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 「押井守の作品は『テツガク的』だしなー」と、嘲笑ぎみな感想を聞くことがしばしばある。それほどの悪意がなくとも、何か「哲学」について述べている、といった認識があるようだ。

 では、それはどんな「哲学」なのか?

 ここでは、押井守作品と関連を持ちそうな、「こういう思想を知っていると押井作品がひとあじ違いますぜ」といった哲学思想をざっと紹介し、視聴者側の認識の変化をこころみた。

 文章は3部構成。

 第一章は、「方法」と題し、押井守の初期の作品『ビューティフル・ドリーマー』などに顕著にあらわれる、現象学・実存哲学的部分をとりあげる。

 第二章は、「地平」について語る。押井守作品がもつ「異化効果」の特質として、「おどろき」「うたがい」「孤独」そして「終末感」についてとりあげ、それぞれにまつわる思想体系を紹介する。

 第三章は、「射程」。押井守の「物語論」に関して触れ、その根底にある知的冒険と、到達すべき問題意識について述べる。

 いまでこそ陳腐な方法ではあるが、1989年当時はぜひとも必要と思われた作業であった。

※本文中、誤字等が多発していると思われますが、これは印刷物からOCR取り込みを行ったためです。お気づきの点はご指摘ください。


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