ザ・タイガース
12.27.2013 TOKYO DOME
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ザ・タイガースの再結成、正真正銘の再結成コンサート。
昔の沢田さんの発言を聞いていると、瞳みのるさんが復活するなどあり得ない感じだった。むしろ瞳さんのことをあまりよく思っていないような印象をうけた。80年代の再結成(当時は同窓会と言っていた)にも参加せず、瞳みのるとは偏屈な奴なんだななどと思っていた。
しかしテレビで沢田さんが、瞳さんに向けて歌ったうたがきっかけとなり瞳さんが芸能界にカム・バックしたのだ。
こういう話を聞くと、”同窓会気分で期間限定の再結成”をたびたび繰り返す某グループのファン(笑)としてはうらやましい限り(多分このグループの場合の”同窓会”とは”ゆるい”という意味だと思う(笑))。
ちなみにザ・タイガースが解散した翌年にデビューしたのがその某グループ。そのため初期のころはグループサウンズと呼ばれることもあったようだ。ロックでもフォークでもない以前にグループ・サウンズと呼ばれていたのだった。
目出度く瞳さんが復活、と持ったら今度は加橋かつみがいない(笑)。そいううわけで前回は沢田さんのツアーのサポートという扱いだったようだが(発売されたDVDの名義も沢田さん名義)、今回は加橋さんも参加して正真正銘の再結成となったのだった。
(以降、”前回”とはテレビで見た2012年1月24日の武道館コンサートのことです)
仕事納めの12月27日、5時過ぎに東京ドームに到着。その時雨は降っていなかったが、昼間は降っていたようで、あたりは濡れている。
場外にグッズ売り場があったが、1月前のポール・マッカートニーの時の長蛇の列とは比べるまでもない、閑散とした様子。アナウンスも、会場内でも売っているのでそっちらを利用するようにと言わんばかりの内容。空いているのでとりあえずのぞいてみるとパンフレットとTシャツとクリスマス用のCDくらいなものだった。メンバーの顔をあしらったTシャツ、いくらなんでも5人のおじさんたちのデザインに興味はなく、パンフレットのみを購入。これが大きさはEPのレコードジャケットくらいの大きさだが、厚さが3〜4センチもあもの。
会場に入るのも楽なもの。本当にドームで大丈夫なのかとちょっと不安になった。後でこの不安は杞憂に終わる。要するに来るのが早すぎたのだった。入場した時点でまだ開演の1時間も前だった。
ステージは殺風景なものでドラムセットとギター、数台のアンプが置かれているだけ。キーボード類もない。前回は沢田さんのバンドがサポートしていたが今回は正真正銘ザ・タイガースのメンバーだけのようだ。
場内は音楽が流れるでもなく、静かなもの...ではなく係員のアナウンスがうるさい。録音・撮影はダメというのはいつものことだが、ペンライトやケミカルライトなどの光モノもだめだという。それはいかがなものか。結果的にペンライトなどが邪魔になるような演出ではなかったと思うのだが。テレビカメラが入っていたが、撮影の邪魔になるものでもないだろうにというか、当然ライブ優先じゃないのかな。
お客さんは、GS世代なのだろうか。私は現役時代のタイガースは全く知らない、ちょっと後のフォーク・ニューミュージックの世代。タイガース初体験、生ジュリーも初体験だった(行きたかった!「ジュリー祭り」)。
6時半をちょっと過ぎていよいよコンサートスタート。1曲目は知らない曲(笑)。
衣装は黒いボタンなしスーツ(こんな表現でいいのか)、沢田さんはいつのまにか口ヒゲをはやし、瞳さんは練習しすぎのせいだろうか、手袋をはめていた。
2曲目に早くも期待していた「サティスファクション」。
最近のローリング・ストーンズがライブでこの曲をやるとほとんどビッグ・バンドみたいな演奏なので、こういうタイトな演奏は新鮮な感じ。ストーンズでもこういう演奏を聴いてみたいと思う。
今なら情報はたくさんあって、ローリング・ストーンズのカヴァーなどアマチュア・バンドでももっと上手にやるかもしれない。でも当時のタイガースはほとんど情報などなかったのだからタイガースの「サティスファクション」としてはこれが正しいのだと思う。
曲が終わって、ここで沢田さんのあいさつ。昔後楽園球場でコンサートをしたタイガースが、東京ドームへ帰って来たと。
3曲目はタイガースの十八番(おはこ)との紹介で「ひとりぼっちのあいつ」。
ここでコンサートまでのメンバー役割照会。森本氏は音楽的な面で、加橋氏はTシャツのデザインなどを担当、瞳氏は中国との行き来で忙しいながらもインターネットで宣伝をしてくれたとか。岸部さんのことは「岸部おさみ」と紹介。「言っとくけど」とは言っていたが。
4曲目は加橋さんのヴォーカルで知らない曲。曲が終わるとあいさつとともに次のヴォーカルの瞳さんを紹介。瞳さんの曲はビートルズの「悲しみはぶっとばせ」。当時の写真でジョン・レノンがかぶっていたのと同じ帽子をかぶってり、ジョン・レノンと同じ帽子ということ、この曲はボブ・ディランの影響を受けていることなどをはなして次の森本さんを紹介。森本さんは前回と同じく「イエロー・リバー」。ザ・タイガースのライブ・アルバム「フィナーレ」でもこの曲を歌っていた。曲が終わって挨拶なのだけど、これが加橋さんや瞳さんとちがって、なんかおっさんぽい話し方だった(笑)。
前回瞳さんのスティックを振るのが結構カッコイイと思っていたけど、今回は無かったのが残念。芸能界から一番遠いところにいた人が一番スタイルを保っているというのもななんだか(笑)。
ここで森本さんの紹介で登場したのはなんと岸部シローさん。瞳さんに押されて車椅子で登場。沢田さんにしゃべるか先に歌うかと聞かれ「歌う」と。曲は「イエタディ」。体調は相変わらずあまりよくなさそうなのだが、加橋さんのギターと岸部(兄)のベースで熱唱すると場内大歓声。沢田さんも「この六人でタイガースです」。
曲が終わるとシローさん、(体調不良のためあまり力のないヴォーカルを)ウィスパーボイスと称し、ウィスパーボイスというのはドゥビーブラザースのマイケル・マクドナルドがウィスパーボイスと呼ばれていたのだと説明。
シローさんはタイガース加入前は、アメリカに渡り向こうの音楽情報を集めていたらしい。まだ国内の洋楽雑誌もあまり充実していなかった時代のことだ。沢田さんは無理矢理行かされていたとか言っていたが。
シローさんが退場すると沢田さん、「今度は兄が歌います」。曲は前回と同じ「テル・ミー」。
加橋さんの知らない曲のあと瞳さんの知らない曲(笑)、このときはドラムを沢田さんが叩き、瞳さんはステージを端から端まで走り回る。こんなことはいまや瞳さんしかできないか。「おたまじゃくしはカエルの子」と客席に拍手を促がしながらあおるあおる。
再び沢田さんのヴォーカルで「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」、「アンダー・マイ・サム」が終わるとメンバーが退場。ここで一部終了なのだが場内アナウンスで「30分の休憩です」が流れると場内「えーっ」の声。そりゃそうだ、いくらなんでも30分は長すぎだろ(実際はトイレとか相当混雑だったらしい)。
休息中、スタンドからアリーナを眺めると黄色いTシャツを着た人があちこちに多数みられた。後ろから見たのでTシャツのデザインなど全く分からなかったのだが、何か意味があったのだろうか?
休憩の後第二部、今度は一部と正反対の白い衣装で登場。二部はタイガースのヒット曲。80年代同窓会時の「十年ロマンス」からデビュー曲の「僕のマリー」へ。続いてアルバム「ヒューマン・ルネッサンス」から「生命のカンタータ」、曲紹介をはさんで「忘れかけた子守唄」、「廃墟の鳩」。タイガースはライブ盤のデビュー・アルバムを含めてもオリジナル・アルバムは4枚しかないのだけど、そのなかでわざわざこのアルバムを紹介したのはこのアルバムが、当時自分たちの主導で作ったトータル・アルバムだからなのだろうか。
「モナリザの微笑み」では加橋さんが出だしをとちるご愛嬌。
「君だけに愛を」、「シー・サイド・バウンド」の盛り上がりの後、一転して「蛍の光」のメロディ。
ここで沢田さんが、「それでは最後に...」と言ったとたん大勢の人が席を立ちかえりはじめた。まあ、ポールのときもそうだったんだけど(苦笑)。私の周辺は最後はすんなり退場できたんですけどね。
沢田さんの挨拶とメンバー紹介のあと最後は「ラブ・ラブ・ラブ」。客席みんな沢田さんと同様に手をかざして場内が一体となった感じ。私は恥ずかしいのでできませんでしたけど(笑)
メンバーが退場すると、またここでまた次々と帰ってしまう人たち多数。もったいない。
アンコールは「タイガースのテーマ」から。元歌は当然「モンキーズのテーマ」のなだけど、私の印象ではモンキーズと言うのは当時も今もアイドルな感じなのだけど、アイドル並みの人気とはいえ一応ロック・バンド的なイメージだったタイガースがやることに抵抗はなかったのだろうか。
「美しき愛の掟」に続き、最後は以外にも「色つきの女でいてくれよ」だった。昔のタイガースの曲で終わると思ったのに。それなのでもう一度くらいアンコールがあるかと思ったが1度だけだった。カーテンコールで再びシローさんも姿を見せて拍手に答えてはくれたけど。
休憩を除けばきっちり2時間のコンサートだった。某グループと違い、もう2度と無い再結成だったかもしれないので、もっと聴きたい曲があったのにという点ではちょっと残念だったかな。
でも最終電車でなく帰れた。
- Set List
(一部)
- ドゥ・ユー・ラヴ・ミー
- サティスファクション
- ひとりぼっちのあいつ
- ジョーク
- 悲しみはぶっとばせ
- イエロー・リバー
- イエスタディ
- テル・ミー
- ホリデー
- ヘンリー8世君
- タイム・イズ・オン・マイ・サイド
- アンダー・マイ・サム
(二部)
- 十年ロマンス
- 僕のマリー
- 落葉の物語
- 生命のカンタータ
- 忘れかけた子守唄
- 廃墟の鳩
- モナリザの微笑
- 銀河のロマンス
- 青い鳥
- 花の首飾り
- 君だけに愛を
- シー・サイド・バウンド
- アイ・アンダスタンド
- ラヴ・ラヴ・ラヴ
(アンコール)
- ターガースのテーマ
- 美しき愛の掟
- 色つきの女でいてくれよ
※セットリストについてはいろいろなサイトを参考にさせていただきました