ARM 簡易マニュアル

目次

• ARM ステートと THUMB ステート（03/07/03）
  
• データの扱い（03/07/03）
  
• オペレーティングモード（03/07/03）
  
• レジスタ（03/07/03）
  
• 割り込み（03/07/03）
  
• ARM・THUMB 共通事項（03/07/04）
  
• ARM 命令一覧（03/07/03）
  
• THUMB 命令一覧（03/07/03）
  

ARM ステートと THUMB ステート

• bx 命令（Branch and Exchange：分岐・切り替え） の分岐先アドレスのビット 0 が 0 なら ARM ステート、1 なら THUMB ステートになる。
  
• 割り込み処理に移るときは ARM ステートになる。
  

データの扱い

オペレーティングモード

レジスタ

ARM ステート時

THUMB ステート時

アセンブラでの記述

PSR（Program Status Registers）

3322
1098       76543210
NZCV... ...IFTMMMMM

N : Negative/Less Than
Z : Zero
C : Carry/Borrow/Extend
    減算時、Z80 や 68000 などとは値が逆なので注意。
    たとえば a-b を計算した場合、a<b だと 0 になる。
V : Overflow
I : IRQ disable
F : FIQ disable
T : State bit
    0 で ARM ステート、1 で THUMB ステート。
    CPSR 操作命令で書き換えてはいけない。必ず bx 命令を使う。
M : Mode bits
  10000 User
  10001 FIQ(Fast Interrupt reQuest)
  10010 IRQ(Interrupt ReQuest)
  10011 Supervisor
  10111 Abort
  11011 Undefined
  11111 System

割り込み

ARM・THUMB 共通事項

• {〜} は省略可能を表す。
  
  
• Cond は以下の通り。省略すると al とみなされる。
  

  コード	Cond	条件	意味
  0000	eq	Z=1	equal
  0001	ne	Z=0	not equal
  0010	cs	C=1	unsigned higher or same
  0011	cc	C=0	unsigned lower
  0100	mi	N=1	negative
  0101	pl	N=0	positive or zero
  0110	vs	V=1	overflow
  0111	vc	V=0	no overflow
  1000	hi	C=1 and Z=0	unsigned higher
  1001	ls	C=0 or Z=1	unsigned lower or same
  1010	ge	N=1 and V=1, or N=0 and V=0	greater or equal
  1011	lt	N=1 and V=0, or N=0 and V=1	less than
  1100	gt	Z=0, and (N=1 and V=1, or N=0 and V=0)	greater than
  1101	le	Z=1, or N=1 and V=0, or N=0 and V=1	less than or equal
  1110	al	常に真	always
  1111	-	-	使用禁止

  
  
• Rlist はレジスタリストを表す。{〜} で囲むが、 この括弧は省略を意味するものではない。以下に例を示す。
  

  {r0,r2}	r0 と r2
  {r0-r3}	{r0,r1,r2,r3} と同じ
  {r8-r10,r1-r3,pc}	{r1,r2,r3,r8,r9,r10,pc} と同じ

  
  
• 主なアセンブラ疑似命令は以下の通り。
  
  • .equ <Symbol>,<Value>
    Symbol に Value の値を割り当てる。
    
    
  • .offset <Ofst>
    現在のセクションのアドレスを Ofst に変更する。 主に .ds.b、.ds.w、.ds.l と共に使用する。
    
    
  • .ds.b <Size>
    
  • .ds.w <Size>
    
  • .ds.l <Size>
    それぞれ Size バイト、Size ハーフワード、Size ワードの領域を確保する。
    
    
  • .byte <Data1>{,<Data2>...}
    
  • .hword <Data1>{,<Data2>...}
    
  • .word <Data1>{,<Data2>...}
    それぞれバイト、ハーフワード、ワード単位のデータを記述する。
    
    
  • .ascii "<Str1>"{{,}"<Str2>"...}
    
  • .asciz "<Str1>"{{,}"<Str2>"...}
    文字列を記述する。後者はそれぞれの文字列の最後に 0x00 を追加する。
    バックスラッシュによるエスケープも受け付ける。
    2 バイト文字は対応していないので、S-JIS の 2 バイト目に注意。 これはたとえば「表示」なら「表\示」とすれば回避できる。
    
    
  • .space <Size>{,<Data>}
    Size バイト分 Data で埋める。Data は省略すると 0x00。
    
    
  • .text {<Subsect>...}
    
  • .data {<Subsect>...}
    それぞれプログラム領域、データ領域に切り替える。同じ領域では Subsect の同じものが連続する。Subsect は省略すると 0。
    データ領域に PC 相対でアクセスするデータを置くと、 プログラムの大きさによっては届かなくなるので注意。
    
    
  • .code 16
    
  • .code 32
    それぞれ THUMB 命令、ARM 命令に切り替える。 後者はワードアラインメントされる。
    
    
  • .align <Abit>{,Data}
    アドレスの下位 Abit ビットが全て 0 になるまで Data で埋める。 Data は省略すると 0x00。
    たとえば 4 バイト単位でアラインメントするには Abit に 2 を指定する。
    
    
  • .include "<File>"
    この位置に File を読み込む。
    
    
  • .end
    記述終了。これ以降の記述は無視される。
    
  
  
• サイクルタイムは、GBA ではおそらく I（Internal）が常に 1 クロック、S（Sequential）と N（Non-sequential）が以下のクロック数になると思われる。
  コプロセッサはつながっていないと思うので、C（Coprocessor register transfer）は無視。
  

  領域	アドレス	バス幅 (bit)	クロック数 (8/16/32bit)
  BIOS ROM	0x00000000-0x00003fff	32	1/1/1
  外部 RAM	0x02000000-0x0203ffff	16	3/3/6
  内部 RAM	0x03000000-0x03007fff	32	1/1/1
  I/O レジスタ	0x04000000-0x040003ff	32	1/1/1
  パレット RAM	0x05000000-0x050003ff	16	1/1/2
  ビデオ RAM	0x06000000-0x06017fff	16	1/1/2
  OAM RAM	0x07000000-0x070003ff	32	1/1/1

  OAM（Object Attribute Memory）はスプライト用レジスタ。
  ゲームパック（カートリッジ）関連のアクセス速度は不明。
  

ARM 命令一覧

注意事項

• s を指定すると、結果がフラグに反映される。
  
  
• Op2 は Rm{,Shift} か、#Exp のどちらか。
  
  • Shift は <Shiftname> <Register> か、 <Shiftname> <#Imm> か、rrx のいずれか。
    
    • Shiftname は以下の通り（lsl と asl は同一コード）。
      

      lsl	左論理シフト
      lsr	右論理シフト
      asl	左算術シフト
      asr	右算術シフト
      ror	右ローテート

    • Imm は 0〜31。
      
    • rrx はエクステンド付き右 1 ビットローテート。
      
  • Exp は内部的には符号無し 8 ビット値（=f）と符号無し 4 ビット値（=e）で構成されていて、f を e×2 ビット右ローテートした値となる。
    また、たとえば mov r0,#-1 は表現できない範囲なので、 アセンブラが mvn r0,#0 に置き換える。
    これでも表現できない範囲だとエラーになる。
    
  
  
• Addr はアドレス指定で以下の通り。Exp や Shift は Op2 と同じ。
  なお 2〜4 を pre-indexed addressing、5〜6 を post-indexed addressing と呼ぶ。
  
  1. Exp
     Exp を指す。アセンブラが PC+8 からの相対指定 （pre-indexed addressing を使用）に置き換える。
     
  2. [Rn]
     Rn を指す。
     
  3. [Rn,#Exp]
     Rn+Exp を指す。
     
  4. [Rn,{+/-}Rm{,Shift}]{!}
     Rn+/-(Shifed Rm) を指す。最後に ! を付けると、処理後 Rn にこの結果を書き戻す。
     Rm に r15（pc）を指定してはいけない。
     
  5. [Rn]{,#Exp}
     Rn を指し、処理後 Rn に Exp を足す。
     
  6. [Rn],{+/-}Rm{,Shift}
     Rn を指し、処理後 +/-(Shifted Rm) を足す。
     
  
  
• ソースレジスタに PC を使う場合、実際に使われる値は、 シフト時にシフト量をレジスタで指定すると PC+12、それ以外は PC+8 になる。この場合の PC は実行中の命令が置かれているアドレス。
  

命令一覧

• 代入命令：汎用レジスタのみ
  サイクルタイムは基本が 1S、シフト時にシフト量をレジスタで指定すると 1I 追加、PC への書き込みを伴うと 1S+1N 追加。
  
  • mov{Cond}{s} Rd,<Op2>
    レジスタへの代入。Rd = Op2。
    
    
  • mvn{Cond}{s} Rd,<Op2>
    否定付きレジスタへの代入。Rd = NOT Op2。
    
  
  
• 代入命令：メモリ−レジスタ間
  
  • ldr{Cond}{b}{t} Rd,<Addr>
    Load to Register。
    Addr のメモリの内容を Rd に代入する。
    b を付けないとワードアクセスになるが、 ワードアラインメントされていない場合、 次のワードにかかる部分にはゴミが入る（規則性はある）。
    b を付けるとバイトアクセスになり、ビット 31〜8 は 0 で埋められるが、 Flash ROM 領域では正常な値が読めないので注意。
    t は post-indexed addressing 時のみ使用可。特権モードで使用すると、 転送中は非特権モードになる。
    サイクルタイムは基本が 1S+1N+1I、PC への代入を伴うと 2S+2N+1I になる。
    
    
  • ldr{cond}h Rd,<Addr>
    
  • ldr{cond}sb Rd,<Addr>
    
  • ldr{cond}sh Rd,<Addr>
    それぞれハーフワード、符号付きバイト、符号付きハーフワードアクセスの ldr 命令。
    ldrh ではビット 31〜16 は 0 で埋められる。ldrsb、ldrsh ではそれぞれビット 31〜8、ビット 31〜16 は符号拡張される。
    ldrh、ldrsh では、Addr はハーフワードアラインメントされていなければならない。
    サイクルタイムは基本が 1S+1N+1I、PC への代入を伴うと 2S+2N+1I になる。
    
    
  • str{Cond}{b}{t} Rd,<Addr>
    Store from Register。
    Rd の値を Addr のメモリに書き込む。
    b を付けないとワードアクセスになり、アドレスの下位 2 ビットは強制的に 0 として扱われる。
    b を付けるとバイトアクセスになる。
    t は post-indexed addressing 時のみ使用可。特権モードで使用すると、 転送中は非特権モードになる。
    サイクルタイムは 2N。
    
    
  • str{Cond}h Rd,<Addr>
    ハーフワードアクセスの str 命令。Rd の下位 16 ビットを Addr のメモリに書き込む。
    Addr はハーフワードアラインメントされていなければならない。
    サイクルタイムは 2N。
    
    
  • ldm{Cond}<Amode> Rn{!},<Rlist>{^}
    ブロック転送。Rn で指定するメモリから Rlist に転送する。
    ! を指定すると、転送終了後 Rn に書き戻す。
    ^ を指定すると、次のようになる。
    
    • 特権モード時にユーザーモードのレジスタへ読み込む。
      
    • ! を同時に指定してはいけない。
      
    • Rlist に r15（pc）が含まれている場合、SPSR が CPSR に代入される。したがってオペレーティングモードが切り替わる。
      
    • この直後はバンクレジスタを読めないので、直後に nop（mov r0,r0）を置くのが安全。
      
    Rn に r15（pc）を指定してはいけない。
    Amode は以下の通り。スタックとその他は表記の違いだけで、 生成されるコードは同じ。
    

    動作	スタック	その他
    pre-increment	ED (Empty, Descending)	IB (Increment Before)
    post-increment	FD (Full, Descending)	IA (Increment After)
    pre-decrement	EA (Empty, Ascending)	DB (Decrement Before)
    post-decrement	FA (Full, Ascending)	DA (Decrement After)

    一般のスタックポップは ldmfd sp!,{r0-r12} などとすることになる。
    サイクルタイムは基本が nS+1N+1I、PC への代入を伴うと (n+1)S+2N+1I になる。n は転送したワード数。
    
    
  • stm{Cond}<Amode> Rn{!},<Rlist>{^}
    ブロック転送。Rlist から Rn で指定するメモリに転送する。
    ! を指定すると、転送終了後 Rn に書き戻す。
    ^ を指定すると、特権モード時にユーザーモードのレジスタを書き込む。 このとき ! を同時に指定してはいけない。
    Rn に r15（pc）を指定してはいけない。
    Rlist に r15（pc）を指定すると、実際には PC+12 が書き込まれる。
    Amode は以下の通り。スタックとその他は表記の違いだけで、 生成されるコードは同じ。
    

    動作	スタック	その他
    pre-increment	FA (Full, Ascending)	IB (Increment Before)
    post-increment	EA (Empty, Ascending)	IA (Increment After)
    pre-decrement	FD (Full, Descending)	DB (Decrement Before)
    post-decrement	ED (Empty, Descending)	DA (Decrement After)

    一般のスタックプッシュは stmfd sp!,{r0-r12} などとすることになる。
    サイクルタイムは (n-1)S+2N。n は転送したワード数。
    
  
  
• 代入命令：ステータスレジスタ
  サイクルタイムは 1S。
  
  • mrs{cond} Rd,<Psr>
    Move to Register from Status。
    CPSR、SPSR から汎用レジスタへ代入する。
    Rd に r15（pc）を指定してはいけない。
    Psr には cpsr、cpsr_all、spsr、spsr_all のいずれか （_all はあってもなくても同じ）を指定する。 小文字でなければいけないので注意。
    
    
  • msr{cond} <Psr>,Rm
    
  • msr{cond} <Psrf>,Rm
    
  • msr{cond} <Psrf>,<#Exp>
    Move to Status from Register。
    汎用レジスタから CPSR、SPSR へ代入する。
    Psr には cpsr、cpsr_all、spsr、spsr_all のいずれか （_all はあってもなくても同じ）、Psrf には cpsr_flg か spsr_flg を指定する。小文字でなければいけないので注意。
    Psrf はフラグのみ書き換わることを意味する。
    ユーザーモードではフラグ以外は書き換えられない。
    Rm に r15（pc）を指定してはいけない。
    
  
  
• 分岐命令
  サイクルタイムは 2S+1N。
  
  • b{Cond} <Raddr>
    Branch。
    相対ジャンプ。Raddr は PC+8 から符号付き 26 ビットで表せる範囲。
    
    
  • bl{Cond} <Raddr>
    Branch with Link。
    相対コール。Raddr は PC+8 から符号付き 26 ビットで表せる範囲。
    r14 に PC+4（リターン場所）がセットされる。
    
    
  • bx{Cond} Rn
    Branch and Exchange。
    分岐およびステート切り替え。Rn のビット 0 が T ビットに反映される。ARM ステートと THUMB ステートの切り替えに使われる以外に、 割り込みからの復帰にも使われる。
    Rn に r15（pc）を指定してはいけない。
    
  
  
• 加減算命令
  サイクルタイムは基本が 1S、シフト時にシフト量をレジスタで指定すると 1I 追加、PC への書き込みを伴うと 1S+1N 追加。
  
  • add{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    加算。Rd = Rn + Op2。
    
    
  • adc{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    キャリー付き加算。Rd = Rn + Op2 + carry。
    
    
  • sub{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    減算その 1。Rd = Rn - Op2。
    
    
  • rsb{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    減算その 2。Rd = Op2 - Rn。
    
    
  • sbc{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    ボロー付き減算その 1。Rd = Rn - Op2 + carry - 1。
    
    
  • rsc{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    ボロー付き減算その 2。Rd = Op2 - Rn + carry - 1。
    
    
  • cmn{Cond} Rn,<Op2>
    加算テスト。Rn + Op2。
    
    
  • cmp{Cond} Rn,<Op2>
    減算テスト（比較）。Rn - Op2。
    
  
  
• 32 ビット×32 ビット→32 ビット乗算命令
  結果は下位 32 ビットのため、符号は関係ない（同じ結果になる）。
  Rd と Rm に同じものを指定してはいけない。また r15（pc）を指定してはいけない。
  サイクルタイムの記述にある m は、Rs の上位ビットの状態で決まる。
  

  1	ビット 31〜 8 が全て 0 か全て 1
  2	ビット 31〜16 が全て 0 か全て 1
  3	ビット 31〜24 が全て 0 か全て 1
  4	その他

  • mul{Cond}{s} Rd,Rm,Rs
    Multiply。
    乗算。Rd = Rm * Rs。
    サイクルタイムは 1S+mI。
    
    
  • mla{Cond}{s} Rd,Rm,Rs,Rn
    Multiply-Accumulate。
    積和。Rd = Rm * Rs + Rn。
    サイクルタイムは 1S+(m+1)I。
    
  
  
• 32 ビット×32 ビット→64 ビット符号無し乗算
  RdHi、RdHi、Rm は全て違うものを指定しなければならない。また r15（pc）を指定してはいけない。
  サイクルタイムの記述にある m は、Rs の上位ビットの状態で決まる。
  

  1	ビット 31〜 8 が全て 0
  2	ビット 31〜16 が全て 0
  3	ビット 31〜24 が全て 0
  4	その他

  • umull{Cond}{s} RdLo,RdHi,Rm,Rs
    Unigned Multiply Long。
    乗算。RdHi,RdLo = Rm * Rs。
    サイクルタイムは 1S+(m+1)I。
    
    
  • umlal{Cond}{s} RdLo,RdHi,Rm,Rs
    Unsigned Multiply & Accumulate Long。
    積和。RdHi,RdLo = Rm * Rs + RdHi,RdLo。
    サイクルタイムは 1S+(m+2)I。
    
  
  
• 32 ビット×32 ビット→64 ビット符号付き乗算
  RdHi、RdHi、Rm は全て違うものを指定しなければならない。また r15（pc）を指定してはいけない。
  サイクルタイムの記述にある m は、Rs の上位ビットの状態で決まる。
  

  1	ビット 31〜 8 が全て 0 か全て 1
  2	ビット 31〜16 が全て 0 か全て 1
  3	ビット 31〜24 が全て 0 か全て 1
  4	その他

  • smull{Cond}{s} RdLo,RdHi,Rm,Rs
    Signed Multiply Long。
    乗算。RdHi,RdLo = Rm * Rs。
    サイクルタイムは 1S+(m+1)I。
    
    
  • smlal{Cond}{s} RdLo,RdHi,Rm,Rs
    Signed Multiply & Accumulate Long。
    積和。RdHi,RdLo = Rm * Rs + RdHi,RdLo。
    サイクルタイムは 1S+(m+2)I。
    
  
  
• 論理演算命令
  サイクルタイムは基本が 1S、シフト時にシフト量をレジスタで指定すると 1I 追加、PC への書き込みを伴うと 1S+1N 追加。
  
  • and{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    論理積その 1。Rd = Rn AND Op2。
    
    
  • bic{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    論理積その 2（ビットクリア）。Rd = Rn AND NOT Op2。
    
    
  • orr{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    論理和。Rd = Rn OR Op2。
    
    
  • eor{Cond}{s} Rd,Rn,<Op2>
    排他的論理和。Rd = Rn EOR Op2。
    
    
  • tst{Cond} Rn,<Op2>
    論理積テスト。Rn AND Op2。
    
    
  • teq{Cond} Rn,<Op2>
    排他的論理和テスト。Rn EOR Op2。
    
  
  
• その他の命令
  
  • swi{cond} <Exp>
    Software Interrupt。
    ソフトウェアインタラプト命令。
    Exp は CPU 自体には何も解釈されないので、ソフトで調べて使用する。
    サイクルタイムは 2S+1N。
    
    
  • swp{Cond}{b} Rd,Rm,[Rn]
    Single Data Swap。
    Rn のメモリの内容を Rd に代入し、Rm の値を Rn のメモリに書き込む。 すなわち ldr Rd,[Rn] の後 str Rm,[Rn] を行うのと同様。
    b の指定の有無については ldr、str を参照。
    Rd,Rm,Rn には r15（pc）を指定してはいけない。
    サイクルタイムは 1S+2N+1I。
    
    
  • adr{cond} Rd,<Raddr>
    疑似命令。Rd に Raddr のアドレスを代入。PC 相対の add や sub に置き換えられるので、あまり遠い場所は指定できない。
    
    
  • nop
    疑似命令。何もしない。mov r0,r0 に置き換えられる。
    
    
  • cdp, ldc, stc, mrc, mcr
    コプロセッサ命令。GBA ではたぶん使えないので省略。
    
    
  • （ニーモニックなし）
    Undefined instruction。
    命令のビット 31〜28 が Cond、ビット27〜25 が 011、ビット 4 が 1、 その他は任意。Cond の条件を満たすとトラップが発生する。
    サイクルタイムは 2S+1I+1N。
    

THUMB 命令一覧

注意事項

• Rd、Rs、Rb、Ro は r0〜r7 が指定可能で、Hd、Hs は r8〜r15 が指定可能。
  Hs に pc（r15）を指定すると、命令の置かれている位置 +4 となり、ビット 0 は 0 となる。
  
  
• OffsetN は、指定範囲が符号無し N ビットであることを表す。
  
  
• サイクルタイムは、bl 以外は ARMと同じ。
  

命令一覧

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