MIPS が強い理由は構造が単純なためチップサイズを小さくでき、性能の割に安い製品を供給できるからのようです。 確かに、命令セットの考え方、スーパースカラ構成を持つチップが少ないこと、MMU 機能の単純さ、 どれから考えてもアーキテクチャが教科書にでも書いたように単純な構成をしており、 比較的小さなトランジスタ数でかなりの性能のプロセッサを実現できています。 あと、MIPS 系の強いのは FPU でしょうか。特に最近出た R5000 などは FPU 重視の姿勢を感じます。 やはり、設計した MIPS 社の親会社 Silicon Graphics 社の画像技術の影響を感じます。
他のチップでは、Motorola 社の PowerPC 系が比較的強いようです。 特に PowerPC 603e 系は優れた性能を持っています。 ただ、68000 系を設計した Motorola 社としてはまだ不満の残るできでしょう。 そのほか、パソコン向けと重なりますが、 PowerPC 750 や PowerPC 604/604e 系もチップとしては優秀なのです。 しかし、プロセッサ開発の方向性を見るとちょっと的が絞れていない印象を持ちます (というよりやっぱりワークステーション・パソコン向け?)。 プロセッサの基本構造で凝りすぎた事と、その割に MMU 等に構造的に弱い点を残していることが弱点です。 方向性の異なるワークステーション向けの構造から離れ切れず中途半端な点が見られることも弱みです。 キャッシュが 4-way とか 8-way を実現しているだけにもったいないです。 いずれにせよ今後 Motorola も力を入れることになるかもしれません。 その時どんなチップが出てくるか楽しみです。
それ以外のチップではあまり話を聞きませんが、 SUN の microSparc/Sparclite 系あたりもこのジャンルに入れたい部類でしょうか。 ただ、レジスタ・ウィンドウとかを使っている場合ちょっとプログラムは作りにくいかもしれません。 やっぱりちゃんとしたワークステーション向けのプロセッサなのでしょうか。
100 MHz そこそこのスピードで良いからとにかく安くシステムを作りたいというのであれば、 お薦めは NEC の R4300 か NKK の R4645 あるいは 米国 IDT 社の R4640 ですね。 32-bit バスなので、比較的簡単にシステムを作れます。ただし、32-bit バスだけのことはあって、 性能は悪くなりますので注意しましょう!あと、どれもマルチプレクス・バスなのでバス分離が必要です。 また、これらのチップは内部のキャッシュサイズもトータルで 16KB 〜 24KB 程度であまり大きくありません。 性能的な犠牲は覚悟の上で使用しましょう。 外部バスの周波数も内部動作周波数の 1/8 まで落とせるので、 性能が落ちても良いなら結構容易にシステムが組めます。 それとこれらのチップは QFP のパッケージ品がほとんどなので、個人で作るには半田付けが大変!! これらのチップはどれも一長一短があって、優劣つけ難くどれでもOKです。
R4300/4645/4640 の 2 倍程度のシステム性能を得たいと思うなら、絶対 R4700 です。 NKK と IDT で出しています。 なにしろちょっと前までワークステーションのメイン CPU として幅を利かせていたんですからねえ。 それと PGA パッケージ品もあるので、ちょっと一台作る程度には良いですね。