問1 | 区分所有法(共用部分) | ||||||
問2 | 区分所有法(義務違反者) | 問8 | 区分所有法(管理組合法人) | 問14 | 宅建業法(8種規制) | 問20 | 建築基準法(総合) |
問3 | 区分所有法(義務違反者) | 問9 | 区分所有法(義務違反者) | 問15 | 民法(賃貸借契約) | 問21 | 都市計画法(総合) |
問4 | 区分所有法(規約) | 問10 | 区分所有法(規約敷地) | 問16 | 民法(不法行為) | 問22 | 水道法(簡易専用水道) |
問5 | 区分所有法(管理者) | 問11 | 区分所有法(団地) | 問17 | 民法(相続) | 問23 | 消防法 |
問6 | 区分所有法(管理者) | 問12 | 民法(相続) | 問18 | 不動産登記法 | 問24 | 大規模修繕(防犯) |
問7 | 区分所有法(管理組合法人) | 問13 | 財務(管理費滞納) | 問19 | 建替え等円滑化法 | 問25 | 区分所有法(集会) |
〔問 1〕 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)第2条第1号イに規定するマンションをいう。以下同じ。)に関する次の記述のうち、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 マンションの建物に対して従物的な関係にある別個の建物は、法律上当然には共用部分とならない。
2 マンションの建物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にある建物の附属物は、法律上当然に共用部分となる。
3 マンションである建物全体の基本的構造部分及びその構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供される建物の部分は、法律上当然に共用部分となる。
4 区分所有権の目的とすることができるマンションの建物の部分は、法律上当然には共用部分とならない。
≪解説≫
・選択肢1:区分所有法第2条第4項によれば「共用部分は専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び共用部分とされた附属の建物をいう」と規定されており、設問にあるマンションと従物的な関係にある別個の建物(別棟の集会所)は規約により共用部分となるので法律上当然には共用部分とならない。従って、当設問は正しい
・選択肢2:専用部分に属しない建物の附属物は共用部分ではあるが、電気の配線、ガス・水道管の配管等は実際の建物で専有部分に設置されていることもあり、設問にある「効用上その建物と不可分の関係にある建物の附属物は、法律上当然に共用部分とはならない」ので当設問は誤っている。
・選択肢3:マンションである建物全体の基本的構造部分は法律上当然共有部分となり、構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供される建物の部分は区分所有法第4条第1項に「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする」と規定されており、構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供される建物の部分は、法律上当然に共用部分となるので併せて当設問は正しい。
・選択肢4:区分所有法第2条第3項に「この法律において専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう」と規定されており、専有部分は規定により共用部分とすることができるので設問にある「法律上当然には共用部分とならない」は適切であり当設問は正しい。なお、設問の「区分所有権の目的とすることができるマンションの建物の部分」とは専用部分のことを言う
≪答え≫ 2
マンションの定義に関する基本的な出題である。ひっかけもあるので落ち着いて問題をよく読んで回答する事。 各選択肢で問われている「物」を具体的にイメージするとよい
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〔問 2 〕 区分所有法第6条第1項の区分所有者の共同の利益に反する行為に該当しないものは、次のうちどれか。
1 直上・直下階の特定の区分所有間の騒音問題について、一方の当事者が虚偽の事実を記載した文書を作成し、それを他の区分所有者に配布する行為
2 隣接する専有部分2個を所有する所有者がこれを1個の専有部分とするため、その間にある耐力壁である戸境壁を勝手に取り壊す行為
3 廊下、階段室に私物を置いて倉庫がわりに使うなど区分所有者の一人が共用部分を使用し、その結果他の区分所有者の通常の使用が妨げられるような行為
4 専有部分で営業を行っている区分所有者が勝手に外壁やベランダに看板を取り付けたり、屋上に広告塔を設置したりする行為
≪解説≫
・選択肢1:特定の区分所有間のトラブルは区分所有者の共同の利益に反する行為に該当しない。
・選択肢2:耐力壁である戸境壁を勝手に取り壊す行為はマンション全体の耐力を低下させる行為であり区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する。
・選択肢3:区分所有者の一人が共用部分を使用しその結果、他の区分所有者の通常の使用が妨げられるような行為は区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する。
・選択肢4:外壁やベランダに看板を取り付けたり、屋上に広告塔を設置したりする行為はマンションの美観を損ね通行人に損害を与える危険性もあり区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する。
≪答え≫ 1
区分所有者の共同の利益に反する行為に関する出題である。特定の区分所有者間のトラブルは共同の利益に含まれないことをマークしておく事。
利益に反する行為は区分所有法第6条第1項に「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をし てはならない」と規定されている
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〔問 3 〕 以下の事実関係に係る次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲マンションの管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の規約は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)と同様であり、また、楽器の演奏については、別段の定めはないものとする。
甲マンション401号室の区分所有者Aは、高校生の娘Bが演奏会に向けて深夜までピアノの猛練習をすることを容認していたので、401号室の近くの居住者はその騒音に悩まされている。近隣の居住者からの再三の中止要請にもA及びBは応じず、特に、直下の301号室のCは、その騒音により睡眠障害になり、通院を余儀なくされ仕事も休まざるを得ない状況となった。
ある日、Cが理事長Dに事情を説明して「理事会で解決して欲しい。」と頼んだところ、Dは、理事会で協議し、AとBの実名を挙げて騒音行為を具体的に列挙し、今後の対応として、「“一切の楽器の演奏を禁止する。”との細則を理事会で定めた。」旨の文書を作成して、全住戸へ配布し、掲示板に掲示した。
それを知ったAは理事会の会議中に押し入り、「AとBの実名を挙げて名誉を毀損したことについて、全住戸へ謝罪文書を配布しろ。」と要求したが、出席していた理事数名から逆になじられたことに激昂(げっこう)し、Aはそれらの理事に暴行を働いた。
その後、Aは、理事長や理事らをひぼう中傷する内容の文書の配布や貼付を繰り返し、また、マンション管理業者の業務を妨害するなどしている。これらのAの行為は、単なる役員個人に対するひぼう中傷の域を超えるもので、同行為により役員に就任しようとする者がいなくなる等それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される状況となっている。
1 Cは、A及びBに対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。
2 「一切の楽器の演奏を禁止する。」との細則は、無効である。
3 Aの理事に対する暴行について、名誉毀損に対する正当防衛は成立しない。
4 Aが理事会へ押し人ってからの一連の行為は、共同利益背反行為に当たらない。
≪解説≫
・選択肢1:損害賠償については民法709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されており、また、高校生(未成年者)については民法第712条に「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」と規定されており、高校生Bは己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていると判断されるので、併せてCは、A及びBに対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができるので当設問は正しい
・選択肢2:楽器の演奏を一律に禁止することは区分所有者の利益に重大な影響を及ぼすのでいきなり細則で定めることは適切でないので当設問は正しい。このような場合は総会に規約の改正を提案をして3/4以上の決議を得て実施すべきである
・選択肢3:正当防衛は民法第720条第1項に「他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない」と規定されており、設問にあるAの理事に対する暴行行為は「やむを得ず行った行為」とは認められないので当設問は正しい
・選択肢4:区分所有法第6条第1項に「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と規定されており、Aが理事会へ押し人ってからの一連の行為は共同利益背反行為に当たると判断されるので当設問は誤っている
≪答え≫ 4
問題が長文で登場人物が4名おり区分所有法及び民法の規定並びに判例により正誤を判断する必要がありかなり時間を要する。試験でこのような問題に当たったら他の問題の回答を一通り済ませてから取り掛かるとよい。設問はよく読めば明らかに誤りである選択肢が見つかるので長文だからといって戸惑わない事。
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〔問 4 〕 管理費等の負担に関する規約の設定についての次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているのはどれか。ただし、各区分所有者の専有部分の床面積は同じものとする。
1 住居と店舗が混在するマンションにおいて、住居部分と店舗部分の区分所有者について、異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定することができる。
2 エレベーターのあるマンションにおいて、1階部分の区分所有者とそれ以外の区分所有者について、異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定することができる。
3 住居専用のマンションにおいて、居住者が日本国籍を有するか否かによって、異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定することはできない。
4 住居専用のマンションにおいて、現に居住する区分所有者と現に居住していない区分所有者について、管理組合の運営のための業務負担に応じ異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定することはできない。
≪解説≫
・選択肢1:区分所有法第30条第3項に「専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない」と規定されており住居部分と店舗部分の区分所有者について異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定することができるので当設問は正しい
・選択肢2:判例により当設問記載の内容は適切であり当設問は正しい
・選択肢3:この設問は当然に適切でなく当設問は正しい
・選択肢4:「現に居住する区分所有者と現に居住していない区分所有者について管理組合の運営のための業務負担に応じ異なる管理費等の負担を内容とする規約を設定することはできる」との判例(平成22年1月26日の最高裁判決)があり当設問は誤っている
≪答え≫ 4
管理費等の負担に関する出題である。常識的判断で正答を得られる。選択肢4については有名な判例があるので調べておく事。
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〔問 5 〕 管理者に関する次の記述のうち、区分所有法、民事訴訟法及び民事執行法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 管理者は、区分所有者のために、原告又は被告となることができるものであり、管理者が原告又は被告となった訴訟の確定判決の効力は、区分所有者には生じるが、管理者には生じない。
2 管理者は、その職務に関し、原告又は被告となることができるものであり、区分所有法で定める管理者の権限の範囲内において、原告又は被告となることが認められる。
3 管理者は、原告又は被告となることができるものであるが、仮差押え、仮処分の申請をし、又はその相手方となること並びに民事執行及び民事調停の当事者となることもできる。
4 管理者は、規約により原告又は被告になったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならないが、区分所有者に対し訴訟への参加を求める訴訟告知をする必要はない。
≪解説≫
・選択肢1:設問の前段は区分所有法第24条第4項に「管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる」と規定されており正しいが、後段は民事訴訟法第115条第1項 に「確定判決は、当事者(管理者)及び当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人対してそのしてその効力を有する」と規定されており管理者にも効力が及ぶので全体として当設問は誤っている。民事訴訟法まで目が届かないが常識的に考えても訴訟を提起した管理者に確定判決の効力が及ばないとするには無理がある
・選択肢2:区分所有法第26条第4項に「管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる」と規定されており当設問は正しい
・選択肢3:当設問記載事項は適切なので当設問は正しい
・選択肢4:設問の前段は区分所有法第26条第5項に「管理者は、原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない」と規定されており正しい。また、後段の区分所有者に対し訴訟への参加を求める訴訟告知は民事訴訟法第53条の規定により必要でないので併せて当設問は正しい
≪答え≫ 1
管理者の職務に関する出題である。民事訴訟法まで紐解かなくても常識的判断で正答を得られる。
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〔問 6 〕 管理所有に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 規約に特別の定めを設けても、管理者以外の区分所有者に共用部分を管理所有させることはできない。
2 規約に特別の定めを設けても、建物の敷地を管理者に管理所有させることはできない。
3 規約に特別の定めを設けることによって、共用部分を管理所有とした場合、その旨を登記しなければならない。
4 管理所有者は、形状又は効用の著しい変更を伴わないものであっても、共用部分の変更は行うことができない。
≪解説≫
・選択肢1:区分所有法第11条第1項に「共用部分は、区分所有者全員の共有に属するが前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、管理者が管理所有をする場合を除いて区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない」と規定されている。つまり、管理者以外の区分所有者に共用部分を管理所有させることはできるので当設問は正しくない。
・選択肢2:区分所有法第27条第1項に「管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる」と規定されているが、建物の敷地、共有部分以外の附属施設が区分所有者の共有に属する場合は、管理者に管理所有させることができないので当設問は正しい。
・選択肢3:管理所有とした共用部分を登記するという規定はないので当設問は正しくない。
・選択肢4:区分所有法第20条第2項に「管理所有者は、共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)をすることができない」と規定されており当設問は正しくない。つまり、形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)であれば共用部分の変更は行うことができる
≪答え≫ 2
管理所有に関する出題である。区分所有法の規定を理解していれば容易に正答を得られる。
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〔問 7〕 管理組合、団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団地建物所有者の団体をいう。)及び管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
1 管理組合及び団地管理組合の管理者並びに管理組合法人の理事は、それぞれの集会において、区分所有者又は団地建物所有者及び議決権の各過半数の決議により選任する。
2 管理組合及び団地管理組合においては、その職務に関し、管理者が区分所有者を代理し、管理組合法人においては、その事務に関し、当該法人が区分所有者を代理する。
3 規約に特別の定めがあるときは、管理組合及び団地管理組合の管理者は、共用部分を管理所有することができるが、管理組合法人の理事は共用部分を管理所有することができない。
4 共同利益背反行為の停止の請求に係る訴訟の提起に関する集会の決議は、管理組合及び管理組合法人の集会においては行うことができるが、団地管理組合の集会においては行うことができない。
≪解説≫
・選択肢1:区分所有法第25条第1項に「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる」と規定されており、管理組合法人に関しては同法第49条第8項に「第二十五条の規定は、理事に準用する」と規定されている。また、団地管理組合の管理者の選任については同法第66条に「第二十五条の規定は準用する」と規定されており全体として当設問は正しい
・選択肢2:管理組合においては区分所有法第26条第2項に「管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する」と規定されており、団地管理組合においては同法第条66条に「団地管理組合の管理者にも準用する」と規定されている。また、管理組合法人においては同法第47条第6項に「管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する」と規定されており全体として当設問は正しい
・選択肢3:区分所有法第27条第1項に「管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる」と規定されているが、団地管理組合の管理者は同法66条で同法第27条第1項が準用されていないので共有部分を管理所有することができないので当設問は誤っている。なお、管理組合法人の理事は同法第47条第11項で管理所有を定めた第27条も適用外となるので設問の通り共有部分を管理所有することができない。
・選択肢4:管理組合及び管理組合法人においては区分所有法第57条に「訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない」と規定されており、また、団地管理組合においては区分所有法第66条で第57条の準用がないので団地管理組合の集会においては行うことができないので全体として当設問は正しい
≪答え≫ 3
管理組合、団地管理組合及び管理組合法人の管理者と理事等に関する出題である。管理者や理事の選任方法、代理権、管理所有や訴訟の提起に関する集会の決議に関して管理組合、団地管理組合及び管理組合法人の規定に関して比較しておく必要がある。
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〔問 8〕 管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 管理組合法人の理事は、共用部分についての損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について管理組合法人を代理する。
2 管理組合法人の理事は、規約又は集会の決議により、管理組合法人の事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
3 管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができない場合でも、区分所有者がその債務の弁済の責めに任ずることはない。
4 管理組合法人は、代表理事その他の理事がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
≪解説≫
・選択肢1:区分所有法第47条第6項に「管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする」と規定されており当設問は正しくない。理事は管理組合法人を代表しており管理組合法人を代理していない。なお、法人でない管理組合の管理者は区分所有者を代理しているので勘違いしないように注意の事。
・選択肢2:区分所有法第47条第8項に「管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる」と規定されており当設問は正しくない。原告又は被告となることができるのは理事ではなく管理組合法人である
・選択肢3:区分所有法第53条第1項に「管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、共用部分の持分割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる」と規定されており当設問は正しくない。
・選択肢4:区分所有法第47条第10項に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の第第七十八条の規定は管理組合法人に準用する」と規定されており、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の第第七十八条の規定には「一般社団法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定されており併せて当設問は正しい。
≪答え≫ 4
管理組合法人に関する出題である。管理組合法人に関しては区分所有法第6節(第47条~第56条)に規定されているのでしっかり学習しておく事
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〔問 9〕 区分所有者の管理費の滞納が共同利益背反行為に該当する場合において、当該区分所有者を被告(以下「被告」という。)として、管理者が、区分所有法第59条の区分所有権及び敷地利用権の競売(以下「競売」という。)を請求する場合の訴訟に関する次の記述のうち、区分所有法、民事訴訟法及び民事執行法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 競売の訴訟の口頭弁論終結後から競売開始までの間に、被告が区分所有権及び敷地利用権を第三者に譲渡した場合には、管理者は、その譲受人に対しては、当該訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることはできない。
2 競売の請求の訴えにおいて、管理者は仮執行の申立てを行うことができ、当訴訟において勝訴判決を得た場合、仮執行の宣言を付した判決を債務名義として、競売を行うことができる。
3 競売は、滞納管理費を回収するために行われる担保不動産競売であるので、区分所有権及び敷地利用権に設定されていた担保権が買受人に引き受けられることはない。
4 競売の目的である区分所有権及び敷地利用権にその価額を上回る優先債権がある場合において、競売による買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないときは、競売を行うことができない。
≪解説≫
・選択肢1:設問に関して判例(最高裁平成23年11月)では「建物の区分所有等に関する法律59条1項に基づく訴訟の口頭弁論終結後に被告であった区分所有者がその区分所有権及び敷地利用権を譲渡した場合に,その譲受人に対し同訴訟の判決に基づいて競売を申し立てることはできない」とのことなので当設問は正しい。詳しく知りたい場合は判例を参照の事。
・選択肢2:区分所有権及び敷地利用権の競売をする権利は、判決による区分所有権等の競売権の発生の宣言を求める形成の訴えであり、競売権は判決の確定を待って生じるのでその勝訴判決に対しては仮執行の宣言を付することはできないので当設問は正しくない
・選択肢3:区分所有権等の競売は、担保不動産競売ではなく民法執行法195条のその他の法律の規定による換価のための競売に該当するので当設問は正しくない
・選択肢4:民事執行法第63条2号等にて「競売の目的である区分所有権及び敷地利用権にその価額を上回る優先債権がある場合において、競売による買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないときは執行裁判所はその旨を債権差押者へ通知しなければならない」と規定されており、「無剰余取消し」は適用されないで競売を行うことができるので当設問は正しくない。
≪答え≫ 1
民事訴訟法及び民事執行法に関する出題であるが試験案内にはこの法律は試験案内に含まれていないので正答率は低いのでは。選択肢をざっと見た感じでは少なくとも選択肢3、4は誤りのような気がするので選択肢1、2が正しいとなりそうだが判断に迷うところ
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〔問 10〕 Aマンションが、甲地及び乙地の2筆にまたがって所在していたが、地震によってAの一部が滅失し、乙地上には建物が所在しなくなった。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲地及び乙地は、Aの区分所有者全員の共有に属するものとする。
1 乙地については、民法の共有物の管理又は変更に関する規定は適用されず、規約でAの敷地と定められたものとみなされ、区分所有法の共用部分の管理又は変更に関する規定が準用される。
2 乙地について、集会において、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数の決議により、規約に別段の定めをしない限り、区分所有者全員で、乙地に第三者のために駐車場として賃借権を設定することはできない。
3 乙地について、集会において、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数の決議により、Aの敷地と定められたものとみなされた規約を廃止し、Aの区分所有者全員の同意を得て、乙地を売却することができる。
4 乙地について、集会において、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数の決議により、規約に別段の定めをすれば、Aの区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る乙地の敷地利用権を分離して処分することができる。
≪解説≫
・選択肢1:区分所有法第5条第2項に「建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす(みなし規約敷地)。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする」と規定されており、また、同法第21条に「建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む)が区分所有者の共有に属する場合には、区分所有法の共用部分の管理または変更に関する規定は、その敷地又は附属施設に準用する」と規定されており併せて当設問は正しい。
・選択肢2:第三者のために駐車場として賃借権を設定することはみなし規約敷地の管理行為に該当するので区分所有法第18条第1項に「共用部分の管理に関する事項は、共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を除いて、集会の決議で決する」と規定されており、規約に別段の定めをしなくても賃借権を設定することができるので当設問は誤っている。
・選択肢3:みなし規約敷地廃止は区分所有法第31条第1項に「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする」と規定されており、また、乙地の売却は民法第251条に「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない」と規定されており、併せて当設問は正しい。
・選択肢4:区分所有法第22条第1項に「敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない」と規定されているので、規約に別段の定めをすることができるがその場合、同法第31条第1項に「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする」と規定されており当設問は正しい。
≪答え≫ 2
みなし規約敷地に関する出題である。区分所有法第5条第2項項などを中心に学習すること。選択肢3及び選択肢4は間違わないように注意をようする。
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〔問 11 〕 一団地内に下図のとおり、専有部分のある建物であるA棟及びB棟並びに団地建物所有者の共有に属するごみ集積所、平面駐車場、管理事務所及び集会所がある場合、規約により団地共用部分とすることができるものの組合せは、区分所有法の規定によれば、次のうちどれか。
ア 敷地上の屋根のないごみ集積所
イ 敷地をアスファルト舗装して白線で区画した平面駐車場
ウ A棟にある構造上及び利用上独立した建物部分である管理事務所
エ 別棟の建物である集会所
1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア
≪解説≫
・選択肢ア:敷地上の屋根のないごみ集積所は建物に該当しないので規約により団地共用部分とすることができない。
・選択肢イ:敷地をアスファルト舗装して白線で区画した平面駐車場は建物に該当しないので規約により団地共用部分とすることができない。
・選択肢ウ:A棟にある構造上及び利用上独立した建物部分管理事務所は一団地内で附属施設たる建物に該当するので規約により団地共用部分とすることができる。
・選択肢エ:別棟の建物である集会所一団地内で附属施設たる建物に該当するので規約により団地共用部分とすることができる。
≪答え≫ 3
一団地内で附属施設たる建物(専有部分を含む)は規約により団地共用部分とすることができることを確認しておく事。また、本問では建物に該当するのかを確認する事
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〔問 12〕 Aが死亡し、その子B、C及びDが、各1/3の割合でAの財産を相続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Aの死亡前からAと同居していたBがそのままそのマンションに居住しているときには、遺産分割の前でも、C及びDは共同してBに対して、その明渡しを請求することができる。
2 Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Eにそれを賃貸していたが、Aの死亡前に、AE間の賃貸借契約が有効に解除され契約が終了していたときには、その後も退去していないEに対して、Cは単独でその明渡しを請求することができる。
3 Aがマンションの一室の区分所有者であった場合で、Aの死亡後、BがC及びDに無断で、第三者であるFにそのマンションを使用させているときにはC及びDは共同してFに対して、その明渡しを請求することができる。
4 Aがマンションの一室をGから賃借し、1人でそこに居住していた場合、Gは、Aの死亡を理由として、その賃貸借契約を解除することができる。
≪解説≫
・選択肢1:民法第898条に「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と規定されており、相続財産はその共有に属し共有物の全体についてその持分に応じて使用ができるのでBに対して共有物の明け渡しは請求できず設問は正しくない
・選択肢2:Eは不法占有者に当たり、民法第252条に「共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる」と規定されており、Cは単独で明渡しを請求することができるので設問は正しい
・選択肢3:民法第898条に「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と規定されており、Bも共有者の一人なのでその一室を使用する権利があり、Bがその一室をFに対して使用させたときはBの使用できる範囲ではFも使用できるのでC及びDは共同してFに対してその明渡しを請求することはできないので設問は正しくない
・選択肢4:民法に第896条に「相続人は相続開始の時から被相続人の財産一切の権利義務を継承する」と規定されており、賃借人が死亡した時、賃借人の相続人が賃借権を相続するので賃貸人は賃借人の死亡を理由として賃貸借契約を解除することはできないので設問は正しくない。
≪答え≫ 2
相続に関する出題である。賃貸借契約に絡めた問題であるので慎重に対応する必要がある。登場人物が7名いるので図示するとよい。
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〔問 13〕 夫Aと妻Bは、甲マンションの301号室の区分所有権を各1/2の持分で共有し、同室で生活をしているが、管理費及び修繕積立金を滞納している場合に関する次の記述のうち、民法及び破産法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが破産手続により免責許可の決定を受け、その決定が確定したときは、管理組合は、Bに対し滞納額全額の請求をすることはできず、その1/2の額のみ請求することができる。
2 管理費と修繕積立金のいずれも月ごとに支払われるものであるが、その債権の消滅時効期間は管理費については5年、修繕積立金については10年である。
3 A及びBが、滞納している管理費及び修繕積立金の支払を「3ヵ月待ってほしい。」と、口頭で管理組合に告げていたのみでは消滅時効は中断しない。
4 規約に滞納管理費及び修繕積立金の遅延損害金についての定めがない場合でも、管理組合は、年5%の遅延損害金を付加して請求することができる。
≪解説≫
・選択肢1:民法第430条により「債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについてすべての共有者に全額を請求できる」と規定されており、破産法に「免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない」と規定されている。つまり、Aの免責許可の決定が確定してもその効力はBには及ばないので管理組合はBに滞納額全額を請求できるので設問は正しくない。
・選択肢2:民法第166条第1項により「債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき、権利を行使することができる時から十年間行使しないとき、または、債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは時効によって消滅する」と規定されており設問は正しくない。管理費や修繕費は債権に該当するので消滅時効期間は5年である
・選択肢3:民法第152条第1項により「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と規定されており、口頭でも債務の承認となり消滅時効は更新されるので設問は正しくない。
・選択肢4:民法第419条第1項に「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による 」と規定されており設問は正しい。改正民法では施行時には年3%とし3年ごとに見直す変動制を導入された
≪答え≫ 4
民法や破産法などからの出題であるが選択肢を一読すれは明らかに正しい選択肢がすぐに見出せるので容易に正答を得られる。
〔問 14 〕 Aは、Bに対して、平成12年4月1日に、瑕疵担保責任期間を引渡しの日から1年間とする特約をして中古マンションの一室を売却し、同年5月1日にこれを引き渡した後、Bが浴室設備に瑕疵を発見した場合におけるAの瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが宅地建物取引業者でない場合、Bが平成13年4月10日に瑕疵を発見し、同月20日にAに対して瑕疵の存在を指摘したうえ、平成13年5月10日にAに対して損害賠償請求をすれば、Aは瑕疵担保責任を免れない。
2 Aが宅地建物取引業者でなく瑕疵の存在を知りながらBに告げなかった場合、Bが平成12年5月10日に瑕疵を発見し、平成13年6月10日にAに対して瑕疵を告げて損害賠償請求をすれば、Aは瑕疵担保責任を免れない。
3 Aが宅地建物取引業者である場合、Bが平成13年5月10日に瑕疵を発見し、平成13年6月10日にAに対して損害賠償請求をすれば、Aは瑕疵担保責任を免れない。
4 Aが宅地建物取引業者である場合、Bが平成22年5月10日に瑕疵を発見し、平成22年6月10日にAに対して損害賠償請求をすれば、Aは瑕疵担保責任を免れない。
≪解説≫
・選択肢1:民法第572条に「売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない」と規定されており、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間を引渡しの日から1年間とする特約も有効であるから引渡し(平成12年5月1日)から1年以上経過した後に平成13年6月10日に契約不適合を通知したとしても契約不適合責任を負う必要はないので設問は正しくない。
・選択肢2:契約不適合責任に関する特約を結んだとしても売主が契約不適合の存在を知って告げなかった場合は、その特約は無効となるので売主は民法の原則どおりの責任を負う。従って、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならないが、契約不適合の存在を知ってから1年以上経過して契約不適合責任を追及しているのでそのような請求は認められず設問は正しくない。
・選択肢3:売主が宅地建物取引業者の場合は本問選択肢1に記載した瑕疵担保責任の特例(目的物の引渡日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定より買主に不利となる特約は無効が適用されるので設問にある「瑕疵担保責任期間を引渡しの日から1年間とする。」との特約は無効となり、民法第566条に「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」が適用されるので買主は平成13年5月10日に瑕疵を発見し、平成13年6月10日に買主に対して損害賠償請求をすれば売主は瑕疵担保責任を免れず設問は正しい
・選択肢4:民法第166条第1項に「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき、または、 権利を行使することができる時から十年間行使しないときは時効によって消滅する 」と規定されている。売主が宅地建物取引業者で、買主が宅地建物取引業者でない場合、買主が売主に対して契約不適合を通知すべき期間を引渡しの日から2年以上とする特約は認められるが、引渡しから1年間とする特約は認められず、当該特約は無効となり民法の原則どおり買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知すれば、売主は契約不適合責任を負わなければならないが本肢では引渡しから10年以上経過しており契約不適合責任による損害賠償請求権は時効により消滅しており設問は正しくない
≪答え≫ 3
売主の瑕疵担保責任に関する出題である。瑕疵担保責任期間や損害賠償請求期限もよく確認しておく事。なお、売主の瑕疵担保責任については民法の他、宅建業法や品確法にも規定があるので比較の事。瑕疵担保責任については改正民法で以下の改正がある
★売買の目的物に不具合があり契約内容に適合しない場合は契約不適合として、買主は、①追完請求(例:目的物の修補請求、不足分の引渡し)、②代金減額請求、 ③損害賠償請求、 ④解除をする ことができるようになった。なお、①~④は、買主が悪意であってもすることができる。
★旧民法では瑕疵担保責任の追及は買主が瑕疵を知ってから1年以内の権利行使が必要だが、新民法では買主は契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨の通知が必要
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〔問 15 〕 Aは、その所有する甲マンション1階の店舗部分(101号室)を、Bに対し賃貸し、Bは、引渡しを受けた後に、これをCに転貸し引き渡した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているのはどれか。
1 AとBとの賃貸借契約において、あらかじめ第三者に対する転貸をAが承諾していた場合、Aはこれを撤回することはできず、BがCに101号室を転賃するに当たって、改めてAに承諾を求める必要はない。
2 Aが、Bに対し、Cへの転貸を承諾した後、BがAへの賃料の支払を怠り、AとBとの間の賃貸借契約が有効に解除された場合、BとCとの転貸借契約はAがCに101号室の返還を請求した時に終了する。
3 Aが、Bに対し、Cへの転貸を承諾した後、Bの賃料不払を理由として賃貸借契約を解除するためには、Bに対して賃料の支払を催告したうえ、Cに対しても、Bの代わりに支払うよう催告して、その支払の機会を与える必要がある。
4 Aが、Bに対し、Cへの転貸を承諾した後、Cの過失による火災が生じ、101号室の一部が焼失した場合、BはAに対して損害賠償責任を負う。
≪解説≫
・選択肢1:民法第612条第1項に「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と規定されており、判例で賃貸人がこれを撤回できないとされているので設問は正しい
・選択肢2:判例により「貸借契約が、賃借人の債務不履行により終了した場合、賃貸人は賃貸借契約の解除を転借人に対抗することができるが、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した段階で転貸人は転借人に対して履行不能ということになり転貸借契約が終了する」ので設問は正しい
・選択肢3:これも判例により「賃貸人が、賃借人に対し賃借人の賃料不払を理由として賃貸借契約を解除するためには賃借人に対して催告が必要になるが、転借人に対して催告して支払の機会を与える必要はない」ので設問は誤っている
・選択肢4:「転借人は、賃借人(転貸人)の履行補助者となので、転借人の過失は賃借人の過失と同視されるので転借人の過失による火災は賃借人は賃貸人に対し損害賠償責任を負う」ので設問は正しい
≪答え≫ 3
民法での賃貸借契約と転貸借契約に関する出題である。常識的判断で容易に正答を得られる。
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〔問 16 〕 マンションで生じた事故の責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 マンションの外壁のタイルが落下し、通行人に怪我を負わせた場合、落下の原因が外壁のタイルエ事を実施した工事業者の施工不良にあっても、管理組合は通行人に対して責任を負う。
2 マンションの外壁工事を依頼された工事業者が、工事のために管理組合から借りていた金づちをポケットに入れていたところ、そのポケットが破れていたため落下し、通行人に怪我を負わせた場合、管理組合は通行人に対して責任を負う。
3 マンションの窓から誰かが外に向けて石を投げ、通行人に怪我を負わせた場合において、誰が投げたか分からないときには、マンションの区分所有者のうち、自らが投げたのでないことを証明できない者は、通行人に対して連帯責任を負う。
4 6階建てのマンションにおいて、屋上部分の施工不良があり、屋上から601号室に雨漏りが生じ、さらに、同室の床を伝わって501号室に水漏れが生じたときは、601号室に居住している区分所有者は、501号室に居住している区分所有者に対して賠償の責任を負う。
≪解説≫
・選択肢1:民法第717条第1項に「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」と規定されており、設問はこれに該当する。ここで占有者かつ所有者は管理組合であり管理組合が通行人に対して責任を負うので設問は正しい
・選択肢2:民法第716条に「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」と規定されており、たとえ管理組合から借りていた金づちであっても通行人の怪我は工事業者の過失によるものであるから管理組合は通行人に対して責任を負う必要はないので設問は正しくない。
・選択肢3:不法行為に基づく損害賠償請求は被害者である通行人が警察に届け出るなどして加害行為を特定し証明するする必要があり、区分所有者が連帯責任を負うことはなく設問は正しくない。
・選択肢4:民法第709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されており、雨漏りの原因が屋上部分の施工不良とされているので601号室の区分所有者には賠償責任がないので設問は正しくない。
≪答え≫ 1
不法行為、工作物責任等に関する出題である。各選択肢とも常識的に正誤は判断できる。
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〔問 17 〕 甲マンションの401号室の区分所有者Aが多額の債務をかかえたまま死亡し、Aに子B及び子Cの相続人がいた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aの死亡後、401号室の玄関扉の鍵が見当たらないため、B及びCが相談のうえ、新たな鍵に取り替えた場合は、B及びCは相続を放棄することができない。
2 Bが先に相続の開始を知って3ヵ月内に限定承認又は相続放棄をしなかった場合には、CがBより後に相続の開始を知ってから3ヵ月の期間が満了する前であっても、Cは相続の放棄をすることができなくなる。
3 B及びCが、Aが401号室を区分所有するること及び多額の負債があることを知らないまま、相続の開始を知って3ヵ月が経過したときには、相続財産が全くないと信じたことに相当の理由があると認められる場合であっても、B及びCは相続を放棄することはできない。
4 B及びCは、限定承認又は相続放棄をするまでの間、自己の固有財産におけると同一の注意をもって401号室を管理しなければならない。
≪解説≫
・選択肢1:民法第921条第項に「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは単純承認をしたものとみなす。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。 ただし、保存行為この限りでない」と規定されており、玄関扉の鍵の取り換えは保存行為とみなされるので、これをもって相続を放棄することができないとするのは適切でなく設問は正しくない。
・選択肢2:民法第915条に「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」と規定されており、複数の相続人がいる場合には、相続人各自が相続の開始を知ってから3ヵ月(熟慮期間)以内に単純相続若しくは限定相続の承認又は放棄をする事ができるので設問は正しくない。
・選択肢3:民法第915条第1項に「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる」と規定されており、相続の開始を知って3ヵ月が経過したときでも選択肢に記載されている事由が家庭裁判所で認められれば、相続を放棄できる場合もあるので設問は正しくない。
・選択肢4:民法第918条第1項に「相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない」と規定されており設問は正しい
≪答え≫ 4
相続放棄関するに関する出題である。選択肢3がちょっと迷うところであるが正しいものは常識的な判断で得ることができる。
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〔問 18 〕 敷地権付き区分建物についての登記申請に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 敷地権付き区分建物を新築した者から当該区分建物を売買により取得した者は、自己を表題部所有者とする表題登記を申請することができる。
2 敷地権付き区分建物を新築した者が死亡したときは、相続により当該敷地権付き区分建物の所有権を取得した者は、自己を表題部所有者とする表題登記を申請することができる。
3 敷地権付き区分建物の表題部所有者から当該敷地権付き区分建物の所有権を売買により取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得れば、自己名義の所有権保存登記を申請することができる。
4 敷地権付き区分建物の表題部所有者が死亡したときは、相続により当該敷地権付き区分建物の所有権を取得した者は、被相続人名義で保存登記をすることなく、直接自己名義の所有権保存登記を申請することができる。
≪解説≫
・選択肢1:不動産登記法第48条第1項に「区分建物が新築された場合の表題登記の申請は、当該区分建物を新築した分譲業者等が一括して申請する必要があり、当該区分建物を売買により取得した者が申請することはできない」と規定されており設問は正しくない。
・選択肢2:不動産登記法第47条第2項に「区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる」と規定されており、被承継人(被相続人)を表題部所有者とする表題登記を申請することになるので設問は正しくない。相続で合筆・分筆をする場合相続人が表題部登記を申請する場合がある
・選択肢3:不動産登記法第74条第2項に「区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、所有権の保存登記を申請することができる(冒頭省略登記という)。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない」と規定されており設問は正しい。これは分譲マンションでよく行われている。
・選択肢4:不動産登記法第74条第1項により「敷地権付区分所有建物の場合、原始取得者名義(被相続人)で一旦保存登記をし、次いで被相続人から相続人名義に移転登記をしなければならない」と規定されており設問は正しくない。
≪答え≫ 3
敷地権付き区分建物についての登記申請に関する出題である。誰が表題部登記や保存登記をすることができるかを整理しておく事。選択肢4は判断を迷うところである。
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〔問 19〕 マンション建替組合(この問いにおいて「建替組合」という。)が施行するマンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの建替えの円滑化等に関する法律及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 建替組合の設立の認可を申請しようとする者は、建替組合の設立について、建替え合意者の3/4以上の同意(同意した者の区分所有法第38条の議決権の合計が、建替え合意者の同条の議決権の合計の3/4以上となる場合に限る。)を得なければならない。
2 建替組合は、区分所有法第63条第4項に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求しようとするときは、あらかじめ建替えに参加しない旨を回答した区分所有者の承諾を得なければならない。
3 建替組合は、区分所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないときは、その同意を得られない理由及び同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置を記載した書面を添えて、権利変換計画の認可を申請することができる。
4 建替組合は、権利変換期日後遅滞なく、施行再建マンションの敷地(保留敷地を含む。)につき、権利変換後の土地に関する権利について必要な登記を申請しなければならない。
≪解説≫
・選択肢1:マンション建替え円滑化等法の第9条第2項に「建替組合の設立の認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第三十八条 の議決権の合計が、建替え合意者の同条の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)を得なければならない」と規定されており設問は正しい。
・選択肢2:マンション建替え円滑化等法の第15条第1項に「建替組合は建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる」と規定されており設問は誤っている。この売渡請求権は形成権であり相手方の承諾は不要である。
・選択肢3:マンション建替え円滑化等法の第57条第3項に「建替組合は区分所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないときは、その同意を得られない理由及び同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申請することができる」と規定されており設問は正しい。ここで区分所有権等以外の権利とは、同法第45条第3項①区分所有権、②敷地利用権、③敷地の所有権、④敷地の借地権、⑤借家権 以外の権利の事をいう。
・選択肢4:マンション建替え円滑化等法の第74条第1項に「施行者(建替組合)は、権利変換期日後遅滞なく、施行再建マンションの敷地(保留敷地を含む。)につき、権利変換後の土地に関する権利について必要な登記を申請しなければならない」と規定されており設問は正しい
≪答え≫ 2
マンション建替え円滑化等法からの出題である。毎年出題されるので区分所有法の建替えに関する規定と併せて理解しておく事。マンション建替え円滑化等法は平成26年4月に改正されておりこちらを参照すること。
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〔問
20〕 共同住宅に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 共同住宅の各戸の界壁は、耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
2 法改正により削除
3 法改正により削除
4 準防火地域内にある共同佳宅を増築しようとする場合、その増築部分の床面積の合計が10㎡以内であれば、建築確認を受ける必要はない。
≪解説≫
・選択肢1:建築基準法第30条に「共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能(隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない」と規定されており、また、建築基準法施行令第114条に「共同住宅の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない」と規定されており併せて設問は正しくない。
・選択肢4:建
築基準法第6条第2項に「共同住宅で床面積が200㎡超の特殊建築物の建築、増築・改築・移転、大規模の修繕・模様替、用途変更の場合は建築確認が必要だが、増築・改築・移転だけは防火地域、準防火地域外で行われ、増築・改築・移転にかかる部分の床面積の部分が10㎡以内である場合は建築確認は不要である」と規定されており設問は正しくない
≪答え≫ 該当なし
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〔
問 21〕 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 都市計画区域については、都市計画に、道路、公園、緑地、教育文化施設等の都市施設を定めることができるが、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。
2 準都市計画区域については、都市計画に、高度地区、景観地区、防火地域又は準防火地域を定めることができる。
3 市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域について都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ都道府県知事と協議し、同意を得なければならない。
4 地区計画に関する都市計画を決定しようとするときは、当該地区計画の区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の同意を得なければならない。
≪解説≫
・選択肢1:都市計画法第11条第1項に「都市計画区域については、都市計画に、道路、公園、緑地、教育文化施設等の施設を定めることができる。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる」と規定されており設問は正しい
・選択肢2:都市計画法第8条第2項に「準都市計画区域については、都市計画に、高度地区、景観地区等
を地区を定めることができる」と規定されているが、防火地域又は準防火地域を定めることができると定められていないので設問は正しくない。準都市計画区域で他に定めることができないものは他に高度利用地区、特例容積率適用地区、高層住宅誘導地区がある
・選択肢3:都市計画法第19条第3項に「市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域について都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。この場合において、町村にあつては都道府県知事の同意を得なければならない」と規定されており、市は都道府県知事の同意は不要なので設問は正しくない。ひっかけ問題である!
・選択肢4:都市計画法第16条第2項に「都市計画に定める地区計画等の案は、意見の提出方法その他の政令で定める事項について条例で定めるところにより、その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成するものとする」と規定されているが、「利害関係を有する者の同意を得なければならない」とは規定されていないので設問は正しくない。利害関係を有する者の「
意見」を求めて作成するものとされている
≪答え≫ 1
都市計画法に関する出題である。常識的に判断できる設問であるがひっかけに注意の事
〔問 22〕 貯水槽水道及び簡易専用水道の管理に関する次の記述のうち、水道法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 貯水槽水道の管理に関し、水道事業者はその供給規程において、水道事業者の責任に関する事項として、必要に応じて、貯水槽水道の利用者に対する情報提供について定めなければならない。
2 貯水槽水道の管理に関し、水道事業者はその供給規程において、貯水槽水道の設置者の責任に関する事項として、必要に応じて、貯水槽水道の管理の状況に関する検査について定めなければならない。
3 簡易専用水道の管理に関し、簡易専用水道の検査の登録を受けた検査機関は、簡易専用水道の設置者の了解を得て、検査の結果を行政庁に代行報告することができる。
4 簡易専用水道の管理に関し、簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査は、当該簡易専用水道の水質に害を及ぼす恐れがあるものか否かを検査するものであり、当該水槽の水を抜いて行う。
≪解説≫
・選択肢1:水道法第14条第3項及び水道法施行規則第12条の四に「貯水槽水道の管理に関し、水道事業者はその供給規程において、水道事業者の責任に関する事項として必要に応
じ貯水槽水道の利用者に対する情報提供について定めなければならない」と規定されており設問は正しい。
・選択肢2:水道法第14条第3項及び水道法施行規則第12条の四に「貯水槽水道の管理に関し、水道事業者はその供給規程において、水道事業者の責任に関する事項として、貯水水道の管理に関する検査について定めなければならない」と規定されており設問は正しい。
・選択肢3:結論として(健水発0325第5号平成22年3月25日 厚生労働省健康局水道課長)によれば「簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項」(平成15年厚生労働省告示第262号。以下「検査方法告示」という。)第7の3において、法定検査の結果、特に衛生上問題がある状況が認められる場合において、設置者から行政庁へその旨報告することとされている。この規定に関連して、設置者の了解を得た上で検査を実施した登録簡易専用水道検査機関が代行して行政庁に報告すること(以下「代行報告」という。)を妨げるものではない」と規定されており設問は正しい。水道法は難しい。
・選択肢4:これも結論として厚生労働省告示262号の「第三簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査」に「一簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査は、簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態が、当該簡易専用水道の水質に害を及ぼすおそれのあるものであるか否かを検査するものであり、当該簡易専用水道に設置された水槽の水を抜かずに、次に掲げる検査(略)を行うものとする」と規定されており設問は誤っている。なお、「給水栓における臭気、味、色、色度、濁度、残留塩素に関する検査は、予め給水管内に停滞していた水が新しい水に入れ替わるまで放流してから採水する」と規定されている
≪答え≫ 4
水道法に関する出題である。水道事業者の管理や検査に関する設問であるが一目見ておかしい選択肢がある。他は常識的にみて判断できるかも。
〔
問 23〕 高さ31mを超えるマンション(この問いにおいて「高層マンション」という。)の防火管理及び共同防火管理に関する次の記述のうち、消防法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 高層マンションの管理について権原を有する者は、定期に、火災の予防に関する専門的知識を有する者で一定の資格を有するものに、マンションにおける防火管理上必要な業務その他火災の予防上必要な事項について点検させなければならない。
2 高層マンションの管理について権原を有する者は、廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない。
3 高層マンションで、その管理について権原が分かれているもののうち消防長若しくは消防署長が指定するものの管理について権原を有する者は、防火管理上必要な業務に関する事項で一定のもの協議して定めておかなければならない。
4 高層マンションの管理者、所有者又は占有者は、当該マンションで使用するため、防炎性能を有しないじゅうたんを購入し、業者等に委託して一定基準以上の防炎性能を与えるための処理をさせたときは、その旨を明らかにしておかなければならない。
≪解説≫
・選択肢1:消防法第8条第1項に「学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない」と規定されているが、設問の高層マンションの用途が住宅のみなら火災の予防に関する専門的知識を有する者をおく必要がないので設問は誤っている。設問の高層マンションが複合用途型のマンションなら専門的知識を有する者をおく必要はある
・選択肢2:消防法第8条の2の4に「学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物(マンションを含む)で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設について避難の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理し、かつ、防火戸についてその閉鎖の支障になる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければならない規定されており設問は正しい。
・選択肢3:消防法第8条の2第1項に「高層建築物(高さ三十一メートルを超える建築物をいう。第八条の三第一項において同じ。)その他政令で定める防火対象物で、その管理について権原が分かれているもの又は地下街(地下の工作物内に設けられた店舗、事務所その他これらに類する施設で、連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたものをいう。以下同じ。)でその管理について権原が分かれているもののうち消防長若しくは消防署長が指定するものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちからこれらの防火対象物の全体について防火管理上必要な業務を統括する防火管理者(以下この条において「統括防火管理者」という。)を協議して定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物の全体についての消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、当該防火対象物の廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設の管理その他当該防火対象物の全体についての防火管理上必要な業務を行わせなければならない。」と規定されており設問は正しい。なお、平成27年9月改正の消防法では設問の「防火管理上必要な業務に関する事項で一定のもの」を「統括防火管理者」と命名されたので注意の事。
・選択肢4:消防法第8条の3第5項に「防火対象物の関係者は、当該防火対象物において使用する防炎対象物品について、当該防炎対象物品若しくはその材料に同項の防炎性能を与えるための処理をさせ、又は第二項の表示若しくは指定表示が附されている生地その他の材料からカーテンその他の防炎対象物品を作製させたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない」と規定されており設問は正しい。
≪答え≫ 1
高層マンションの消防法の防火管理に関する出題である。平成27年9月改正の消防法で「統括防火管理者」が命名されたので注意の事。
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〔問 24〕 マンションにおける防犯に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 共用メールコーナーの照明設備は、10m先の人の顔、行動が明確に識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上となるよう、床面において概ね50ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。
2 共用玄関の存する階以外の階のエレベーターホールの照明設備は、10m先の人の顔、行動が識別でき、誰であるかわかる程度以上となるよう、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。
3 自転車置場、オートバイ置場の照明設備は、10m先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上となるよう、床面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとする。
4 住戸の玄開扉等は、工具類等の侵入器具を用いた侵入行為に対して、騒音の発生を可能な限り避ける攻撃方法に対しては5分以上侵入を防止する性能を有する防犯建物部品等の扉及び錠を設置したものとする。
≪解説≫
・選択肢1:「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針 」により当設問に記載されている事項は適切である。
・選択肢2:「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針 」により当設問に記載されている事項は適切である。
・選択肢3:「共同住宅に係る防犯上の留意事項 」により「10m先」ではなく「4m先」なので当設問に記載されている事項は適切でない。
・選択肢4:「防犯優良マンション標準認定基準」により当設問に記載されている事項は適切である。
≪答え≫ 3
防犯に関する出題である。照明設備の明るさであるルクスの数値を記憶しておく事。
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〔問 25〕 「機械式駐車場の一部撤去に関する件」という議題で招集された集会における区分所有者の次の発言のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、機械式駐車場は区分所有者全員の共有に属するものとする。
1 議題は、通知されていますが、議案の要領は、本日、会場で出席者に配付され事前に通知されていません。各区分所有者は、会議の目的たる事項についてあらかじめその内容を知り検討したうえで、集会に出席したり、又は書面により議決権を行使したりすることができませんので、決議しても無効です。
2 撤去対象になっている駐車場はパレット毎に専用使用権が設定され分譲時に対価を支払っており、分譲時からあまり時間が経過していないので、その清算を行うことなく撤去を求めることは専用使用権を有する区分所有者に特別の影響を及ぼすこととなります。影響を受ける区分所有者が同意していない限り決議しても無効です。
3 議案の要領の内容には、機械式駐車場に隣接する別の附属施設であるバイク置場の撤去も盛り込まれていますが、それにもかかわらず、議題として通知されていません。本来別の議題とすべきで、それを含めて集会で決議することはできません。
4 機械式駐車場及びバイク置場は、区分所有者全員の共有に属する附属施設なので、その撤去を行い更地にする場合は、共有物の処分行為に当たります。したがって、撤去については、区分所有全員の同意がない限り、実施することはできません。
≪解説≫
・選択肢1:機械式駐車場を一部撤去は「その形状又は効用の著しい変更を伴う、共用部分の変更」とみなされるため区分所有法第35条第5項に「その議案の要領をも通知しなければならない」と規定されており、議案の要領が本日、会場で出席者に配付され事前に通知されていなければ集会で決議しても無効であり
設問は正しい。
・選択肢2:区分所有法第17条第1項及び第2項に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する
。この場合、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない」と規定されており、影響を受ける区分所有者(機械式駐車場の専用使用権を有する区分所有者)が同意していない限り決議しても無効なので設問は正しい。
・選択肢3:区分所有法第37条第1項に「集会においては、あらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。」と規定されており、別の附属施設であるバイク置場の撤去は別の議題として通知されていないので集会で決議することはできないので
設問は正しい。
・選択肢4:機械式駐車場及びバイク置場の撤去を行い更地にする場合は敷地の重大変更に該当する。この場合は区分所有法第17条第1項に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する
」と規定されており、また、同法第21条に「建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する」と規定されており区分所有全員の同意を必要としないので設問は誤っている。なお、更地を他へ売却する場合は共有物の処分行為に当たるので民法の規定により区分所有全員の同意を必要となる
≪答え≫ 4
区分所有法の集会及び共有物の処分行為に関する出題である。共有物の撤去は区分所有全員の同意が必要か考察を要する
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