このゲーム、いわゆる「必勝法」というものはありません。
なぜかというと、戦況に影響するランダム要素が多いからです。
私が見る限り、攻略本に記載のある、ストーリーバトルの難易度さえ、必ずしも正確に、書いてある難易度で出てくるわけではないようです。勿論、ストーリーバトルの出てくる時期により、主人公のレベルも異なります。
ある程度の範囲内で制限されているようではありますが、各拠点から出てくる中隊の数・出現頻度・各小隊の兵種・レベル等々、すべて読み切れるものではありません。
従って、これらの状況は、出たとこ勝負で現場で判断して、動いていくしかなく、このタイミングでこの操作をすれば絶対に契約完了できる、という必勝法を書くことはできないわけです。
私は、これこそがこのゲームの良さであり、「戦場のカオス」の意味するところだと思っています。
たとえば同じ契約を受けたとしても、毎回状況が変わりますので、何回やっても飽きません。実際、私は体験版が出てから、製品版が出るまで、家で時間が取れる日はほぼ毎日プレイしましたが、飽きませんでした。体験版ではこなせる契約は2つ、セーブはできませんので毎回設定はリセットされますが、それでも飽
きない。
製品版には成長の要素もイベント戦闘もありますが、本質はこれと同じです。毎回出てくる契約、やることは突き詰めれば、「拠点を占領する」、これだけなんですよね。そして、そのためにやる必要があることは、基本的に敵を撃破して部隊長を倒す、この繰り返しです。それなのに面白い。飽きない。
ある意味、これは戦争の本質です。戦略レベルではいろいろありますので、戦術の本質、といった方が正しいでしょうか。一度会戦になってしまえば、やることは敵を撃破して領土を手に入れる、百年戦争から近現代に至るまで、やることはこれだけです。(歴史的には百年戦争自体と20世紀の終焉が、ちょっとしたターニングポイントだったりするのですが…)それだけのことでも毎回状況が変わり、それだけのために多くの人間が知恵と力と血を絞って、未だに最適解を見いだせないでいる。
このBladestormというゲーム、細かいところを突っ込めばいろいろ突っ込めるところはあります。歴史と違うじゃないかという点も、こんなことは実際あり得ないという点も、いくらでもあります。ですが、そういう細かいところを犠牲にしたり、脚色したりしながらも、上記の戦術の本質についてはしっかりと貫いている。
現実を完全にシミュレートしても面白いゲームにならない以上、デフォルメと切り捨てはやらざるを得ないわけですが、その中でも本質部分はしっかり残し、しかもそれ自体を面白いと感じるようにゲームを作り込んだ。私はここに、Bladestorm百年戦争の魅力があると考えています。
以下はもう少し、細部の話になりますが…
武器甲冑等の細部の作り込みには、素晴らしいとしか言いようがありません。勿論洋ものPCゲームなどで、既にある程度しっかり作ったものは世の中にありましたが、KOEIのこのクオリティでやったことに意味がある。以前、「チェインメイルの金属環一つ一つがわかるクオリティで、数百人規模の大会戦」ということを書いたことがありましたが、PS2をすっ飛ばしてPS3の世代になり、ようやくこれを実現した形です。
一般に訴求できるゲーム性を保ったぎりぎりのところで、歴史にもそれなりに配慮しています。たとえば、魔法はあるけど強くない。アルケミストという形で、魔法を使う人はいますが、それほど強いというわけではありません。戦旗は補助魔法程度の扱いですし、部隊アクションも、派手すぎるものはごく一部ですし、それだけで戦況を変えられるものではない、という程度に調整してあります。
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