問1 | 区分所有法(規約) | ||||||
問2 | 区分所有法(規約敷地) | 問8 | 区分所有法、民法(義務違反) | 問14 | 民法(保証契約) | 問20 | 都市計画法(地域地区) |
問3 | 区分所有法(総則-先取特権) | 問9 | 区分所有法(建替え) | 問15 | 民法(売買契約) | 問21 | 建築基準法 |
問4 | 民法(賃貸借契約) | 問10 | 区分所有法(建替え) | 問16 | 民法(請負契約) | 問22 | 水道法 |
問5 | 区分所有法(共用-一部共有部分) | 問11 | 被災マンション法(集会) | 問17 | 民法(相続) | 問23 | 消防法 |
問6 | 区分所有法(集会) | 問12 |
借地借家 |
問18 | 不動産登記法 | 問24 | 共同住宅に係る設計指針 |
問7 | 区分所有法(団地管理組合法人) | 問13 | 民法(遺産分割) | 問19 | 建替え円滑化法 | 問25 | 標準管理規約(修繕等) |
問1 規約に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、その効力が認められないものの組合せはどれか。
ア 構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分を専有部分とする規約の定め
イ 区分所有権の目的とすることができる建物の部分及び附属の建物を共用部分とする規約の定め
ウ 管理組合法人における理事の任期を3年とする規約の定め
エ 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者の4分の3以上の多数で、かつ議決権の3分の2以上の多数による集会の決議で決するとする規約の定め
1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア
≪解説≫
ア: 区分所有法第4条第1項に「数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする」と規定されており規約にその効力が認められない
イ: 区分所有法第4条第2項に「建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる」と規定されており規約にその効力が認められる
ウ: 区分所有法第49条に「理事の任期は、二年とする。ただし、規約で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする」と規定されており規約にその効力が認められる
エ: 区分所有法第17条に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」と規定されており規約にその効力が認められない
≪答え≫ (規約にその効力が認められない項目は「4エとア」であり)正解は4
選択肢エで議決権は規約によっても減じることができないので区分所有者の定数と取り違えないように注意のこと
問2 規約により建物の敷地とされた土地に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア: 規約により建物の敷地とすることができる土地には、区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路、駐車場等の土地も含む。
イ: 規約により建物の敷地とされた土地の管理は、民法(明治29年法律第89号)の定めるところによるのであり、区分所有法の定めるところによるのではない。
ウ: 建物の所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる。
エ: 建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、改めて規約で定めなければ建物の敷地とすることができない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
ア: 区分所有法第5条に「区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる」と規定されておりこの選択肢は正しい
イ:
規約により建物の敷地とされた土地の管理は区分所有法第5条により規約敷地とされ区分所有法の定めにより管理されるので選択肢は正しくない
ウ:区分所有法第5条第2項に「建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす」と規定されており選択肢は正しい
エ: 区分所有法第5条第2項後段に「建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときも、同様とする」と規定されており選択肢は正しくない
≪答え≫ (正しいものはアとウの二つであり) 正解は2
区分所有法の規約敷地に関する定めを理解していれば容易に解が得られる
問3 区分所有法第7条の先取特権に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 区分所有者が有する区分所有法第7条の先取特権の被担保債権は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権に限られる。
2 管理者が、管理組合との間に報酬を受ける特約がある場合において、管理組合に対して有する報酬債権は、区分所有法第7条の先取特権の対象となる。
3 区分所有法第7条の先取特権は、債務者が専有部分を賃貸しているときは、民法第304条の物上代位により賃料に対して行使できる。
4 区分所有法第7条の先取特権の目的物は、債務者の区分所有権に限らず、債務者の全ての財産である。
≪解説≫
選択肢1: :区分所有法第7条第1項に「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする」と規定されており選択肢は正しくない。設問にある共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する
選択肢2:
区分所有法第7条第1項後段に「管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする」との規定があるが、民法の規定により管理者が管理組合に対して有する費用の前払請求権(民法649条)や費用等の償還請求権(民法650条)については先取特権を有するが、報酬請求権についてはこれに該当せず先取特権対象にならないので選択肢は正しくない
選択肢3: 民法第304条第1項に「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる」と規定されており選択肢は正しい
選択肢4: 区分所有法第7条第1項の規定に「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する」より先取特権の目的物は限定されており債務者の全ての財産ではないので選択肢は正しくない
≪答え≫ 正解は3
この設問も先取特権を理解していれば、他の選択肢を吟味するまでもなく選択肢2が正しくないことが分かる筈である
問4 Aは、Bの所有する専有部分について、Bから賃借し、敷金を差し入れた上で、引渡しを受けてその使用を始めたが、Bが敷地利用権を有していなかったことから、専有部分の収去を請求する権利を有するCが、Bに区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求する通知(この問いにおいて「本件通知」という。)を行った。この場合における次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 本件通知の後に、AがCの承諾を得てDに対して賃借権を譲渡したときには、敷金に関するAの権利義務関係はDに承継される。
2 本件通知前にAがBに対して賃料を支払っていなかった場合、BのAに対する未払いの賃料債権は、債権譲渡がなされなければ、BからCに移転しない。
3 賃貸人の地位がBからCに移転したとしても、Cは、所有権の移転登記を経なければ、Aに対して、賃料請求をすることはできない。
4 本件通知がBに到達することによって、Bの承諾がなくても、BとCの間に専有部分及び共用部分の持分を売買対象とした売買契約成立の効果が生じることとなる。
≪解説≫
選択肢1: AがCの承諾を得てDに対して賃借権を譲渡したときには、敷金返還請求権は新賃借人Dには承継されないので当選択肢は正しくない。 敷金については改正民法の第622条の2に「賃貸人は、敷金を受け取っている場合において、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない」と規定され明確となった
選択肢2:
BのAに対する未払いの賃料債権はBとAの間で解決すべき問題でありBからCに移転しないので選択肢は正しい
選択肢3: 改正民法の第605条の2に「新賃貸人が賃借人に対して賃料請求等をするには、新賃貸人の建物の所有権移転登記が必要」と規定され選択肢は正しい
選択肢4: 区分所有法第10条に「敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる」と規定されており選択肢は正しい
≪答え≫ 正解は1
敷金や賃借権の譲渡に関して現民法には明確な規定がなく令和2年4月1日に施行される改正民法で規定されているので今後の受験者は理解に努める必要がある
問5 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(この問いにおいて「一部共用部分」という。)の管理に関する次のマンション管理士の説明のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するものは、一部共用部分を共用する一部の区分所有者だけで行うことはできません。
2 一部共用部分の管理は、区分所有者全員の規約に定めがあるものを除き、これを共用すべき区分所有者のみで行うことになります。
3 すべての一部共用部分について、その管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される区分所有法第3条に規定される区分所有者の団体は存在しないことになります。
4 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができません。
≪解説≫
選択肢1: 区分所有法第16条に「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う」と規定されており選択肢は正しい
選択肢2: 区分所有法第16条に「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う」と規定されており選択肢は正しくない。つまり、区分所有者全員の利害に関係するものはこれを共用すべき区分所有者のみで行うことはできない
選択肢3: 当選択肢記載の通りで選択肢は正しい
選択肢4: 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定区分所有法第31条に「区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない」と規定されており選択肢は正しい
≪答え≫ 正解は2
問6 集会招集手続きに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。
ア 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものが、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求した。
イ 区分所有者が法所定の手続きに従い管理者に対して集会の招集を請求したにもかかわらず、管理者が2週間経過しても集会の招集の通知を発しなかったため、その請求をした区分所有者が集会を招集した。
ウ 専有部分が二人の共有に属する場合、議決権を行使すべき者が定められていなかったときは、管理者は、集会の招集の通知を共有者の双方に発しなければならない。
エ 管理者がないときに、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものが、集会の招集をした。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
ア: 区分所有法第34条第3項に「区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる」と規定されており選択肢は正しい
イ: 区分所有法第34条第4項に「第34条第3項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる」と規定されており選択肢は正しい
ウ: 区分所有法第40条に「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない」と規定されており選択肢は正しくない。 管理者は、集会の招集の通知を共有者の双方に発する必要はない
エ: 区分所有法第34条第5項に「管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる」と規定されており選択肢は正しい
≪答え≫ (正しいものはア、イ、エであり) 正解は3
問7 団地管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 団地管理組合法人は、団地共用部分に係る損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、団地建物所有者を代理する。
2 団地管理組合法人の理事は、特定の行為の代理を他人に委任することを、規約又は集会の決議によって禁止されることはない。
3 団地管理組合法人の監事は、財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認め、これを報告するために必要があるときは、集会を招集することができる。
4 団地管理組合法人は、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によって解散することができる。
≪解説≫
選択肢1:区分所有法第34条第3項に「管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。(第47条第6項の規定による)損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする」と規定されており選択肢は正しい
選択肢2:区分所有法第49条の3に「理事は、規約又は集会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる」と規定されており選択肢は誤っている。規約又は集会の決議によって禁止されることはある
選択肢3 :区分所有法第50条第3項及び第4項に「監事は財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること。報告をするため必要があるときは、集会を招集すること」と規定されており選択肢は正しい
選択肢4: 区分所有法第55条第1項及び第2項に「管理組合法人は、集会で区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数の決議で解散できる」と規定されており選択肢は正しい
≪答え≫ 正解は2
この設問も:区分所有法の条文からの出題であるあり、管理組合法人に関する条文をしっかりと理解していれば正解は容易にわかる。団地という用語に惑わされないようにすること
問8
1 B及びDは、101号室について、Cの承諾を得なくても賃借権の登記をすることができる
2 Bの管理費等の滞納が原因で、建物の修繕に重大な支障が生じるような状況に至っている場合は、Bの滞納は、建物の管理に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する。
3 Bの区分所有権及び敷地利用権の最低売却価額で滞納管理費等を回収できる見込みがない場合でも、Aは区分所有法第59条の規定による競売を請求することができる。
4 Cが抵当権の実行として101 号室を競売し、Eが当該競売における手続きを経て買受人となった場合には、Aは、Eに対して、滞納管理費等を請求することはできない。
≪解説≫
選択肢1:不動産登記法等の規定により賃借権の登記は賃貸人(B)と賃借人(D)が共同して賃借権の登記をすることができる。この際、抵当権者(C)の承諾は不要であり選択肢は正しい
選択肢2:区分所有法第6条第1項に「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と規定されており、Bの滞納は建物の管理に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に該当するので選択肢は正しい
選択肢3:設問に記載されている「最低売却価額で滞納管理費等を回収できる見込みがない場合の競売申し立て」は民事執行法により一般には無剰余取消し制度により裁判所にて取り消されるが、区分所有法第59条の規定による競売では一定の条件が満たされれば裁判所で無剰余取消し制度に該当せず競売が認められることもあるので競売そのものを請求することはできるので選択肢は正しい。詳しくはマンション標準管理規約(単棟型)の別添3「滞納管理費等回収のための管理組合による措置に係るフローチャート」を参照のこと
選択肢4: 区分所有法第8条に「前条第一項に規定する債権(先取特権)は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」と規定されており、管理組合(A)は特定承継人(E)に対して、滞納管理費等を請求することはできるので選択肢は正しくない
≪答え≫ 正解は4
問9 マンションの一部が滅失した場合のマンションの復旧又は建替えに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 マンションの滅失が建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失であるときは、各区分所有者が滅失した共用部分を復旧することができるが、復旧の工事に着手するまでに集会において復旧又は建替えの決議があった場合はこの限りでない。
2 マンションの滅失が建物の価格の2分の1を超えるときは、復旧の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。
3 建替え決議をするときは、決議事項の一つとして、建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額を定めなければならないが、併せて、その費用の分担に関する事項についても定める必要がある。
4 建替え決議を会議の目的とする集会を招集した者は、区分所有者からの要請がなければ、当該招集の際に通知すべき事項についての説明会を開催する必要はない。
≪解説≫
選択肢1:区分所有法第61条第1項に「建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項(復旧決議)、次条第一項(建替え決議)又は第七十条第一項(団地内の建物の一括建替え決議)の決議があつたときは、この限りでない」と規定されており選択肢は正しい
選択肢2:区分所有法第62条第8項に「前条第六項の規定(集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない)は、建替え決議をした集会の議事録について準用する」と規定されており選択肢は正しい
選択肢3:区分所有法第62条第2項に「建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額及び費用の分担に関する事項を定めなければならない」と規定されており選択肢は正しい
選択肢4: 区分所有法第62条第6項に「集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない」と規定されており選択肢は誤っている
≪答え≫ 正解は4
当設問も区分所有法の条文からの出題であり解は容易に得られる
問10 A棟、B棟(いずれも分譲マンションで区分所有建物)及びC棟(賃貸マンションで単独所有建物)の三棟が所在する土地がこれらの建物の所有者の共有に属しており、その共有者全員で団地管理組合を構成している。この場合におけるA棟の建替え承認決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、既にA棟の区分所有者の集会において、A棟の建替えが議決されているものとする。
1 団地管理組合の集会において、A棟の建替え承認決議を得るためには、議決権の4分の3以上の多数の賛成が必要であり、各団地建物所有者の議決権は、その有する建物又は専有部分の床面積の割合による。
2 A棟の区分所有者は、A棟の区分所有者の集会において建替え決議に賛成しなかった場合でも、団地管理組合の集会におけるA棟の建替え承認決議では、全員が賛成したものとみなされる。
3 建替え承認決議に係るA棟の建替えがB棟の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、A棟の建替えは、団地管理組合の建替え承認決議に係る集会において、B棟の区分所有者全員の議決権の4分の3以上の議決権を有する区分所有者の賛成を得なければ行うことができない。
4 建替え承認決議に係るA棟の建替えがC棟の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、A棟の建替えは、C棟の所有者の賛成を得なければ行うことができない。
≪解説≫
選択肢1:団地管理組合の集会における特定建物の建替え承認決議は区分所有法第69条第1項に規定されているが、要件は「議決権の3/4以上の多数による。議決権は共有する土地の持分の割合持分の割合による」であり設問にある「各団地建物所有者の議決権は、その有する建物又は専有部分の床面積の割合による」とは規定されていないので選択肢は誤っている。なお、団地規約で選択肢のような規定をしていても無効である
選択肢2 :区分所有法第69条第5項に「当該特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす」と規定されており選択肢は正しい
選択肢3: 区分所有法第69条第5項に「建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、当該他の建物が専有部分のある建物である場合、集会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者の賛成が必要」と規定されており選択肢は正しい
選択肢4: 区分所有法第69条第5項二に「建替え承認決議に係る建替えが当該特定建物以外の建物の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、集会において当該他の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合は集会において当該他の建物の所有者の同意が必要」と規定されており選択肢は正しい
⇒区分所有法第69条第5項一に「当該他の建物が専有部分のある建物である場合、第一項の集会において当該他の建物の区分所有者全員の議決権の四分の三以上の議決権を有する区分所有者の賛成が必要」と規定されている
≪答え≫ 正解は1
問11 大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより区分所有建物の一部が滅失した場合において、当該政令の施行の日から起算して1年を経過する日までの間に、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43号)及び区分所有法の定めるところにより開催される区分所有法第34条の規定による集会(この問いにおいて「区分所有者集会」という。)に関する次の記述のうち、これらの法律の規定によれば、正しいものはどれか。
1 区分所有者集会の招集の通知は、区分所有者が災害前に管理者に対して通知を受けるべき場所を届け出ていた場合には、その場所に宛ててすることができる。
2 区分所有者集会の招集の通知は、当該集会を招集する者が区分所有者の所在を知っていたときであっても、区分所有建物又はその敷地内の見やすい場所に掲示してすることができる。
3 区分所有建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上の多数で、当該区分所有建物及びその敷地を売却する旨の決議をすることができる。
4 区分所有建物の滅失が建物の価格の2分の1を超える場合には、区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の区分所有法に基づく措置を決議することができる。
≪解説≫
選択肢1:被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(以下「被災マンション法」という)第8条第1項に「政令の施行の日から起算して一年以内の日を会日とする区分所有者集会を招集するときは、区分所有法第三十五条第一項の通知(招集の通知)については、同条第三項及び第四項の規定は、適用しない」と規定されており選択肢は正しくない。同条第三項には「招集の通知の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる」 と規定されている
選択肢2:被災マンション法第8条第3項に「区分所有者集会を招集する者が区分所有者(前項の規定により通知を受けるべき場所を通知したものを除く。)の所在を知ることができないときは、第一項の通知は、当該区分所有建物又はその敷地内の見やすい場所に掲示してすることができる」と規定されており選択肢は正しくない。通知を受けるべき場所を通知してあれば(例えば、避難場所)、当然にその場所に通知する
選択肢3 :被災マンション法第9条第1項に「当該区分所有建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利であるときは、区分所有者集会において、区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各五分の四以上の多数で、当該区分所有建物及びその敷地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(以下「建物敷地売却決議」という。)をすることができる」と規定されており選択肢は正しくない。区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分の価格の各4分の3以上の多数では不十分である
選択肢4: 被災マンション法第12条第1項に「第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる」と規定されているので選択肢は正しい
≪答え≫ 正解は4
問12 Aがその所有する甲マンションの101 号室をBに賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法(平成3年法律第90号)の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか
1 期間を3年として賃貸借契約を締結する場合に、契約の更新がないこととする旨を定めようとするときには、公正証書によって契約をしなければ、その旨の定めは無効となる。
2 Aが、Cに対し、101 号室を書面によらずに贈与することとして、その所有権をCに移転し、登記したときは、AはCに対する贈与を撤回できない。
3 Bは、Aの書面による承諾を得ていなくても、口頭による承諾を得ている場合は、Dに対し、101 号室を転貸することができる。
4 Eが、Aに対し、Bの賃料債務を保証する場合には、書面又はその内容を記録した電磁的記録によってしなければ保証契約は効力を生じないる。
≪解説≫
選択肢1: 借地借家
選択肢2: 民法第550条第6項に「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」と規定されており選択肢は正しい。「履行の終わった部分」とは判例により「不動産の贈与契約に基づく所有権移転登記と贈与の履行の終了」とみなされる
選択肢3:民法第612条第1項に「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と規定されており選択肢は正しい。この場合の「承諾」とは諾成契約であり口頭でもよい。民法では諾成契約成契約と要物契約が定められている
選択肢4: 民法第446条第2項に「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」、また、同条3項には「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する」と規定されており選択肢は正しい。
≪答え≫ 正解は1
賃貸借に関する基本的な問題であるが、選択肢1で「公正証書による等書面よる契約」で「等」を見落さないこと
問13
1 AがDに対して、Aの死亡前に、102号室を譲渡したときは、Dは所有権移転登記なくしてBに対して 102 号室の所有権を主張できる。
2 AがEに対して、Aの死亡前に、102号室を譲渡し、BC間の遺産分割後に、BがFに対して102号室を譲渡したときは、Eは所有権移転登記なくしてFに対して102号室の所有権を主張できない。
3 BC間の遺産分割協議前に、CがGに対してCの法定相続分に当たる102号室の持分を譲渡し、Gが所有権移転登記をしたときであっても、BはGに対して102号室全部の所有権を主張できる。
4 BC間の遺産分割協議後に、CがHに対してCの法定相続分に当たる102号室の持分を譲渡したときは、Bは遺産分割に基づく所有権移転登記なくしてHに対して102号室に係るCの法定相続分の権利の取得を対抗できない。
≪解説≫
選択肢1:
選択肢2:
選択肢3 :
選択肢4: 最高裁判例(昭和46年1月26日)に「不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である」 とあり、相続人
≪答え≫ 正解は3
問14 Aがその所有する甲マンションの301号室をBに対して期間を3年と定めて賃貸し、CがBのためにAとの間で保証契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1
AとBとの間で賃貸借契約が合意更新された場合、Cは更新後も保証を継続する旨の意思表示をしない限り更新後の賃料債務については保証債務を負わない。
2 Bの賃料不払により賃貸借契約が解除された場合、Cは未納賃料のみならず、Bが301号室を契約に基づき返還すべきところ返還しないことによってAが被った損害の賠償債務についても保証債務を負う。
3 CがBと連帯して保証する旨の特約があり、Bの賃料不払によりAがCに対して保証債務の履行を請求した場合、CはAに対し、まずBに対して履行の催告をするように請求することができる。
4 Bの賃料債務が時効により消滅した場合であっても、Cが保証債務の存在を承認したときには、Cは保証債務を免れない。
≪解説≫
選択肢1: 保証に関しては民法第446条第1項に「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」と規定されているが、賃貸借契約が合意更新された場合の保証の継続に関しては最高裁判例(平成9年11月13日)に「期間の定めのある建物の賃貸借においで、賃借人のために保証人が賃貸人と保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解すべきである」とあり選択肢は正しくない
選択肢2: 民法第447条第1項に「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」 と規定されており
選択肢3 :
選択肢4:
≪答え≫ 正解は 2
②事業用融資における第三者保証の制限(公証人による意思確認手続の新設)
③主債務者による保証人への情報提供義務の規定の新設
④連帯債務に関する見直し(連帯債務の絶対的効力事由の削減)
⑤債務引受に関する見直し(免責的債務引受、併存的債務引受)
問15 Aは、Bとの間で、甲マンション401号室を代金 1,500万円でBに売却する旨の売買契約(この問いにおいて「本件契約」という。)を締結したが、同室はCの所有するものであった。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 本件契約は、AがCから 401号室の所有権を取得した時に、条件が成就して成立する。
2 Bは、本件契約の時に、401号室の所有権がAに属しないことを知っていた。この場合において、AがCから同室の所有権を取得してBに移転することができないときであっても、Bは、本件契約を解除することはできない。
3 Aは、本件契約の時に、401
号室の所有権が自己に属しないことを知らなかった。この場合において、Aは、Cから同室の所有権を取得してBに移転することができないときには、Bに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。
4 本件契約の締結後にAが死亡し、CがAを単独で相続した場合には、Cは、Bに対し、本件契約上の売主としての履行義務を拒むことができない。
≪解説≫
選択肢1: 民法第555条に「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」と規定されており売買契約は売主Aが、401号室を売ることを約束して、買主Bが、代金を支払うことを約束した時点で契約は成立しているので設問の「本件契約は売主Aが元の持主Cから401号室の所有権を取得した時に条件が成就して成立する」との選択肢は正しくない
選択肢2:民法第562条2項に「買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる」と規定されており選択肢は正しくない。この場合、契約の解除には、買主の悪意・善意は問わないと解釈される
選択肢3:
選択肢4: これは最高裁判例(昭和49年9月4日)の「 他人の権利の売主をその権利者が相続し売主としての履行義務を承継した場合でも、権利者は、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右履行義務を拒否することができる」とありこれにより選択肢は正しくない
≪答え≫ 正解は3
問16 甲マンションの 305
号室を所有するAは、同室のキッチンの設備が老朽化したことから、業者Bとの間で、その設備を報酬100万円でリニューアルする旨の請負契約を締結した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 AB間での請負契約に係る別段の特約のない限り、Aは、Bがリニューアルの工事に着手するのと同時に、報酬100万円をBに支払わなければならない。
2 Bは、リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでもAに生じた損害を賠償して請負契約を解除することができる。
3 Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間にAが破産手続開始の決定を受けた場合であっても、Bは、請負契約を解除することができない。
4 Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に瑕疵があったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、AはBに対し修補を請求することができない。
≪解説≫
選択肢1: 民法第633条に「(請負の)
選択肢2: 民法第641条に
≪参考≫
【改正】 次のいずれかの場合において、中途の結果のうち可分な部分によって注文者が利益を受けるときは、請負人は、その利益の割合に応じて報酬の請求をすることが可能である
①仕事を完成することができなくなった場合
②請負が仕事の完成前に解除された場合
(注) 仕事を完成することができなかったことについて注文者に帰責事由がある場合には、報酬の全額を請求することが可能である
選択肢3:
選択肢4: 民法第634条第1項に「
【改正】 旧民法では「土地工作物(建物等)の建築請負では、深刻な瑕疵があっても注文者は契約解除をすることができない」と規定されていたが、改正民法では「建物等の建築請負における注文者の解除権を制限する」との規定を削除し、「工事の目的物に瑕疵があったときに、この瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときでも契約を解除できない」 こととなり
≪答え≫ 正解は4
問17 甲マンションの 201 号室の区分所有者Aが死亡し、その配偶者Bと未成年の子Cが同室の所有権を相続し、BとCが各2分の1の共有持分を有し、その旨の登記がなされている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Bが金融機関から自己を債務者として融資を受けるに当たり、201 号室の区分所有権全部について抵当権を設定しようとする場合に、Cの持分に係る抵当権の設定については、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 Bが、Cに区分所有権全部を所有させるため、自己の持分を無償で譲渡する場合でも、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
3 201 号室の区分所有権全部を第三者に売却する場合、Cの持分の売却について、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
4 201号室に係る固定資産税等の公租公課について、未成年者であるCが支払うに当たって、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
≪解説≫
選択肢1: 民法第826条第1項に「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」と規定されている。通常、未成年者が財産について法律行為をする場合には、親(親権者)が未成年者の法定代理人になるが、親とその子と利益が相反する行為なら子の利益を保護する必要があるので親は子を代理する権利も制限される事となる。子Cの持分に係る抵当権の設定については親Bと利益が相反する行為となるので特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないので選択肢は正しい
選択肢2: 親から子への無償譲渡なら、子にとって不利益ではないので特別代理人の選任は不要なので選択肢は正しくない。親が子への無償譲渡なら子にとって何ら不利益にならないので特別代理人の選任は不要である
選択肢3: 親Bと未成年の子Cの関係で利益相反行為になるかどうかの判断基準は判例により「行為の外形から客観的に利益が相反しているか否か」で判断するので親Bが区分所有権全部を第三者に売却する場合子Cの持分の売却をしてもその行為は親が利益を受けるが子が不利益を受けることにはならないので利益が相反してはいないので特別代理人を選任する必要はなく選択肢は正しくない
選択肢4:
≪答え≫ 正解は 1
今までに出題されていなかった特別代理人に関する出題である。親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については特別代理人の選任が必要であることが分かっていれば常識を働かせて正解を求めることとなる
問18 敷地権付き区分建物に関する登記等に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をする前に登記された抵当権設定の登記は、登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下同じ。)が当該敷地権となった土地についてされた抵当権設定の登記の目的等と同一であっても、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有しない。
2 敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をした後に登記された所有権についての仮登記であって、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたものは、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。
3 敷地権付き区分建物について、当該建物の敷地権が生ずる前に登記原因が生じた質権又は抵当権に係る権利に関する登記は、当該建物のみを目的としてすることができる。
4 敷地権付き区分建物の敷地について、敷地権である旨の登記をした土地には、当該土地が敷地権の目的となった後に登記原因が生じた敷地権についての仮登記をすることができる。
≪解説≫
選択肢1: 民法第73条第1項に「敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、この限りでない」と規定されている。
ここで、同条第1項の但し書きに「一 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く)」と規定されており「敷地権付き区分建物については当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるもの」は除かれるので選択肢は正しくない
つまり、敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をする前に登記された抵当権設定の登記は登記の目的等が当該敷地権となった土地についてされた抵当権設定の登記の目的等と同一であれば敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する
選択肢2: 民法第73条第1項に「二 敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたものは敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有しない」と規定されており選択肢は正しくない
選択肢3 :
選択肢4:
≪答え≫ 正解は3
不動産登記法からの出題であるがなかなかの難問であり正解を得るのは困難である。この際、民法第73条については条文を読んでも何を言っているのかわからないと思うので具体的事例を想定して理解を深める必要がある。選択肢1は当たり前のことを言っているのだが条文を見ると理解に苦しむ
1 理事及び監事は、特別の事情があるときは、組合員以外の者のうちから総会で選任することができる。
2 総会の決議事項のうち、権利変換計画及びその変更、組合の解散については、組合員の議決権及び持分割合の各5分の4以上の多数による決議が必要である。
3 組合は、権利変換計画の認可の申請に当たり、あらかじめ総会の議決を経るとともに、施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得なければならない。
4 組合は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、明渡しの請求をした日の翌日から起算して30日を経過した後の日を期限として、その明渡しを求めることができる。
≪解説≫
選択肢1: マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンションの建替え円滑化法)第211第1項に「理事及び監事は、組合員(法人にあっては、その役員)のうちから総会で選挙する。ただし、特別の事情があるときは、組合員以外の者のうちから総会で選任することができる」と規定されており選択肢は正しい
選択肢2: マンション建替え円滑化法第30条第1項に「第二十七条第一号(定款の変更)及び第二号(事業計画の変更)に掲げる事項のうち政令で定める重要な事項並びに同条第八号(管理規約)及び第九号(組合の解散)に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合の各四分の三以上で決する」と規定されており、また、同法第30条第3項には「第二十七条第七号に掲げる事項(権利変換計画及びその変更)は、組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決する」と規定されている。従って、設問にある組合の解散については、組合員の議決権及び持分割合の各4分の3以上の多数による決議が必要であり5分の4以上は必要でないので選択肢は正しくない
選択肢3: マンションの建替え円滑化法第57条第2項に「施行者は、前項後段の規定による認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あらかじめ、組合にあっては総会の議決を経るとともに施行マンション又はその敷地について権利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得、個人施行者にあっては施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)について権利を有する者の同意を得なければならない」と規定されており選択肢は正しい
選択肢4: マンション建替え円滑化法第80条第1項及び第2項に「施行者は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、その明渡しを求めることができる。
明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない」と規定されており選択肢は正しい
≪答え≫ 正解は 2
ここも法の条文からの出題であるが、選択肢2は管理に関する事なので5分の4は誤りであることはすぐに分かる。資産の処分に関することは5分の4の多数の決議が必要である
問20 地域地区に関する次の記述のうち、都市計画法(昭和43年法律第100 号)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとされている。
2 特定街区については、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めるものとされている。
3 第一種中高層住居専用地域においては、都市計画に、高層住居誘導地区を定めることができない。
4 準都市計画区域については、都市計画に、高度地区を定めることができない。
≪解説≫
選択肢1: 都市計画法
選択肢2: 都市計画法第9条20項に「特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする」
選択肢3:
選択肢4:
≪答え≫ 正解は4
問21 建築基準法(昭和25年法律第 201 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 延べ面積が 1,000㎡を超える耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ 1,000㎡以内としなければならない。
2 1階及び2階が事務所で3階から5階までが共同住宅である建築物は、事務所の部分と共同住宅の部分とを1時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。
3 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合において、当該建築物が防火地域外において防火壁で区画されているときは、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。
4 延べ面積が700㎡である共同住宅の階段の部分には、排煙設備を設ける必要はない。
≪解説≫
選択肢1: 建築基準法
選択肢2:
選択肢3:
選択肢4: 建築基準法
施行令
≪答え≫ 正解は1
問22 水道法(昭和 32 年法律第 177 号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用に供する水道から供給される水のみを水源とする水道は、水槽の有効容量を問わず、貯水槽水道である。
2 水道事業者は、供給規程に基づき、貯水槽水道の設置者に対して指導、助言及び勧告をすることができる。
3 簡易専用水道の設置者は、給水栓における水質について、定期に、都道府県知事(市又は特別区の区域においては市長又は区長。この問いにおいて同じ。)の登録を受けた者の検査を受けなくてはならない。
4 都道府県知事は、簡易専用水道の管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、簡易専用水道の設置者から簡易専用水道の管理について必要な報告を徴することができる。
≪解説≫
選択肢1:
選択肢2:
選択肢3:
選択肢4:
≪答え≫ 正解は3
水道法からの素直な出題である
問23 共同住宅における消防用設備等に関する次の記述のうち、消防法(昭和23年法律第186号)の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、いずれも地階、無窓階はないものとし、危険物又は指定可燃物の貯蔵又は取扱いはないものとする。
1 地上2階建、延べ面積 400㎡ の共同住宅には、消火器又は簡易消火用具を、階ごとに、当該共同住宅の各部分からの歩行距離が20m以下となるよう設置しなければならない。
2 地上5階建、延べ面積 3,000㎡の共同住宅には、避難が容易であると認められるもので総務省令で定めるものを除き、全ての階に非常電源を附置した誘導灯を設置しなければならない。
3 地上11 階建の共同住宅においてスプリンクラー設備の設置義務があるのは、11階のみである。
4 高さ31mを超える共同住宅においては、階数にかかわらず、全ての住戸で使用されるカーテンは、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
≪解説≫
選択肢1: 共同住宅は消防法施行令別表第一(五)項ロで防火対象物と定義されている。 同法第10条第項に「別表第一(五)項の延べ面積が百五十平方メートル以上の防火対象物又はその部分に設置するものとする」と規定されており、また、消防法施行規則第6条第6項「前各項の規定により設ける消火器具は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める部分から、それぞれ一の消火器具に至る歩行距離が二十メートル以下となるように配置しなければならない」と規定されているので設問は正しい。設問には「延べ面積 400㎡ の共同住宅」とある
選択肢2:
選択肢3:
選択肢4: 消防法第8条の3第1項に「高層建築物(高さ三十一メートルを超える建築物)若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない」と規定されており設問は正しい。
≪答え≫ 正解は2
問24 甲マンションの管理組合から、改修計画において、防犯に配慮した設計とする上で留意すべきことの相談を受けたマンション管理士の次の発言のうち、「共同住宅に係る防犯上の留意事項及び防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針について」(最終改正平成18年4月20日 国住生第19号)によれば、適切なものはいくつあるか。
ア 甲マンションには、管理員室が設置されていることから、住戸内と管理員室の間で通話が可能な機能を有するインターホンを設置することが望ましいので、検討してください。
イ エレベーターのかご内には、防犯カメラを設置するようにしてください。
ウ 接地階の住戸のバルコニーの外側等の住戸周りは、住戸のプライバシー確保及び防犯上の観点から、周囲から見通されないように配慮してください。
エ 居住者の意向による改修は、所有形態、管理体制等による制約条件を整理するとともに、計画修繕に併せて改修すべきものと緊急に改修すべきものとに分けて検討するようにしてください。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
≪解説≫
選択肢ア: 防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針の第3の3(2)インターホンに「インターホンは、管理人室を設置する場合にあっては、住戸内と管理人室との間で通話が可能な機能等を有するものとすることが望ましい」と記載されており設問は正しい
選択肢イ: 防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針の第3の2(5)エレベーターに「エレベーターのかご内には、防犯カメラ等の設備を設置することが望ましい」と記載されており設問は正しい
選択肢ウ: 防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針の第3の3(4)バルコニーに「接地階の住戸のバルコニーの外側等の住戸周りは、住戸のプライバシーの確保に配慮しつつ、周囲からの見通しを確保したものとすることが望ましい」と記載されており設問は正しくない
選択肢エ: 防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針の第4の1(1)既存住宅改修の計画・設計の進め方 に「居住者の意向による改修は、所有形態、管理体制等による制約条件を整理するとともに、計画修繕等に併せて改修すべきものと緊急に改修すべきものとに分けて検討する」と記載されており設問は正しい
≪答え≫ 正解は3 (適切なものはア、イ、エの3件)
問25 区分所有者が専有部分の修繕等を行おうとする場合における次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。
1 共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれがない専有部分の修繕等を行おうとする場合には、理事長の承認を受けなくても実施することができる。
2 専有部分の間取りを変更しようとする場合には、理事長への承認の申請書に、設計図、仕様書及び工程表を添付する必要がある。
3 主要構造部にエアコンを直接取り付けようとする場合には、あらかじめ、理事長にその旨を届け出ることにより、実施することができる。
4 専有部分の床をフローリング仕様に変更しようとして理事長への承認の申請をする場合、承認の判断に際して調査等により特別な費用がかかるときは、申請者に負担させることが適当である。
≪解説≫
選択肢1:
選択肢2:
選択肢3:
選択肢4:
≪答え≫ 3