考証1 語られざる第7小隊のメンバー
第7小隊には、プレイヤーが操作できるメンバーとして55人のキャラクターがいます。このほかにもエーデルワイス号を操縦するイサラやクライス、三つ子の衛生兵がいますので、丁度総勢60人…と言いたいところですが、これが違うんです。
ゲーム中で全く語られていませんが、これ以外の第7小隊のメンバーがいるんですね。
勿論輜重輸送や野戦病院のメンバー、砲撃支援を行ってくれる榴弾砲を扱う砲兵なんて方々も間違いなくいるはずですが、彼らは小隊のメンバーではなく、中隊以上の上級部隊に所属しているのではないかと思います。こういう人たちではなく、他の小隊のメンバー同様に同じ戦場で戦っていながら、ゲーム中に一回も名前が出てきていない人がいるんです。誰でしょうか?
それは、シャムロック号に乗っている戦車兵の皆さんです。
古今東西を問わず、戦車というのは基本的に複数人で動かすもので、初期の戦車や多砲塔の重戦車などを除けば、だいたい3〜5人というのが相場です。ゲーム中では、エーデルワイス号が自動装填装置の導入により、2名での運用を可能とした、ということをわざわざ特記しておりますので、やはり通常の戦車は3人以上の乗員を必要としたことが分かります。帝国軍の中戦車や重戦車は、それ以上の乗員を必要としたことでしょう。
役割としましては、まず最低限必要なのが操縦手と砲手。動いて砲が撃てなければ戦車の意味がありませんからね。初期の戦車では、本当にこの2名だけで運用していた戦車もありましたが、操縦手と砲手がばらばらの判断で動いているようでは、戦車、あるいは戦車集団として、効率的な運用はできませんので、戦車全体を統括する戦車長という人が乗り組むようになりました。
さらに砲弾の大型化によって運搬・装填が難しくなってきたために、専門の装填手が、戦車に無線が搭載され始めたときは、無線機の操作自体も簡単ではなかったため、専門の通信手が乗り組んでいました。通信手は戦車の車体に装備されている機関銃も操作していたようです。結果として、車長・操縦手・砲手・装填手・通信手の合計5人。
現代の戦車では、通信機の進化によって通信手はいなくなり、自動装填装置を装備した戦車では装填手も廃止したものもありますが、一方で、大きく重くなった現代の戦車のメンテナンスには人数が必要、夜間警戒等を考えると、人数が減った分ひとりあたりの負担が重くなる、という理由で、未だに装填手を置いて4人体制としている戦車もあります。
シャムロック号も、少なくとも3人の兵士で運用していたことでしょう。つまり、戦車長のザカの他に、最低二人の乗員がいたことになります。気になるのは、シャムロック号の主武装が変更できること。戦車砲は75mmと、結構な口径ですので、装填手が必要だったと思われますが、火炎放射器や車載機関砲には、基本的に装填手は不要です。武装に応じて装填手を乗せたり、降ろしたりしていたんでしょうか?
余談その1。帝国軍の中戦車は、4つの砲塔がある多砲塔戦車です。具体的には徹甲弾を撃つ主砲塔、榴弾を撃つ前方右の砲塔、機関銃を撃つ前方左と後方の銃塔です。しかし、実際には前方左の機関銃塔は機能しておらず、対戦車兵は易々と前方から回り込むことができます。
これは、帝国軍の戦車の数が多く、また、多くの乗員を必要とする中戦車や重戦車がかなりの割合で配備されていたため、肝心の戦車兵の養成が追いつかなかったのではないでしょうか?同じ戦車を少ない戦車兵で運用するため、銃塔の兵士を削った、というのは大いにあり得る話です。もしかしたら戦車長・砲手・装填手・榴弾砲塔要員・後方銃塔要員あたりも、少ない人数で兼任してこなしていて、そのために効率的な運用ができず、あっさり第7小隊に撃破されていたのかもしれません。
余談その2。エーデルワイス号は2人で運用しているにも関わらず、砲撃の際にはウェルキンは「撃て!」と命令しています。だからといって、操縦手のイサラやクライスが砲のトリガーを引いているわけではないでしょう。あくまで砲の照準をつけ、トリガーを引いているのはウェルキンですが、彼が教練を受けたときには、当然2人運用のエーデルワイスではなく、一般のガリア軍戦車を前提に教わりますので、教わった通りに「撃て!」と命令しつつ、自分でトリガーを引いたと思われます。
しかし、2人で戦車を運用するのも大変なのに、それに加えて小隊全体を指揮、というのは、あまりにもウェルキンの負担が重すぎたのではないでしょうか?それができただけでも、彼の才能を示す証左になりそうですし、実際にはラルゴやアリシアやロージーにも、ウェルキンの負担を減らすために、ある程度の権限があったのでしょう。
勿論、戦車が歩兵とともに編成され、ともに動く、という、現実の第一次世界大戦的な旧態依然とした運用をされていたために、戦車長の負担が少なかった、という理由もありそうですね。一方、戦車のメンテナンスについては、支援兵等、他の小隊メンバーの力を借りることができますので、乗員の負担は少なくて済みそうです。とは言ってもイサラはひとりで頑張っちゃってましたが。
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