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本ページは1998年当時の平日朝に放送されていたJ-WAVEの番組『Singin' Clock』(大槻りこさん、倉島直子さんナビゲート)のコーナー【Today's File】の内容を、J-Wave好きの私個人がテキスト化したものです。
本ページの情報についてJ-WAVEは何ら責任を持つものではなく、掲載情報により被害を被った場合もJ-WAVEには一切責任がないことをご了承ください(私にも責任取れません)。また情報は放送当時のものであることをご了承ください。

憶の不思議

記憶のメカニズム

香りと記憶

記憶力を高める食べ物

記憶の物語

記憶は嘘をつく


 
1日目は記憶のメカニズム
まず一日目の今日は記憶のメカニズムです。 記憶というのは一体どんな仕組みになっているんでしょうか? 調べてみますと、まず一口に記憶と言っても大きく分けて2つのタイプがあるんだそうです。 これは1989年にアメリカの学者によって提唱された考え方で、まず一つは手続き的記憶。 これは私たちがほとんど意識しなくても思い出せるもので、一旦覚えると なかなか忘れ難いというタイプの記憶なんだそうです。 例えば自転車や車の運転(方法)、それから水泳といった言わば体が覚えている 記憶ってありますよね? 覚えるまではギアチェンジも坂道発進もとっても大変なものなんだけれども、 一旦覚えてしまえば無意識のうちに手が動いて足が動く... こうした熟練機能と呼ばれる記憶や、ワープロやパソコンの操作などの記憶、 また梅干しを見ると唾液がこみ上げるなんていう条件反射も 手続き的記憶に入るそうです。 そうしてもう一つのタイプが陳述的記憶です。 これは陳述つまり意識的に順序立てて考えて初めて頭の中の引き出しから出てくる 記憶の事なんです。例えば試験勉強の時などに苦労して覚えた歴史の年号や 化学式なんてものの記憶もそうですし、それからいわゆる想い出と呼ばれるものも そうなんですね。旅行の経験とか失恋体験とか、過去に経験した事の記憶を 専門的にエピソード記憶とか自伝的記憶とか呼ばれているんだそうです。 一口に記憶と言っても色んなタイプがあるんですね。 そしてこうした記憶が脳のどこの蓄えられているのかという事が疑問になってきます。 それは海馬と呼ばれる部分が重要な役割を果たします。この海馬は簡単に言いますと、 容易に書き込めて容易に書き直しの利く記憶装置といったところでしょうかね。 人の名前でも、今見ている風景でも、とにかく山のような情報は一旦この海馬に 蓄えられて、そしてどんどん消去されて行きます。でもその短期的な記憶の中でも ある程度重要なものは自動的に選別されて神経回路に送られ、そこでさらにふるいに 掛けられて特に大事なものや反復して覚えようと努力したものだけが、大脳皮質の 連合野と呼ばれるところにしまわれるんだそうです。 ここが言わば頭の引き出し部分なんですね。ここにしまわれた記憶は長期記憶となって 数ケ月から数十年に渡ってキープされる事になるんだそうです。 私たちのこの小さな頭の中では複雑な作業が毎日毎日行なわれているんですね。

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2日目は香りと記憶
今日は香りが導く記憶についてです。 香り、匂いというのは実は記憶と深いつながりがあると言われているんです。 私たちの記憶を辿ってみても、香りから導かれて思い出すことってけっこうありませんか? 例えば蚊取線香のあの煙った匂いから、幼い頃のあの夏の日におばあちゃんの家で いとことスイカを食べているシーンを思い出すとか。それから道ですれちがった 見ず知らずの人のコロンの香りで昔付き合っていた彼のことを思い出したとか。 そんな事、誰にでも経験があるんじゃないでしょうか? 実はいわゆる五感の中で匂いを感じる臭覚は特に長く記憶に残るという報告があるんです。 臭覚以外の聴覚、視覚、味覚、触覚といった感覚は、それを体験した瞬間の印象は 臭覚よりも遥かに鮮やかなものなんですが、記憶の持ちの部分、長持ちするかという 部分の事になるとバラつきが大きくて、長く残るものもあれば、たちまち忘れてしまう こともあるんですね。でも匂いの記憶だけが何年も時には何十年も頭の引き出しに しまわれている事が多いということなんです。 ではそれは一体なぜなのか?なぜ臭覚だけが特別なのか? それは脳の中で匂いを感じる部分が他の感覚とは違っているからなんだそうです。 どう違うのかと言いますと、視覚、味覚、聴覚、触覚といった感覚は、 脳の中の視床という部分を一旦通ってから刺激として認識されるのに対して、 臭覚だけはその部分を通らずにダイレクトに前頭葉に到達して認識されるんです。 複雑な脳の仕組みは分からないんですが、どうやら五感の中で臭覚というのが 特別な意味を持って脳に伝えられているという事なんですね。 香りにまつわる出来事が特に人の記憶に長く残る。何だかロマンチックな話でもあります。 そして実はそうした香りの記憶を多く持っているのは男性よりも女性の方だとも 言われているですよ。そう言われれば紅茶やハーブの香り、それから香水、 アロマテラピーに興味を持つのは女性が多いですし、また得意分野でもありますから これは納得ですよね。 ついでに言うと、人の顔の記憶という分野でも女性は男性よりも優秀なんだそうです。 一度会っただけの人の顔も覚えてたりするのは女性の方の得意分野と言われています。 逆に男性の方が女性よりも優れているのは空間認識にまつわる記憶だそうです。 例えば迷路などでは男性の方が女性よりも早く出口に到達するという実験結果が あるんですよ。それから女性ドライバーは方向感覚が弱いとか、よく道を間違えてしまうとか多いですよね?そもそも男性と女性とでは脳の造りに違いがあって、それが記憶力の違いに影響しているということなんですが、総合的にみると記憶に関することは どうやら女性の方に分があるというのが専門家の意見だそうです。

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3日目は記憶力を高める食べ物
今日は記憶力を高める食べ物の話です。 最近よく忘れっぽくなっちゃって、なんて悩んじゃってる方いませんか? 人の顔が覚えられない、一念発起して始めた英会話もなかなか単語が出てこない、 それから音楽を聞いてもアーティストの名前がさっぱり出てこない、これはSingin' Clockのスタッフにも若干いるんですけれどもね。人間は20才を過ぎると 脳細胞が一日平均10万個ずつ減少していくなんて話を聞くと、 この記憶力の低下も仕方ないかなぁ〜なんて思ってしまいますが、いや!諦めちゃぁ いけません。 記憶力を高めるつまり脳の働きを活発にするための食べ物を積極的に採ったり、 勉強する時間帯を工夫したりすれば、私たちの脳はまだまだ元気に働いてくれるものなんです。 ではまずは食べ物ですが、具体的に何がいいという前に、食事をしていない お腹が減っている状態では確実に脳の働きは鈍いという事は覚えておいて下さいね。 では、ポイントとなるのはブドウ糖です。血液中のブドウ糖の濃度が下がると、 頭がボーッとして思考能力が落ちてしまいます。 朝食抜きでは午前中の仕事や勉強ははかどらないと言われる理由がここにあるんですね。 忙しくてとかお腹が一杯になると眠くなるからという理由で食事抜きで脳を使うのは まさに非効率的です。その時はチョコレートをひとかけでも、 あるいはお砂糖入りのコーヒーでも補給して上げることが大事なんですね。 では具体的に脳の働きを高める食べ物はと言いますと、例えば数年前から話題のDHA、 ドコサヘキサエン酸。魚とくにマグロですね、それからブリ、サバ、サンマ、ウナギ、 イワシなどに含まれているこのDHAは、脳の中の神経伝達物質の密度を高めて 情報伝達の能力をアップする力を持っているんだそうです。 これはまさに記憶力増強のためにも有効な手段なんですね。 またDHAと共にブレインフードいわゆる脳の働きを高める栄養素として注目されているのが コリンやレシチンといった物質なんです。これらは脳の中の記憶回路を活性化させる 働きがありまして、アメリカでは老人性痴呆症の患者さんにレシチンを与えたところ、 記憶力が回復したという報告もあるんだそうです。脳細胞の活動がスムーズにいくように コントロールしてくれるこのコリンやレシチン、これらは大豆やピーナッツそれから 納豆、味噌、子牛のレバー、ハム、オートミールなどに豊富に含まれている という事ですから、これからの季節だったらサンマの塩焼きでDHA、お味噌汁、納豆で コリンとレシチンという具合に記憶力アップメニューなんかいいんじゃないでしょうか? でも、これって日本の基本的な朝食のスタイルですよね? ついでですが、記憶力がもっとも力を発揮する時間帯というのもあるんだそうで、 それは午前10時です。これは人間の体温とも関係があるそうですけれども、 人の体温というものは朝6時くらいから段々上がってきて午後2時頃ピークになります。 脳も体温が高いときの方が活性化するんですが、特にものを覚えたり計算したり という能力が一番発揮されるのが10時頃なんだそうです。仕事をしている方なら ちょうど仕事を始める時間。学生の方なら1時間目? 2時間目くらいといったところでしょうかね。 食事と時間帯に気を配って記憶力をさらにアップ! 今からでもハイ!遅くはありません。



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4日目は記憶の物語
今日は記憶がつむいだ物語、記憶がモチーフになって展開する、そんな物語を ピックアップしてみました。 まずは世界一の記憶文学と言えば、誰でもタイトルだけは聞いた事があるんじゃないでしょうか?『失われた時を求めて』。20世紀のフランス文学の巨匠マルセルプルースト という人が書いた長い小説なんですが、まさに記憶を辿る物語なんです。 主人公はある日ひとかけらのマドレーヌ(貝殻の形をしたお菓子ですね)を 一口食べた途端に幼い頃の風景を思い出して、そこから次々に記憶を甦らせて タイトル通り失われた時を求めて行きます。 テーブルに並んだマドレーヌを見たときには何も感じなかったのに、 それを菩提樹の紅茶に浸して口に入れた途端に想い出が突然現れてくる。それはまさに 日曜日の朝におばさんが食べさせてくれたあの味。そこからは彼が当時住んでいた家の壁の色からお遣いに出かけた道筋、花の香りやいとこたちの顔など次々に記憶を甦らせていくというストーリーなんです。 菩提樹の紅茶、ハーブティーですね、その香りが延々と続く記憶の物語を導いたという訳なんです。 火曜日に香りの記憶は長く残るという話をしましたが、この物語はまさに香りが導く 記憶の物語なんですね。 それからプルーストよりはずっと親しみのある記憶の物語があります。 アニメーション映画『おもひでぽろぽろ』。あの宮崎駿監督作品でご覧になった方も多いと思います。おもひでぽろぽろ涙もぽろぽろです。 映画のヒロイン、27才のOLしょう子は、 ある日ふと小学校5年生の時の自分を心の中に 鮮やかに甦らせます。昭和40年代当時の小学生、 ひょっこりひょうたん島に夢中になったり、パイナップルを食べ始めたあの頃。 ヒロインは幼かった頃の自分を思い出すうちに 今の自分の生き方をもう一度見つめ直すという物語なんです。あの映画を見てると ひとつの場面から自分の記憶が甦って来るんですよね。女性の方は特に、 しょう子と自分がオーバーラップしてしまったという人も多いんじゃないでしょうか? 小さい頃の記憶っていつも懐かしくって嬉しくて、それでいて胸がキュン と切なくなるものです。そんな気分が良く出ていて、ほろっときます。 それからもう一つ、恐ろしい記憶の物語と言えばシュワルツネッガー主演の 『トータル・リコール』です。近未来、人々が本当に旅をしなくても その旅の記憶を脳の中に埋め込む事が出来るんです。シュワルツネッガーは火星への旅を 電子記憶装置で脳に埋め込まれて、次第に今が過去か未来か、本当に体験した記憶か 造り物の記憶なのか、まったく分からなくなってくるというストーリーなんです。 造り物の記憶を埋め込まれるなんて想像しただけで怖いですよね? 忘れっぽくても今の自分の精一杯の記憶で自分らしい人生を送るだけで私は満足です。




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5日目は記憶は嘘をつく
今週のテーマは記憶の不思議という事でお送りしてきましたが、 今日は最終日です。最近出版されたばかりの話題の本をご紹介しましょう。 タイトルはズバリ!『記憶は嘘をつく』。この本の著者はアメリカ・ミシガン州大学を 本拠地にしている心理学者ジョン・コードル?博士です。彼は特に人間の記憶に関する専門家で、これまでに多くの人たちから記憶のデータを集めて、それがどんな風にキープされて、どんな風に再生されるのかを研究されている方なんです。 その彼の持論が”記憶というのは時に嘘をつくのだ”という事なんです。 簡単に言うと、人は無意識のうちに自分に都合のいいように記憶を作り替えている場合があるという事です。 この場合の記憶というのは、月曜日にお話しました記憶の分類で言うと、自伝的記憶とかエピソード記憶とか呼ばれるものなんです。覚えてますか? つまり私たちの心の中にしまわれているたくさんの思い出の中には本当に事実としてあった事ではなく、自分の都合のいいように加工された記憶がしまわれているのだ とコードル博士は言ってるんです。自分の都合のいいように加工した記憶... 例えば私たちだって無意識にそんな作業をしているかも知れません。 大好きな人と別れてしまった後で、それが相手から告げられたさよならだったとしても 自分が先に彼に飽きててそんな素振りをしたから向こうからさよなら言って来たんだわぁ なんて、そう!どちらかというと私が彼をフッてしまったのね、という具合に 記憶の糸をほんの少しだけもつれさせてしまう。そして友達にその事を話していくうちに 自分自身もいつか本当にそうだったんだ、フラれたんじゃなくて私がフッたのよ! なんていう記憶にすり変わる。これはですね自分の心を癒すための失恋のショックから早く立ち直るための言わば自己防衛の心理なんですが、まさに自分の都合のいいように記憶を作り替えてるんですよね。 それから小さい頃の思い出。本当にそういうことを覚えているというよりも、 お母さんやお父さんやそれから兄弟の話から記憶していることも多いんで、 コードル博士の本に出てくる例ではこれに関して小さな実験を行っているんですよ。 クリスという14才の少年に”実は君が5才になる頃ショッピングモールで迷子になって 結局フランネルのシャツを着た老人と一緒にいるところを発見されたんだよ”と、 お兄さんが語って聞かせます。実はこれ完全なデッチ上げなんですけども、 クリスは話を聞いた2日後から事件のことを細かく思い出してしまうんです。 おもちゃ屋の前で皆なの姿が見えなくなった時、あぁ二度と家族に会えないと感じて 怖くなったとか、その老人が着ていたシャツの柄がチェックだったとか、 とってもリアルに思い出していくんですよ。これはあまり趣味のいい実験とは言えませんが、人間の記憶って結構あてにならないものだというお話、興味津々ですよね? 記憶の不思議がもっともっと見えてくるコードル博士の『記憶は嘘をつく』。 この本は講談社から\1,800で発売されていますから興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか?

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