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ウィンスペア ダイアモンズ
(Winspear Diamonds)

カナダ、ノースウェスト準州にてダイアモンド鉱山の開発を進めていた鉱山会社。
 
前進はウィンスペア・リソーセス社(2000年4月に社名変更)。バンクーバー証券取引所への上場は1988年、保有主要鉱区はノースウェスト準州スナップレイク周辺であったが、2000年9月、デ・ビアスにより敵対的に買収を受ける。買収総額は2億300万ドル程度と見られる。
 
→ダイアモンド


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[宝石学の世界]--Vol.38-20000711より

◆1. オーロラの下で掘るダイアモンド

カナダ、バンフ国立公園の入り口にあるケンモアという村で、友人がペンションを営んでいる。カルガリーに住んでいた頃、バンフで釣りをした帰り、時折、釣果を手に彼の一家を訪ねた。フライフィッシャーであ
る私にとって、そこは天国のような土地だったけれど、それはさておき、ある時、ついつい長居をして、帰りが夜となった。

いつものようにトランス カナダ ハイウェイという、遠くは大陸の東端まで通じている道路を運転しての帰路の事である。途中、かなり急勾配でアップダウンを繰り返す。いくつもの丘を超えているのだ。ある丘の上からは、遠目に、真っ暗闇の中でカルガリーの街の明かりだけが瞬いているのを眼下に収める事が出来る。私の好きな丘だ。しかしその日は、何かがおかしい。街の明かりが不自然に見えるのだ。なぜだろう?

街の明かりに変化は無いようだけれど、よく見ると、なんと空一面が紫色をしているではないか!車を停め、しげしげと空を見上げると、均一ではなく、濃淡のある紫であった。「これはナンダなんだ!?」と胸中に感嘆符と疑問符を浮かべつつ帰った。

翌日、同僚に不思議な空の色について聞くと、「あれはノーザンライト(オーロラ)だよ、はじめて見たの?」とあっさり教えてくれた。その後幾度か見たけれど、初めての時の驚きは大きかった。オーロラといえば虹色のカーテンのようなものを想像していたのだけれど、あれはアラスカなど、もっと極地寄りでないと見えないとは後に知ったこと。

アラスカと並んでオーロラで名高いのは、カナダ、ノースウェスト準州の州都、イエローナイフ。毎年オーロラ見学の観光客が訪れるものの産業に乏しく、冬はマイナス30度になる程気候は厳しく、したがって人口は増えず、金額は忘れたけれど、街に住むだけで、州から暖房費の名目で補助金がもらえる程人口が少ない。しかし、最近こんなイエローナイフがオーロラ以外でも注目を集めている。ダイアモンド鉱山が周辺で開発されているためだ。弊誌では、過去に幾度か関連の話題を取り挙げてきたが、今回は、ウィンスペア・ダイアモンズ社を紹介する。


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