリブル突破。
スピードを一気に上げてふたりを抜き去ったところで、後方から手を掛けた伊藤彰に倒される。
ペナルティエリアのすぐ右の位置からのFK。伊藤彰にはイエローカードが出される。

29分
そのFK。慎吾が左足で蹴ったボールは、壁に当たってペナルティエリアにこぼれる。
いち早く反応した寺川が右足でダイレクトに合わせ、3分と要せずアルビレックスが逆転する。
寺川がフリーになっていたのは、エジミウソンがマークをいとも簡単に外されたから(苦笑)
それにしても、ボールを浮かさないように地面に叩きつける、理想的なシュートだった。
どこぞのストライカー連中にも見習ってほしいところだが……

39分
右サイドで氏原がゴールに背を向けながら、ボールをひょいと浮かせて前方(?)へと送る
井上公平が中央へ折り返し、慎吾がミドルレンジから右足ダイレクトで合わせるが、クロスバーの上。

43分
ペナルティエリア内でアイルトンがボールをキープ。ディフェンスがスライディングしたこぼれ球を、塩川が右足で豪快にゴール右隅に蹴り込んで、フロンターレが同点に追いつく。
塩川は一目散にノブリン石崎監督の下に駆け寄り、熱い抱擁を交わす。
……って、なんか妙な誤解を招きそうな文章だな(苦笑) あな、麗しきは師弟愛。
注:塩川は、石崎氏がモンテディオからトリニータの監督になる際に、一緒に連れていった選手です。

44分
選手交代:新井健二→西ヶ谷隆之
西ヶ谷はそのまま慣れ親しんだ最終ラインの中央へ。この日の新井の出来を考えれば、妥当な交代か。
ま、前半終了を待たずして交代させるあたりが、反町さんらしいといえばらしいのだが。

前半の感想
キックオフ直後から、らしからぬ動きを見せたフロンターレ。ま、それも長くは続かなかったが。
両チームとも、守備陣が集中を切らす場面が随所に見られ、失点を招くといういつもながらの展開。
相変わらず、成長がないというかなんというか……

49分
慎吾が右サイドをドリブル突破。中央の上がりが遅いのを見て、マイナス方向にボールを折り返す。
走り込んだ黒崎がヘッドで叩きつけるが、ゴールまでの距離がありすぎて相澤にキャッチされる。

50分
伊藤彰のポストプレーを受けて、塩川が左サイドからドリブルでペナルティエリアに切れ込む。
ディフェンスをひとりかわして右足でシュートするが、ゴールの右に外れる。

56分
後方からのパスを受けて、我那覇が中央やや右から右足でシュートを放つ。
野澤は正面にきたボールを真上にフィスティングし、落ちてきたところをしっかりキャッチする。
フィスティング……GKの技術のひとつ。手のひらや指先でシュートの方向を変えること。

58分
ペナルティエリアのすぐ左からのアイルトンのFK。
右足で蹴ったボールを、我那覇はへディングで合わせるが、野澤が間一髪パンチングで逃れる。
ここにきて、我那覇のシュートが枠を捉えだした(いや、FWとしては当然のことなんだけど)。
事実、試合の流れもフロンターレに傾きつつあったのだが……

59分
選手交代:我那覇和樹→阿部良則
石崎監督、なぜ我那覇を交代させる? しかも、よりにもよって阿部なんぞに。
ゴールの気配を感じさせないことに関しては、我那覇に勝るとも劣らないと思うのだが。

63分
慎吾が左サイドからクロスを上げて、遠いサイドの寺川が右足で合わせるが、ゴールの右に外れる。

63分
選手交代:黒崎比差支→アンドラジーニャ
ゴール脇のペットボトルを思いっきり蹴って、水を派手に撒き散らしてピッチから去っていく黒崎。
悔しいか? 悔しいだろうな。でも、ちゃんとCF(センターフォワード)としての役割を全うしたか?

70分
選手交代:伊藤 彰→向島 建
先日のアルディージャ戦、後半終了直前の同点ゴールで得点感覚というものを見せつけてくれた向島。
エメルソンが出場していないこの試合、一番恐い選手はもしかしたらこの男かもしれない。

71分
マルキーニョのロビングに、抜け出したアンドラジーニャがペナルティエリアに入り込むが、 飯島(おそらく)に一瞬ユニフォームをつかまれて失速。アンドラジーニャは仰向けに倒れ込む。
PK……だよな、ルールに照らし合わせて考えれば(倒れ込んだのは演技といえなくもないが)。

72分
寺川の右サイドからのアーリークロスに、アンドラジーニャが小島と競りながら懸命に足を伸ばすが、ボールの方向を変えるに留まり、ゴールの左へと外れる。

75分
中央でゴールに背を向けて、アイルトンが浮き球をトラップ。
振り向きざまに左足でロングシュートを放つが、ドライブのかかったボールはわずかに左に外れる。

77分
選手交代:鈴木慎吾→深澤仁博
首を傾げつつ、ベンチに戻ってくる慎吾。確かに疑問の残る交代ではあったが……

79分
阿部が左サイドでくさびになって、中央にぽっかり空いたスペースを向島がドリブルで突破。
そのまま左足でシュートするが、正面に飛んだボールを野澤がクロスバーの上へと弾く。
高橋直樹が(阿部に)釣り出されたのはさておき、そのスペースを誰も埋めようとしないのは……

86分
選手交代:小島 徹→今野 章
深澤の強烈なシュートを受けて、ピッチの外に運び出される小島。急所にでも当たったかな?
フロンターレはエジミウソンを最終ラインに下げて、なんとか急場を凌ぐ。

ロスタイム
マルキーニョのロビングに、走り込んだ氏原が追走するディフェンスに倒される。
場所はペナルティエリアの中だが、さも当然のようにプレーは継続される。
砂川(主審)さぁ…… これで3度目だぞ、貴様に黙殺されたのは(怒)

後半の感想
前半とは打って変わって、得点の入りそうな気配がまったくしない。
唯一の決定機が我那覇のヘディングシュートでは、退屈な試合と言われても致し方なかろう。

アルビレックスサポーター そのに
気がつくと、レプリカユニに身をまとっていたはずの集団が、鮮やかな黄色に染まっている。
どうやらアンドラジーニャへの歓迎の意を表すため、彼が交代で出場すると同時に、一斉にブラジルカラーであるカナリア色(ないしは黄色)のシャツを着る算段になっていたとか。
もっとも、私もはためくブラジル国旗を見てやっと意味を理解できたのだが……

90分
選手交代:氏原良二→小林 悟
選手交代:林 晃平→久野智昭
アルビレックスは中盤の左に小林悟を投入して、深澤を本職の前線に上げる。
フロンターレは塩川を左から右のサイドハーフにまわして、久野を左サイドに入れる。

94分
中央でのアンドラジーニャのヒールパスから、小林悟がミドルシュートを放つ。
相澤がパンチングでクロスバーの上へ弾き、なんとか事無きを得る。

96分
右サイドからのマルキーニョのスローイン。アンドラジーニャがゴールに背を向けてトラップ。
反転しながら左足を思いっきり振り抜き、ボールは美しい弧を描いてゴール左上に吸い込まれる。
思わず……というか、自然とスタンディングオベーション(私のみならず周囲の観客も)。
仮にフロンターレのVゴールであっても、立ち上がっていたであろう素晴らしいダイレクトボレーだった。

延長戦の感想
フロンターレ、結局何もできなかったね(苦笑)
しかも、自らが解雇したアンドラジーニャにしてやられるとは……石崎監督って、不幸。

アンドラジーニャ
ガンバで問題とされたフィジカルは、トリニータに移籍して解決を見たと記憶していたのだが……
どうやら、すっかり元に戻ってしまったようだ。ありていに言えば、太りすぎているんだわ(苦笑)

アイルトン
運動量の少なさを指摘する向きもあるが、正確無比なその左足から放たれるプレスキックは魅力充分。
タイプとしては、一昨年アルビレックスでプレーしていたリカルドに近い……かな。
#後日、右足のプレスキックも正確なことが判明。威力は左足ほどではないようだが

ストライカー
我那覇和樹 15試合(840分)出場、1得点
阿部良則  11試合(431分)出場、0得点
伊藤  彰  10試合(674分)出場、0得点

登録こそMFとなっているが、伊藤彰もれっきとしたストライカーである。
それが証拠に、中盤ではものの役にも立たない(爆) 我那覇よりはいくらかマシだが(爆)
得点王を争うエメルソンやサイドハーフと併用されている林晃平と比較すると、その差は歴然。

エメルソン 18試合(1621分)出場、19得点
林  晃平  18試合(1220分)出場、6得点
           データはJ2 第21節現在(この試合を終えてのもの)
川崎フロンターレ 評
浦上壮史、佐原秀樹、寺田周平、エメルソン、黒津 勝、浦田尚希、長橋康弘、桂 秀樹、土居義典……
とにかく負傷者、もしくはまだ試合には使えない選手が、あまりに多すぎる。
采配を揮う以前の問題が山積しており、石崎監督もさぞ頭の痛いことだろう。

外国人選手の解雇と獲得といい、シーズン半ばの監督交代といい、昨年と同じ轍を踏んでいないか?

アルビレックス新潟 評
反町監督、策士が策に溺れなかった試合を初めて観させて頂きました。
今季、観戦した試合は0勝3敗でしたので……

おまけ
クールダウン中の選手たちを横目に、帰り際のごうださんに声をかける。
「ああいうシュートを期待してますんで」
苦笑いを浮かべつつ、返ってきた言葉は──
「無理です(即答)」
しかしながら、彼が"エース"の名をほしいままにするのは、そのわずか2週間後のことなのである。

川崎フロンターレ

前半アルビレックス新潟

後半
延長前半
会場:等々力陸上競技場/観衆:3711人
得点:1-0 アイルトン(19分、アシスト=エジミウソン)
   1-1 鈴木慎吾(27分、寺川能人)
   1-2 寺川能人(29分)
   2-2 塩川岳人(43分)
   2-3 アンドラジーニャ(96分、マルキーニョ)

川崎フロンターレアルビレックス新潟
GK相澤貴志GK野澤洋輔
DF小島 徹DF井上公平
MF86今野 章DF高橋直樹
DF飯島寿久MF新井健二
DF伊藤宏樹MF44西ヶ谷隆之
MF林 晃平DF神田勝夫
MF90久野智昭MF秋葉忠宏
MFエジミウソン   MFマルキーニョ
MF鬼木 達MF寺川能人
MF塩川岳人MF鈴木慎吾
MFアイルトンMF77深澤仁博
FW伊藤 彰FW氏原良二
FW70向島 建DF90小林 悟
FW我那覇和樹FW黒崎久志
FW59阿部良則FW63アンドラジーニャ
SUB笹原義巳SUB前田信弘

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