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本ページは1998年当時の平日朝に放送されていたJ-WAVEの番組『Singin' Clock』(大槻りこさん、倉島直子さんナビゲート)のコーナー【Today's File】の内容を、J-Wave好きの私個人がテキスト化したものです。
本ページの情報についてJ-WAVEは何ら責任を持つものではなく、掲載情報により被害を被った場合もJ-WAVEには一切責任がないことをご了承ください(私にも責任取れません)。また情報は放送当時のものであることをご了承ください。

ーター物語

アランセーター

カウチンセーター

カーディガンセーター

フェアアイルセーター

映画の中のセーター


冬っていいですよね?セーターを着られるじゃないですか?
体も心も暖まるあの感覚が好きなんですよ。これからやって来るクリスマスの プレゼントのせっせとセーターを編んで、今日も夜なべしちゃったという方も いるかも知れませんが、今週一週間はそんなセーターを巡る暖っかい物語を お届けします。
 
1日目はアランセーター
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今日ピックアップするセーターは、アランセーターです。
これはいわゆるフィッシャーマンズ・セーターと呼ばれる、あの伝統的なナワ編みの セーターの代表格ですよね?

この発祥地はアイルランドの西に位置する島のアラン諸島で、その名前が 勿論付いてるんですけれども、冷たい海に浮かぶこの島は遥かな昔から漁師たちが 多く暮らす場所なんです。そしてドンヨリと曇った空と荒れ狂う波にも船を出す その漁師たちの為に作られたものが、このアランセーターなんです。

言わば漁師たちのワーキング・ウェア、作業服という事なので、まず第一に体に 馴染みが良くて暖かいというのが絶対条件です。 勿論、水に強いというのも大事な条件なので、その為に羊毛を毛糸にする時に 油分を洗い落とさずにある程度残しておく工夫が生まれたようです。これは耐久性や 保温力をアップする事にもなるので、まさに海の男向きのセーターとなった訳です。

そしてこのセーターの一番の特長は、そこに編み込まれた独特のパターンです。 ナワ目模様やダイヤモンドマークなど、今にまつわる編み込み柄が たくさんありますけれども、実はこうした模様、本来はそれぞれの家独特のものだった そうなんです。 ちょうどヨーロッパの紋章、日本の家紋のように各家で独自のパターンを持っていて それぞれの家の主婦はその柄を編み込んだセーターを作って、夫に着せて 海に送り出していたそうです。

一説にはそうすれば万が一、海で遭難した時にも そのセーターの柄で身元確認ができるからという話があるんですけれども、実際には そうならないように海での安全を祈って、奥さんや母親が一針一針編み上げたのが 定説のようです。

だからそのパターンにはひとつひとつ意味があるんです。

例えばもっとも代表的なナワ網模様。これは漁師にとっても命綱を現すもので、 何があっても海から無事に帰る、そんな願いのこもったものです。
またダイヤモンドの形に編み込まれたもの、これは富や財産、成功を現すもの なんだそうです。
それからアワーグラス・ケーブルと呼ばれる柄、これは砂時計のような曲線を描く 非常に繊細で美しいナワ編み模様で、時の流れを現しているそうです。
さらに梯子の柄ってよくありますよね? この意味は幸せに向かって延びていく人生の梯子だそうです。
そしてツリー・オブ・ライフ、人生の木、という柄、これは空に向かってすくすくと 延びる木の生命力にあやかって長寿や子孫の反映を願ったものという事です。

アランセーター、フィッシャーマンズ・セーターというのは、そんな愛情が 一針一針編み込まれた本当に奥深いセーターだったんですね。 因みにイギリスでは糸による彫刻とも呼ばれているそうなんです。

大切な彼に今セーターを手編みしている貴女、そうですね二本の寄り添う梯子の柄 編み込んでみてはいかがでしょう?もしかすると願いが叶うかも知れません。

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2日目はカウチンセーター
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今日ピックアップするセーターはコート代わりにもなる、どっしり重い カウチンセーターです。この冬ストリート系の若者の間で再びブームになっているという このカウチンセーターを取り上げます。

まずはルーツをご紹介しましょう。
極太の毛糸でざっくりと独特の幾何学模様、それから動物の柄が編み込まれた このカウチンセーターは、皆さんもご存知の通りカナダ生まれです。カナダの西部 バンクーバ島の原住民族が生み出したものなんですけれども、 バンクーバにはその名もカウチンという湖があるそうなんです。

その畔に暮らすのがネイティブ・アメリカンのサリッシュ族です。彼らは遥かなる昔から 工芸品造りや生活技術に長けた部族と言われていて、このセーターの編み方も先祖代々 受け継がれてきたものなんだそうです。その特徴はもちろん丈夫な造り。恐ろしく寒い 極寒の土地だけに保温性の高さは第一条件です。

その為に羊の原毛の油脂部分を残したまま手で紡いだ糸に、 ここがポイントなんですけれども、水を加えながらざっくりと編んでいくんです。 こうすると糸が乾くにつれて編目が詰まって保温性が増すという訳なんです。 この水を加えながら編んでいくという技術は独特で、今も本物のカウチンセーターは 部族の女性たちによってこの方法で編まれているんだそうです。 だからとっても重くて丈夫で温かくて水にも強い、カウチンの重さの理由は ここにあるんですね。

そして編み込みの柄も特徴的です。雪の結晶などが幾何学的にデザインされた独特の柄、 昨日ご紹介しましたアランセーターの縄編みのように、それぞれの家独自のパターンで 部族の家紋的意味を持っていたと言われているんです。そしてそれは同時にお守りの役目 にもなっていたんですね。それぞれの家に門外不出のデザインブックもあったそうなんです。

それから部族の生活に密着した動物の柄を編み込むのもカウチンセーターの特徴です。 以前、それはトナカイと鷲、シャチ、サンダーバード、この4種類の動物だけに 限られていたんだそうです。トナカイは豊かな狩猟への願いが込められたもの。それから シャチとサンダーバード、これは部族に伝わる民話の中に登場するそれぞれ悪役とヒーロー を現したそうなんです。厳しくて長い冬の間に焚火の燃えるティピの中で、そんな伝統の 編み込み柄を部族の女性たちは一針一針丁寧に編んでいったというんです。

さぁこのカウチンセーター、ファッションの分野で注目されたのは1940年頃だそうです。 その後'70年代にアメリカでブームになりますが、日本でもその頃に アメリカン・カジュアルブームが起きて、重たいカウチンセーターを大学生などが こぞって着ていたそうです。

それからもう20年以上時は経っているんですが、この冬は 再びカウチンに注目が集まっています。とは言ってもですね、今年のカウチンは 伝統的な柄だけではなく、チェックとか迷彩色、色も赤、青、緑、本当に楽しい柄のものが たくさんあります。これはネオ・カウチンと呼ばれていまして、今ストリート・ボーイズ、 ストリート・ガールズに大人気だそうです。

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3日目はカーディガン・セーター
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今日ピックアップしますのはカーディガンです。

ファッション用語としては性格にはカーディガン・セーターと呼ぶそうです。Vネックでも 丸首でもジッパーでもボタンでも、とにかく前開き式デザインのセーターを称して カーディガンと呼ばれるんですけれども、実はこのカーディガンという名前、ある伯爵の 名前にちなんで付けられたという事、皆さん知ってました?

今から逆のぼる事150年頃前の事です。ある一人のイギリス人貴族が、襟なしの手編みの 上着を考案しました。おしゃれに関心が高かった彼は脱ぎ着がし易くて温度の差に微妙に 対応できるデザインを考えて、これがイギリス中に広まります。その伯爵の名前が カーディガンという事からこの上着の名前もカーディガンと呼ばれるようになったそうです。

彼は後にナイチンゲールが活躍した事でも知られるクリミア戦争で名誉の戦死を遂げる んですが、それで有名になりました第7代カーディガン伯爵が、カーディガンの生みの親だ という話なんですね。

そんな歴史を持つカーディガン・セーターですが、イメージとしては男性の物でも 女性の物でも、一般のセーターに比べるとシックと言いますか、おしゃれ度高いですよね? とにかくカーディガンと言うのは私にとってもそうなんですが、非常に組み合わせるのが 難しいんですよ。深く開いたVネックの間に何を着るかとか、丸首のカーディガンには どんな色のスカーフをアクセントに使おうかと、まさにセンスとテクニックが問われる デザインです。

そしてそんな着こなしな上手に決まるのが、やっぱりイギリス男性だったりする訳で、 実際様々な映画の中でも、おしゃれにカーディガンを着こなしているのはイギリス映画の 役者さん達のようです。

例えばオードリー・ヘップバーンの傑作ミュージカル『マイ・フェア・レディ』。 あの映画の中で、オードリーにクィーンズ・イングリッシュを教え込むヒギンズ教授を 演じたのが、レックス・ハリソンというイギリスの渋い役者さんなんですけれども、 彼はVネックのオーソドックスな、でも上質なメリノ・ウールのカーディガンを見事に 着こなしています。家の書斎でパイプをくゆらす、その姿にぴったりの渋いカーディガン でした。

この映画をきっかけにレックス・ハリソンはカーディガン姿がトレードマークの様になって、 オーソドックスなVネック・カーディガンもレックス・ハリソン・カーディガンと呼ばれる ようになったと言う事なんですね。渋いというか、ちょっとおじさんっぽい着こなし、 あのポイントがカーディガンなんですよ。



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4日目はフェアアイル(?)セーター
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今日ピックアップしますのはスコットランドでも特に北の寒〜い場所に位置する、小さな 島で生まれた伝統のセーター、フェアアイル(?)セーターです。

このフェアアイルセーター、ざっくりと極太の毛糸で編んだアランセーターとか カウチンセーターとは違って、色とりどりの細い糸で細かな幾何学模様を横に何列も 編み込んだものと言えば分かりますでしょうか?

小さなダイヤモンドのパターンとか、雪の結晶を思わせる形とか、連続する幾つもの格子模様、 実はこうしたパターン、セーターの生まれたフェア島でそれぞれの家が守り続けた 独特のデザインなんです。

遥かな昔、編んでいたのは何と家を守る女性たちではなくて海に出る漁師自身が 自分の着るセーターを編んだとも伝えられています。たくましい腕っぷしの海の男たちが 細かな模様を一針一針編んでいたのを想像すると、何だか不思議な気分になって しまいますけれども、自分自身の海での安全を祈りながら編み棒を動かしていたんですね。 そして美しいセーターを作り上げていたんです。

そしてこの小さな島の言わば民族衣装であったフェアアイル・セーターを、後に ヨーロッパ全土に広げたのが、かのウィンザー公であったと言われているんです。

彼は1936年にイギリス国王の地位に就いたんですが、アメリカ生まれのシンプソン婦人と 熱烈な世紀の恋に落ちてしまいました。 で、国王の地位を取るか、恋を取るか悩んだ揚げ句に、王冠よりも恋人を選択するんです。 王位を捨てて一貴族としてフランスに移り住んだという、波乱万丈の生き方を選択した ウィンザー公なんですけれども、王冠を賭けた恋として当時世界中の注目を集めたこの ウィンザー公、この人飛びっ切りのおしゃれ好き、世界のファッショントレンドを造り出す 言わば流行の仕掛人としても有名だったんだそうです。

彼が例えばベレー帽を被ればすぐにイギリスの社交界にベレー帽ブームが起きてしまいますし、 それからドレスシャツに太いネクタイを緩やかに結んだ写真が新聞に載ったら、あっ と言う間に人々がマネをしてネクタイの結び方をウィンザーノットと命名するほど。 ウィンザーノット、ここから来ていたんですね。'97年の日本の女の子たちにとって 安室ちゃん以上の影響力のある人物だったんです。

そんな彼がある日ゴルフ場に着てきたのがフェアアイル・セーターなんです。1920年代、 当時は小さな島の民族衣装に過ぎなかったこのセーターをニッカポッカに合わせて コンビの靴を履いて登場して、その瞬間からフェアアイル・セーターが 世界中に知られるセーターになったという話なんです。

確かに美しい色合いで細かく編み込まれたセーターは、イギリスの秋のゴルフには 似合い過ぎますよね。ゴルフ・ウェアというと日本ではどうしても今だに派手な色の ピンクとか黄色とかブルーとかそういうシャツになってしまいますが、たまにはこの 世紀のおしゃれの達人ウィンザー公にあやかって、美しいフェアアイル・セーターに あやかって決めてみて欲しいなと思います。いかがでしょうか?ゴルフをやる皆さま。




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5日目は映画の中のセーター
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セーターと言えば今は羊の毛をつむいだ毛糸で編むのが普通なんですけれども、かつては 山羊の毛とかさらには長毛種の犬の毛、そういったものを使っているところも あるそうなんです。

例えば火曜日にピックアップしましたカウチンセーター、あれも 昔は犬の毛をつむいで編んでいたと言うんです。いくら長毛種と言っても犬の毛のセーター 何だか不思議ですよね?暖っかいんでしょうかね?暖っかいんでしょうね。犬だって冬 あれ一枚でって言っていいんでしょうかね、あの毛だけで過ごしているんですからね。 それよりも毛を刈られちゃった犬が風邪を引かなかったのかなぁと心配になって しまいます。

さてセーター物語最終日です。 映画の中で主人公たちが着こなしていたセーターに想いを馳せてみましょう。

例えばイギリス風伝統的なセーターが登場する作品と言えば、懐かしいところで 『炎のランナー』や『モーリス』といったイギリス映画です。

『炎のランナー』は名門ケンブリッジ大学の学生でオリンピックにも出場するランナーの物語 なんですけども、スポーツ選手と言えどもイギリスのしかも貴族階級です。白い縄編みの チルデン・セーターやニットのベストなど、フィールドでもおしゃれに着こなしていました。

それから『モーリス』、こちらもケンブリッジ大学が舞台なんですけれども、登場人物は すべて美少年。肌が綺麗なんですけれども、彼らの着てみせるファッションは完璧な ブリティッシュ・トラッドです。フィッシャーマンズ・セーターや洗練されたニットや フェアアイル・セーター風のものなどが、ジャントルな顔立ちにマッチしてるんです。

アメリカに参りましょう。'50〜'60年代のアメリカの学生ファッションが楽しめるのは ご存知の『アメリカン・グラフィティ』です。当時のアメリカはアイビー・ファッション 全盛で、胸に学校のロゴ・マークが編み込まれたセーター、それからイニシャルを大きく 入れたレタード・カーディガンが学生の定番でした。憧れましたね?レタード・カーディガン。 同じようなものを買った記憶があります。それに62という 卒業年度を編み込んだカーディガン、そしてその下にタータン・チェックのスカートを 合わせていた女の子、それからシンプルなクルーネックの男の子だとか、そんな着こなしが この映画にはたくさん登場します。

同じような学園物では、かつて一世を風靡した『グリース』というミュージカル映画が ありました。ここでは若きジョン・トラボルタが革ジャンを着たツッパリ学生の役で、 彼は優等生、オリビア・ニュートンジョンが演じていたんですけれども、 彼女に気に入られようと、ある日ツッパリの象徴だった革ジャンを脱ぎ捨てて、 優等生の定番ファッションだったレタード・カーディガンを着て現われるんです。 あの濃い顔とアイビー・セーターの組み合わせ、ちょっと辛いですかね。

それからお正月映画として封切られる話題の映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット』。 実はさりげなく格好いいブラッド・ピットのセーター姿が楽しめるんですよ。ブラピの役所は 1940年代のヒマラヤを目指す若き登山家なんです。だから山登りの装備として用意するのは ブ厚いセーターだったりするんですよね。ざっくり編まれたグレーのプルオーバー。そして 素肌に直接ラフに着る、そういった感じがセクシーな焦げ茶のVネックのセーターなど、 ブラピって金髪じゃないですか?あれに映えるんですよ、セーターが。 ファンならずともちょっとチェックしておいて下さい。

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