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[平成28年問26~問50へ]

     平成28年マンション管理士試験問題解説(1) 

 

問1 区分所有法(共用部分)
問2 区分所有法(総則-3条団体) 問8 区分所有法(管理組合法人) 問14 民法、借地借家法 問20 都市計画法
問3 区分所有法(総則-先取特権) 問9 区分所有法(管理組合法人) 問15 民法(賃貸借契約) 問21 建築基準法
問4 標準管理規約(共用部分) 問10 区分所有法(義務違反) 問16 民法、失火法 問22 水道法(簡易専用水道)
問5 区分所有法(共用部分) 問11 区分所有法(建替え) 問17 民法(相続) 問23 消防法
問6 区分所有法(規約) 問12 民法(共有) 問18 不動産登記法 問24 警備業法
問7 区分所有法(規約-公正証書) 問13 民法(連帯保証) 問19 建替え円滑化法(敷地売却) 問25 標準管理規約(駐車場)

 

問 1 共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

 

 1 各共有者は、共用部分の全部について、持分に応じて使用することができる。

2 共有者の持分は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分の処分に従う。
 

3 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合によるとされ、その床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積によるとされている
が、これらは規約で別段の定めをすることもできる。
 

4 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を行う場合の議決権割合は、規約でその過半数まで減ずることができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:第13条には「各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる」と規定されており、設問の「持分に応じて使用することができる」正しくない民法の249条には「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができると規定されており勘違いしないこと

 

・選択肢2:第15条第1項には「共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う」と規定されてており、規約で別段の定めをすることはできないので設問の「規約に別段の定めがない限り」正しくない

 

選択肢3:第14条(共用部分の持分の割合)からの出題で設問は正しい。以下に第14条全文を記す
 第十四条  
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による
 2  
前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各  区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする
 3  
前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による
 4  
前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない

 

・選択肢4:17条には「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」と規定されており、設問の「議決権割合は、規約でその過半数まで減ずることができる」は正しくない。過半数まで減ずることができるのは「議決権割合」ではなく「区分所有者の定数」である

 

≪答え≫  (正しい選択肢)

 

  この設問は区分所有法の「第2節 共有部分等」からの出題であるが、重要な規定であるので何べんも見直し全文を暗記しておく必要がある。「マンション管理の知識」にはなぜそのように定めたのか解説もあるので参照して理解を深めるとよい。

 

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問 2 〕 区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体(この問いにおいて「3 条の団体」という。)又は管理者に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか

 

ア 3条の団体は、区分所有法によって設立が認められる法人である。

 

イ 3条の団体は、区分所有法の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことが義務づけられている。

 

ウ 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。

 

エ 管理者は、集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。


1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ

 

≪解説≫

 

・設問ア:3条の団体は区分所有法によって設立が認められる法人とは限らないので設問は正しくない。法人とするには区分所有法第47条に「第三条に規定する団体は区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人とな」との定めがあり、これに則った団体が法人である

 

・設問イ:区分所有法3条では「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」と規定されており義務付けられてはいないので設問は正しくない一般に法律文での「・・・できる」は義務でなことを理解しておくこと

 

・設問ウ:区分所有法第26条第2項に「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する」と規定されており設問は正しい 

 

・設問エ:区分所有法第26条第4項には「管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる」と規定されており、また、同条第5項には「管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない」と規定されている。第5項では集会の決議による場合は「区分所有者にその旨を通知しなければならない」とは規定されていないので設問は正しくない。常識的に考えても集会の出席者はその場でその旨を承知しており、欠席者は議事録等により通知されており改めて区分所有者への通知は不要である

 

≪答え≫  (正しい設問はウのみ

  「正しいのはどれか」との設問の場合は消去法で正解を絞り込むことは可能であるが「正しいものはいくつあるか」との設問の場合は各選択肢について厳格な判断を要する。全問を回答した後にでももう一度見直しが必要である

 

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問 3 〕 区分所有法第7条に規定する先取特権に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29 年法律第89 号)の規定によれば正しいものはどれか

 

1 管理者に対して支払うべき報酬が定められ、管理者が、管理組合に対して報酬請求権を有する場合には、管理者の報酬請求権は、先取特権によって担保される。

 

2  区分所有法第7条の先取特権は、共益費用の先取特権とみなされ、他の一般の先取特権と競合する場合にはそれらに劣後する。
 

3  店舗を経営する区分所有者が、管理組合の承諾を得て、共用部分である廊下に自らの所有する動産であるショーケースを備え付けていた場合、このショーケースに対しては、先取特権の効力は及ばない。
 

4  区分所有者が、規約又は集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について先取特権を行使するに際しては、当該他の区分所有者が第三者から借り受けていた家具についても即時取得の規定の準用がある。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:管理者の報酬請求権は区分所有法第7条第1項で規定する管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する先取特権の対象にならないので設問は正しくない管理者の報酬請求権は管理組合規約により管理者が管理組合との間に報酬を受ける旨の規定がある場合に認められるものである

 

・選択肢2:区分所有法第7条第2項では先取特権は、優先権の順位及び効力については共益費用の先取特権とみなす」と規定されており、共益費用の先取特権は民法第329条等の定めにより他の一般の先取特権と競合する場合にはそれらに優先するので設問は正しくない

 

・選択肢3:区分所有法第7条第1項では「債務者の区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する」と規定されており、共用部分である廊下に自らの所有する動産であるショーケースにも先取特権の効力は及ぶので設問は正しくない。「管理組合の承諾を得て共用部分である廊下に設置された」の文言に惑わされないこと

 

・選択肢4:借用物についても先取特権が及ぶので設問は正しい。設問は「第三者から借り受けていた家具についても即時取得の規定の準用がある」とあり、準用は、民法の第192条に「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」の規定が該当する。常識的にみても善意の第三者(管理組合の管理者等)が当該動産は借用物かどうかはわからないので妥当であることは推定できる

 

≪答え≫ 
 

   この設問は民法等で規定されている先取特権そのものを理解してしていないと正解を得るのは難しい。インターネットで「先取特権」を検索して関連する事項を習得する必要がある。ちなみに区分所有法第7条(先取特権) には下記のとおり規定されている。 

 

  第七条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基   づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする
2  前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす
3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条 の規定は、第一項の先取特権に準用する

 

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問 4 〕 共用部分等の管理に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、正しいものはいくつあるか

 

ア マンションの駐車場の管理については、駐車場を使用する区分所有者がその責任と負担において行わなければならない。

 

イ 管理組合は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができ、その請求を正当な理由なく拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。

 

ウ 理事長は、災害や事故等により緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分について、立ち入ることができるが、原状回復義務を負う。
 

エ 計画修繕工事の実施に際し、区分所有者が、専有部分又は専用使用部分への立入りを正当な理由なく拒否し続け、計画修繕工事の円滑な実施を妨げる場合には、理事長は、理事会の決議を経て、その是正等のため必要な勧告、指示等を行うことができる。

1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ

 

≪解説≫ 

 

・設問ア:標準管理規約第21条関係のコメント②項に「駐車場の管理は、管理組合がその責任と負担で行う」と規定されており区分所有者が行うものではなので設問は正しくない。これは民間の駐車場の管理と同様である。

 

・設問イ:標準管理規約第23条第4項には「前2条により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる」、同条第2項には前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない」及び同条第3項には「前項の場合において、当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない」と規定されており設問は正しい

 

・設問ウ:標準管理規約第23条第4項には「前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分に自ら立ち入り、又は委任した者に立ち入らせることができる。」及び同条第5項に「立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない」と規定されており設問は正しい

 

・設問エ:標準管理規約第67条第1項には「区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人(以下「区分所有者等」という。)が、法令、規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる」と規定されている。設問の「計画修繕工事の実施に際し、区分所有者が、専有部分又は専用使用部分への立入りを正当な理由なく拒否し続け、計画修繕工事の円滑な実施を妨げる場合」はこの条項の「規約又は使用細則等に違反したとき、又は対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったとき」に該当するので設問は正しい

 

≪答え≫  (正しい設問はイ、ウ、エの三つ)

  標準管理規約からの出題は後半にもあるが、回答する上でのポイントには理屈ではなく規約に記載されているかどうかを問うているのでコメントも含めて一言一句の理解に努めておくこと。なお、「標準管理規約」は平成28年3月に改正されているので最新版で確認すること。

 

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問 5 〕 共用部分の所有に関する次の記述のうち、区分所有法、民法及び不動産登記法(平成16 年法律第123 号)の規定によれば正しいものはどれか

 

1  共用部分は、規約の定めにより、区分所有者又は管理者でない者の所有に属させることができる。

 

2  規約で、共用部分を特定の区分所有者の所有に属させる場合、当該区分所有者の区分所有権に係る共有持分権に変動は生じない。

 

3  規約により共用部分とした建物の部分を、区分所有者でない管理者の所有に属させる場合、管理者は当該共用部分の所有権を登記できる。

 

4  管理者が共用部分を所有する場合、共用部分に加え、規約による建物の敷地も所有することができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第11条第1項には共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する」と規定されており、設問のうち共有部分は区分所有者の所有に属すると定められている。また、管理者に関しては同条2項に「前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない」と規定されており、引用している第27条第1項には「管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる」と規定されてされている。区分所有者でない管理者(例えば管理を委託している管理会社の社員)も共用部分を所有することができるが、管理者でない者は共用部分を所有することができないので設問は正しくない

 

・選択肢2:「管理所有」の場合は、あくまでも管理上の所有を定めたものであり共用部分の所有権には変動を及ぼさない。不動産登記法でもそこまでは求めておらず設問は正しい

 

・選択肢3:選択肢2の関連で不動産登記法においても共用部分の管理所有者の登記は認めれておらず設問のような申請を登記所へ申請しても受け付けてもらえず設問は正しくない。もし共用部分に関して所有者の登記や権利に関する登記があれば職権で抹消される

 

・選択肢4:区分所有法では設問のような規約による建物の敷地も所有することができる」とまでは規定されておらず設問は正くない。区分所有法第二十一条では「建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する」と規定されており管理所有を定める区分所有法第11条の規定の準用はないので規約による建物の敷地も所有することは規定されていない

 

≪答え≫ 

  そもそも管理所有は区分所有法では例外的な扱いであり管理組合の業務を管理業者へ委託しているので管理者は区分所有者に限るように規定されていない。区分所有者でない管理業者が管理組合の事務室や集会所等の共有物を円滑に管理できるようにできるために必要最低限な制度を定めたものである。設問のような管理所有の制度について区分所有法の条文から読み解くことは困難なの参考書や過去問から下記のような基本的事項をしっかり習得する必要がある

 

 管理所有者には区分所有者だけでなく管理業者の社員など第三者が就任することができる
管理所有者は管理所有をする共有物についてその持分の所有権を認めて登記することはできない。あくまでも管理組合の規約上の約束であ
管理所有する共有物には規約による敷地の所有まで所有することはできない

 

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問 6 〕 規約に関する次の記述のうち区分所有法の規定によれば誤っているものはどれか。ただし、規約の定めは、区分所有者間の利害の衡平が図られているものとする。

 

1  管理者が置かれていない管理組合が、規約を保管する者を集会で定める場合、区分所有者の代理人で建物を使用している者を、規約を保管する者として定めることができる。

 

2  一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。
 

3  建物について規約で定めることができる事項は、共用部分の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項に限られ、専有部分の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は含まれない。
 

4  数個の専有部分を所有する区分所有者が存在しない場合には、各区分所有者の議決権の割合について、規約で住戸一戸につき各一個の議決権と定めることにより、決議に必要な区分所有者の定数と一致させることができる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法の第32条第1項には「規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない」と規定されており設問は正しい。条文のとおりの出題である

 

・選択肢2:これも区分所有法の第31条第2項には「前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない」と規定されており設問は正しい。一部共用部分に関する事項でも区分所有者全員の利害に関係する事項については同条第1項に「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする」と規定されているが、区分所有者全員の利害に関係しない事項については一部共用部分を共用すべき区分所有者の少数意見が尊重されるべきとの趣旨からこのような規定が定められている。一部共用部分を共用する場合はよく下駄ばきマンション(1階が店舗で2階以上が居住用)が引き合いに出されるがよく勉強する必要がある

   

・選択肢3:これも区分所有法の第30条第1項には「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と規定されており設問は正しくない。例えば、専用部分が暴力団の事務所や騒音を発する飲食店に使用されることを禁止することなどは個々の管理組合規約で定めるべき事項である

 

・選択肢4:区分所有法の第38条には「各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十四条に定める(専有部分の床面積)割合による」と規定されており、全戸の床面積がほぼ均一であれば設問は正しい
 
なお、標準管理規約第46条には議決権に関する規定やコメントが規定されており併せて学習しておく必要がある。特に高層マンションでは低層階と高層階で住居の価値に大きな差がある場合は単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく専有部分の階数(眺望、日照等)や方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として 議決権の割合を定めることも提言している。ただし、この設問は区分所有法の規定に関して問うているのでそこまで配慮する必要はないが今後の出題範囲として留意しておく必要がある

 

≪答え≫ 

  この設問は区分所有法の規定に従って問われており常識的な事項を問うている。ただし、選択肢2の一部共有部分に関する事項や選択肢4の議決権の割合については更なる学習の必要がある

 

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問 7〕 区分所有法第 32 条の規定に基づく公正証書による規約の設定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか

 

1 等価交換方式によって、分譲業者が、地主の土地上にマンションを建築し、建築したマンションの一部を地主に譲渡した場合には、分譲業者が一般の者に販売を行う前であれば、分譲業者と地主が共同で公正証書による規約を設定することができる。
 

2 公正証書による規約を設定した者は、専有部分の全部を所有している間は、公正証書による規約の設定と同様の手続により、その規約を廃止することができる。
 

3 建物が所在する土地以外の士地が、建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用されるものでなくても、公正証書による規約の設定をするのであれば、建物の敷地とすることができる。
 

4 建物が完成する前に公正証書により規約が設定された場合には、建物の完成前で所有権が取得されていなくても、規約の効力が生じるのは公正証書を作成した時である。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第32条には「最初に建物の専有部分の全部を所有する者は」との断り書きがあり設問にある「分譲業者と地主との共同で規約を設定する」ことは認められておらず設問は正しくない

 

・選択肢2:公正証書により規約を設定した者は専有部分の全部を所有している間は(つまり、まだ一つも分譲契約をしていない間は)その規約を廃止できることができるので設問は正しい。例えば、分譲前に他のファンドから買い付けがあり分譲を取りやめる場合などが該当する

 

・選択肢3:建物の敷地(規約敷地)は区分所有法第5条に「区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる」と規定されており、設問にある建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用されるものでない場合は、公正証書による規約の設定をする場合であっても建物の敷地とすることはできない。従って設問は正しくない

 

・選択肢4:規約の効力は建物完成後の区分所有権が発生した時に生じるものであり、設問にある「建物の完成前で所有権が取得されていなくても規約の効力が生じるのは公正証書を作成した時である」は誤りである。従って設問は正しくない公正証書は規約を設定することを認めているものでありその効力までは認めていない

 

≪答え≫  

  区分所有法第32条に公正証書に関して「最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。」と規定されている。条文の後半で引用している条項をの内容をきちんと理解しておく必要がある。

 

   ① 規約共用部分(第4条2項)
  ② 規約敷地(第5条1項)
  ③ 専有部分と敷地利用権との分離処分を許す(第22条1項ただし書き)
  ④ 各専有部分に対応する敷地利用権の割合(第22条2項ただし書き)

 

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問 8〕 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定めることで直ちに法人となることができる。

 

2 管理組合法人の成立前の管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人の成立後は、管理組合法人につき効力を有する。
 

3 管理組合法人は、区分所有者を代理して、損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領をすることができる。
 

4 管理組合法人の理事及び監事の任期は2年とされているが、規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第47条 第1項の条文通りではなく設問は正しいない。左記第1項には「第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる」と規定されており登記をしないと法人になることはできない

 

・選択肢2:区分所有法第47条 第5項の条文からの出題で設問は正しい。左記第5項には「管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる」と規定されている

選択肢3:区分所有法第47条 第6項の条文そのままの出題で設問は正しい。左記第6項には「管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とす」と規定されている

・選択肢4:区分所有法第49条 第6項の条文からの出題で設問は正しい。左記第6項には「理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする」と規定されている

 

≪答え≫ 

 管理組合法人からの出題が2問続いている。本問の各設問は区分所有法第6節「管理組合法人」規定の条文からの出題であり解を求めるのは容易である。

 

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問 9〕 管理組合法人の事務に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 管理組合法人の事務のうちの保存行為について、複数の理事がいる場合、規約に別段の定めがないときは、各理事が単独で決することができる。
 

2 管理組合法人が共用部分を管理者として所有することについて、規約で定めることはできない。
 

3 管理組合法人の事務のうちの保存行為を除く事務に関しては、集会の決議につき特別の定数が定められている事項及び義務違反者に対する訴訟を提起するために集会決議が求められている事項を除き、規約の定めにより、理事その他の役員で決することができる。
 

4 管理組合法人が、支払不能による破産手続開始を申し立てられても、それをもって直ちに解散する事由にはあたらない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第49条第2項には「理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢2:区分所有法第49条第11項には「第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない」と規定されている。同法第四節は管理者に関して規定されており「管理所有」も含まれており設問は正しい。管理組合法人では管理者ではなく理事がおかれることを理解すること

 

・選択肢3:区分所有法第52条第1項には「管理組合法人の事務は、この法律に定めるもののほか、すべて集会の決議によって行う。ただし、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項及び第五十七条第二項に規定する事項を除いて、規約で、理事その他の役員が決するものとすることができる」と規定されており設問は正しい。ここで第五十七条第二項に規定する事項とは「義務違反者に対する訴訟を提起するために集会決議が求められている事項」である。
 なお、設問にある「保存行為を除く」の関しては同条第2項に「前項の規定にかかわらず、保存行為は、理事が決することができる。」と規定されており集会の決議は不要である

 

・選択肢4:区分所有法第条55第1項には管理組合法人は、①建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあつては、その共用部分)の全部の滅失 ②建物に専有部分がなくなつたこと ③集会の決議 の事由によってて解散することができ、支払不能による破産手続開始を申し立てられても解散する事由とはならない。従って、設問は正しい

 

  ≪答え≫ 

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問 10 〕 マンション内で共同利益背反行為を行っている占有者に対して、区分所有者の全員が集会の決議により訴えを提起しようとする場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか

 

l 専有部分を賃借している占有者の共同利益背反行為による共同生活上の障害が著しく、行為の停止を求める請求によってはその障害を除去して共同生活の維持を図ることが困難であるときは、賃借人に対し、相当の期間の賃借人による専有部分の使用の禁止を請求することができる。

 

2 占有者が専有部分の転借人であるときに、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを請求するためには、転貸人と転借人に加え、原賃貸人である区分所有者を共同被告として、訴えを提起しなければならない。
 

3 専有部分を区分所有者から賃借している占有者に対して、原告ではなく、賃貸人である区分所有者に対して専有部分を直接に引き渡すよう求めることはできない。
 

4 区分所有者及び区分所有者から専有部分を賃借している占有者に対して、専有部分の賃貸借契約を解除し、専有部分の引渡しを求める訴えを提起するための決議をするには、あらかじめ区分所有者に対して弁明の機会を与えなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:区分所有法第60条第1項には「第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる」と規定されており、設問にあるように「使用の禁止の請求」は規定されておらず設問は正しくない。設問前半の引用条文「第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為」は要約すれば設問にあるように「賃借人による専有部分の使用の禁止の請求」は規定されていないので設問は正しい

 

・選択肢2:区分所有法には特に規定されていないが、転貸借契約は賃貸人と転貸人との間に交わされるものでありこの両者を共同被告として訴えるものであり原賃貸人である区分所有者まで共同被告とする必要はない。従って設問は正しくない

 

・選択肢3:区分所有法第60条第3項には「第一項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならないと規定されており、判決に基づき占有者(賃借人)から専有部分の引渡しを受けた者(原告:管理組合)は、専有部分を占有する権原を有する者(賃貸人:区分所有者)へこれを引き渡すことになる。従って設問は正しい。つまり、管理組合から賃借人に明け渡しを請求されたのであるから、いったん、賃借人から管理組合に引き渡されて後、管理組合から賃貸人へ引き渡されるという段取りになる

 

・選択肢4:ここはずばり判例からの出題である。最高裁判例(昭和62年7月17日)で「建物の区分所有等に関する法律六〇条一項に基づき、占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起する前提として、集会の決議をするには、あらかじめ当該占有者に対して弁明の機会を与えれば足り、当該専有部分の区分所有者に対して弁明の機会を与えることを要しない」とあり設問は正しくない弁明の機会を与える必要があるのは、賃借人に対してであり、賃貸人である区分所有者に弁明の機会を与える必要はない

 

≪答え≫  

  この設問はマンション内で共同利益背反行為について居住者が区分所有者自身ではなく賃貸人や転貸人について問うている。賃貸人、賃借人、転貸人間の賃貸借契約や転貸借契約については民法に定められておりこれを理解する必要がある。

  民法とか判例まで問われるとすべてを学習することは不可能である。知らないことを問われたらこのような場面に遭遇したら常識的にどのように判断するかを大切にすることである。また、一般的に法律用語は素人には分かりずらいので実社会でどのような場面を想定しているのかを推察することも重要である。過去問などを丁寧に学習し言い回しに慣れることも留意すること

 

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問 11 〕 一団地内に専有部分のあるA棟及びB棟の2棟の建物がある。区分所有法 第70条に基づき、この団地内の建物の一括建替え決議を行おうとする場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、 A棟及びB棟が所在する土地は、団地建物所有者の共有に属しており、その共有者全員で構成する団地管理組合(区分所有法第65条の団地建物所有者の団体をいう。)において、団地管理組合の規約が定められているものとする。

 

l 一括建替え決議を行う場合の議決権割合は、団地管理組合の規約に議決権割合に関する別段の定めがある場合にはその定めによる。

 

2 A棟の区分所有者Cが一括建替え決議に賛成しなかったときには、一括建替え議に賛成したB棟の区分所有者Dは、Cに対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。
 

3 団地建物所有者の集会において、団地内建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数の賛成を得るとともに、 A棟及びB棟ごとについて、区分所有者の3分の2以上の者であって議決権の合計の3分の2以上の議決権を有するものが賛成することが必要である。
 

4 一括建替え決議においては、団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額に加え、その費用の分担に関する事項を定める必要がある。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:一括建替え決議については区分所有法第70条第1項 には「(前文略)集会において、当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、当該団地内建物につき一括して、その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議をすることができる。ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない」と規定されており、設問にある「団地管理組合の規約に議決権割合に関する別段の定めがある場合にはその定めによる」とは規定されていないので設問は正しくない。設問にあるような重要な事項を団地管理組合の規約で決めることは認められていない。
 なお、議決権は同法第69条 第2項で「前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第六十六条において準用する第三十八条の規定にかかわらず、第六十六条において準用する第三十条第一項の規約に別段の定めがある場合であつても、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする」と規定されており、区分所有者の専有部分の床面積ではないことに注意をを要する

 

・選択肢2:設問にある「区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡す」ことに関しては同法第63条第4項に「第二項の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者は、同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者の敷地利用権についても、同様とする」との規定が団地に準用されているので設問は正しい。これは同法第70条4項に規定される。つまり、棟が違う区分所有者に対しても区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる

 

・選択肢3:選択肢1で示した区分所有法第70条第1項には「当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の三分の二以上の者であつて第三十八条に規定する議決権の合計の三分の二以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない」と規定されており設問は正しい。なお、団地全体の集会において区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数の賛成が必要である。三分の二とか五分の四とかの数値を覚えておくこと

 

・選択肢4:区分所有法第70条第3項には下記のように規定されており第3項及び第4項により設問は正しい

 「団地内建物の一括建替え決議においては、次の事項を定めなければならない
   一  再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要 
   二  新たに建築する建物(以下この項において「再建団地内建物」という。)の設計の概要
   三  団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額
   四  前号に規定する費用の分担に関する事項 
   五  再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項

 

≪答え≫ 

 

  団地については区分所有法第2章に規定があが、第1章建物の区分所有に関する規定の準用が多々あり内容を理解することが困難である。まず、区分所有法では団地をどのように規定しているか、単棟のマンションの規定とどこが異なるかなど基本的なところを理解する必要がある。マンション管理の知識第2編第1章第10節に説明があるが文章のみの説明なので分かりずらい。インターネットで公開されているサイト、例えば「マンション管理ネット」などでは図入りで分かりやすく説明されているので参照するとよい。いずれにしても団地は毎年、出題されるので十分時間をかけて学習しておくこと。

 

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 問12~問17までの6問は難関の民法関連の出題である。民法は全体で1,000条を超える膨大な法律で重要な部分に絞っても条文を調べて暗記することは難しい。学習範囲は以下のとおりであるが特に赤字の項目が出題頻度が高い。民法関連設問の半数位の正答を目標とするとよい。なお、以下の解説には根拠となる民法の条項名は省略する。

  ・取引の当事者(制限能力行為、代理、共有)
 ・取引の行為(手附、意思表示、条件・期限・期間)
 ・契約の類型ととその効力(賃貸借、請負、委任、贈与、消費貸借、使用貸借、寄託、組合)
 ・契約をめぐる紛争(債務不履行、解除、売主の担保責任)
 ・時効  
 ・相続
 ・債券担保の手段(保証・連帯保証、連帯債務、抵当権)
 ・不法行為

  民法、都市計画法、建築基準法や借地借家法は宅建試験の試験範囲と重なるので You Tubu で無料の法律の講義が公開されているので参照するとよい。マンション管理の知識第2編第4章及び第5章に説明があるがペーパーで読むより図入りのビジュアルな資料をみながら直接、講師の話を聞いた方が理解が進むし、スマホ、タブレットやパソコンでどこでも好きな時間帯で学習できるメリットがある。例えば、「スマホで宅建」ではスポット的な1テーマを十数分で見ることができるし、住宅新報社の「楽学宅建士講座」では1テーマ30分程度の時間で系統的に基本的なことが学習できるので法律の全容を知ることができる。その後、過去問を紐解きマンション管理士試験ではどのような出題されているかを絞り込むとよい。

 


 

〔問 12 〕 A、 B及びCは、等しい持分の割合で、甲マンション 201 号室の区分所有権を共有している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 

1 AとBは、 A、B及びCの間の協議に基づかずに201 号室を単独で占有しているCに対し、 AとBの持分の価格が201 号室の価格の過半数を超えるからといって、当然に同室の明渡しを請求することはできない。

 

2 Aが201号室の持分権を放棄した場合には、 Aの持分権は BとCに帰属し、 同室は BとCの共有となる。

 

3 Dが不法に201 号室を占有している場合には、 Bは、単独でDに対して同室の明渡しを請求することができる。

 

4 A、B及びCが201 号室をEに賃貸している場合において、 Eとの賃貸借契約を解除するためには、 A、B及びC全員が同意した上で、共同で解除の意思表示をする必要がある。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第249条に「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」と規定されており、Cは共有者の一人として持分がありそれに基づく占有権があるので過半数を超えるというだけで他の共有者が当然に明渡し請求ができず設問は正しい。判例では「多数持分権者が少数持分権者に対して共有物の明渡を求めることができるためには、その明渡を求める理由を主張し立証しなければならないとある。設問に「当然に」とある場合は注意を要する

 

・選択肢2:民法第255条には「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」とあり設問は正しい

 

・選択肢3:民法第252条には「共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができると規定されており設問は正しい

 

・選択肢4:民法第252条には「共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」と規定されており設問は正しくない。設問にある「全員が同意した上で、共同で解除の意思表示をする」必要はない

 

≪答え≫ 

  これは共有に関する設問である。マンション専有部分の区分所有権は民法の規定に従うが共有者行為については以下のように規定されている。区分所有法の規定と異なることに注意する事。

  ①変更行為…変更だけでなく譲渡、抵当権の設定など全体を処分するする場合は全員の同意が必要となる
  ②管理行為…利用、改良や第三者への賃貸借契約の解除なら持分価格の過半数の同意が必要である。頭数ではないことに注意
 ③保存行為…現状維持、修繕や不法占有者への明け渡し請求は他の共有者の同意は不要である  

 

  登場人物が3人以上の場合は問題用紙の余白に図示して相互の関係を示しておくとよい。また、設問で「正しいものはどれか」と問うているのか「誤っているものはどれか」と問うているのかを明確に把握しておく必要がある。 共有に関する民法の原則(上記①、②、③)をしっかり覚えておけば常識的判断も加え正答は得られる。

 

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問 13〕 Aは、甲マンション 503 号室を購入するに当たり、購入資金に充てるため の金銭をB銀行から借り受けた。その際、この借入金債務について、Aの姉Cが、Bとの間で、Aと連帯して保証する旨の契約(以下「本件保証契約」という。)を書面で結んだ。この場合に関する次の記述のうち民法規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 Aの委託を受けないで本件保証契約を結んだCは、Aの委託がないことを理由に本件保証契約を取り消すことはできない。
 

2 Bが本件保証契約に基づいて債務の履行をCに対して請求した場合に、Cは、Aに弁済をする資力があり、かつ、Aの財産に対する執行が容易であることを証明することによって、Bの請求を拒むことができる
 

3 AがBに対する借入金債務を承認したことによる時効の中断は、Cに対してもその効力を生じ、本件保証契約に基づくCの債務についても時効の中断の効力が生じる。
 

4 Cは、Aの委託を受けて本件保証契約を結んだ場合において、Aに代わってBに弁済をしたときは、Aに対して求償権を取得する。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:保証契約は債権者と保証人の契約なので保証人が主たる債務者の委託がないからといって保証契約を取り消すことはできず設問は正しくない

 

・選択肢2:民法第454条に「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁権及び検索の抗弁権を有しない」と規定されており、主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、財産に対する執行が容易であることを証明しても債権者の請求を拒むことができるので設問は正しくないなお、保証人の場合は催告権及び抗弁権を有する

 

・選択肢3:民法第457条第1項に「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずると規定されており設問は正しい設問にある本件保証契約に基づく保証人の債務についても時効の中断の効力が生じる

 

・選択肢4:民法第459条第1項に「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額の求償権を有する」と規定されており設問は正しい

 

≪答え≫ 

 これは連帯保証に関する設問である。保証のしくみと連帯保証人は催告と検索の抗弁権がない事を理解していれば回答は容易である。ただ

 

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問 14Aが所有しBに賃貸し、かつ、Bが居住している甲マンシヨンの301号 室を、AがCに2,000万円で売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法(平成3年法律第90号)の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか

 

1 Cが売買契約締結時に解約手付として200万円をAに支払った後、中間金と して1,000万円を支払った後でも、 Aが契約の履行の着手前であれば、Cは200万円の手付を放棄して売買契約を解除し、中間金1,000万円の返還を請求することができる

 

2 AとBの賃貸借契約に基づき、 Bから Aに差し入れられた敷金の返還債務 は、 Bの同意がなければCに承継されない。
 

3 Aが、Bの承諾を得ずに、Cとの売買契約を締結したときは、 AからCへの賃貸人の地位の移転をBに主張することができない。
 

4 Bが有益費を支出した後に、301号室の所有権移転により賃貸人がAからCに交替したときは、特段の事情のない限り、Aがその有益費の償還義務を引き続き有し、Cはその償還義務を負わない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第557条第1項では「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」と規定されている設問の場合、売主はまだ履行に着手していないため中間金を払った買主は手付は放棄するとしても中間金の返還は請求できるので設問は正しい

 

・選択肢2:判例によれば「所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合にはその権利義務関係が新賃貸人に承継される」と規定されており、AからCへの賃貸人の地位の移転をBに主張することができるので設問は正しくない

 

・選択肢3:民法第605条の2第1項に「賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する」と規定されており新賃貸人は賃借人の承諾がなくても賃貸人の地位を承継してできるので設問は正しくない

 

・選択肢4:判例では「有益費支出後、賃貸人が交替したときは特段の事情のないかぎり、新賃貸人において旧賃貸人の権利義務一切を承継する」とあり設問は正しくない

 

≪答え≫ 

  この設問は民法に加え借地借家法も問われているので少々厄介な問題である。借地や借家の場合、借地借家法の規定は民法と異なる部分があるので相違点をしっかり押さえておく必要がある。 ここは法律や判例を知らなくでも常識的判断で正答は得られる

 

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問 15 〕 Aは、その所有する甲マンションの 101 号室を、敷金を 24 万円、月額賃料を 8万円として、法人であるB社に賃貸し引き渡したが、 B社が初めて1ヵ月分の賃料の支払いを失念したため、 B社に対し、相当の期間を定めて1ヵ月分の賃料及びこれに対する遅延損害金の支払いを催告するとともにその支払いがない場合には契約を解除する旨の意思表示をした。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか

 

1 Aの催告後、当該「相当の期間」が経過しても賃料及び遅延損害金の支払いがない場合には、当然に賃貸借契約は解除される


2 B社は支払いを怠った賃料及び遅延損害金につき、敷金から控除することをAに対し主張できる。


3 Aの催告後、「相当の期間」が経過する前に、B社が8万円をAに支払ったとき、A及びB社間において充当についての合意がなく、かつ、両者のいずれからも充当の指定がない場合には、 B社の支払額は、まず遅延損害金に充当され、残額が賃料元本に充当される。


4 AとB社間の賃貸借契約において、賃料の支払いに関し、年30%の遅延損害金を定めていた場合、 B社は、遅延損害金全額の支払いを免れる。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:設問には「B社が初めて1ヵ月分の賃料の支払いを失念し、相当の期間が経過しても賃料及び遅延損害金の支払いがない場合には、当然に賃貸借契約は解除される」とあり、これをもって「当然に賃貸借契約は解除する」ことには無理があり設問は正しくない。判例では「賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除は信義則に反し許されないものと解すべきである。初めて1月分の賃料の支払いを失念したことは信義に反するとまで言えない」とある。なお、民法541条には「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」とあり、 1月分の賃料の支払いを失念は契約の解除までには至らないと解釈できる 

 

・選択肢2:敷金に関し民法第622条の2第2項に「賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢3:民法第489条第1項に「債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない」と規定されており設問は正しい

 

・選択肢4:民法第419条第1項に「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による」と規定されており設問は正しくない。民法90条で暴利行為に該当する場合はその約定利率は認められないが、年30%の遅延損害金は暴利行為には該当しないものと認められる。なお、設問は賃料に対する遅延損害金であり、金銭消費貸借ではないため利息制限法は適用されず、賃借人は法人であるため消費者契約法の適用もない

 

≪答え≫ 

 ここも民法や判例からの出題である。大半は常識的判断で正答を得られる。選択肢3が正しいと判断できれば選択肢4は利息に関する法律を知らなくても誤としてよい

 

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問 16Aがその所有する甲マンションの301号室を、Bに事務所として賃貸したところ、Bの事業の執行中に従業員Cの過失により同室で火災が発生し、当該火災により、同室及びその直下のD所有の201号室にそれぞれ損害が生じた。この場合に関する次の記述のうち、民法及び失火ノ責任二関スル法律(明治32年法律第40号)の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

 

l 当該火災が成年Cの重過失による場合には、BのCに対する監督についての過失の有無にかかわらず、Dは、Cに対し、損害賠償を請求することができる。

2 当該火災が18歳のCの重過失による場合において、BのCに対する監督について重過失があるときは、Dは、Bに対し、損害賠償を請求することができる。

3 当該火災が成年Cの重過失による場合には、 BのCに対する監督について重過失があるときに限り、 Dは、Bに対し、損害賠償を請求することができる。

4 当該火災が成年Cの重大ではない過失による場合において、BのCに対する監督について重大ではない過失があるときは、Aは、Bに対し、損害賠償を請求することができる

 

≪解説≫

  

・選択肢1:設問では従業員Cの重過失と断っているのでCの責任は問われることとなりBのCに対する監督についての過失の有無にかかわらず、CDに対して損害賠償責任を負うこととなるので設問は正しい。なお、民法第715条第1項では「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」と規定されている。設問では使用者の監督責任については触れていないが、最高裁の判例(昭和42年6月2日)では「被用者が重大な過失によつて火を失したときは、使用者は、被用者の選任または監督について重大な過失がなくても、民法第715条第1項によつて賠償責任を負う」とあり使用者の責任は問われるようである

 

・選択肢2: Cに18歳の未成年であっても重過失があればBのCに対する監督について重過失があるときはDはBに対し損害賠償を請求することができるので設問は正しい使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは責任を免れる火責任法では被用者の行為で失火した場合、被用者に不法行為が成立するためには被用者に重過失が必要となる。その際、使用者は選任・監督上の過失が重過失である必要はなく、DはBに対し損害賠償を請求することができる。BのCに対する監督について重過失があるときに限らなくてもDはBに対し損害賠償を請求することができる
 

・選択肢3:選択肢2の設問と異なる箇所は①Cが成年である事、②BのCに対する監督について重過失があるときに限るでありは良しとしても②でBのCに対する監督について「重過失があるときに限る」と限定しており設問は正しくない

 

・選択肢4:ここは失火責任ではなく賃借人の債務不履行による損害賠償を請求することができるので設問は正しい。これは賃借人(使用者)は重大ではない過失あろうがなかろうが責任を取とは当然である

 

≪答え≫ 

  明治時代に制定された「失火ノ責任二関スル法律」(失火法)が問われている。先日、糸魚川の大火災があったが火元になった中華料理屋の店主の失火責任はどうなるのか注目される。失火法では「重過失があるときだけ、損害賠償の責任を負う」と規定されており重過失があったのかが論点となる。 言葉遊びのようか設問であるが、失火責任や債務不履行による使用者としての責任はどうなるのかを落ち着いて考える事。選択肢3が誤りであることを気付くかどうかが正答を得るポイントとなる。

 

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問 17 〕 甲マンションの301号室を所有するAが死亡し、Aの妻B及びAの子Cが相続人である場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 Bが、自己のためにAの相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(以下「熟慮期間」という。)以内に、相続の放棄をしても、熟慮期間内であれば相続の放棄を撤回することができる。

 

2 Cが、熟慮期間内に相続の承認又は放棄ができないときは、熟慮期間内に家庭裁判所に期間の伸長の届出をすれば、その期間は伸長される。

 

3 Bが、自らの熟慮期間内に甲マンションの301号室を、Dに対して、賃貸期間を2年とする定期建物賃貸借契約により賃貸したときには、熟慮期間内であっても相続の放棄をすることができない

 

4 Cは相続人として、その固有財産におけるのと同一の注意をもって甲マン ションの301号室を管理する義務を負うが、相続の承認をしたときは、この限りでない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:民法第919条第1項に「相続の承認及び放棄は、熟慮期間内でも撤回することができない」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢2:民法第915条第1項に「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる」と規定されており、民法ではその伸長の判断は家庭裁判所が行うので設問は正しくないこれも届を出せば済むものではない

 

・選択肢3:民法第921条第1項に「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、相続人が単純承認をしたものとみなされるので熟慮期間内であっても相続の放棄をすることができない。ただし、相続人が相続財産の保存行為や3年以内の短期の賃貸借契約をすることは単純承認をしたものとみなされないので熟慮期間内であれば相続の放棄をすることができる」規定されており、設問は正しくない

 

・選択肢4:民法第918条第2項に相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない」と規定されており設問は正しい。ここは民法の該当条文そのままの出題である。固有財産とは「もとからその人のものであった財産」の意で相続の承認又は放棄をしたときは法律的にそのようなしばりは解かれる

 

≪答え≫ 

  相続の熟慮期間に関する設問であるが、熟慮期間を知っていても設問1~3は民法の条文を知っていないと正答は難しい。選択肢4は民法の規定を知っていなくても常識的に正答であることは推測できる。設問1,2は常識的に正しくないと判断できる。設問3はもっともらしい表現になっており民法の規定を知らなければ正しいと判断するかもしれない。選択肢4は素直に考えればその通りでありどちらを正しいとするかがポイントとなる。

 

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問 18 〕 区分建物の専有部分を規約による共用部分に変更した場合における、共用部分である旨の登記手続に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか

 

1 共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記をする区分建物の、所有権の登記名義人以外の者は申請することができない。

 

2 共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記をする区分建物に所有権の登記以外の権利に関する登記があるときでも、当該権利に関する登記に係る登記名義人の承諾を得ることなく申請することができる。
 

3 共用部分である旨の登記申請に際しては、当該区分建物について、表題部所有者の登記又は権利に関する登記の抹消についても申請しなければならない。
 

4 共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該区分建物の所有者は、当該規約の廃止の日から1ヵ月以内に、当該区分建物の表題登記を申請しなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:不動産登記法第58条第2項に「共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と規定されており、所有権の登記名義人以外でも、「建物の表題部所有者」ならば申請することができるので設問正しくない

 

・選択肢2:不動産登記法第58条第3項に「所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人の承諾があるときでなければ、申請することができない」と規定されており設問は正しくない

 

・選択肢3:不動産登記法第条第4項に「登記官は共用部分である旨の登記をするときは、職権で当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない」と規定されており設問は正しくな

 

選択肢4:不動産登記法第条第6項に「共用部分である旨の登記や共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は当該規約の廃止の日から一月以内に当該建物の表題登記を申請しなければならない」と規定されており設問は正しい

≪答え≫ 

  ここはマンションの専有部分を規約による共用部分に変更する際の登記手続きについて問うている。今後は高齢社会を迎え空室を共用の懇談室にしたり、保育所不足を解消するため保育施設にするケースも考えれ今どきの課題であり注意を要する。

 

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〔問 19 〕 マンション敷地売却組合(この問いにおいて「組合」という。)が施行するマンション敷地売却事業に関する次の記述のうち、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号)の規定によれば、正しいものはどれか。

 

l 総会の決議において、定款の変更のうち政令で定める重要な事項及び組合の解散についての事項は、組合員の議決権及び敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上で決する。

 

2 審査委員は、士地及び建物の権利関係又は評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者のうちから都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)が選任する。

3 マンション敷地売却合意者は、5人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けて組合を設立することができる。

4 組合員及び総代は、書面又は代理人をもって、議決権及び選挙権を行使することができる。

≪解説≫

 

・選択肢1:マンションの建替え円滑化法では設問に記載された事項について総会で議決を要すると規定されており設問は正しい。これはマンション建替え組合の場合と同様であり正しいことは推定できる

 

・選択肢2:マンションの建替え円滑化法では「審査委員は、土地及び建物の権利関係又は評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者のうちから総会で選する」と規定されており都道府県知事等が選任するのではなく設問は正しくない敷地売却に関しては都道府県知事等の認可を受ける事項があるが常識的に考えてもこんなことまで都道府県知事等の仕事になる筈がない

 

・選択肢3:マンションの建替え円滑化法では「五人以上共同して定款及び資金計画を定める」と規定されており事業計画ではないので設問は正しくない。マンション建替え組合の場合は「定款及び事業計画を定め」と規定されておりこれとの混同を狙った出題でありなんと芸が細かい

 

・選択肢4:マンションの建替え円滑化法では「組合員は書面又は代理人をもって、総代は書面をもって、議決権及び選挙権を行使することができる」と規定されており総代は書面でしか議決権及び選挙権を行使することができないので設問は正しくない。総代がどのように選ばれるか考えれ当たり前のことであるがこれも芸が細かい

 

≪答え≫ 

 

  今後、マンションの老朽化に伴い建替えが増えてくると思われるが、居住者が高齢化するに伴い4/5の同意を得て組合を作り実行するとなると難題である。ディベロッパーに敷地も含めて売却しディベロッパーの手で新築する方法も注目される。敷地を売却することを目的とするマンション敷地売却組合についての規定が平成26年「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に追加されたのでここからの出題である。なお、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」新しくマンション敷地売却組合の規定等が追加されています「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」(マンションの建替え円滑化法)は、最近毎年出題されており平成27年度もマンション敷地売却組合に関して出題されているので注意を要する。今年は昨年に比べてレベルアップされており法律の中身を承知していないと正答を得られない。

  正答候補が選択肢1、2、4とあり迷うところであるが選択肢1が一番正答に近いか。慎重な判断を要する。いずれにしてもマンションの建替え円滑化法からの出題の可能性が高いので82条もあるが一通り目を通しておくとよい。

 

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問 20〕 都市計画法(昭和43 年法律第100 号)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか

 

1  都道府県が定めた都市計画が、市町村が定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて、市町村が定めた都市計画が優先するものとされている。
 

2  都市計画区域のうち、市街化調整区域内においては、地区計画を定めることができない。
 

3  地区計画については、都市計画に、地区計画の名称、位置、区域の面積を定めなければならない。
 

4  市街地開発事業については、都市計画に、市街地開発事業の種類、名称及び施行区域を定めなければならず、土地区画整理事業については、これに加えて、公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項を都市計画に定めなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:都市計画法第15条第4項では「市町村が定めた都市計画が、都道府県が定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて、都道府県が定めた都市計画が優先するものとする」と規定されおり設問は正しくない


・選択肢2:都市計画法第12条の5第1項では「地区計画は市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めること。用途地域が定められていない土地の区域では健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域等も含む 」と規定されており市街化調整区域内においては、地区計画を定めることができない」とは規定されておらず設問は正しくない


・選択肢3:都市計画法第12条の4第2項では「地区計画等については、都市計画に、地区計画等の種類、名称、位置及び区域を定めるものとするとともに、区域の面積その他の政令で定める事項を定めるよう努めるものとすると規定されており、設問には定めなければならない」とあるので設問は正しくない。条文で「定めなければならない」ではなく「努めるものとする」とあるのを問うている

 

・選択肢4:都市計画法第12条第2項に「市街地開発事業については、都市計画に、市街地開発事業の種類、名称及び施行区域を定めるものとするとともに、施行区域の面積その他の政令で定める事項を定めるよう努めるものとする」と規定されており、また、第3項には「土地区画整理事業については、前項に定めるもののほか、公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項を都市計画に定めるものとする」と規定されており設問は法の通りであり設問は正しい

 

≪答え≫ 

  都市計画のうち地区計画とか市街地開発事業などあまりなじみのないものが出題されている。ここで設問1は誤りで設問4は正しそうだと直感で判断できるが、地区計画について問うている設問2、3が正しいのか、正しくないのをどのように判断するのかがポイントになる。ここで地区計画とは「地区の課題や特徴を踏まえ住民と区市町村とが連携しながら地区の目指すべき将来像を設定しその実現に向けて都市計画に位置づけて<まちづくり>を進めていく手法」であることを理解しておくことが重要です。あまりなじみのない都市計画法について条文に規定されているかどうかを問うており自信をもって正答を得るのは難しい。

 

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問 21〕 建築基準法(昭和25年法律第201号)に関する次の記述のうち、誤ってるものはどれか

 

1 準防火地域内にある地階を除く階数が4で延べ面積が1,000㎡の共同住宅は、耐火建築物としなければならない。

2 建築物の敷地が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、当該建築物又は当該建築物の敷地の全部について、敷地の過半に属する地域の建築物に関する建築基準法の規定又は建築基準法に基づく命令の規定を適用する。

 

3 高さ31mを超える共同住宅で、高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が400㎡のものについては、非常用の昇降機を設ける必要はない。

4 建築主は、共同住宅の用途に供する建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が150㎡であるものの大規模の模様替えをしようとする場合、建築確認を受けなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:建築基準法では準防火地域内にある地階を除く階数が4以上であれば耐火建築物としなければならないと規定されているので設問は正しい。準防火地域内の建築制限は下表のとおりである。試験によく出題されるので数値を暗記する事。なお、防火地域内では階数3以上又は延べ面積100㎡超の建築物は耐火建築物としなければならない

 

500㎡以下

500㎡超1500㎡以下

1500

4階以上

耐火建築物

耐火建築物

耐火建築物

3階

耐建築物、準耐建築物等

耐建築物又は準耐建築物

2階

木造でも可

1階


・選択肢2:建築基準法第65条第2項では「建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する」規定されており設問は設問は正しくない

 

・選択肢3:建築基準法施行令第129条の13の2第2号では「高さ31mをこえる建築物にはが非常用の昇降機を設けなければならないが、高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が500㎡以下の建築物非常用の昇降機の設置を要さない」と規定されており設問は正しい

・選択肢4:建築基準法第6条第1項1号では「建築主は、建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない」と規定されており設問は正しくないなお、令和元年6月25日に改正建築基準法が施行され100㎡を超える該当特殊建築物が用途変更確認申請の対象になっていたものが、改正法では200㎡を超える場合に変更になる事による床面積の変更があったので現時点では設問は正しくない

 

≪答え≫ 

 選択肢1、2は知っておかなけばならない知識。選択肢3、4は床面積の数値が妥当かどうかを判断する必要があるが、常識的に選択肢2が正しくないことは推測できる。

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問 22〕 簡易専用水道に関する次の記述のうち、水道法(昭和32 年法律第177 号)の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 簡易専用水道の設置者は、給水栓における水質について、1年以内ごとに1回、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。

2 簡易専用水道の設置者は、給水栓における水質の検査事項として、臭気、味、色、色度、濁度及び残留塩素についての検査を受けなければならない。

3  簡易専用水道の設置者は、給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水道水質基準の項目のうち必要なもの及び残留塩素について検査を行わなければならない。

4 簡易専用水道の設置者は、供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない。

 

≪解説≫ 

 

・選択肢1:水道法では「簡易専用水道の設置者は、給水栓(蛇口)における水質について1年以内ごとに1回、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない」と規定されており設問は正しい。なお、この義務に違反した場合は100万円以下の罰に処せられる

・選択肢2:厚労省の定めるところにより簡易専用水道の設置者は、給水栓における水質の検査事項として、臭気、味、色、色度、濁度及び残留塩素についての検査を受けなければならないので設問は正しい

・選択肢3:厚労省の定めるところにより簡易専用水道の設置者は、供給する水に異常を認めたときは水道水質基準の項目のうち必要なもの検査を行うが残留塩素は含まれていないので設問は正しくない選択肢2にも残留塩素について問われれているが設問3は簡易専用水道の設置者が行う検査であり、選択肢2は設置者が地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者に検査を受けなければならない事項を問うており異なることに注意のこと

・選択肢4:水道法では「供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること」と定められており設問は正しい

 

≪答え≫ 

  簡易専用水道とは、地方公共団体の水道から供給される水をいったん受水槽にためてから給水する水道であり、受水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えるものをいう。以前はよくマンションの屋上に受水槽が設置されているが見受けられた。給水設備についてはマンション管理の知識第4編第2章第2節に図入りで説明されているので熟読しておく事。また、この設問にはないが種々数値が出てくるので暗記しておく必要あり。また、類似の設備として専用水道があるのでその違いも調べておく事。専用水道では水道技術管理者を設置し残留塩素の測定を毎日実施することが義務付けられている選択肢2、3で残留塩素について問われているが経験をしていないと正答を得るにはきつい。

 

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問 23〕 共同住宅における防炎物品又は消防用設備等に関する次の記述のうち、消防法(昭和23年法律第186号)の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、いずれも無窓階はないものとし、危険物及び指定可燃物の貯蔵及び取扱いはないものとする。また、消防用設備等については、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、同法の規定する基準を適用しないと認める場合を除くものとする。

 

1 高さ31mを超える共同住宅の1 階の住戸で使用されるじゆうたん(織りカーペット(だん通を除く。)をいう。)については、政令で定める基準以上の炎性能を有するものでなくともよい。

2 地上2階建、延べ面積500㎡の共同住宅においては、消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。)を、階ごとに、当該共同住宅の各部分から一の消火器具に至る歩行距離が20m以下となるように配置しなければならない。

3 共同住宅の地階であって、駐車の用に供する部分の存する階(駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く。)で、当該部分の床面積が100㎡以上のものには、自動火災報知設備を設置しなければならない。

4 地上3 階建、延べ面積500㎡の共同住宅においては、屋内消火栓を階ごとに設けなければならない。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:消防法によれば「高層マンション建物の高さが31メートルを超えるもの)は、火災拡大時の人命危険が大きいことから、居住している階に関係なく使用するカーテンやじゅうたん等火が広がるもととなるものを燃えにくい製品にしなければならない」規定されており設問は正しくない。ここで高さ31mとは消防車の梯子が届く高さであり31mは他の箇所でも出てくる

・選択肢2:消防法では詳しく規定されているが要約すれば「共同住宅では消火器は延べ面積が150㎡以上で各部分から一の消火器具に至る歩行距離が20m以下となるように配置しなければならない」と規定されており設問は正しい

・選択肢3:消防法では「地階又は二階以上の階のうち駐車の用に供する部分の存する階(駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く)で当該部分の床面積が200㎡以上のものは自動火災報知設備を設置しなければならない」と規定されており設問は正しくない。床面積が200㎡以上が正しく100㎡は正しくないということで正答を得るのは難しい

・選択肢4:消防法では「延べ面積が700㎡以上のものであれば、屋内消火栓を階ごとに設けなければならない」と規定されており設問は正しくない。消防法施行令第11条第1項の2号に規定されている。消防法ではマンションは「共同住宅」と規定されている

 

≪答え≫ 

  ここは消防法に関する設問である。ここでは高さ、距離、延べ面積など数値が聞かれているが数値もできるだけ暗記する事。なお、消防法については下記基本事項をマスターしておくこと。

  ・消防用設備(消火器、屋内・屋外消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備、誘導灯、連結送水管、非常用コンセント)
 ・
消防用設備の点検と報告(機器点検、総合点検)
 ・防火管理者、消防設備士、消防設備点検資格者
 ・高層マンションにおける防炎対象製品

 

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問 24〕 警備業務に関する次の記述のうち、警備業法(昭和47年法律第117号)の規定によれば、誤っているものはどれか

 

1 警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約をするまでに、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付(電磁的方法による提供を含む。)しなければならない。

2 警備業者が機械警備業務を行おうとするときは、基地局又は警備対象施設の所在する都道府県の区域ごとに、当該区域を管轄する公安委員会の許可を受けなければならない。

3 機械警備業者は、基地局ごとに、警備業務用機械装置の運用等の管理監督を行う機械警備業務管理者を、機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。

4 警備業者は、自己の名義をもって、他人に警備業を営ませてはならず、これに違反した場合は、100万円以下の罰金に処される。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:警備業法では「警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない規定されており設問は正しい。なお、内閣府令は細かく規定されているが契約の概要は含まれている。これは当たり前のことである

 

・選択肢2:警備業法では「機械警備業を営む警備業者は、機械警備業務を行おうとするときは、当該機械警備業務に係る受信機器を設置する施設(「基地局」という)又は送信機器を設置する警備業務対象施設の所在する都道府県の区域ごとに、当該区域を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない」と規定されており設問は正しくない当該区域を管轄する公安委員会の許可を受けなければならないのではなく届け出をすればよい

 

・選択肢3警備業法では「機械警備業者は、基地局ごとに、警備業務用機械装置の運用等の管理監督を行う機械警備業務管理者を、機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならないと規定されており設問は正しい

・選択肢4:警備業法では「警備業者は、自己の名義をもつて、他人に警備業を営ませてはならず、これに違反した場合は、100万円以下の罰金に処される」と規定されており設問は正しい

 

≪答え≫ 

  警備業務は警備業法に目を通しておけばさほど難しくない。選択肢4での罰金100万円が妥当かどうかが迷うところだが設問2が正しくないと分かれば判断はつく。警備業についてはマンション管理の知識第2編第7章第4項に解説があるので参照されたい。

 

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問 25〕 マンションの駐車場に関し、マンション管理士が理事会で行った次の助言のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか

 

1 今後、駐車場に空き区画が出るようになった場合、組合員以外の方に外部貸しする方法がありますが、その駐車場使用料収入は、駐車場の管理に要する費用に充当した後に管理費全体の不足額に充当することができるため、管理費不足への対策として有効な方法です。

 

2 駐車場が不足している場合には、駐車場使用料を近傍の駐車場料金と均衡を失しないよう設定することが必要ですが、利便性の差異を加味して考えることも必要です。
 

3 管理費、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、駐車場使用契約に、次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることはできません。
 

4 今後、機械式駐車場から平置きの駐車場に変更しようとするときは、総会で出席組合員の議決権の過半数の決議があれば実施が可能です。

 

≪解説≫

 

・選択肢1:標準管理規約第29条では「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」と規定されており設問は適切でない

 

・選択肢2:標準管理規約15条コメント⑧に「駐車場使用料を近傍の同種の駐車場料金と均衡を失しないよう設定すること等により区分所有者間の公平を確保することが必要である。なお、近傍の同種の駐車場料金との均衡については、利便性の差異も加味して考えることが必要である」と記載されており設問は適切である。常識的な設問であるがコメントを見ておけば自信をもって判断できる。

 

・選択肢3:標準管理規約15条コメント⑥に「駐車場使用細則、駐車場使用契約等に、管理費、修繕積立金の滞納等の規約違反の場合は、契約を解除できるか又は次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることもできる。」と記載されており設問は適切でない。これもコメントからの出題である。

・選択肢4:標準管理規約第47条第3項二号規定の「敷地及び共用部分等の変更」に相当し、同条第3項の規定のとおり「組合員総数の3/4以上及び議決権総数の3/4以上で決する(特別多数決議)」が必要となる。」ので設問は適切でない。なお、標準管理規約第47条コメントの⑤のカ)では「集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議が必要」とコメントされており設問はこれに該当する。

 

≪答え≫ 

  ここは標準管理規約およびそのコメントをしっかり読んでおけば容易に正答が得られる。

 問25~問33までの9問は標準管理規約からの出題である。標準管理規約平成28年3月に大幅改正があったので入手して座右の書とする。URLは下記。
  
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html
 なお、標準管理規約は規約本文だけでなくコメントもよく目を通しておく。具体的な事項に関してわかりやすく解説されておりコメントから出題されることが多い。特に、今年度は今回の改正事項からの出題が多いので熟読しておくこと。なお、問4も標準管理規約からの出題であり計10問となる。区分所有法からの出題も問1~問11(問4を除く)10問で同じウエイトであり、標準管理規約からの出題は確実に得点しておきたいところである。

 

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