セガ光栄のシミュレーションRPGということで私としては早くから目をつけていたゲームですが、昨年(1997年)12月上旬頃光栄の攻略本を発見、購入。

これだよ、これ!

 いや〜期待に違わぬ出来のよさ。
以下長々と書いてますがね、ほんとに細部にわたるまでよくできてるんですよ。

 まず主人公のポジショニングがいい。
よく戦略SLGをやっていると、内政から外交から軍事から、ぜ〜んぶ細かいところまで口出して、「俺って何?君主?軍師?官僚?総統?」と迷うことがあります。かといってRPGだと大した実力のない(あればいいけど)一介の冒険者が国の命運を握ったりして、「なんだこいつ?」と思うこともあるんですが、ゼルドナーシルトでは主人公は傭兵隊長。

 依頼を受けて、装備を整え、ミッションこなして1サイクル、という点は冒険者に似ているんですが、実際のミッションの内容は基本的にタクティクスの戦闘。このへんはSLGしてます。戦闘とは言ってもただ相手をつぶすものだけじゃなく、輸送部隊の撃破や砦の攻略、敵の足止め等々ミッション終了条件が別に決まっているものも。

 戦乱の諸国を自由に巡り、ミッションも自由に選択。そんでもって戦闘は軍勢率いてできるわけですから、SLGとRPGのおいしいところをとって、しかも矛盾を見事に解消。流石はセガ光栄。

 ミッションは基本的に傭兵ギルドで選びますが、民間人からの依頼もあり。こっちの方が報酬は少ないけど、やりがいあります。

 もっとも収入が少なくて貧乏してるのもまずい。アイテム購入資金、魔法・必殺技修得資金なんてものもありますが、もっと大事なのは傭兵の募集。兵士なくして傭兵団は成り立ちません。裏を返すと、兵士の損害が少なければ、次の傭兵補充が安く済むってこと。ミッションによって難度と報酬が異なるので、悩むところです。(まあ、ギルドではそんなに情報はくれないけど…)

 更にまずいことがありまして、「大陸を統一して、戦乱を終結させる」という目的を忘れて、悪逆非道なことをやったり、統一を遅らせるようなことをやっていると、バッドエンディングに向かって突き進んでいくことになります。私も一度見ましたが…これなら敗死した方がましだ…。


 戦闘は元朝秘史(光栄の『蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史』。ちょっと古い?)と同じく、行軍画面と戦闘画面に分かれます。
行軍画面が普通のSLGみたいなHEX画面で、戦闘画面は敵味方三列に分かれた兵士がリアルタイムかつフルポリゴンでぶつかる画面なんですが、この役割分けが有効なのは元朝秘史でも確認済み。

 行軍画面では中隊単位で移動。1中隊は3小隊で編成。1小隊は兵士25人で構成されるので3小隊は75人。これに指揮官3人(中隊長+小隊長2人)が加わって1中隊は78人。PCの率いる傭兵部隊は6中隊なので総勢468人。大隊500人と考えるといい数字になってます。

 各指揮官だけではなく兵士にもHPがあります。とはいっても一人一人数値で確認することはなく、レーダー画面の色(3段階)で確認します。
だからドラゴンフォース(セガのファンタジーSLG)みたいに「生きてるか死んでるか、のどっちかだけ」ということにはなりません。回復魔法は部隊単位で回復。攻撃魔法を喰らっても生きていればなんとかフォローできます。なんたって戦闘終了時に生き残ってる兵士数で次回の兵士雇用経費が決まるわけですから、レベルが上がってもここは手を抜けません。

 ファンタジーといえば魔法とモンスターですが、モンスターの要素は低く押さえられてます。神聖兵と呼ばれるアースゴーレム/ストーンゴーレムと、暗黒兵と呼ばれるゾンビ/スケルトンのみ(PC側も両方使える)。
その分騎兵/歩兵/槍兵の三竦み(これでさんすくみと読むらしい)と、弓の使い方で頭を使います。

 魔法は…やっぱり強すぎるような気がするんだけどなあ…
復活魔法がないから強力な攻撃魔法で一気に兵士をつぶされると、その戦闘中部隊が役立たず(というより兵士のいない中隊はお荷物)になってしまう(神聖兵と暗黒兵だけは行軍中に再度召還魔法をかければいいんだけど、自軍にはどちらも1小隊分しかいないので、中隊としての戦闘能力はやっぱり激減)。

 でもコマンドポイント(時間と共にたまっていき、命令も魔法もこれを消費して行う)を結構消費するし、実際の「傭兵の時代」には銃器がありましたからねえ。銃砲の時代よりは、回復系がある分まだましかなあ。

 特定の戦闘でPC率いる部隊と敵部隊長率いる部隊が戦闘することになると、一騎打ちを申し込まれることがあります。
一見見た目はポリゴン格ゲーだけど(ポリゴンは粗いかもしれないけど、世の格ゲーより格段にキャラがかっこいい)、ターン制、コマンドは選択式。気合いをためると必殺技を出せる(但し、事前に修得しておく必要あり。所持武器によって異なる)。まあ、まともな指揮官のやることじゃないけど、受けないと自軍の士気が下がったり、イベント上やらなきゃいけなかったりするので、それなりに準備と覚悟は必要。


 キャラクターがまた凄い。
騎士団が25、傭兵団が20、そのほか山賊・海賊・異民族という軍事勢力があるんですが、それぞれ各騎士団には2人、各傭兵団には3人、名のある人物がいて、ちゃんと戦闘前や戦闘中に個性ある会話をしてくれます。
そのほか国王や政治顧問、一般人等々を含め登場キャラクターは200人くらい。
男女比も、私としてはちょっと女性キャラが少ないかなあという気もしますが、私は男女比半々を理想とする人なので、丁度いいところでしょう。勿論傭兵団にも騎士団にも、貴族にも王にも女性がいます(山賊・海賊・異民族は男だけだし、酒場の歌姫なんてのもいますが)。

 キャラクターグラフィックが更に凄い。
小島文美さんという方の絵らしいですが(ロイヤルブラッドもこの人では?)原画?で見るとちょっと少女漫画きついかなあ…という絵が、ドットに落とすと、うん、絶妙。

 顔もさることながら、それ以外もやっぱり凄い。都市の全景、建物の絵、建物の中の絵、服装、そして鎧に至るまで、まさに「これだよ!これ!」状態。

 特に、各騎士団や傭兵団等で名のないただの中隊長や小隊長は顔の見えない兜姿が顔グラフィックなのですが、これが所属国毎に違っていて、

この騎士団はアーメット!
こっちはケトル・ハットだ!
おお、トーテンコップ(笑)
…(以下同様)…
いやもう、本物通りの妥協なし。燃えます。
ただの村人の集団に至るまで、戦場に出てくるとロブスター・テイル・ポットをかぶっていたりするのは、ちょっと変だけど、でも趣味。

 購入してから今まで、どっかに穴があるんじゃないか、紹介しておいて穴があったらまずいなと、紹介を控えてましたが、エンディングまで見てみても、

いや、ほんと、凄い。
私のファンタジー観を千言万語尽くして説明するより(もうやってるという噂もあるが)、ゼルドナーシルトやった方が早いかもしれません。そういうゲームです。


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