『女必殺五段拳』こうすればよかった!!


『女必殺五段拳』は、京都西陣の老舗の呉服屋さんの一人娘で、空手に夢中となっている中川菊(志穂美悦子)が、兄の敵を討とうとする友人ミッチー(ミッチー・ラブ)を助けて、麻薬密売組織の根城となっている京都の映画撮影所に潜入し、活躍するというお話です。この作品は、空手に夢中の京都の老舗の一人娘という設定も面白く、志穂美さんも大変に美しく撮れています。志穂美さんの晴れ着姿や映画撮影所でのお小姓姿なども魅力的です。さらに、志穂美さんの主演映画にしては珍しく、志穂美さん演じるヒロインが、助けてくれる男性(見合いの相手でもあるのですが)である麻薬捜査官高木(渡瀬恒彦)を男性として意識します。少し恋愛ものの要素も入っているわけです。また、アクションの動き自体も良いのですが、この面白い要素を十分に生かしきってないということは否定できません。ミッチーと兄の苦労話などが長すぎて、話が中だるみしており、また最後の終わり方も尻切れトンボのような感じです。そこで、この作品をこうすればよかったという空想を文章にしてみました。元の作品になかったキャラも入れるので、その配役、ついでに(もっと適切だったと思われる)脚本家や監督まで考えてみました。


まず、相手役の渡瀬さんですけど、志穂美さんが映画・TVで共演した人の中では、相対的には魅力的な人だと思います。しかし、志穂美さんと年齢が離れています。渡瀬さん当時もう30歳超えてますが、志穂美さんは20歳ですから。多分一回りくらいはなれています。そのままでは、年齢的に少し釣り合わないところがあります。菊と同年代ぐらいで菊に思いを寄せるのは、一平という3枚目だけです。それで、バランスから言えば菊と釣り合う年代で、菊に思いをよせる若者を1人登場させるのが良いと思います。まぁ、少し三角関係風な設定を入れることになります。


この若者は菊の幼なじみで、それなりに二枚目で好青年だが、少し頼りないところもあり、菊は恋愛や結婚の相手とは考えていません。菊にとって高木は初めて出会った魅力的な大人の男性で、菊は高木に好意を抱きます。菊が高木に好意を抱くと、この若者がやきもちを焼くというか、心穏やかでないという設定にします。 (よくある男性の主人公に対して好意を抱く女性の役を、この若者にやらせる訳です。)菊は高木に対して自分の感情を素直に表現できないのだが、この青年や他の人が見れば菊が好意を抱いていることはすぐ分かるという設定にします。高木の方も菊に好意を抱いているが、年齢差を考えて自分の想いをはっきり言うことができないという設定にします。少しこの部分でコメディー風にしてもいいですが、そうでなくても良いですね。アクションに加えて恋愛の要素も入れるわけです。ということで考えた『女必殺五段拳』の修正案は...。



監督:澤井信一郎

脚本:澤井信一郎

キャスト:志穂美悦子(中川菊)

      渡瀬恒彦(高木)

      菊に思いを寄せる幼馴染の若者(星正人)

      菊の父(鈴木正文) 

      以下、現実の『女必殺五段拳』と同じ配役


(ストーリー)

中川菊は京都の老舗の呉服屋の娘さんですが、空手に熱中しています。菊に想いを寄せる幼なじみの青年(老舗の和菓子屋さんの次男坊)がいて、両親とくに父親はこの青年と結婚することを望んでますが、菊はこの青年を友達としか思ってません。菊の父親は、「菊。〇〇君(星正人)のどごに不満があるんだぁ。」と言ってます。空手の妹弟子で警備員をやっているミッチーが殺されるという事件が起こり、菊はこの事件の真相を探ろうとします。この事件の裏には映画撮影所を根城とする麻薬密売組織があることがわかります。で、事件を探る過程で、麻薬取締官の高木と知り合い、菊は高木に密かに好意を抱くようになります。しかし、菊は高木に対して自分の気持ちを素直に打ち明けることができません。また、高木も菊に好意を抱きますが、こちらも年齢差を考えて自分の想いをはっきり言うことができません。菊に好意を抱く青年は、菊にいいところをみせようとして麻薬密売の証拠を手に入れるために、つてを利用して撮影所に潜り込みますが、捕らえれてしまいます。菊は単身撮影所に侵入して、青年を取り戻そうとします。しかし、青年を人質にされて捕まってしまい、あわやというところに高木が駆けつけ、救われます。菊と高木は協力して戦い、敵を追い詰めて、麻薬組織のボスを捕らえます。戦いが終わった後、菊が高木に自分の気持ちを素直に打ち明けて、高木も自分の気持ちを打ち明けてエンドとなります。


注) 

澤井信一郎
 こういう作品の脚本書いたり、監督できる人は当時の東映にはいなかったと思います。アクションものは撮れても、恋愛の部分とかは駄目な人ばかりだと思います。外から呼んできても、アクションものは上手く撮れない可能性が高いですし。ということで、人選に苦労したのですが、当時助監督を長くやってた澤井信一郎を抜擢したら良かったのではという気になりました。いまや、東映の文芸ものの名匠(なんか形容矛盾のような気がしますが)で、恋愛ものだったら安心して任せておける監督です。ただ、アクションもの撮ったことないので、その点の手腕に疑問抱く人もいると思います。しかし、この人東映のいろいろな監督の下で任侠ものとかアクションものなんかの助監督を多くやってます。志穂美さんの『華麗なる追跡』では、鈴木則文監督の下で助監督をやってます。ということで、本来この人アクションものを上手く撮る手腕あるはずだと思います。ということで、志穂美さんの映画に助監督でついてて志穂美さんのこともよく知っていると考えられるので、当時助監督だった澤井さんを抜擢して、初監督をやらせたらよかったということのです。(笑

・星正人さん

京都の老舗のボンボンという感じの人ということで選びました。結構2枚目です。あと、『ラブラブショー』という芸能人同士のお見合い(?)番組や『新・刑事くん』などでも、志穂美さんと共演してます。東映の人ですし、ちょうど良いと思います。

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