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●「宮崎駿全書」初版 本文の一部訂正とお詫び●


 発売中の拙著「宮崎駿全書」の本文テキスト中、一部不適切な箇所と脱稿がございましたので、この場を借りて明かにし、慎んでお詫びし、訂正を表明したいと思います。また、御指摘頂きました関係者の皆様に御礼申し上げます。

1. 『もののけ姫』 P216 上段

《現状》
全米映画協会(MPAA)は「十三歳未満の子どもに見せる場合は保護者の強い注意が必要」とする「PG-13」に指定。「ぞっとするような戦闘場面」(★30)が理由だった。
(★30)99年10月23日付「朝日新聞」。

《訂正》
全米映画協会(MPAA)は「十三歳未満の子どもに見せる場合は保護者の強い注意が必要」とする「PG-13」に指定。“images of violence and gore”(暴力と血の映像)(★30)が理由だった。
(★30)全米映画協会(MPAA)公式ホームページ
http://www.mpaa.org/FilmRatings.asp

※訂正の理由
 「ぞっとするような戦闘場面」という表現は、1999年10月23日付「朝日新聞」記事(宮川政明記者)の引用ですが、これを「PG-13指定」の根拠として提示したことは間違いではないかという御指摘を頂きました。
 確かに、全米映画協会(MPAA)の公式ホームページ(上記)には、“PRINCESS MONONOKE”の「PG-13指定」の理由は、“images of violence and gore”(暴力と血の映像)と記されているだけです。確証を得ているわけではありませんが、常識的に判断して、MPAAが作品を貶めるような主観的価値判断を対外的に表明するとは思えません。
 また当該記事は、「PG-13指定」について、「十三歳未満にはふさわしくない作品」「年齢制限」といった強制力があるかのような解釈を行っていますが、実際には「親が注意を払うべき」といった警告的なものです。記事は取材不足による誤認が多いのではないかという疑問は当方にもあり、事前に朝日新聞社に問い合わせもしましたが、「個別の記事の「根拠」や「論拠」に関する質問には、お答えを控えさせていただきます」と回答を拒否されてしまいました。(それでも回答があるだけましな方で、質問自体を無視した新聞社もありました。「あとがき」に引用記事について「万全を期せず」と書いた理由もここにあります。)
 他にコンパクトに表現した記事が見当たらなかったこと、もっと酷い誤認記事もあったため、消去法で当該記事の一部を引用したのですが、それならば記事の根拠が不明であることを併記すべきでした。明らかに舌足らずであり、誤解を招く表現でした。


2. 『千と千尋の神隠し』 P241 下段 〜 P242 上段

《現状》
 動画チェックは舘野仁実をチーフに、鈴木まり子が補佐、韓国外
(※ページ間に1行脱落)
 力二十一社、韓国D.R DIGITAL二十七人という、大量の動画員によって描かれた画の修正作業は膨大であった。

《訂正》
 動画チェックは舘野仁美をチーフに、鈴木まり子が補佐、韓国外注の動画は斎藤昌哉、大橋実がチェックを担当。国内九十九人、協力二十一社、韓国D.R DIGITAL二十七人という、大量の動画員によって描かれた画の修正作業は膨大であった。

※脱落の理由
 舘野仁美さんのお名前は変換ミスです。また、事前のチェックでは脱落はなかったと思いますが、本番では何故か抜けてしまったようです。ギリギリまで加筆したために、レイアウトが崩れて1行分が行方不明になってしまったものと思われます。チェックのミスです。

3. 『星をかった日』 P311 下段

《現状》

ジブリ美術館の「映画の生まれる場所」には、〇四年から「星をかった日」と題された宮崎のイメージイラストが展示されている。ノナとは別の少年が描かれており、サインは「97・7」と記されている。宮崎の脳裏には井上とは別に、ずっと以前から星を育てる少年のイメージがあったのかも知れない。

《訂正》
ジブリ美術館の「映画の生まれる場所」には、〇四年から「星をかった日」と題された宮崎のイメージイラストが展示されている。ノナとは別の少年が描かれており、サインは「97・7」と記されているが、この時期から企画が動いていたとは考えにくく、日付の根拠は不明である。

※訂正の理由
 事前に関係者の方から、「97年から構想があった」というような事実はないという御指摘を頂いていたのですが、当方の判断ミスで原稿に残ってしまいました。「あとがき」に断定と推測を使い分けたと記しましたが、当該箇所については、推測の範囲を超えた個人的妄想に近く、原作者に失礼であると共に、誤解を招く不適切な表現であり、削除の判断をするべきでした

4. 『On Your Mark』 注記の脱落

《現状》

巻末の『On Your Mark』注記10項目が丸ごと抜けています。

《訂正》
1 ― CHAGE(チャゲ)とASUKA(飛鳥涼)の二人によるデュオ。79年に「チャゲ&飛鳥」としてデビューし、83年に「CHAGE&ASUKA」に改名。「万里の河」「SAY YES」「YAH YAH YAH」などヒット曲多数。81年のツアータイトルはジブリの語源でもある「熱風」。同名のアルバムも81年2月に発売されている。
2 ― ビデオ「On Your Mark 〜15ANNIVERSARY=チャゲ&飛鳥」(94年9月、ポニーキャニオン)。
3 ―「耳をすませばスペシャル」(95年7月1日、日本テレビ系列放映)でのCHAGE&ASUKAと宮崎駿の発言。
4 ― 『ジブリがいっぱい スタジオジブリ原画展 図録』(96年8月、日本テレビ・スタジオジブリ)掲載、ASKA「ASKA実験アルバムのかたわらで…」。
5 ― 『月刊アニメージュ』95年9月号掲載、宮崎駿インタビュー「歌詞をわざと曲解して作りました。」。
6 ― 「核兵器全面禁止・廃絶のために ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名は85年から02年まで取り組まれ、6165万9395人の署名が集められた。署名は、国連と日本政府に提出され、核保有国政府へ一部が送られた。署名推進のためにポスターに登場した著名人は、宮崎駿、手塚治虫、黒柳徹子、三田佳子、竹下景子、三遊亭円楽、柳家小さん治、中村梅之助、山田洋二、ジェームス三木、加藤剛、山下泰裕ら多数。
7 ― 『ハウルの動く城・ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート ツインBOX』(05年11月、ブエナ ビスタ発売)付録冊子。
8 ― 01年7月7日、叶による片海士満則インタビュー。
9 ―CD「CHAGE&ASKA VERY BEST ROLL OVER 20TH」(99年12月、東芝EMI発売)付属資料。
10 ― 97年7月31日、叶による鈴木敏夫インタビュー。


※削除されていた理由
 叶が事前に確認した最終稿では、きちんと掲載されていたのですが、どういうわけか入稿前に削除されてしまったようです。フィルムアート社側の編集ミスだと思われます。

 上記のほかにも、
「小野耕正」×→「小野耕世」◎(P32)
「宮脇明」×→「宮脇昭」◎(P51・52・342)
といった個人名の誤記や細かな処理ミスなどが数カ所発見されています。幾つかは、印刷直前に訂正指示を出したのですが、印刷所の処理が間に合わなかったようです。

 以上の諸点につきまして、仮に増刷などがあった場合は、出版社と相談の上、必ず改訂処理をさせて頂く所存です。
 御購読頂きました皆様に御礼申し上げると共に、不完全なテキストを提供してしまったことを深くお詫び申し上げます。今後ともより正確なデータの記録を目差し、活動を続けていきたいと存じます。

 2006.4.20.
  叶 精二

※ 2007年1月30日発行の第2版では、上記の箇所は全て訂正されております。


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