ネットワークセキュリティ入門

攻撃方法から学ぶ、自己防衛の方針

last update 2000/9/3

簡易的な攻撃方法の分類

受動的攻撃

 さて、まずは主流の攻撃とも言える、能動的攻撃について述べた。今度は、これから主流の座を奪うかもしれない、受動的攻撃の説明を行う。

 先ほどのように、ありがちな攻撃方法を説明することで、受動的攻撃の特徴について示していく。

 今回の目標は、Windowsコンピュータにする。最終目標は、今までに受信したメールを根こそぎいただくこと。プライバシーの剥奪、および(あるならば)機密書類の入手、である。

 いろいろ手段はあるのだが、有名どころとして、Outlook+access2000を使った攻撃を紹介する。前提はメールソフトにOutlookを使い、WWWブラウザとしてIE5.01、access2000をインストールしていること、と言うのがあるのだが、ここは説明のための紹介だから、前提は守られている、とする。

 方法は、簡単である。メールを一本、被攻撃者に送付すればよい。その前の準備として、自分でWWWページを作っておく。このページには攻撃用のコード(ファイルを転送するように作っておく)と攻撃用コードを実行させるためのhtmlファイル(objectタグを利用することで簡単にできる)をおいておく。メールには作っておいたWWWのアドレスと、いかにも開きたくなるような飾り文句を書いておく。それは被攻撃者の特徴を知る必要があるが、方法はいくらでもあろう。

 被攻撃者がメールを開き、メールに書かれたアドレスをクリックしてくれれば万事終了だ。WWWブラウザが開き、ページを開くと同時にファイル転送用コードが実行され、ファイル(ここではメールの全データ)が攻撃者の元に届く、と言うわけだ。

 もっと巧妙なものだって可能だろう。これらの分野は、いまだ、発展途上の技術と言ってよいからだ。

 どうすればよいのか。比較的多くの攻撃は、以下の対処で大きな成果を得る事ができる(,が完全ではない)。WWWブラウザのActiveXやJavaなどをoffにし、cookieもできるだけ受け取らない。そして、妙なメール、WWWページに寄りつかない、と言うことをすれば70%,これらの攻撃はふせぐ事が可能だ。

 しかし、JavaなしのWWWはけっこうつまらないものとなるだろう。ここは、まさにセキュリティと利便さを天秤にかけて欲しい。また、最近では、受信したメールを開こうとしたとたんにゲームオーバーとなる攻撃手法も見つかっている(メールクライアントのバッファオーバーフローを利用した攻撃)。そういう意味では、逃れることが難しいとも言えよう。

 最後に残る、防御方法は、「セキュリティパッチをあてる」、つまり、そういったバグやバグに近い仕様を取り除いた、安全なソフトだけを使う、と言う方法である。ただし、こと日本に関してはセキュリティパッチの公開が遅い、もしくは全く出ない、と言う難点はあるが。

 管理者としてこの攻撃を阻止できるだろうか。これは結構難しいと思う。まず、管理者としてできることはそういったメールを受け取らせない、その様なWWWページを見せない、と言うことになるが、簡単なファイアウォールでは9割方阻止できない(よっぽどよくできた思想を持つファイアウォールやきちんと設定されたものは別だろう)と見て良い。

 まぁ、まったくメールを受け取らせない、WWWを見させない、という手段もあるが、それではなんのためのインターネットか、わからないというものだ。しかし、大抵の(安い)セキュリティ製品は、そのくらいの防御しかできない。

 つまり、能動的攻撃はユーザがいい加減なパスワードをつける、等ということをしない限り、管理者の努力でセキュリティが確保できるが、受動的攻撃は、ユーザ一人一人がとにかく注意し、ブラウザ等のバージョンアップをこまめにする、これらの事をこまめにやっていくことしかないのである。つまり、ユーザがどれだけセキュリティを真摯に考えているか、これによって防御のレベルが決まってくるのである。

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