最近入手したジャズCD(1997年9月)
All Kind of Weather
Rain,Summertime,Stormy Weather,Spring will be A little Later This year,
Winter Wonder Land,'Tis Autumnといった渋めのスタンダードをガーランドがトリオ
でさらりと弾く。私には毒にも薬にもならないシロモノに聞こえるが、クラシックファン
にはいい雰囲気に聞こえるらしい。採点☆☆☆。
Ralph sutton Trio-Sunday session
ラルフ・サットンは1940年代半ばから活躍する白人ピアニスト。付き合ってるベース
のミルト・ヒントンは1920年代からの超ベテラン。ニューヨークヘイデンプラネタリウム
のビル・グッチさんがヒントンを招いてJazz in Spaceなる催しを行なったのはもう7年も
前のことになってしまった。この時のビデオがグッチさんから格安で入手できる。さすがニュー
ヨーくは違う。このCDは音も内容も上々。スラッピングを交えたヒントンのベースソロは
クラシックファンには受けないかも。
採点☆☆☆★
Easy Street/Ralph Sutton
同じサットンが1991年オーストラリア・シドニーで現地の有名コルネット奏者ボブ・
バーナード、ドラムのレン・バーナードと共演したもの。バーナード族は昔単身渡豪した
バド・フリーマン(ts)を交えてのレコードもあった。cor〜p〜dsというトリオは渋いJazz
を演るのには良いがModern愛好者には何とも建付の悪いものに聞こえるらしい。
採点☆☆☆
Giant Stride/Dave McKenna
デイブ・マッケンナのモダン・ストライド・ピアノが思う存分聞かれる。アップテンポも
スローものまで全てストライドにしてしまうマッケンナの芸に脱帽。貴重な存在だ。
採点☆☆☆☆★
Swingin' New Big Band/Buddy Rich and his Orchestra
バディ・リッチ楽団の1966年の録音。リッチのスティックさばきは格別のものが
ある。ボビー・シュー(tp)、ジョン・バンチ(p)、ジーン・クイル(as)等わずかを
除くと無名のサイドメンばかりだが、若手のためのJazz道場もしくは学校みたいな雰囲気
である。採点☆☆☆
This Time By Basie/Count Basie and his Orchestra
カウント・ベイシー楽団が1965年当時のヒット曲ばかりを集めて演奏したもの。
でも完璧なベイシー・サウンドなので違和感はない。テナーのロックジョーが頑張っている。
この当時のベイシー楽団の副官でベイシーにソロをとらせなくなった張本人といわれている。
それがあらぬかベイシーのピアノソロが少ないのが残念。
採点☆☆☆
Lee Wiley/At Carnegie Hall,1972 Premier Release
リーワイリーの1972年のニューポートジャズフェスティバルでの歌唱である。冒頭に
エディコンドン(g)が出て伴奏者の紹介をするが自分は演奏していない。ハケット(cor),
ウィルソン(p),ピッツアレリ(g),デュビビエ(b), ラモンド(ds)の伴奏陣も含めて生きている
のはラモンドくらいのものだろう。歌は意地悪バアさん風でもあり、不安定なところも
あるが、一流の伴奏陣のサポートでさまになっている。10曲は1952年のストーリーヴィル
でのリハーサル。これも貴重。採点☆☆☆★
Dream of You/Hellen Merrile and Gil Evans
クリフォード・ブラウンが事故で亡くなる前後に録音された、ニューヨークのため息ヘレン・
メリル(vo)とギル・エバンス(arr)のコラボレーション。ギルの編曲はピート・ルゴロ程
高踏的ではないがややとっつきにくさはある。でもメリルの歌も決して親しみ易いものではない
のでバランスはとれていると思う。
採点☆☆☆☆
Lost Tape at Bell Sound/Monica Zetterlund
モニカはスエーデンの歌姫。1960年にニューヨークで吹き込まれ失われていたテープ
が出てきたとういいわく付きのCD。ビル・エバンスとの共演が北欧でなされた感じだったのに
こちらはZoot Sims(ts),Thad Jones(tp),Jimmy Jones(p)といったいかにもNew Yorkっぽい
伴奏者を得て、ニューヨークっぽい音になっている。いいことだ。採点☆☆☆☆
It's not Complainin'/Benny Goodman
グッドマNの1941年のビッグバンドとコンボの演奏。ヘレン・フォレストあり、ペギー
リーありでやや編集意図が?だが、珍しい標題曲をはじめ、ケニー・カーセイ(p)の加わった
コンボ、Cootie Williams(tp)のボーカルが聞けるトラック等貴重品も多い。
採点☆☆☆
Happy Madness/Pinky Winters
ピンキー・ウィンタースは1950年代の前半の西海岸でズート・シムズ(ts)と共演した
盤が有名だったが、1994年の本作品では声も婆さんじみている。渋いだけの凡百のシンガー
といったら気の毒か? ヘレン・フォレストの近作よりはマシだが。ロシアの子守歌だけは
なかなかの力作とみたが。採点☆☆★
Cootie Williams and his Orchestra in Hi-Fi
1958年ビクター録音。サイドはこの当時のビクターのハウス・バンドともいうべき陣容。
ソロはクーティのみ。演ずるはスタンダードのみ。ストリングスが入っていないのがせめてもの
救い。肝心のクーティも旦那芸を聞かせるが、本気で演ってるとは思えない。駄作といわざるを
得ない。
採点☆☆
Oct.21,1997