平成29年マンション管理士試験問題解説(2)
問26 | 標準管理規約(管理組合) | ||||||
問27 | 標準管理規約(管理組合) | 問33 | 標準管理規約(理事会) | 問39 | 長期修繕計画ガイドライン | 問45 | 清掃・保守点検 |
問28 | 標準管理規約(総会) | 問34 | 会計(仕訳) | 問40 | 建物の構造形式 | 問46 | 適正化指針 |
問29 | 標準管理規約(理事会) | 問35 | 会計(収支報告書) | 問41 | 室内環境 | 問47 | 適正化法(管理士) |
問30 | 標準管理規約(雑則) | 問36 | 大規模修繕(調査機器) | 問42 | 建築物省エネ法 | 問48 | 適正化法(管理業者) |
問31 | 標準管理規約(理事会) | 問37 | 建物の維持保全に関する法令 | 問43 | 給水設備 | 問49 | 適正化法(適正化センター) |
問32 | 標準管理委託契約書 | 問38 | 大規模修繕(外壁補修工事) | 問44 | マンション諸設備 | 問50 | 適正化法(管理業) |
◆ 標準管理規約等(問25~問33)
標準管理規約から8問、標準管理委託契約書から1問の出題である。標準管理規約は平成28年3月に大幅に改正されているが、今回は大部分が改正された箇所からの出題であり、今後、改正された規約をベースに勉強するとよい。規約のコメントも含め繰り返し学習しておけば高得点が期待できる。特に注意すべき点は以下の通り。
・設問はすべて「適切か否か」が問われている。「適切か」という言葉に捕らわれて自分の過去の役員としての経験等により判断してはならない。ここの部分は受験生がマンション管理士としての能力を持っているかと問うているのではなく標準管理規約(コメントを含む)をどの程度理解(記憶)しているかを問うている。従って、現実の管理組合運営で「適切でない」事項でも規約で規定されていれば「適切である」と判断する必要がある。早合点は禁物である。
・設問は規約本文からだけでなくコメントから出題されることもある。学習する際はコメントだからといって読み飛ばすことなくコメント記載事項も含めて標準管理規約が提示されている前提で注目し習得すること。
・標準管理規約は区分所有法に基づいて作成されているが、標準管理規約には規定されているが区分所有法ではそこまでは規定されていない場合がある。例えば、規約に違反した区分所有者に対し理事長が理事会の決議を経て行為の差止訴訟を提起することができるが、区分所有法では総会の決議が必要となる。これは、区分所有法では理事会や理事長に関して規定していないことによるが、このように問われた場合、早合点して「総会の決議が必要」としないように注意する必要がある。設問が「標準管理規約によれば・・・」とあれば「理事会の決議で可」とすべきである。
〔問 26〕 役員の選任等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはいくつあるか。
ア 役員は半数改選とし、役員の任期を2年とする旨を規約に定めることができる。
イ 外部専門家を役員として選任できることとした場合、外部専門家が役員に選任された後に組合員となり、その後、その外部専門家が組合員でなくなったときは、当然に役員としての地位を失う。
ウ 正当な理由もなく恒常的に理事会を欠席している監事は、理事会の決議により解任することができる。
エ 理事の選任は総会の決議によるものとし、選任された理事の間で各理事の役職を決定する。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
・選択肢ア:標準管理規約第36条第1項に「役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない」と規定されているので設問のように規定に定めることはできるので当設問は適切である
・選択肢イ:標準管理規約第36条コメント③に「外部の専門家として選任された役員は、専門家としての地位に着目して役員に選任されたものであるから、当該役員が役員に選任された後に組合員となった場合にまで、組合員でなくなれば当然に役員としての地位も失うとするのは相当でない」とコメントされており、設問にある「外部専門家が組合員でなくなったときは、当然に役員としての地位を失う」との規定は適切でない
・選択肢ウ:監事は標準管理規約第35条第2項に「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と規定されており、解任は当然に選任した総会の決議が必要となり理事会の決議により解任することができないので当設問は適切でない。設問に「理事会の決議により解任することができる」とある
・選択肢エ:標準管理規約第40条第1項に「理事は、理事会を構成し、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する」と規定されており、「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、「理事会」で選任する。選任された理事の間で各理事の役職を決定(互選)するのではない」ので当設問は適切でない。平成28年の標準管理規約の改正で第51条に理事会が定義され、理事の役職は理事会で決定するとされた
≪答え≫ 3 イ、ウ、エが不適切
選択肢エは理事候補の間で役職を内定し総会に提案し、役職を決定するのが一般的な方法では? 選択肢イは平成28年3月に改正された標準管理規約のコメントからの出題でありやや難題か。
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1 管理組合や現理事長等との間で管理組合運営に関し裁判中である区分所有者A氏は、役員とはなれないことから、役員候補者から外すべきです。
2 禁固刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年が経過している区分所有者B氏は、役員候補者になり得ます。
3 細則において、派遣元の法人が銀行取引停止処分を受けている場合は外部専門家として役員となることができないとされているので、それに該当する外部専門家であるC氏は、役員候補者から外すべきです。
4 区分所有者D氏は、破産者でしたが既に復権を得ているとのことなので、役員候補者になり得ます。
≪解説≫
・選択肢1:標準管理規約第36条の2に役員の欠格条項に関して規定されているが設問の「裁判中である区分所有者は、役員とはなれない」と規定されておらず当設問は適切でない。ちなみに欠格対象は①成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者 ②禁固以上の刑に処せられ刑の執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 ③暴力団員等 である
・選択肢2:標準管理規約第36条の2の二に「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は役員になることができない」と規定されており、設問の「5年が経過している区分所有者は、役員候補者になり得ます」は適切である
・選択肢3:標準管理規約第36条の2のコメント②に「銀行取引停止処分を受けている法人から派遣される役職員は、外部専門家として役員となることができない」とコメントされており当設問は適切である
・選択肢4:標準管理規約第36条の2の二に「破産者で復権を得ないものは役員になることができない」と規定されているが、設問の「破産者でしたが既に復権を得ているもの」は役員候補者になり得るので当設問は適切である
≪答え≫ 1
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〔問 28〕 議決権に関連する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはいくつあるか。
ア 専有部分の価値の違いに基づく価値割合を基礎とした議決権割合を定める場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることができる。
イ 専有部分の価値の違いに基づく価値割合を基礎とした議決権割合を定める場合において、事後的にマンションの前方に建物が建築され、眺望の変化等により価値割合に影響を及ぼす変化があったときは、議決権割合の見直しを行う必要がある。
ウ 組合員が代理人によって議決権を行使する場合において、その組合員の住居に同居する親族を代理人として定めるときは、二親等の親族を代理人とすることができる。
エ 組合員が代理人によって議決権を行使する場合において、他の組合員を代理人として定めるときは、当該マンションに居住する他の組合員の中から定めなければならない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
・選択肢ア:標準管理規約第46条コメント③に「価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる」と規定されており当設問は適切である
・選択肢イ:標準管理規約第46条コメント③に「前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする」とコメントされており、設問の「眺望の変化等により価値割合に影響を及ぼす変化があったときは、議決権割合の見直しを行う必要がある」は適切でない
・選択肢ウ:標準管理規約第4項及び第46条第5項の二に「その組合員の住戸に同居する親族は代理人として議決権を行使することができる」と規定されており、設問に「その組合員の住居に同居する親族を代理人として定めるときは、二親等の親族を代理人とすることができる」は適切である。ちなみに代理人は「①その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)②一親等の親族 ③その組合員の住戸に同居する親族 ④他の組合員」ならなれる
・選択肢エ:標準管理規約第4項及び第46条第5項の三に「他の組合員は代理人として議決権を行使することができる」と規定されており、組合員は区分所有者であり設問にある「当該マンションに居住する他の組合員の中から定めなければならない」であり当該マンションに居住している必要はないで当設問は適切でない。
≪答え≫ 2
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〔
1 理事会に理事がやむを得ず欠席する場合において、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出すことができる旨を認めるときは、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、理事会の決議によって定めることが必要である。
2 理事会において外部専門家である理事の代理出席を認める場合には、あらかじめ総会において、外部専門家の理事としての職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを審議の上、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい。
3 理事会が正式な招集手続に基づき招集され、理事の半数以上が出席していれば、監事が出席していなくても、理事会を開催することができる。
4 理事会で専有部分の修繕に係る申請に対する承認又は不承認の決議を行う場合には、理事全員の承諾がなければ書面又は電磁的方法による決議を行うことができない。
≪解説≫
・選択肢1:標準管理規約第53条コメント④に「理事がやむを得ず欠席する場合には、事前に議決権行使書または意見を記載した書面を出すことができる旨を認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である」と規定されており、設問にある「理事会の決議によって定める」ことは不適切で当設問は適切でない
・選択肢2:標準管理規約第53条コメント③に「外部専門家など当人の個人的資質や能力等に着目して選任されている理事については、代理出席を認めることは適当でない」とコメントされており当設問は適切でない。設問に「理事会において外部専門家である理事の代理出席を認める場合には、あらかじめ総会において、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい。
なお、同コメントには「理事の配偶者又は一親等の親族に限り、代理出席を認める場合は、あらかじめ、総会において、それぞれの理事ごとに、理事の職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを審議の上、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい」とコメントされているのでこれと混同しないこと
・選択肢3:標準管理規約第41条コメント②に「理事会は招集手続を経た上で、半数以上の理事が出席するとの要件を満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったことは、理事会における決議等の有効性には影響しない」と規定されており、監事が出席していなくても理事会を開催することができるので当設問は適切である
・選択肢4:標準管理規約第53条第2項に「専有部分の修繕に係る申請に対する承認又は不承認の決議は、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる」と規定されており、設問にある理事全員の承諾は必要でないので当設問は適切でない
≪答え≫ 3
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〔問 30〕 管理組合の書類の保管及び閲覧等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。ただし、電磁的方法が利用可能ではない場合とする。
1 理事長は、利害関係人から、大規模修繕工事の実施状況や今後の実施予定に関する情報についての書面交付について、理由を付した書面による請求があったときは、当該利害関係人が求める情報を記入した書面を交付することができる。
2 理事長は、総会議事録、理事会議事録及び会計帳簿を保管し、これらの保管場所を所定の掲示場所に掲示しなければならない。
3 理事長は、組合員から、理由を付した書面による会計帳簿の閲覧請求があった場合には、これを閲覧させなければならないが、利害関係人からの会計帳簿の閲覧請求については、閲覧させることを要しない。
4 規約が総会決議により変更されたときは、理事長は、変更前の規約の内容及び変更を決議した総会の議事録の内容を1通の書面に記載し、保管しなければならない。
≪解説≫
・選択肢1:標準管理規約第64条3項に「管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる」と規定されており当設問は適切である
・選択肢2:標準管理規約第49条第4項に「理事長は、所定の掲示場所に、総会の議事録の保管場所を掲示しなければならない」と規定されているが、設問にある理事会議事録及び会計帳簿は保管場所を掲示しなければならないとは規定されていないので当設問は適切でない。なお、保管場所の掲示が義務付けられているのは総会議事録のみである
・選択肢3:標準管理規約第64条第1項に「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない」と規定されており、設問にある利害関係人からの会計帳簿の閲覧請求があった場合は閲覧させることを要するので当設問は適切でない
・選択肢4:標準管理規約第72条第3項に「規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名押印した上で、この書面を保管する」と規定されており当設問は規定に定めた通りでないので適切でない。設問に「変更前の規約の内容及び変更を決議した総会の議事録の内容を1通の書面に記載し、保管しなければならない」とある
≪答え≫ 1
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〔問 31〕 理事長がその職務を行うに当たって、理事会の決議又は承認を経ることなく、単独で行うことができる事項は、標準管理規約によれば、次のうちいくつあるか。
ア 長期修繕計画書、設計図書及び修繕等の履歴情報の保管
イ 災害等の緊急時における敷地及び共用部分等の必要な保存行為
ウ 理事長の職務の他の理事への一部委任
エ 臨時総会の招集
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
・選択肢ア:標準管理規約第64条第2項に「理事長は、長期修繕計画書、設計図書及び修繕等の履歴情報を保管する」と規定されて理事長が理事会の決議又は承認を経ることなく単独で行うことができるので単独で行うことができる
・選択肢イ:標準管理規約第21条第6項に「理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる」と規定されており単独で行うことができる
・選択肢ウ:標準管理規約第38条第5項に「理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる」と規定されており、理事会の決議又は承認を経る必要があるので単独で行うことができない。
・選択肢4:標準管理規約第42条第4項に「理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる」と規定されており、理事会の決議又は承認を経る必要があるので単独で行うことができない。従って、理事会の決議又は承認を経ることなく、単独で行うことができる事項は選択肢アとイの二つである。
≪答え≫ 2
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〔問 32〕 甲管理組合と乙管理会社との間の管理委託契約に関する次の記述のうち、「マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント」(平成28年7月29日国土交通省土地・建設産業局長通達)によれば、適切なものはどれか。
1 甲は、乙に管理事務を行わせるために不可欠な管理事務室等を無償で使用させるものとし、乙は、乙が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする。
2 乙は、管理事務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対し、甲に代わって、所轄官庁の指示事項等に違反する行為又は所轄官庁の改善命令を受けるとみられる違法若しくは著しく不当な行為の中止を求めることができる。
3 乙は、甲の会計に係る帳簿等を整備、保管し、当該帳簿等を、甲の事業年度終了後、遅滞なく、甲に引き渡さなければならない。
4 宅地建物取引業者Bが、甲の組合員Aから、Aが所有する専有部分の売却の依頼を受け、その媒介業務のために管理規約の提供を求めてきた。この場合、当該管理規約が電磁的記録により作成されているときは、乙は、甲に代わって、電磁的方法により、Bに提供しなければならない。
≪解説≫
・選択肢1:標準管理委託契約書第7条に「甲は、乙に管理事務を行わせるために不可欠な管理員室等を無償で使用させるものとする。乙の管理員室等の使用に係る費用の負担は、甲又は乙の負担とする」と規定されており、また、第6条第4項には「甲は、第1項の委託業務費のほか、乙が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする」と規定されているので当設問は適切でない。設問で「乙(管理会社)が負担するものとする。」とある
・選択肢2:標準管理規約第11条第1項に「乙は、管理事務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者に対し、甲に代わって、所轄官庁の指示事項等に違反する行為又は所轄官庁の改善命令を受けるとみられる違法若しくは著しく不当な行為等の中止を求めることができる」と規定されており当設問は適切である。ちなみに、同条第2項に「乙が、前項の規定により中止を求めても、なお、甲の組合員等がその行為を中止しないときは、乙はその責めを免れるものとし、その後の中止等の要求は甲が行うものとする」とある
・選択肢3:標準管理委託契約書別表第1(管理事務業務)の1(2)⑤(甲の会計に係る帳簿等の管理)の二に「乙は、前号の帳簿等を、甲の定期総会終了後、遅滞なく、甲に引き渡す」とあり設問の「甲の事業年度終了後、遅滞なく、甲に引き渡さなければならない。」ではないので当設問は適切でない。かなり細かいところをついているが常識的に考えれば総会で前年度決算が承認されるので引渡しはその後となるのは当然である
・選択肢4:標準管理委託契約書第14条第1項に「乙は、宅地建物取引業者が、甲の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受け、その媒介等の業務のために管理規約の提供及び次の各号(管理費、修繕積立金、修繕の実施状況関係)に掲げる事項の開示を求めてきたときは、甲に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、管理規約の写しを提供し、及び各号に掲げる事項を書面をもって開示するものとする」と規定されており設問前半の管理規約の写しを提供することは適切であるが、設問後半の「当該管理規約が電磁的記録により作成されているときは、乙は、甲に代わって、電磁的方法により、Bに提供しなければならない」とまでは同条コメントも含め規定されていないので総合すると当設問は適切でない。管理規約が電磁的記録により作成されている場合には、記録された情報の内容を書面に表示して、又は電磁的方法により提供するものとする。電磁的方法だけでなく、記録された情報の内容を書面に表示することも認められている
≪答え≫ 2
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1 敷地及び共用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く。)の一部を第三者に使用させること。
2 役員活動費の額及び支払方法を定めること。
3 理事会の運営について細則を定めること。
4 規約に違反した区分所有者に対し、理事長が行為の差止訴訟を提起すること。
≪解説≫
・選択肢1:標準管理規約第16条第2項に「管理組合は、総会の決議を経て、敷地及び共用部分等(駐車場及び専用使用部分を除く)の一部について、第三者に使用させることができる」と規定されており、当設問は総会の決議により行う
・選択肢2:標準管理規約第48条の十三に「役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法は総会の決議を経なければならない」と規定されており、当設問は総会の決議により行う
・選択肢3:標準管理規約第48条の四に「規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止は総会の決議を経なければならない」と規定されており、当設問は総会の決議により行う
・選択肢4:標準管理規約第67条第3項に「区分所有者等がこの規約若しくは使用細則等に違反したとき、又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる」と規定されており、理事会の決議又は承認により行う。なお、区分所有法によれば集会(総会)の決議が必要となるが、設問が「標準管理規約によれば」とあるので迷うことなく理事会の決議でよいとする
≪答え≫ 4
当設問では「総会決議を経ることなく、理事会の決議又は承認により行うことができる事項」について問われているが、関連事項として、「理事会が理事長を解任できるかどうか。」が争われた訴訟の上告審判決で最高裁は平成29年12月18日の判決で「理事会の決議で解任できる。」との初めての判断を示した。これは下級審の判決では管理規約に定めがないことを重視して「在任中の理事長の意に反して理事会が地位を失わせるのは許されない。」として原告の主張を認めていたものである。敗訴した管理組合側は上告し「理事長を選任した理事会が解任もできるのは当然だ。」と訴えていた件に関する最高裁の判断である。
現在の管理規約では「理事長は理事会で選任する」と規定されているが、理事会の判断だけで理事長を解任して単なる理事に「降格」させられるかどうかは規定されていないことに起因している。国交省は「最高裁判決の内容を精査し、必要があれば標準管理規約の見直しを検討したい。」と説明しているので今後、注目すべき案件である
◆ 会計関係(問34~問35)
今年もやさしい問題である。発生主義や仕訳の基本が分かっていれば容易に正答を得られる。会計関係のいきなり各選択肢に関して適・不適切を判断するのではなく問全体の設問から何を問われているのかを確認して回答を求める方がよい。
〔問 34〕 平成29年3月25日に、甲マンション管理組合の普通預金口座に、組合員Aから、管理費450,000円(月額30,000円)が入金された。450,000円の内訳は、平成28年2月分から平成29年4月分までの15ヵ月分であった。平成29年3月に管理組合が行うべき
仕訳として適切なものは次のうちどれか。ただし、会計処理は毎月次において発生主義の原則によるものとし、会計年度は平成28年4月1日から平成29年3月31日までとする。
≪解説≫
・各選択肢を見ると、<借方>はすべて「現金預金 450,000円」と同一なので<貸方>を吟味する。<貸方>は「未収金、管理費収入、前受金」が計上され、金額がそれぞれ異なるので設問から15ヵ月分の管理費450,000円(月額30,000円)の内訳を吟味してどれが適切かを判断すればよい。手順として各選択肢ごとに適・不適任を判断するのではなく問334の設問からどのような仕訳をすべきかを確認してこの結果からどの選択肢が適切かを判断する。
・仕訳は平成29年3月に行われているので<貸方>に「管理費収入 30,000円」が計上される。
・同様に平成29年4月分は前受となるので<貸方>に「前受金 30,000円」が計上される。
・残り13ヵ月分390,000円は平成29年2月までは「未収金」として仕訳されていて平成29年3月の仕訳時には未収金がすべて入金されたので<貸方>に未収金390,000円が計上される。
≪答え≫ 2
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1 委託業務費が平成28年度に減少した理由は、平成29年3月17日に実施したエレベーター点検に係る費用を、平成29年4月10日に支払ったことによるものです。
2 平成28年度の次期繰越収支差額は、決算の結果、395,000円になりました。
3 平成28年度の駐車場使用料収入の減少は、平成28年度中に滞納金が発生し入金されなかったことによるものです。
4 平成29年3月24日に、組合員Aから、平成29年度の管理費1年分を前払する振込がありましたが、平成28年度の管理費収入には計上しないため、前期の額と変動がありませんでした。
≪解説≫
・選択肢1: これは適切でない。平成29年3月17日に実施したエレベーター点検に係る費用を、平成29年4月10日に支払ったとしても発生主義により収支報告書には平成28年度に計上されるので委託業務費が平成28年度に減少した理由とはならない。
・選択肢3:これも適切でない。平成28年度中に滞納金が発生し入金されなかったとしても収支報告書には平成28年度に計上されるので平成28年度の駐車場使用料収入が減少した理由とはならない。
・選択肢4: これは適切である。平成28年度の管理費収入には計上しないため、前期の額と変動がない。
(ここまでで選択肢4が適切でることが分かったので選択2の計算をする必要はない。)
・選択肢2:比較収支報告書を理解するために表中のXXXを計算をすると下記のようになる。設問の「平成28年度の次期繰越収支差額の決算結果」を求めるには平成26年度に遡って計算する。
*各年度の当期収支差額は収入合計から支出合計を差し引く⇒平成26年度の当期収支差額は\350k\ー305
≪答え≫ 4
選択肢2は計算をする必要があり時間を要するので後回しとし、他の選択肢の適・不適を判断する。正答が見つかれば計算をしなくても済む。発生主義を理解していれば他の選択肢の中で適切なものはすぐに分かる。
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◆ 大規模修繕、設備・構造関係(問36~問45)
例年通り、大規模修繕、長期修繕計画、建物の構造形式、給水設備等から幅広く出題されている。
〔
問 36〕 マンションの建物の調査機器と調査方法に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
1 クラックスケールを用いて、コンクリートのひび割れ深さの調査を行った。
2 タッピングマシンを用いて、外壁タイルの浮きの調査を行った。
3 電磁波レーダを用いて、給排水管内部の劣化状況の調査を行った。
4 無色透明な市販の粘着テープを用いて、仕上塗材の白亜化(チョーキング)の程度の調査を行った。
≪解説≫
・選択肢1:コンクリートのひび割れ深さを調査するには超音波法によるので
設問は適切でない。超音波法はコンクリートに超音波を通し健全部と欠陥部の超音波の伝達時間の差を利用することにより検出する方法である。
・選択肢2:外壁タイルの浮きの調査は赤外線サーモグラフィ法により行うので設問は適切でない。外壁タイルの浮きはテストハンマーによる調査も方法もある
・選択肢3:給排水管内部の劣化状況の調査は抜管(サンプリング)法や内視鏡計測調査法があり設問は適切でない。電磁波レーダ法は鉄筋コンクリートの中の位置を測定する方法でありコンクリートの表面と鉄筋のかぶりの厚さを測定する方法である。
・選択肢4:設問記載の調査方法は適切である。
≪答え≫ 4
建物の調査方法の基本がわかっていれば容易に正答を得られる。調査方法については過去問で出題されている事項は習得しておく事。
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1 マンション管理適正化法によれば、宅地建物取引業者は、管理組合の管理者等に対し、建築基準法第6条に規定される確認申請に用いた設計図書を交付しなければならない。
2 建築基準法第8条第2項に規定されている建築物の維持保全に関する計画には、維持保全の実施体制や資金計画等を定めることとされている。
3 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)においては、長期優良住宅建築等計画の認定基準として、新築、増築又は改築のいずれの場合にあっても、新築後、増築後又は改築後の維持保全の期間は30年以上と定められている。
4 住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)の規定による住宅性能表示制度において、鉄筋コンクリート造の既存住宅の劣化対策等級の評価基準には、コンクリートの中性化深さ及びコンクリート中の塩化物イオン量が含まれている。
≪解説≫
・選択肢1: マンション管理適正化法第103条に「宅地建物取引業者、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。)を分譲した場合においては、国土交通省令で定める期間内に当該建物又はその附属施設の管理を行う管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに、当該管理者等に対し、当該建物又はその附属施設の設計に関する図書で国土交通省令で定めるものを交付しなければならない」と規定されており、ここで、国土交通省令で定めるものとはマンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第102条に「国土交通省令で定める図書は、工事が完了した時点の同項の建物及びその附属施設(駐車場、公園、緑地及び広場並びに電気設備及び機械設備を含む。)に係る図書とする」とあるので設問は誤っている。設問に「建築基準法第6条に規定される確認申請に用いた設計図書を交付しなければならない」とある。
・選択肢2:建築基準法第8条第2項に規定されている建築物の維持保全に関する計画に関しては昭和60年建設省告示第606号に「維持保全の実施体制や資金計画等を定めることとされている」ので設問は正しい。
・選択肢3:長期優良住宅の普及の促進に関する法律第6条第1項の四 ロに「長期優良住宅建築等計画が建築後の住宅の維持保全の期間が三十年以上であれば認定をすることができる」と規定されており設問は正しい。
・選択肢4:評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)に設問にある鉄筋コンクリート造の既存住宅の劣化対策等級の評価基準にコンクリートの中性化深さ及びコンクリート中の塩化物イオン量が含まれており設問は正しい。これは部外者が知ることは困難である。設問にある「中性化の深さ」や「塩化物イオン量」から設問は適切であると判断する他ない。
*URL:http://www.mlit.go.jp/common/001178907.pdf (P84~P86)
≪答え≫ 1
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1 外壁パネル等の目地のシーリング材の補修は、
既存のシーリング材を除去して新規のシーリング材を施工するシーリング再充填工法(打替え工法)が一般的である。
2 モルタル塗り仕上げ部分に発生している幅が1.0mmを超えるひび割れで、ひび割れ幅が変動する場合の補修は、Uカットシール材充填工法とし、充填材にシーリング材を用いるのが一般的である。
3 外壁複合改修構工法(ピンネット工法)は、
既存のタイルやモルタル等の仕上げ層を撤去せずに、アンカーピンによる仕上げ層の落下防止と繊維ネットによる既存仕上げ層の一体化により安全性を確保する工法である。
4 コンクリート部分に発生しているひび割れの補修工事で樹脂注入工法を行う場合、注入する圧力は、樹脂を行き渡らせるために、できるだけ高圧とすることが一般的である。
≪解説≫
・選択肢1:設問のシーリング再充填工法が一般的であり
設問は適切である。
・選択肢2:Uカットシール材充填工法はひび割れの部分の挙動が大きい場合、ひび割れ部分を幅を幅10mm、深さ10~15mmでU字型にカットしその部分にシーリング材等を充填する工法であり設問は適切である。
・選択肢3:ピンネット工法は設問に記載通りの工法であり設問は適切である。
・選択肢4:圧力を高くして注入するとかえってひび割れを広げてしまったり、樹脂が集中してひび割れ全体に均一に入らないこともあり低圧(自動低圧注入)で注入する方法が一般的であり設問は適切でない。常識的に考えても高圧で注入する方法は適切でないと判断できる。
≪答え≫ 4
マンションの外壁の補修工事を経験していない者には難問である。今後、補修工事は出題されるので参考書やウエブで体系的に学習しておく必要がある。また、Youtubeで疑似的に現場体験をするのもよい。
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1 2012年に見直した長期修繕計画を大規模修繕工事が完了した2017年に再度見直し、2042年までの計画を作成した。
2 長期修繕計画の計画期間内に修繕周期に到達しない建具関係の取替えなどについて、推定修繕工事費に計上し、修繕積立金の算定根拠とした。
3 大規模修繕工事の実施の時期を長期修繕計画による実施時期にかかわらず、調査・診断結果に基づいて判断した。
4 15階未満のマンションにおける専有床面積当たりの修繕積立金の額の平均値は、建築延床面積が大きいほど高くなる傾向にある。
≪解説≫
・選択肢2:長期修繕計画作成ガイドライン第3章第1節6のコメントに「新築時に計画期間を30年とした場合において、例えば、「建具関係」の取替は、修繕周期が36年程度なのので「修繕周期に到達しないため推定修繕工事費を計上していない。」旨を明示します。なお、計画期間内に修繕周期に到達しない「建具関係」の取替などについて、多額の費用を要することから推定修繕工事費を計上しておくことも考えられます。」とコメントされており設問は適切である。
・選択肢3:長期修繕計画作成ガイドライン第3章第1節6の二のコメントに「新築時に計画期間を30年とした場合において、例えば、『「建具関係」の取替は、修繕周期が36年程度ですので、「修繕周期に到達しないため推定修繕工事費を計上していない。」旨を明示する。なお、計画期間内に修繕周期に到達しない「建具関係」の取替などについて、「多額の費用を要することから推定修繕工事費を計上しておくことも考えられる。」とコメントされている。従って、設問にある「大規模修繕工事の実施の時期を長期修繕計画による実施時期にかかわらず、調査・診断結果に基づいて判断する」は適切である。
・選択肢4:マンションの修繕積立金に関するガイドラインの3(2)に「修繕積立金の額の目安」によれば、15階未満のマンションにおける専有床面積当たりの修繕積立金の額の平均値は、建築延床面積が大きいほど安くなる傾向にある。」と記載されており設問は適切でない。
≪答え≫ 4
長期修繕計画作成ガイドラインからの出題であるがコメントも含め熟読しておく必要がある。かなり細かい事項も出題されている。
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1 ラーメン構造は、柱と梁を剛接合して建物の骨組みを構成し、荷重及び外力に対応する構造形式であり、構造耐力を増すために耐力壁を設ける場合もある。
2 壁式構造は、壁や床などの平面的な構造部材を一体として構成し、荷重及び外力に対応する構造形式であり、高層の建物より中低層の建物に採用されることが多い。
3 鉄筋コンクリート構造は、鉄筋とコンクリートのそれぞれの長所を活かすように組み合わせた構造形式であるが、施工現場において鉄筋及び型枠を組み立て、コンクリートを打つ必要があり、工業化はされていない。
4 鉄骨構造は、外力に対して粘り強い構造形式であるが、耐火被覆や防錆処理が必要となるだけでなく、鉄筋コンクリート構造に比べて揺れが大きくなりやすい。
≪解説≫
・選択肢1:ラーメン構造
は設問記載の通りであり設問は適切である
・選択肢2:壁式構造
は設問記載の通りであり設問は適切である
・選択肢3:設問後半の「施工現場において鉄筋及び型枠を組み立て、コンクリートを打つ必要があり、工業化はされていない」あるが、
工場でコンクリート製品を製作した後、現場へ運搬して設置する「プレキャストコンクリート工法」もあり、設問にある「工業化はされていない」は適切でなく設問は適切でない
・選択肢4:
鉄骨構造は設問記載のとおり設問は適切である≪答え≫ 3
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1 建築基準法の規定による居室に設ける窓その他の開口部の採光に有効な部分の面積の算定方法は、開口部が設置されている壁面の方位により異なる。
2 低放射複層ガラス(Low-E複層ガラス)は中空層側のガラス面に特殊な金属膜をコーティングしたものであるが、金属膜を屋外側ガラスにコーティングした場合と室内側ガラスにコーティングした場合とでは、室内環境に及ぼす効果が異なる。
3 遮音対策としては、共用廊下やエレベーター、設備配管からの騒音にも配慮する必要がある。
4 壁下地材などの内装材として使用されているせっこうボードは、防火性だけではなく遮音性を有している。
≪解説≫
・選択肢1:開口部の採光に有効な部分の面積の算定方法は建築基準法施行令第20条第1項に「居室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積は、当該居室の開口部ごとの面積に、それぞれ採光補正係数を乗じて得た面積を合計して算定するものとする」と規定されているが、採光補正係数には壁面の方位に関する係数は設定されていないので設問は適切でない
・選択肢2:室内側ガラスにコーティングしたものは断熱タイプと呼ばれ、室内側ガラスにコーティングされた特殊金属膜が太陽熱を通過させながらも室内の熱を鏡のように反射するので一旦取り入れた熱を外に逃がさないようなしくみになっている。一方、外側ガラスにコーティングしたものは遮熱タイプと呼ばれ、夏には太陽光を50%以上カットし冷房効果を高め、冬は特殊金属膜が室内の熱を外へ逃がさないようなしくみになっている。従って、室内環境に及ぼす効果が異なるので設問は適切である
・選択肢3:遮音対策として設問記載の通りで設問は適切である
・選択肢4:せっこうボード
は設問記載の通りの特徴があり設問は適切である≪答え≫ 1
マンションの室内環境に関する出題であるが選択肢1を除いて容易に正答を得られる
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1 建築主は、既存の住宅専用マンションにおいても、増築又は改築に係る部分の床面積の合計が
300㎡以上となる場合は、その建築物のエネルギー消費性能の確保のための構造及び設備に関する計画を、所管行政庁に届け出なければならない。
2 建築主には、新築、増築、改築、修繕若しくは模様替又は空気調和設備等の設置若しくは改修をしようとする建築物について、エネルギー消費性能の向上を図る努力義務が課せられている。
3 既存建築物の所有者は、エネルギー消費性能の向上のための修繕、模様替等をしなくても、所管行政庁に対し、当該建築物について建築物エネルギー消費性能基準に適合している旨の認定を申請することができる。
4 建築物エネルギー消費性能基準に適合する建築物を新築する場合、当該建築物について、建築基準法による容積率制限及び高さ制限の特例が適用される。
≪解説≫
・選択肢2:
建築物省エネ法第6条第1項に「建築主は、建築物の修繕若しくは模様替又は建築物への空気調和設備等の設置若しくは建築物に設けた空気調和設備等の改修をしようとする建築物について、建築物の所有者、管理者又は占有者は、その所有し、管理し、又は占有する建築物について、エネルギー消費性能の向上を図るよう努めなければならない」と規定されており設問は正しい・選択肢3:
建築物省エネ法第36条第1項に「建築物の所有者は、国土交通省令で定めるところにより、所管行政庁に対し、当該建築物について建築物エネルギー消費性能基準に適合している旨の認定を申請することができる」と規定されており、既存建物は対象としない旨の規定はないので設問は正しい
・選択肢4:
建築物省エネ法第35条に建築基準法による容積率制限制限の特例が適用されることが規定されているが高さに関する特例は規定されていないので設問は誤っている≪答え≫ 4
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(「建築物省エネ法」と略す)は平成27年7月に公布され、平成29年4月1日に適合義務や届出等の規制的措置が施行された新しい法令からの出題である。設問の内容をみるとかなり専門的に勉強していないと正誤が判断できない難問である
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〔問 43〕 マンションの給水設備に関する次の記述のうち、
適切でないものはどれか。
1 さや管ヘッダー工法では、専有部分に設置する配管として耐衝撃性及び耐食性に優れた水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管を使用する。
2 水道直結増圧方式では、水道本管(配水管)が負圧になったときに、水道本管へ建物内の水が逆流しないように逆流防止装置を設ける。
3 ポンプ直送方式では、水道本管(配水管)から引き込んだ水を一度受水槽に貯水した後、加圧(給水)ポンプで加圧した水を各住戸に供給するため、高置水槽は不要である。
4 水栓を閉める際に生じるウォーターハンマーの防止策として、給水管内の流速を1.5~2.0m/s とすることが有効である。
≪解説≫
・選択肢1:さや管ヘッダー方式の給水配管
としては、水道用硬質塩化ビニル管ではなく架橋ポリエチレン管等が使用されるので設問は適切でない。同じ設問は平成22年問43選択肢2及び平成25年問45選択肢2で出題されている
・選択肢2
:設問記載の通りであり設問は適切である
・選択肢3:
設問記載の通りであり設問は適切である。同じ設問は平成25年問45選択肢2及び平成25年問45選択肢4で出題されている・選択肢4:
設問記載の通りであり設問は適切である。同様な設問は平成24年問43選択肢2で出題されている
≪答え≫ 1
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1 飲料用の受水槽の有効容量は、一般にマンション全体の一日の使用水量の2分の1程度に計画する。
2 屋内消火栓設備の広範囲型2号消火栓は、火災時に、一人でも操作ができる。
3 逆わんトラップは、清掃が容易にできるため、台所流しの排水口に設置する。
4 地震時のエレベーター内への閉じ込めの防止策の一つとして、初期微動(P波)を検知して運転を制御する地震時等管制運転装置を設置する。
≪解説≫
・選択肢1:
設問記載の通りであり設問は適切である
・選択肢2:
設問記載の通りであり設問は適切である
・選択肢3:逆わんトラップ
は主としてユニットバスルームの床排水に用いられるトラップであり設問は適切でない。台所流しの排水口にはわんトラップが使用される
・選択肢4:
設問記載の通りであり設問は適切である≪答え≫ 3
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1 共用部分の排水管に設置する掃除口は、排水の流れの方向又は流れと直角方向に開口するように設ける。
2 機械式立体駐車場は、機種、使用頻度等に応じて、1~3ヵ月以内に1度を目安として、専門技術者による点検を受ける。機械式立体駐車の安全対策に関するガイドライン(国土交通省平成26年3月)のⅣ.管理者の取組による。
3 消防用設備の点検において、誘導灯は、外観から又は簡易な操作により判別できる事項について点検を行う機器点検を、6ヵ月に1回実施する。
4 エレベーターの保守契約におけるPOG契約は、定期的な機器・装置の保守・点検のみを行う契約方式で、仕様書で定める消耗品を除き、劣化した部品の取替えや修理等を含まない。
≪解説≫
・選択肢1:
掃除口を排水の流れの方向に開口すると排水が流れ出すこととなり設問は適切でない
・選択肢2:
設問記載の通りであり設問は適切である
・選択肢4:
設問記載の通りであり設問は適切である≪答え≫ 1
マンションの設備の清掃及び保守点検に関する出題であるが、誤りの設問を見出すには常識的な判断で可能である
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◆
マンション管理適正化法等(問46~問50)
マンション管理適正化指針から1問、マンション管理適正化法から4問の出題であるが、対象範囲が限られているので容易に正答を得られる。ただし、今年は5問のうち、3問は「正しいものはいくつあるか」との設問であり、一つでも見落としがあると不正解となるので慎重な判断が必要である。とりこぼしをしないよう注意。
〔問 46〕 「マンションの管理の適正化に関する指針」(平成13年国土交通省告示第1288号)において定められている「マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項」に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
ア 管理組合の自立的な運営は、マンションの区分所有者等の全員が参加し、その意見を反映することにより成り立つものである。そのため、管理組合の運営は、情報の開示、運営の透明化等、開かれた民主的なものとする必要がある。また、集会は管理組合の最高意思決定機関である。
イ 長期修繕計画の策定及び見直しにあたっては、「長期修繕計画作成ガイドライン」を参考に、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
ウ 管理業務の委託や工事の発注等については、説明責任等に注意して、適正に行われる必要があるが、とりわけ外部の専門家が管理組合の管理者等又は役員に就任する場合においては、マンションの管理業者から信頼されるような発注等に係るルールの整備が必要である。
エ 管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と自治会費の徴収、支出を分けて適切に運用することが必要である。なお、このように適切な峻別や代行徴収に係る負担の整理が行われるとしても、自治会費の徴収を代行することは差し控えるべきである。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
・選択肢ア:マンション管理適正化指針二の1に定められており設問は適切である
・選択肢イ:マンション管理適正化指針二の5に定められており設問は適切である
・選択肢ウ:マンション管理適正化指針二の6に「マンションの区分所有者等から信頼されるような発注等に係るルールの整備が必要である」と定められており、設問にある「マンションの管理業者から信頼される」ではないので設問は適切でない
・選択肢エ:マンション管理適正化指針二の7に「このように適切な峻別や、代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない」と定められており、設問にある「自治会費の徴収を代行することは差し控えるべきである。」ではないので設問は適切でない
≪答え≫ 2
1
2
マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないが、これに違反した者に対し、国土交通大臣は、登録の取消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称使用の停止を命ずることができるほか、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する旨の罰則の規定がある。3 マンション管理士の登録を取り消された者は、その通知を受けた日から起算して
10日以内に、登録証を国土交通大臣(指定登録機関が登録の実務に関する事務を行う場合は指定登録機関)に返納しなければならない。
4 マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないが、これに違反した者に対しては、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する旨の罰則の規定がある。
≪解説≫
・選択肢1:マンション管理適正化法第33条第2項に「
国土交通大臣は、マンション管理士が第四十条から第四十二条までの規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる」と規定されており、また、同法第40条に「マンション管理士は、マンション管理士の信用を傷つけるような行為をしてはならない」と規定されているので設問は正しい
・選択肢2:マンション管理適正化法第42条に「マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理士でなくなった後においても、同様とする」と規定されており、また、同法第107条第1項二に「第四十二条の規定に違反した者は
一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」と規定されているので設問は正しい
・選択肢4:マンション管理適正化法第43条に「マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない」と規定されており、また、同法第109条に「第四十三条の規定に違反した者は
一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」と規定されているので設問は正しくない。罰金の額は50万円ではなく30万円である≪答え≫
4
マンション管理適正化法で規定されているマンション管理士の罰則等に関する出題である。罰金等の数値に関する事項もよく出題されるので暗記しておくしかよい方法はない
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イ 国土交通大臣は、マンション管理業の登録申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者である場合は、その登録を拒否しなければならない。
ウ 国土交通大臣は、マンション管理業者が業務に関し、その公正を害する行為をしたとき、又はその公正を害するおそれが大であるときは、その旨を公告しなければならない。
エ 国土交通大臣は、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、マンション管理業を営む者の事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
・選択肢イ:マンション管理適正化法第47条に「国土交通大臣は、マンション管理業の登録申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者である場合は、その登録を拒否しなければならない」と規定されており設問は正しい。
・選択肢ウ:マンション管理適正化法第81条に「国土交通大臣は、マンション管理業者が業務に関し、その公正を害する行為をしたとき、又はその公正を害するおそれが大であるときは、当該マンション管理業者に対し、必要な指示をすることができる」と規定されており設問は正しくない。
公告でなく指示である・選択肢エ:マンション管理適正化法第86条第1項に「国土交通大臣は、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、マンション管理業を営む者の事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる」と規定されており設問は正しい
従って、正しい選択肢はア、イ、エの三つである
≪答え≫ 3
これもマンション管理適正化法で規定されているマンション管理業者の業務に関する罰則等に関する出題である。「正しいものはいくつあるか」との出題なので一つも漏れのないように慎重な判断が必要である
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ア マンションの管理の適正化に関し、管理組合の管理者等その他の関係者に対し技術的な支援を行うこと。
イ マンションの管理に関する苦情の処理のために必要な指導及び助言を行うこと。
ウ マンションの管理の適正化に関し、管理組合の管理者等その他の関係者に対し講習を行うこと。
エ マンション管理業の健全な発達を図るための調査及び研究を行うこと。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
マンション管理適正化法第92条に七つの業務が規定されているが、
選択肢エのみ規定されておらず他の選択肢は規定されているので正しいものは三つである。これも「正しいものはいくつあるか」との出題なので一つも漏れのないように慎重な判断が必要である。選択肢エ(管理業の健全な発達を図るための調査及び研究を行うこと)は管理業者の団体の業務である≪答え≫ 3
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〔問 50〕 マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、
マンション管理適正化法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、記述の中で「マンションの区分所有者等」とあるのは、同法第2条の規定によるものとする。
1 マンション管理業者の使用人その他の従業者は、当該従業者でなくなった後5年を経過するまでは、正当な理由がなく、マンションの管理に関する事務を行ったことに関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 マンション管理業者は、使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
3 マンション管理業者の使用人その他の従業者は、マンションの管理に関する事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは、当該マンション管理業者の従業者であることを証する証明書を提示しなければならない。
4 マンション管理業者の登録がその効力を失った場合には、当該マンション管理業者であった者又はその一般承継人は、当該マンション管理業者の管理組合からの委託に係る管理事務を結了する目的の範囲内においては、なおマンション管理業者とみなす。
≪解説≫
・選択肢1:マンション管理適正化法第87条に「マンション管理業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がなく、マンションの管理に関する事務を行ったことに関して知り得た秘密を漏らしてはならない。マンション管理業者の使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様とする」と規定されており設問は正しくない。設問にある
「5年を経過するまで」との期限の制約はない
・選択肢2:マンション管理適正化法第88条第1項に「マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない」と規定されており設問は正しい
・選択肢3:マンション管理適正化法第88条第2項に「マンション管理業者の使用人その他の従業者は、マンションの管理に関する事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他の関係者から請求があったときは、前項の証明書を提示しなければならない」と規定されており設問は正しい
・選択肢4:マンション管理適正化法第89条に「マンション管理業者の登録がその効力を失った場合には、当該マンション管理業者であった者又はその一般承継人は、当該マンション管理業者の管理組合からの委託に係る管理事務を結了する目的の範囲内においては、なおマンション管理業者とみなす」と規定されており設問は正しい
≪答え≫ 1